アズカバンの囚人
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ナマエは夜中に鳥に変身してネズミ探しをしていたが、その度になぜかルーピン先生に見つかって連れ戻されるので、昼間にしか探索の時間がとれなくなっていた。シリウスはホグズミードからホグワーツの間を、校庭と城内はナマエとクルックシャンクスが捜索していたが、ネズミ探しは難航した。
「おい、待て。入れるのが早い。煮立ったら、まず時計回りに二回混ぜるんだ。それから──」
「口うるさいな。……お前の隣に座ったことを僕はずっと後悔してる」
魔法薬学の時間、ナマエは相変わらずマルフォイの隣に座っていた。
マルフォイは反論しながらも、ナマエの指摘通りに鍋をかき混ぜた。ナマエはその様子を見て満足そうに頷いた。
「クラッブかゴイルと組むよりましだろ。あいつら脳みそが詰まってないから──コホン、あー、『我輩が教える魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術──』なんて、わかりっこない」
ナマエがスネイプの口調を真似ながら言った。マルフォイはふっと思わず笑いそうになったが、すぐにしかめっつらを貼り付けた。
「──僕に取り入ろうったって無駄だ、ミョウジ。お前の魂胆はわかってる、あの害獣の処分を取り消したいんだろう?僕が父上に進言すれば、簡単だからな」
「それは……そうだな」
図星だった。ナマエは、もはや控訴に望みはないと感じていた。直接ルシウス・マルフォイの気を変えるのが一番確実なのだ。素直に認めたナマエに、マルフォイはふんと鼻で笑った。
「お前が聖ポッターの家来を辞めるなら、考えてやってもいい」
「残念だけど、俺はハリーの家来じゃない」
「ああ、そうだった。ガールフレンドだったな」
「だから──」
「私語は慎め、ミョウジ。レイブンクロー五点減点」
スネイプが後ろからぬっと現れ、ナマエの頭をバシンと教科書ではたいた。スネイプがネビルの鍋の方に行ってしまってから、ナマエは小さく毒づいた。
「──ほとんどドラコが喋ってたのに」
「いい気味だ」
マルフォイはにたっと笑った。
クラスが終わり、ナマエとマルフォイは大広間に向かって並んで歩いていた。
「ハリーを負かしたいなら、父親にヒッポグリフの処刑じゃなくて、ファイアボルトをおねだりすればいいだろ」
「なんでこの僕がポッターと同じ箒を使わなきゃならないんだ」
言い合うナマエとマルフォイを、ハリーとロン、そして数人のグリフィンドール生が追い越した。ハリーとロンはナマエに一瞥もくれず、ナマエはため息をつきたくなった。マルフォイとハリー、ひいてはスリザリンとグリフィンドールは一触即発のピリピリしたムードが漂っていた。
⚡️─────────
イースター休暇はのんびりというわけにはいかなかった。三年生はかつてないほどの宿題を出された。
それでも、ハーマイオニーほど抱え込んだ生徒はいなかった。「占い学」はやめたものの、夜はだいたい談話室に最後まで粘っていたし、朝は誰よりも早く図書室に向かっていた。ナマエもハーマイオニーと同じだけの授業を取ってはいたが、ハーマイオニーほど完璧主義ではないようだった。
「──そこまで覚えなくても、ほら、こっちので応用が効くじゃないか」
「試験中に別の薬の煎じ方を考えていたら時間が足りなくなるし、厳密には少し違うわ──」
図書館にいくと、いつもナマエとハーマイオニーが隣り合って座っていたが、ハリーとロンが来ると、ナマエは図書館を出て行った。ハーマイオニーとナマエが二人にしかしかわからない話をしているとロンが不機嫌になるし、ハリーとナマエの関係はぎこちなく、いまだに完全回復はしていなかった。漏れ鍋で過ごした夏休みが遠い昔のようだった。
ハリーは、ナマエが自分の味方だと頭ではわかってはいるが、隠し事をされていたことに腹を立てていた。それどころか、ナマエはまだ何か隠しているような気さえした。というのも、ナマエは最近、マルフォイと二人で話していることがたびたびあった。それを見るたび、ハリーは裏切られたような気分になるのだった。自分はナマエにだけ、死神犬を見たことを打ち明けたのに──。ハリーが冷たい態度をとると、ナマエは悲しそうな顔をするので、それが余計にハリーを苛立たせた。
ロンはバックビークの控訴の準備を引き継いで、自分の宿題をやっていない時間には巨大な本に取り組んでいた。「ヒッポグリフの心理」とか、「ヒッポグリフの残忍性に関する研究」などを夢中で読みふけり、クルックシャンクスに当たり散らすことさえ忘れていた。
一方ハリーは、クィディッチの練習の合間に宿題をやっつけなければならなかった。グリフィンドール対スリザリンの試合が、イースター休暇明けの最初の土曜日に迫っていて、寮同士の緊張は高まっていた。特にマルフォイとハリーの敵意は頂点に達していた。
というのも、ハリーは、フレッドとジョージに「忍びの地図」というホグワーツの魔法の地図をもらい、その地図と透明マントを使ってホグズミードでマルフォイに泥を投げつけてやったのだ。しかし、帰り道でスネイプと出くわし、透明マントを城の隠し通路に忘れてきた上に、ルーピン先生に「忍びの地図」を没収されてしまった。この泥投げ事件で、マルフォイは怒り狂っていた。
至る所で寮同士の小競り合いや呪い合いが頻発していた。この日もハリーがトイレに行こうと少し一人になった途端、待ち伏せしていたマルフォイが飛び出してきた。
「エンゴージオ!」
間一髪、マルフォイの放った呪いはなぜか軌道が逸れて、ハリーを掠めてトイレの壁を黒焦げにした。
その時、誰かが男子トイレに飛び込んできて、ハリーとマルフォイは見えない壁に押し出されるように距離をとった。──入ってきたのは杖を持ったナマエだった。
「おい!やめろよ、マルフォイ」
マルフォイはナマエの姿を見て舌打ちをした。
「僕のすることにいちいち口を出すな」
今までと同じやりとりだが、二人の間に敵意がないような気がした。ナマエの話し方は、まるでハリーやロンを注意するハーマイオニーのような、そんな声音だった。
ナマエはハリーに向かって、「大丈夫か、ハリー」と声をかけたが、ハリーは聞こえないふりをしてその場を去った。
しかし、背後からナマエとマルフォイの会話が耳に入ってきた。
「──かわいそうに、ミョウジ。愛しのポッターに嫌われてるのかい」
「うるさいな」
ハリーはむかむかしてきた。ハリーはハリーの意思でナマエを避けているが、それがマルフォイを喜ばせている。
試合の前夜、談話室はどこかピリピリしていた。ウッドはミニチュアの選手を動かしながらぶつぶつと独り言を漏らし、フレッドとジョージはいつも以上に大騒ぎしていた。ハーマイオニーですら、「集中できないわ」と本を投げ出して、勉強をやめた。
ハリーがぼそっとナマエとマルフォイについての不満を漏らすと、ハーマイオニーが言った。
「ナマエはマルフォイを見張ってるんじゃない?だって、スリザリンときたら、隙あらばグリフィンドールのクィディッチチームを呪おうと躍起じゃない」
ハリーもそれはもっともらしい理由だと思ったが、反論したい気持ちは抑えられなかった。
「でも、あんなにマルフォイと仲良くする必要はないじゃないか」
ハーマイオニーは何か言いたそうに顔をしかめたが、ため息を飲み込んでソファに沈み込んだ。
「おい、待て。入れるのが早い。煮立ったら、まず時計回りに二回混ぜるんだ。それから──」
「口うるさいな。……お前の隣に座ったことを僕はずっと後悔してる」
魔法薬学の時間、ナマエは相変わらずマルフォイの隣に座っていた。
マルフォイは反論しながらも、ナマエの指摘通りに鍋をかき混ぜた。ナマエはその様子を見て満足そうに頷いた。
「クラッブかゴイルと組むよりましだろ。あいつら脳みそが詰まってないから──コホン、あー、『我輩が教える魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術──』なんて、わかりっこない」
ナマエがスネイプの口調を真似ながら言った。マルフォイはふっと思わず笑いそうになったが、すぐにしかめっつらを貼り付けた。
「──僕に取り入ろうったって無駄だ、ミョウジ。お前の魂胆はわかってる、あの害獣の処分を取り消したいんだろう?僕が父上に進言すれば、簡単だからな」
「それは……そうだな」
図星だった。ナマエは、もはや控訴に望みはないと感じていた。直接ルシウス・マルフォイの気を変えるのが一番確実なのだ。素直に認めたナマエに、マルフォイはふんと鼻で笑った。
「お前が聖ポッターの家来を辞めるなら、考えてやってもいい」
「残念だけど、俺はハリーの家来じゃない」
「ああ、そうだった。ガールフレンドだったな」
「だから──」
「私語は慎め、ミョウジ。レイブンクロー五点減点」
スネイプが後ろからぬっと現れ、ナマエの頭をバシンと教科書ではたいた。スネイプがネビルの鍋の方に行ってしまってから、ナマエは小さく毒づいた。
「──ほとんどドラコが喋ってたのに」
「いい気味だ」
マルフォイはにたっと笑った。
クラスが終わり、ナマエとマルフォイは大広間に向かって並んで歩いていた。
「ハリーを負かしたいなら、父親にヒッポグリフの処刑じゃなくて、ファイアボルトをおねだりすればいいだろ」
「なんでこの僕がポッターと同じ箒を使わなきゃならないんだ」
言い合うナマエとマルフォイを、ハリーとロン、そして数人のグリフィンドール生が追い越した。ハリーとロンはナマエに一瞥もくれず、ナマエはため息をつきたくなった。マルフォイとハリー、ひいてはスリザリンとグリフィンドールは一触即発のピリピリしたムードが漂っていた。
⚡️─────────
イースター休暇はのんびりというわけにはいかなかった。三年生はかつてないほどの宿題を出された。
それでも、ハーマイオニーほど抱え込んだ生徒はいなかった。「占い学」はやめたものの、夜はだいたい談話室に最後まで粘っていたし、朝は誰よりも早く図書室に向かっていた。ナマエもハーマイオニーと同じだけの授業を取ってはいたが、ハーマイオニーほど完璧主義ではないようだった。
「──そこまで覚えなくても、ほら、こっちので応用が効くじゃないか」
「試験中に別の薬の煎じ方を考えていたら時間が足りなくなるし、厳密には少し違うわ──」
図書館にいくと、いつもナマエとハーマイオニーが隣り合って座っていたが、ハリーとロンが来ると、ナマエは図書館を出て行った。ハーマイオニーとナマエが二人にしかしかわからない話をしているとロンが不機嫌になるし、ハリーとナマエの関係はぎこちなく、いまだに完全回復はしていなかった。漏れ鍋で過ごした夏休みが遠い昔のようだった。
ハリーは、ナマエが自分の味方だと頭ではわかってはいるが、隠し事をされていたことに腹を立てていた。それどころか、ナマエはまだ何か隠しているような気さえした。というのも、ナマエは最近、マルフォイと二人で話していることがたびたびあった。それを見るたび、ハリーは裏切られたような気分になるのだった。自分はナマエにだけ、死神犬を見たことを打ち明けたのに──。ハリーが冷たい態度をとると、ナマエは悲しそうな顔をするので、それが余計にハリーを苛立たせた。
ロンはバックビークの控訴の準備を引き継いで、自分の宿題をやっていない時間には巨大な本に取り組んでいた。「ヒッポグリフの心理」とか、「ヒッポグリフの残忍性に関する研究」などを夢中で読みふけり、クルックシャンクスに当たり散らすことさえ忘れていた。
一方ハリーは、クィディッチの練習の合間に宿題をやっつけなければならなかった。グリフィンドール対スリザリンの試合が、イースター休暇明けの最初の土曜日に迫っていて、寮同士の緊張は高まっていた。特にマルフォイとハリーの敵意は頂点に達していた。
というのも、ハリーは、フレッドとジョージに「忍びの地図」というホグワーツの魔法の地図をもらい、その地図と透明マントを使ってホグズミードでマルフォイに泥を投げつけてやったのだ。しかし、帰り道でスネイプと出くわし、透明マントを城の隠し通路に忘れてきた上に、ルーピン先生に「忍びの地図」を没収されてしまった。この泥投げ事件で、マルフォイは怒り狂っていた。
至る所で寮同士の小競り合いや呪い合いが頻発していた。この日もハリーがトイレに行こうと少し一人になった途端、待ち伏せしていたマルフォイが飛び出してきた。
「エンゴージオ!」
間一髪、マルフォイの放った呪いはなぜか軌道が逸れて、ハリーを掠めてトイレの壁を黒焦げにした。
その時、誰かが男子トイレに飛び込んできて、ハリーとマルフォイは見えない壁に押し出されるように距離をとった。──入ってきたのは杖を持ったナマエだった。
「おい!やめろよ、マルフォイ」
マルフォイはナマエの姿を見て舌打ちをした。
「僕のすることにいちいち口を出すな」
今までと同じやりとりだが、二人の間に敵意がないような気がした。ナマエの話し方は、まるでハリーやロンを注意するハーマイオニーのような、そんな声音だった。
ナマエはハリーに向かって、「大丈夫か、ハリー」と声をかけたが、ハリーは聞こえないふりをしてその場を去った。
しかし、背後からナマエとマルフォイの会話が耳に入ってきた。
「──かわいそうに、ミョウジ。愛しのポッターに嫌われてるのかい」
「うるさいな」
ハリーはむかむかしてきた。ハリーはハリーの意思でナマエを避けているが、それがマルフォイを喜ばせている。
試合の前夜、談話室はどこかピリピリしていた。ウッドはミニチュアの選手を動かしながらぶつぶつと独り言を漏らし、フレッドとジョージはいつも以上に大騒ぎしていた。ハーマイオニーですら、「集中できないわ」と本を投げ出して、勉強をやめた。
ハリーがぼそっとナマエとマルフォイについての不満を漏らすと、ハーマイオニーが言った。
「ナマエはマルフォイを見張ってるんじゃない?だって、スリザリンときたら、隙あらばグリフィンドールのクィディッチチームを呪おうと躍起じゃない」
ハリーもそれはもっともらしい理由だと思ったが、反論したい気持ちは抑えられなかった。
「でも、あんなにマルフォイと仲良くする必要はないじゃないか」
ハーマイオニーは何か言いたそうに顔をしかめたが、ため息を飲み込んでソファに沈み込んだ。