アズカバンの囚人
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ナマエは、ほとんど心ここに在らずでホグワーツに戻った。
チチオヤが店を出た後、あとを追えばよかった……追いかけて、問い詰めればよかった──しかし、まね妖怪が父の姿になった瞬間がナマエの頭によぎった。
ハロウィン・パーティの夕食ですら、何を食べたか、何の余興があったのか思い出せないまま、ベッドに横たわっていた。
「ナマエ!起きろ!大変だ!」
突然、アンソニーが談話室から走ってやってきた。
「何?」
「ブラックが学校に入り込んだんだ!全員大広間に戻るようにって、ダンブルドアが!」
ナマエは弾けるようにベッドから飛び降りた。
十分後には、グリフィンドール、ハッフルパフ、スリザリンの寮生も、みんな当惑した表情で、全員大広間に集まった。
「先生たち全員で、城の中をくまなく捜索せねばならん」
マクゴナガル先生とフリットウィック先生が、大広間の扉という扉を全部閉めきっている間、ダンブルドア校長がそう告げた。
「気の毒じゃが、皆、今夜はここに泊まることになろうの。皆の安全のためじゃ。監督生は大広間の入口の見張りに立ってもらおう。何か不審なことがあれば、直ちにわしに知らせるように」
ダンブルドアは大広間から出ていこうとしたが、ふと立ち止まった。
「おお、そうじゃ。必要なものがあったのう……」
はらりと杖を振ると、長いテーブルが全部大広間の片隅に飛んでいき、きちんと壁を背にして並んだ。もう一振りすると、何百個ものふかふかした紫色の寝袋が現れて、床一杯に敷き詰められた。
「ぐっすりおやすみ」
大広間を出ていきながら、ダンブルドア校長が声をかけた。たちまち、大広間中がガヤガヤうるさくなった。
「グリフィンドールの談話室の『太った婦人』が、ブラックに襲われたんだって!」
グリフィンドール生が他の寮生に事件の話を始めたのだ。
「みんな寝袋に入りなさい!」
パーシーが大声で言った。
「さあ、さあ、おしゃべりはやめたまえ! 消灯まであと十分!」
ナマエは、寝袋をつかんでハリーを探した。部屋の隅のほうに、ハリー、ロン、ハーマイオニーを見つけた。
「ハリー!あんた、今日は談話室にいたのか?大丈夫だった?」
「ああ、僕、ルーピン先生と話してた──」
ナマエとハリーが話していると、すぐ側にいたマルフォイが遮った。
「ポッター、一人でブラックを捕まえようって思ってるのか?」
「そうだ、そのとおりだ」
ハリーは面倒くさそうに適当に答えた。マルフォイの薄い唇が歪み、意地悪そうにほくそ笑んだ。
「言うまでもないけど、」
落ち着きはらってマルフォイが言った。
「僕だったら、もうすでに何かやってるだろうなぁ。いい子ぶって学校にじっとしてたりしない。今すぐここを出て、ブラックを探しに出かけるだろうなぁ」
ナマエはマルフォイの言いたいことがわかって、手にじっとり汗をかいた。ハリーは、シリウス・ブラックがポッター夫妻を裏切ったことを、まだ知らないのだ。そしてナマエは、果たしてそれをハリーに伝えるべきなのか、判断できなかった。
「マルフォイ、いったい何を言いだすんだ?」
ロンが乱暴に言った。
「ポッター、知らないのか?」
マルフォイは薄青い目を細めて、嘲るように低く笑った。
「君はたぶん危ないことはしたくないんだろうなぁ。吸魂鬼に任せておきたいんだろう? 僕だったら、復讐してやりたい。僕なら、自分でブラックを──」
「マルフォイ、」
ナマエが思わず割って入り、マルフォイとナマエはじっと睨み合った。マルフォイはナマエの表情を見て、意地悪く目を細めた。
「ああ……知らないなら、ミョウジに聞くといいさ。ポッター」
ハリー、ロン、ハーマイオニーが、一斉にナマエを振り返った。
そのとき、パーシーの声がした。
「君たち!早く寝なさい!消灯するぞ!」
それから数日というもの、学校中シリウス・ブラックの話で持ちきりだった。どうやって城に入り込んだのか、話に尾ひれがついてどんどん大きくなった。ハリーは、何かと理由をつけられて常に先生に囲まれていた。
ナマエはというと、人よりも授業を多く取りすぎたせいで、シリウス・ブラックのことも、父親のことも考える時間がなくなっていた。その上、「闇の魔術に対する防衛術」のクラスでは、体調不良のルーピン先生の代わりに、スネイプが授業をした。スネイプは、散々ルーピン先生の授業をこき下ろしてから、人狼の見分け方と殺し方についての宿題を羊皮紙二巻分も出した。
「薬草学」の時間は、今年もレイブンクローとスリザリンの合同授業だった。時たま、スリザリンがレイブンクローに野次を飛ばすこともあったが、ナマエやマイケルが首を突っ込む前に、アンソニーが場を収めていた。
ナマエはゼニアオイの採集を終えて一息つくと、ふとある考えが浮かんだ。
マルフォイは、シリウス・ブラックがハリーの両親の仇だと知っていた。なら、チチオヤがシリウス・ブラックを追う理由も、もしかしたら知っているかもしれない──。
ナマエは授業のあとに一人残って、マルフォイたちを追った。
「マルフォイ!」
渡り廊下の途中でマルフォイを呼び止めた。マルフォイと話すのは、「魔法薬学」のあとに言い争って以来だった。
マルフォイはナマエに気がついて、クラッブとゴイルに先に行くよう顎で合図した。
二人が去ってから、ナマエが切り出した。
「お前、ブラックとポッター夫妻のことは、父親に聞いたのか?」
「……お前に何の関係がある?」
マルフォイはナマエの意図を探るようにじろりと見た。ナマエは、疑問を直球でぶつけた。
「教えてくれ。あんたの家と、俺の父は知り合いだろ?あんたの父親のルシウスは、ブラックの話をするときに、父上の──チチオヤの話をしてたか?」
ナマエの声が少し上擦り、マルフォイは眉を上げて答えた。
「お前の父親なんだから、お前が聞けばいいだろう?」
「それは……」
悔しくも、もっともな意見だった。ナマエが苦い顔をすると、マルフォイはいつもの調子を取り戻したようにせせら笑った。
「それとも、ああ……聞いたよ、お前のまね妖怪 は、父親に変身したんだって?そんなにパパに怒られるのが怖いのか?」
「俺は、」
ナマエは反論しようと口を開いたが、ヒュッと息を呑んだ。そうか、ようやく気がついた。
──俺は、親に愛されていないと、思い知ることが怖いのか。
ハリーに両親はいない。でも、確かに愛されていた。闇の帝王を打ち砕いた額の傷が、それを物語っている。ロンも、ハーマイオニーも、アンソニーたちも、目の前のマルフォイでさえも。
ずっと前からうっすらと感じていた、友人たちに対する嫉妬のような薄暗い感情を、初めて自覚して、ナマエの胃がじわりと痛んだ。ナマエは言葉を絞り出した。
「……俺の親父は、俺よりあんたの方が気に入ってる」
「ふん、かわいそうに」
ナマエは返す言葉をなにも思いつかず、黙りこくった。マルフォイは、ナマエが言い返さないことに動揺して、フンと鼻を鳴らした。
「──僕はお前の家の話なんか知らない。ミョウジの息子は穢れた血びいきで困るって、それくらいさ」
「……そうか」
ナマエは曖昧に笑った。
「……呼び止めて悪かったな」
ナマエはくるりとマルフォイに背を向けて、その場を後にした。
渡り廊下を早足で通り過ぎると、雨が降っている校庭の芝生に、鮮やかなオレンジ色が目を引いた。
「クルックシャンクス?」
クルックシャンクスは、瓶洗いブラシのような尻尾を揺らしながらびしゃびしゃと芝生を横切ってこちらに向かってきた。
ナマエはしゃがんで片手を差し出したが、クルックシャンクスはナマエを横目に見ながら素通りした。
「クルックシャンクス!ここにいたのね」
ナマエの背後から声がした。振り返ると、ハーマイオニーとロンがいた。
クルックシャンクスはハーマイオニーに手早く乾かされ、ひょいと抱き上げられた。腕の中から、ぶすっとした顔でまだナマエを見ていた。ハーマイオニーの後ろから、同じくらいぶすっとした顔のロンが現れて、忌々しげにクルックシャンクスを睨んだ。
「ハリーは?」ナマエが尋ねた。
「クィディッチの練習よ」
「こんな天気なのに?」
ナマエは驚いた。雨風が強く城の外壁を打ち付けていた。
すると、ロンがぶすっとした顔をナマエに向けた。
「よくハリーの様子なんて聞けたもんだよ」
「……どういう意味だ?」
ナマエはゆっくり聞き返した。
「君、こそこそマルフォイとつるんでただろ!」
ロンが雨に負けない大きな声で言った。ナマエは、いつもよりも自分が苛立っていることに気がついた。
「あんたは、俺がハーマイオニーといても文句を言っただろ」
ナマエはじっとロンを睨むと、ロンの顔が怒りでだんだん赤くなっていった。
「君は、『太った婦人』が襲われた夜──大広間で雑魚寝したとき、僕たちに何か隠した!マルフォイと君は何か知っていることがあるんだろ、言えよ!」
ロンの言葉に、ハーマイオニーが思わずナマエを振り返った。しかし、すぐに仲裁に入った。
「やめてよ、二人とも」
「俺は何もしてない、ロンが──」
「ナマエ、やめてってば!」
ハーマイオニーがぴしゃりと言い、ナマエは口を閉じて押し黙った。ロンが得意げに口角を上げたので、ハーマイオニーがロンを睨んだ。
ナマエは何も言わず、その場を離れた。背後でハーマイオニーがロンを嗜める声が聞こえた。
シリウス・ブラックがハリーの両親を闇の帝王に売ったことを、ハリーたちに教えるべきなのだろうか?自分なら、隠されているのは辛いだろう。
でも、そのせいでハリーがブラックを探しに行ってしまったら?ハリーを危険に晒してしまったら?そもそも、自分だって父親からなにも話してもらえていないのに。
ナマエは頭を振った。
去年、リドルの日記のことを、なぜハリーにもっと早く話さなかったのだと、後悔したのを思い出した。
──明日、ハリーに話そう。それで、ハリーがブラックを追うなら、俺も一緒に行こう。
ナマエは後ろめたさと苛立ちを抱えながら、寮へと歩いた。
チチオヤが店を出た後、あとを追えばよかった……追いかけて、問い詰めればよかった──しかし、まね妖怪が父の姿になった瞬間がナマエの頭によぎった。
ハロウィン・パーティの夕食ですら、何を食べたか、何の余興があったのか思い出せないまま、ベッドに横たわっていた。
「ナマエ!起きろ!大変だ!」
突然、アンソニーが談話室から走ってやってきた。
「何?」
「ブラックが学校に入り込んだんだ!全員大広間に戻るようにって、ダンブルドアが!」
ナマエは弾けるようにベッドから飛び降りた。
十分後には、グリフィンドール、ハッフルパフ、スリザリンの寮生も、みんな当惑した表情で、全員大広間に集まった。
「先生たち全員で、城の中をくまなく捜索せねばならん」
マクゴナガル先生とフリットウィック先生が、大広間の扉という扉を全部閉めきっている間、ダンブルドア校長がそう告げた。
「気の毒じゃが、皆、今夜はここに泊まることになろうの。皆の安全のためじゃ。監督生は大広間の入口の見張りに立ってもらおう。何か不審なことがあれば、直ちにわしに知らせるように」
ダンブルドアは大広間から出ていこうとしたが、ふと立ち止まった。
「おお、そうじゃ。必要なものがあったのう……」
はらりと杖を振ると、長いテーブルが全部大広間の片隅に飛んでいき、きちんと壁を背にして並んだ。もう一振りすると、何百個ものふかふかした紫色の寝袋が現れて、床一杯に敷き詰められた。
「ぐっすりおやすみ」
大広間を出ていきながら、ダンブルドア校長が声をかけた。たちまち、大広間中がガヤガヤうるさくなった。
「グリフィンドールの談話室の『太った婦人』が、ブラックに襲われたんだって!」
グリフィンドール生が他の寮生に事件の話を始めたのだ。
「みんな寝袋に入りなさい!」
パーシーが大声で言った。
「さあ、さあ、おしゃべりはやめたまえ! 消灯まであと十分!」
ナマエは、寝袋をつかんでハリーを探した。部屋の隅のほうに、ハリー、ロン、ハーマイオニーを見つけた。
「ハリー!あんた、今日は談話室にいたのか?大丈夫だった?」
「ああ、僕、ルーピン先生と話してた──」
ナマエとハリーが話していると、すぐ側にいたマルフォイが遮った。
「ポッター、一人でブラックを捕まえようって思ってるのか?」
「そうだ、そのとおりだ」
ハリーは面倒くさそうに適当に答えた。マルフォイの薄い唇が歪み、意地悪そうにほくそ笑んだ。
「言うまでもないけど、」
落ち着きはらってマルフォイが言った。
「僕だったら、もうすでに何かやってるだろうなぁ。いい子ぶって学校にじっとしてたりしない。今すぐここを出て、ブラックを探しに出かけるだろうなぁ」
ナマエはマルフォイの言いたいことがわかって、手にじっとり汗をかいた。ハリーは、シリウス・ブラックがポッター夫妻を裏切ったことを、まだ知らないのだ。そしてナマエは、果たしてそれをハリーに伝えるべきなのか、判断できなかった。
「マルフォイ、いったい何を言いだすんだ?」
ロンが乱暴に言った。
「ポッター、知らないのか?」
マルフォイは薄青い目を細めて、嘲るように低く笑った。
「君はたぶん危ないことはしたくないんだろうなぁ。吸魂鬼に任せておきたいんだろう? 僕だったら、復讐してやりたい。僕なら、自分でブラックを──」
「マルフォイ、」
ナマエが思わず割って入り、マルフォイとナマエはじっと睨み合った。マルフォイはナマエの表情を見て、意地悪く目を細めた。
「ああ……知らないなら、ミョウジに聞くといいさ。ポッター」
ハリー、ロン、ハーマイオニーが、一斉にナマエを振り返った。
そのとき、パーシーの声がした。
「君たち!早く寝なさい!消灯するぞ!」
それから数日というもの、学校中シリウス・ブラックの話で持ちきりだった。どうやって城に入り込んだのか、話に尾ひれがついてどんどん大きくなった。ハリーは、何かと理由をつけられて常に先生に囲まれていた。
ナマエはというと、人よりも授業を多く取りすぎたせいで、シリウス・ブラックのことも、父親のことも考える時間がなくなっていた。その上、「闇の魔術に対する防衛術」のクラスでは、体調不良のルーピン先生の代わりに、スネイプが授業をした。スネイプは、散々ルーピン先生の授業をこき下ろしてから、人狼の見分け方と殺し方についての宿題を羊皮紙二巻分も出した。
「薬草学」の時間は、今年もレイブンクローとスリザリンの合同授業だった。時たま、スリザリンがレイブンクローに野次を飛ばすこともあったが、ナマエやマイケルが首を突っ込む前に、アンソニーが場を収めていた。
ナマエはゼニアオイの採集を終えて一息つくと、ふとある考えが浮かんだ。
マルフォイは、シリウス・ブラックがハリーの両親の仇だと知っていた。なら、チチオヤがシリウス・ブラックを追う理由も、もしかしたら知っているかもしれない──。
ナマエは授業のあとに一人残って、マルフォイたちを追った。
「マルフォイ!」
渡り廊下の途中でマルフォイを呼び止めた。マルフォイと話すのは、「魔法薬学」のあとに言い争って以来だった。
マルフォイはナマエに気がついて、クラッブとゴイルに先に行くよう顎で合図した。
二人が去ってから、ナマエが切り出した。
「お前、ブラックとポッター夫妻のことは、父親に聞いたのか?」
「……お前に何の関係がある?」
マルフォイはナマエの意図を探るようにじろりと見た。ナマエは、疑問を直球でぶつけた。
「教えてくれ。あんたの家と、俺の父は知り合いだろ?あんたの父親のルシウスは、ブラックの話をするときに、父上の──チチオヤの話をしてたか?」
ナマエの声が少し上擦り、マルフォイは眉を上げて答えた。
「お前の父親なんだから、お前が聞けばいいだろう?」
「それは……」
悔しくも、もっともな意見だった。ナマエが苦い顔をすると、マルフォイはいつもの調子を取り戻したようにせせら笑った。
「それとも、ああ……聞いたよ、お前の
「俺は、」
ナマエは反論しようと口を開いたが、ヒュッと息を呑んだ。そうか、ようやく気がついた。
──俺は、親に愛されていないと、思い知ることが怖いのか。
ハリーに両親はいない。でも、確かに愛されていた。闇の帝王を打ち砕いた額の傷が、それを物語っている。ロンも、ハーマイオニーも、アンソニーたちも、目の前のマルフォイでさえも。
ずっと前からうっすらと感じていた、友人たちに対する嫉妬のような薄暗い感情を、初めて自覚して、ナマエの胃がじわりと痛んだ。ナマエは言葉を絞り出した。
「……俺の親父は、俺よりあんたの方が気に入ってる」
「ふん、かわいそうに」
ナマエは返す言葉をなにも思いつかず、黙りこくった。マルフォイは、ナマエが言い返さないことに動揺して、フンと鼻を鳴らした。
「──僕はお前の家の話なんか知らない。ミョウジの息子は穢れた血びいきで困るって、それくらいさ」
「……そうか」
ナマエは曖昧に笑った。
「……呼び止めて悪かったな」
ナマエはくるりとマルフォイに背を向けて、その場を後にした。
渡り廊下を早足で通り過ぎると、雨が降っている校庭の芝生に、鮮やかなオレンジ色が目を引いた。
「クルックシャンクス?」
クルックシャンクスは、瓶洗いブラシのような尻尾を揺らしながらびしゃびしゃと芝生を横切ってこちらに向かってきた。
ナマエはしゃがんで片手を差し出したが、クルックシャンクスはナマエを横目に見ながら素通りした。
「クルックシャンクス!ここにいたのね」
ナマエの背後から声がした。振り返ると、ハーマイオニーとロンがいた。
クルックシャンクスはハーマイオニーに手早く乾かされ、ひょいと抱き上げられた。腕の中から、ぶすっとした顔でまだナマエを見ていた。ハーマイオニーの後ろから、同じくらいぶすっとした顔のロンが現れて、忌々しげにクルックシャンクスを睨んだ。
「ハリーは?」ナマエが尋ねた。
「クィディッチの練習よ」
「こんな天気なのに?」
ナマエは驚いた。雨風が強く城の外壁を打ち付けていた。
すると、ロンがぶすっとした顔をナマエに向けた。
「よくハリーの様子なんて聞けたもんだよ」
「……どういう意味だ?」
ナマエはゆっくり聞き返した。
「君、こそこそマルフォイとつるんでただろ!」
ロンが雨に負けない大きな声で言った。ナマエは、いつもよりも自分が苛立っていることに気がついた。
「あんたは、俺がハーマイオニーといても文句を言っただろ」
ナマエはじっとロンを睨むと、ロンの顔が怒りでだんだん赤くなっていった。
「君は、『太った婦人』が襲われた夜──大広間で雑魚寝したとき、僕たちに何か隠した!マルフォイと君は何か知っていることがあるんだろ、言えよ!」
ロンの言葉に、ハーマイオニーが思わずナマエを振り返った。しかし、すぐに仲裁に入った。
「やめてよ、二人とも」
「俺は何もしてない、ロンが──」
「ナマエ、やめてってば!」
ハーマイオニーがぴしゃりと言い、ナマエは口を閉じて押し黙った。ロンが得意げに口角を上げたので、ハーマイオニーがロンを睨んだ。
ナマエは何も言わず、その場を離れた。背後でハーマイオニーがロンを嗜める声が聞こえた。
シリウス・ブラックがハリーの両親を闇の帝王に売ったことを、ハリーたちに教えるべきなのだろうか?自分なら、隠されているのは辛いだろう。
でも、そのせいでハリーがブラックを探しに行ってしまったら?ハリーを危険に晒してしまったら?そもそも、自分だって父親からなにも話してもらえていないのに。
ナマエは頭を振った。
去年、リドルの日記のことを、なぜハリーにもっと早く話さなかったのだと、後悔したのを思い出した。
──明日、ハリーに話そう。それで、ハリーがブラックを追うなら、俺も一緒に行こう。
ナマエは後ろめたさと苛立ちを抱えながら、寮へと歩いた。
