秘密の部屋
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翌日、レイブンクロー寮でパドマに「まさか、ハリーと付き合ってるなんて嘘よね?」と確認された。生徒の大半は信じていなかったか、それほど熱心に新聞を読んでいなかったらしい。ホグワーツではそれよりも、ハリーたちの『空飛ぶ車事件』のほうがはるかに興味深いゴシップだった。
テリーには「髪が長いから女子に間違われるんだ」と言われた。
確かに、髪は夏休み前よりも少し伸びて鎖骨に届きそうだった。
「パドマ、髪結びたいんだけど、ゴム余ってない?」
自分で結ぶつもりで声をかけたが、パドマ自身が気合を入れて結んでくれた。きっちりとした耳の高さのポニーテールだ。
「ありがとう。なんか気が締まっていいな」
「ふふ、似合ってるわよ」
ナマエはポニーテールを靡かせて朝食に大広間に降りた。喜ばしいことに、グリフィンドールのテーブルにハリーとロンがいた。
「おはよ」
「おはよう」
隣に座っているハーマイオニーはなんだか不機嫌そうに答えてすぐに目線を落とした。ミルクの入った水差しに「バンパイアとバッチリ船旅」を立て掛けて読んでいた。明らかに『空飛ぶ車事件』を快く思っていないらしく、ナマエは髪型を褒められると思っていたので少しがっかりしたが、気を取り直してハリーとロンに話しかけた。
「おい、お二人さん。退校処分じゃなかったのか?」
ナマエは笑顔でハリーとロンの背中を叩いた。
「まあね、罰則で済んだ」
「僕の杖は折れちゃったけど……」
ロンはスペロテープで補強した無惨な杖を見せてくれた。
ナマエは「ああ……」と同情するような声を出した。
頭上に慌ただしい音がして、百羽を超えるふくろうが押し寄せた。次の瞬間、何やら大きな灰色の塊が、ハーマイオニーのそばの水差しの中に落ち、周りのみんなに、ミルクと羽のしぶきを撒き散らした。
「エロール!」
ロンが足を引っ張って、ぐっしょりになったふくろうを引っ張り出した。エロールは気絶してテーブルの上にボトッと落ちた。足を上向きに突き出し、嘴には濡れた赤い封筒をくわえている。
「大変だ──」
ロンが息を呑んだ。
「大丈夫よ。まだ生きてるわ」
ハーマイオニーが、エロールを指先でちょんちょんと軽く突つきながら言った。
しかし、ロンもナマエも、そばにいたネビルも、いまにも封筒が爆発しそうな目つきで見ている。
「どうしたの?」ハリーが聞いた。
「ママが……ママったら『吼えメール』を僕によこした」
ロンが、か細い声で言った。
「『吼えメール』って何?」ハリーが聞いた。
「いいから見てろって、どうしようもないんだから」
ナマエはハリーをなだめた。初めて見たので内心わくわくしていた。
ロンは赤い封筒に全神経を集中させていたが、封筒の四隅が煙を上げはじめていた。ロンは震える手を伸ばしてエロールの嘴から封筒をそーっと外し、開封した。
──次の瞬間、封筒が爆発したかと思った。
大広間一杯に吼える声で、天井から埃がバラバラ落ちてきた。
「……車を盗み出すなんて、おまえにはほとほと愛想が尽きました!」
ウィーズリー夫人の怒鳴り声が本物の百倍に拡大されて、テーブルの上の皿もスプーンもガチャガチャと揺れ、声は石の壁に反響して鼓膜が裂けそうにワンワン唸った。大広間にいた全員があたりを見回し、いったい誰が「吼えメール」をもらったのだろうと探していた。ロンは椅子に縮こまって小さくなり、真っ赤な額だけがテーブルの上に出ていた。
「お父さまは役所で尋問を受けたのですよ。おまえもハリーも、まかり間違えば死ぬところだった……」
ハリーは自分の名前が聞こえてびくりとした。
「……みんなおまえのせいです。今度ちょっとでも規則を破ってごらん。わたしたちがおまえをすぐ家に引っ張って帰りますからね!」
耳がジーンとなって静かになった。赤い封筒は炎となって燃え上がり、チリチリと灰になった。ハリーとロンはまるで津波の直撃を受けたあとのように呆然と椅子にへばりついていた。何人かが笑い声をあげ、だんだんとおしゃべりの声が戻ってきた。
寮監の先生が入ってきて、それぞれのテーブルを回って時間割を配り始めた。
フリットウィックがレイブンクローのテーブルにやってきたのを見つけて、ナマエはできるだけ何事もなかったような声音で言った。
「あ、時間割だ。またあとで」
ナマエはレイブンクローのテーブルに戻り、配られた時間割を見た。最初に「変身術」、次にスリザリンと合同で「薬草学」だった。
「マクゴナガルの授業に遅れるとまずい、早く食べろナマエ」
アンソニーが急かした。ナマエはオートミールを掻き込んで、マイケル、テリー、アンソニーと変身術のクラスに急いだ。
ナマエは変身術が好きだった。今日はコガネムシをボタンに変える課題だったが、ナマエはコート一着分の見事なボタンを作りあげた。
「よろしい、ミスター・ミョウジ。レイブンクローに十点」
厳格で公平なマクゴナガル先生に褒められるのは嬉しかった。
時間を持て余したナマエは今度はボタンを雛鳥に変身させはじめた。
「見せつけるなよ、ナマエ」
マイケルたちが少し機嫌を悪くしたので、ナマエは雛鳥をボタンに戻した。
ナマエは机を見回っているマクゴナガル先生を見た。一年生の最初の授業で、猫の姿で教壇から飛び降りてきたマクゴナガル先生のこと思い出していた。
次の授業はスリザリンと合同で「薬草学」だった。
スプラウト先生は温室の真ん中に、架台を二つ並べ、その上に板を置いてベンチを作り、その後ろに立っていた。ベンチの上に色違いの耳当てが二十個ぐらい並んでいる。
ナマエたちの向かいには、残念なことにマルフォイ、クラッブ、ゴイルがいた。
「おや、彼氏のためにおめかしかい?ミョウジのお嬢さん」
「もうお前しかその話をしてるやつはいないぞ」
スプラウト先生が生徒を見渡した。
「今日はマンドレイクの植え換えをやります。マンドレイクの特徴がわかる人はいますか?」
ナマエはマルフォイをあしらって挙手した。
「マンドレイクはたいていの回復剤や解毒剤の材料として使われます。根は人面で、泣き声は人を殺す力があります」
スプラウト先生が拍手したので、ナマエは付け加えた。
「あと、ダグホッグの好物です」
「ふふ、その通り。レイブンクローに十点あげましょう」
ナマエはにこりとマルフォイを見た。マルフォイは悪態をついた。
しかし、それからは誰ともあまり話すチャンスがなくなった。耳当てをつけたし、マンドレイクに集中しなければならなかったからだ。
ナマエは、周囲を見渡して、こっそりマンドレイクの葉を数枚切り取り、ポケットの中に忍ばせた。
授業が終わるころにはクラスの誰もかれも、汗まみれの泥だらけで、体があちこち痛んだ。みんなだらだらと城まで歩いて戻り、さっと汚れを洗い落とした。
「──ナマエ、マンドレイクの葉を何に使う気だ?」
昼食の席で唐突にマイケルに話しかけられ、ナマエはびくりとした。
「さっき、お前が葉っぱをポケットに入れたのを見た」
ナマエは誰かに聞かれていないか周囲を確認してから、低い声で話した。
「……気づいてたのか、マイケル。誰にも言うなよ」
「わかったよ、で?」
マイケルも声を落として聞き返した。
「えーと……材料が必要で」
「何の?」
ナマエは言い逃れできないと悟り、うめいた。マイケルは興味津々でナマエを見た。
「だからその──マイケル。俺は、変身術が得意だと思うだろ?」
「自慢話を聞きたいんじゃないんだけど」
「うん……で、マクゴナガルを見て思ったんだ。俺もなれるんじゃないかって」
「もったいぶるなよ」
マイケルは急かした。ナマエはいっそう声を落としてつぶやいた。
「その……動物もどき に」
テリーには「髪が長いから女子に間違われるんだ」と言われた。
確かに、髪は夏休み前よりも少し伸びて鎖骨に届きそうだった。
「パドマ、髪結びたいんだけど、ゴム余ってない?」
自分で結ぶつもりで声をかけたが、パドマ自身が気合を入れて結んでくれた。きっちりとした耳の高さのポニーテールだ。
「ありがとう。なんか気が締まっていいな」
「ふふ、似合ってるわよ」
ナマエはポニーテールを靡かせて朝食に大広間に降りた。喜ばしいことに、グリフィンドールのテーブルにハリーとロンがいた。
「おはよ」
「おはよう」
隣に座っているハーマイオニーはなんだか不機嫌そうに答えてすぐに目線を落とした。ミルクの入った水差しに「バンパイアとバッチリ船旅」を立て掛けて読んでいた。明らかに『空飛ぶ車事件』を快く思っていないらしく、ナマエは髪型を褒められると思っていたので少しがっかりしたが、気を取り直してハリーとロンに話しかけた。
「おい、お二人さん。退校処分じゃなかったのか?」
ナマエは笑顔でハリーとロンの背中を叩いた。
「まあね、罰則で済んだ」
「僕の杖は折れちゃったけど……」
ロンはスペロテープで補強した無惨な杖を見せてくれた。
ナマエは「ああ……」と同情するような声を出した。
頭上に慌ただしい音がして、百羽を超えるふくろうが押し寄せた。次の瞬間、何やら大きな灰色の塊が、ハーマイオニーのそばの水差しの中に落ち、周りのみんなに、ミルクと羽のしぶきを撒き散らした。
「エロール!」
ロンが足を引っ張って、ぐっしょりになったふくろうを引っ張り出した。エロールは気絶してテーブルの上にボトッと落ちた。足を上向きに突き出し、嘴には濡れた赤い封筒をくわえている。
「大変だ──」
ロンが息を呑んだ。
「大丈夫よ。まだ生きてるわ」
ハーマイオニーが、エロールを指先でちょんちょんと軽く突つきながら言った。
しかし、ロンもナマエも、そばにいたネビルも、いまにも封筒が爆発しそうな目つきで見ている。
「どうしたの?」ハリーが聞いた。
「ママが……ママったら『吼えメール』を僕によこした」
ロンが、か細い声で言った。
「『吼えメール』って何?」ハリーが聞いた。
「いいから見てろって、どうしようもないんだから」
ナマエはハリーをなだめた。初めて見たので内心わくわくしていた。
ロンは赤い封筒に全神経を集中させていたが、封筒の四隅が煙を上げはじめていた。ロンは震える手を伸ばしてエロールの嘴から封筒をそーっと外し、開封した。
──次の瞬間、封筒が爆発したかと思った。
大広間一杯に吼える声で、天井から埃がバラバラ落ちてきた。
「……車を盗み出すなんて、おまえにはほとほと愛想が尽きました!」
ウィーズリー夫人の怒鳴り声が本物の百倍に拡大されて、テーブルの上の皿もスプーンもガチャガチャと揺れ、声は石の壁に反響して鼓膜が裂けそうにワンワン唸った。大広間にいた全員があたりを見回し、いったい誰が「吼えメール」をもらったのだろうと探していた。ロンは椅子に縮こまって小さくなり、真っ赤な額だけがテーブルの上に出ていた。
「お父さまは役所で尋問を受けたのですよ。おまえもハリーも、まかり間違えば死ぬところだった……」
ハリーは自分の名前が聞こえてびくりとした。
「……みんなおまえのせいです。今度ちょっとでも規則を破ってごらん。わたしたちがおまえをすぐ家に引っ張って帰りますからね!」
耳がジーンとなって静かになった。赤い封筒は炎となって燃え上がり、チリチリと灰になった。ハリーとロンはまるで津波の直撃を受けたあとのように呆然と椅子にへばりついていた。何人かが笑い声をあげ、だんだんとおしゃべりの声が戻ってきた。
寮監の先生が入ってきて、それぞれのテーブルを回って時間割を配り始めた。
フリットウィックがレイブンクローのテーブルにやってきたのを見つけて、ナマエはできるだけ何事もなかったような声音で言った。
「あ、時間割だ。またあとで」
ナマエはレイブンクローのテーブルに戻り、配られた時間割を見た。最初に「変身術」、次にスリザリンと合同で「薬草学」だった。
「マクゴナガルの授業に遅れるとまずい、早く食べろナマエ」
アンソニーが急かした。ナマエはオートミールを掻き込んで、マイケル、テリー、アンソニーと変身術のクラスに急いだ。
ナマエは変身術が好きだった。今日はコガネムシをボタンに変える課題だったが、ナマエはコート一着分の見事なボタンを作りあげた。
「よろしい、ミスター・ミョウジ。レイブンクローに十点」
厳格で公平なマクゴナガル先生に褒められるのは嬉しかった。
時間を持て余したナマエは今度はボタンを雛鳥に変身させはじめた。
「見せつけるなよ、ナマエ」
マイケルたちが少し機嫌を悪くしたので、ナマエは雛鳥をボタンに戻した。
ナマエは机を見回っているマクゴナガル先生を見た。一年生の最初の授業で、猫の姿で教壇から飛び降りてきたマクゴナガル先生のこと思い出していた。
次の授業はスリザリンと合同で「薬草学」だった。
スプラウト先生は温室の真ん中に、架台を二つ並べ、その上に板を置いてベンチを作り、その後ろに立っていた。ベンチの上に色違いの耳当てが二十個ぐらい並んでいる。
ナマエたちの向かいには、残念なことにマルフォイ、クラッブ、ゴイルがいた。
「おや、彼氏のためにおめかしかい?ミョウジのお嬢さん」
「もうお前しかその話をしてるやつはいないぞ」
スプラウト先生が生徒を見渡した。
「今日はマンドレイクの植え換えをやります。マンドレイクの特徴がわかる人はいますか?」
ナマエはマルフォイをあしらって挙手した。
「マンドレイクはたいていの回復剤や解毒剤の材料として使われます。根は人面で、泣き声は人を殺す力があります」
スプラウト先生が拍手したので、ナマエは付け加えた。
「あと、ダグホッグの好物です」
「ふふ、その通り。レイブンクローに十点あげましょう」
ナマエはにこりとマルフォイを見た。マルフォイは悪態をついた。
しかし、それからは誰ともあまり話すチャンスがなくなった。耳当てをつけたし、マンドレイクに集中しなければならなかったからだ。
ナマエは、周囲を見渡して、こっそりマンドレイクの葉を数枚切り取り、ポケットの中に忍ばせた。
授業が終わるころにはクラスの誰もかれも、汗まみれの泥だらけで、体があちこち痛んだ。みんなだらだらと城まで歩いて戻り、さっと汚れを洗い落とした。
「──ナマエ、マンドレイクの葉を何に使う気だ?」
昼食の席で唐突にマイケルに話しかけられ、ナマエはびくりとした。
「さっき、お前が葉っぱをポケットに入れたのを見た」
ナマエは誰かに聞かれていないか周囲を確認してから、低い声で話した。
「……気づいてたのか、マイケル。誰にも言うなよ」
「わかったよ、で?」
マイケルも声を落として聞き返した。
「えーと……材料が必要で」
「何の?」
ナマエは言い逃れできないと悟り、うめいた。マイケルは興味津々でナマエを見た。
「だからその──マイケル。俺は、変身術が得意だと思うだろ?」
「自慢話を聞きたいんじゃないんだけど」
「うん……で、マクゴナガルを見て思ったんだ。俺もなれるんじゃないかって」
「もったいぶるなよ」
マイケルは急かした。ナマエはいっそう声を落としてつぶやいた。
「その……