秘密の部屋
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「アニっ──」
ナマエの言葉を反芻しようとしたマイケルの口を、ナマエが咄嗟に抑えた。アンソニーが不審そうにこちらを見た。
「ほらっ!オートミールもちゃんと食え、マイケル!」
ナマエは苦しい言い訳だと思ったが、アンソニーはそれよりも次の魔法薬の授業の予習のほうが大事らしく、すぐに本に目線を戻した。
「ッナマエ!」
「シーっ!でかい声出すなっ!」
マイケルとナマエの二人は小声で言い合った。
ナマエは誰かに聞かれてはまずいと思い、立ち上がってテーブルを後にしたが、マイケルがついてきた。
「ナマエ、待てよ!わかってるのか?『動物もどき』になるってのはかなり難しいんだぞ?」
「わかってるよ。でも実際……マクゴナガルにできるんだ。俺にだってできるかもしれない」
「『かもしれない』?いや、お前はわかってないね。失敗したら半人半獣になるかもしれないんだぞ?」
「失敗しなけりゃいいだけだろ」
ナマエはだんだん腹が立ってきた。お門違いなのはわかっている。マイケルは自分を心配してくれているのだ。
「それが難しいって言ってるんだ、ナマエ。僕たちはまだ二年生なんだぞ?それに、マクゴナガルはホグワーツ生だったとき、ずっと首席だった」
中庭に降りる石段の途中、ナマエはむっとして立ち止まった。
ナマエは振り返って、数段上にいるマイケルを見上げた。
「俺にはできないって言うのか?」
ナマエは一段上って、マイケルを睨んだ。
「『首席』のマクゴナガルや……ハーマイオニー・グレンジャーならできるかもしれないけど、お前には無理だって?」
「……ナマエ。そういうことを言ってるんじゃない。話を逸らすな」
マイケルも引かなかった。
二人はしばらく睨み合っていたが、ふと視線を感じて、ナマエは振り返った。
薄茶色の髪をした小さな少年が、その場に釘づけになったようにじっとナマエを見つめていた。ナマエはこの少年が昨夜組分け帽子をかぶったところを見た。一年生だ。
少年はカメラを大事そうに握っていて、ナマエが目を向けたとたん、顔を真っ赤にした。
「こんにちは、僕──僕、コリン・クリービーと言います」
少年はおずおずと一歩近づいた。
「僕、グリフィンドールです。あの──あなたは、ハリー・ポッターとお付き合いされていますよね?新聞を読みました!」
ナマエはさっきまでの勢いで怒鳴りそうになりながらも、コリンのきらきらした瞳が、彼が無垢な一年生であることを主張していたので何とか飲み込んだ。コリンはナマエの葛藤も知らずにしゃべくった。
「僕、ハリー・ポッターのことをたくさん調べました。僕はマグル生まれで、知らなかったんです!彼ってとっても、素晴らしいですよね?」
「──コリン。あれは誤報だよ。俺は男だし、友達だ」
コリンは驚いたようだが、残念そうにカメラを下げた。
ちょうどその時、ハリー、ロン、ハーマイオニーが石段を降りてやってきた。
「ほら、噂をすればだ。コリン、ハリーがきたぞ」
ナマエがコリンに言って、ハリーたちに手を振って、こっちに来るように合図した。コリンは再び赤くなった。
マイケルはため息をついてから、「頭を冷やせよ」と言い捨てて去ってしまった。
「どうしたの、ナマエ?」
ハリーがナマエに話しかけた。コリンは興奮で赤くなっていた。
「この子がハリーを──」
「僕、コリン・クリービーです!ハリー、僕もグリフィンドールです。あの、僕、あなたに会ったことを証明したいんです」
コリンはナマエの紹介を遮ってハリーに捲し立てた。
「僕、あなたのことは何でも知ってます。みんなに聞きました──」
コリンがハリーの素晴らしさと、マグルである自分の生い立ちを震えながら話し続けた。ナマエはハーマイオニーとロンに向かって肩をすくめた。ハーマイオニーは会話に加わる必要がないとわかると、石段に腰掛けて「バンパイアとバッチリ船旅」を読み始めた。
「──写真を撮ってもいいですか?あなたの友達に撮ってもらえるなら、僕があなたと並んで立って、それから、写真にサインしてくれますか?」
コリンは懇願するような目でハリーを見た。
「サイン入り写真?ポッター、君はサイン入り写真を配ってるのかい?」
ドラコ・マルフォイの痛烈な声が中庭に大きく響き渡った。いつものように、デカで狂暴そうなクラッブとゴイルを両脇に従えて、マルフォイはコリンのすぐ後ろで立ち止まった。
「みんな、並べよ!ハリー・ポッターがサイン入り写真を配るそうだ!」
マルフォイが周りに群がっていた生徒たちに大声で呼びかけた。
「僕はそんなことしていないぞ。マルフォイ、黙れ!」
ハリーは怒って拳を握りしめながら言った。
「君、ハリーに焼き餅妬いてるんだ」
コリンも、クラッブの首の太さぐらいしかない体で言い返した。ロンが思わずぷっと笑った。
「──妬いてる?」
マルフォイはロンに片眉をあげた。もう大声を出す必要はなかった。中庭にいた生徒の半分が耳を傾けていた。
ナマエがわざとらしく手を打った。
「ああ!だからハリーの『ガールフレンド』だと思われてる俺に突っかかってきてたのか。悪いことしたな、マルフォイ」
マルフォイ、クラッブ、ゴイルと、ハリー、ナマエ、ロン、そして小さなコリンが一触即発の空気になった。
「いったい何事かな?いったいどうしたのかな?」
ギルデロイ・ロックハートが大股でこちらに歩いてきた。トルコ石色のローブをひらりとなびかせている。
──ナマエの判断は早かった。すぐにその場を離れ、ハーマイオニーの側に隠れるように座った。
「サイン入りの写真を配っているのは誰かな?」
ハリーが口を開きかけたが、ロックハートはそれを遮るようにハリーの肩にさっと腕を回し、陽気な大声を響かせた。
「聞くまでもなかった!ハリー、また逢ったね!」
ナマエはうんざりしてハーマイオニーにこっそり話しかけようとしたが、ロックハートを見つめるハーマイオニーの頬が少し赤くなっているのに気づいた。
ロックハートはハリーとコリンを、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店でナマエとハリーにしたように羽交い締めにして、ロンに撮影させていた。
「──もしかして、あんたも混ざりたいの?」
ナマエがハーマイオニーに聞くと、ハーマイオニーは横目でナマエを睨んだ。
「あなたこそ、……というより、あなたがコリンをハリーと引き合わせたのに、ここにいて良いのかしら?」
「君子危うきに近寄らず、ってこと」
「本当に君子なら、マルフォイに突っかかったりしないわ」
「マルフォイよりも、あのうぬぼれやの教師の方が危険だと思うぜ」
ハーマイオニーはパチン!と本を閉じた。
「……ナマエ、手ぶらだけど授業の準備をしなくていいの?」
「えっ?ああ……そうだな」
ハーマイオニーの態度に、ナマエは困惑しながら……正直に言うと少しむかついて立ち上がった。
「次は魔法薬学なんだった。じゃあな」
「またね、ナマエ」
ナマエは釈然としない気持ちで大広間に戻ると、生徒はほとんどいなくなっていた。レイブンクローのテーブルにはアンソニーだけが本を広げて座っていた。
ナマエはアンソニーの向かいの自分の席に置きっぱなしにしていた教科書の詰まった鞄をひっつかんだ。
すると、アンソニーは顔をあげた。
「マイケルと喧嘩したの?」
「まあ……したとも言える。何で?」
アンソニーは本を閉じた。
「さっきマイケルとテリーが先に地下牢に行ったよ。ナマエを待たなくていいのかって聞いたら、マイケルが『知るもんか』って」
ナマエは言葉にならない曖昧な呻き声を出してから、深呼吸した。
「……待っててくれてありがとう、トニー」
「別に、予習してただけだよ。今日は君より先に挙手したかったからね」
「スネイプの授業で?それは勇敢なことで」
二人はにっと笑い合ってから、急いで魔法薬学のクラスの地下牢に向かった。
ナマエの言葉を反芻しようとしたマイケルの口を、ナマエが咄嗟に抑えた。アンソニーが不審そうにこちらを見た。
「ほらっ!オートミールもちゃんと食え、マイケル!」
ナマエは苦しい言い訳だと思ったが、アンソニーはそれよりも次の魔法薬の授業の予習のほうが大事らしく、すぐに本に目線を戻した。
「ッナマエ!」
「シーっ!でかい声出すなっ!」
マイケルとナマエの二人は小声で言い合った。
ナマエは誰かに聞かれてはまずいと思い、立ち上がってテーブルを後にしたが、マイケルがついてきた。
「ナマエ、待てよ!わかってるのか?『動物もどき』になるってのはかなり難しいんだぞ?」
「わかってるよ。でも実際……マクゴナガルにできるんだ。俺にだってできるかもしれない」
「『かもしれない』?いや、お前はわかってないね。失敗したら半人半獣になるかもしれないんだぞ?」
「失敗しなけりゃいいだけだろ」
ナマエはだんだん腹が立ってきた。お門違いなのはわかっている。マイケルは自分を心配してくれているのだ。
「それが難しいって言ってるんだ、ナマエ。僕たちはまだ二年生なんだぞ?それに、マクゴナガルはホグワーツ生だったとき、ずっと首席だった」
中庭に降りる石段の途中、ナマエはむっとして立ち止まった。
ナマエは振り返って、数段上にいるマイケルを見上げた。
「俺にはできないって言うのか?」
ナマエは一段上って、マイケルを睨んだ。
「『首席』のマクゴナガルや……ハーマイオニー・グレンジャーならできるかもしれないけど、お前には無理だって?」
「……ナマエ。そういうことを言ってるんじゃない。話を逸らすな」
マイケルも引かなかった。
二人はしばらく睨み合っていたが、ふと視線を感じて、ナマエは振り返った。
薄茶色の髪をした小さな少年が、その場に釘づけになったようにじっとナマエを見つめていた。ナマエはこの少年が昨夜組分け帽子をかぶったところを見た。一年生だ。
少年はカメラを大事そうに握っていて、ナマエが目を向けたとたん、顔を真っ赤にした。
「こんにちは、僕──僕、コリン・クリービーと言います」
少年はおずおずと一歩近づいた。
「僕、グリフィンドールです。あの──あなたは、ハリー・ポッターとお付き合いされていますよね?新聞を読みました!」
ナマエはさっきまでの勢いで怒鳴りそうになりながらも、コリンのきらきらした瞳が、彼が無垢な一年生であることを主張していたので何とか飲み込んだ。コリンはナマエの葛藤も知らずにしゃべくった。
「僕、ハリー・ポッターのことをたくさん調べました。僕はマグル生まれで、知らなかったんです!彼ってとっても、素晴らしいですよね?」
「──コリン。あれは誤報だよ。俺は男だし、友達だ」
コリンは驚いたようだが、残念そうにカメラを下げた。
ちょうどその時、ハリー、ロン、ハーマイオニーが石段を降りてやってきた。
「ほら、噂をすればだ。コリン、ハリーがきたぞ」
ナマエがコリンに言って、ハリーたちに手を振って、こっちに来るように合図した。コリンは再び赤くなった。
マイケルはため息をついてから、「頭を冷やせよ」と言い捨てて去ってしまった。
「どうしたの、ナマエ?」
ハリーがナマエに話しかけた。コリンは興奮で赤くなっていた。
「この子がハリーを──」
「僕、コリン・クリービーです!ハリー、僕もグリフィンドールです。あの、僕、あなたに会ったことを証明したいんです」
コリンはナマエの紹介を遮ってハリーに捲し立てた。
「僕、あなたのことは何でも知ってます。みんなに聞きました──」
コリンがハリーの素晴らしさと、マグルである自分の生い立ちを震えながら話し続けた。ナマエはハーマイオニーとロンに向かって肩をすくめた。ハーマイオニーは会話に加わる必要がないとわかると、石段に腰掛けて「バンパイアとバッチリ船旅」を読み始めた。
「──写真を撮ってもいいですか?あなたの友達に撮ってもらえるなら、僕があなたと並んで立って、それから、写真にサインしてくれますか?」
コリンは懇願するような目でハリーを見た。
「サイン入り写真?ポッター、君はサイン入り写真を配ってるのかい?」
ドラコ・マルフォイの痛烈な声が中庭に大きく響き渡った。いつものように、デカで狂暴そうなクラッブとゴイルを両脇に従えて、マルフォイはコリンのすぐ後ろで立ち止まった。
「みんな、並べよ!ハリー・ポッターがサイン入り写真を配るそうだ!」
マルフォイが周りに群がっていた生徒たちに大声で呼びかけた。
「僕はそんなことしていないぞ。マルフォイ、黙れ!」
ハリーは怒って拳を握りしめながら言った。
「君、ハリーに焼き餅妬いてるんだ」
コリンも、クラッブの首の太さぐらいしかない体で言い返した。ロンが思わずぷっと笑った。
「──妬いてる?」
マルフォイはロンに片眉をあげた。もう大声を出す必要はなかった。中庭にいた生徒の半分が耳を傾けていた。
ナマエがわざとらしく手を打った。
「ああ!だからハリーの『ガールフレンド』だと思われてる俺に突っかかってきてたのか。悪いことしたな、マルフォイ」
マルフォイ、クラッブ、ゴイルと、ハリー、ナマエ、ロン、そして小さなコリンが一触即発の空気になった。
「いったい何事かな?いったいどうしたのかな?」
ギルデロイ・ロックハートが大股でこちらに歩いてきた。トルコ石色のローブをひらりとなびかせている。
──ナマエの判断は早かった。すぐにその場を離れ、ハーマイオニーの側に隠れるように座った。
「サイン入りの写真を配っているのは誰かな?」
ハリーが口を開きかけたが、ロックハートはそれを遮るようにハリーの肩にさっと腕を回し、陽気な大声を響かせた。
「聞くまでもなかった!ハリー、また逢ったね!」
ナマエはうんざりしてハーマイオニーにこっそり話しかけようとしたが、ロックハートを見つめるハーマイオニーの頬が少し赤くなっているのに気づいた。
ロックハートはハリーとコリンを、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店でナマエとハリーにしたように羽交い締めにして、ロンに撮影させていた。
「──もしかして、あんたも混ざりたいの?」
ナマエがハーマイオニーに聞くと、ハーマイオニーは横目でナマエを睨んだ。
「あなたこそ、……というより、あなたがコリンをハリーと引き合わせたのに、ここにいて良いのかしら?」
「君子危うきに近寄らず、ってこと」
「本当に君子なら、マルフォイに突っかかったりしないわ」
「マルフォイよりも、あのうぬぼれやの教師の方が危険だと思うぜ」
ハーマイオニーはパチン!と本を閉じた。
「……ナマエ、手ぶらだけど授業の準備をしなくていいの?」
「えっ?ああ……そうだな」
ハーマイオニーの態度に、ナマエは困惑しながら……正直に言うと少しむかついて立ち上がった。
「次は魔法薬学なんだった。じゃあな」
「またね、ナマエ」
ナマエは釈然としない気持ちで大広間に戻ると、生徒はほとんどいなくなっていた。レイブンクローのテーブルにはアンソニーだけが本を広げて座っていた。
ナマエはアンソニーの向かいの自分の席に置きっぱなしにしていた教科書の詰まった鞄をひっつかんだ。
すると、アンソニーは顔をあげた。
「マイケルと喧嘩したの?」
「まあ……したとも言える。何で?」
アンソニーは本を閉じた。
「さっきマイケルとテリーが先に地下牢に行ったよ。ナマエを待たなくていいのかって聞いたら、マイケルが『知るもんか』って」
ナマエは言葉にならない曖昧な呻き声を出してから、深呼吸した。
「……待っててくれてありがとう、トニー」
「別に、予習してただけだよ。今日は君より先に挙手したかったからね」
「スネイプの授業で?それは勇敢なことで」
二人はにっと笑い合ってから、急いで魔法薬学のクラスの地下牢に向かった。