秘密の部屋
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ハリーが気を取り直してデスクまで歩いて行き、「組分け帽子」とルビーのちりばめられた剣、それにリドルの日記の残骸をその上に置いた。
ハリーは一部始終を語りはじめた。十五分も話したろうか、聞き手は全員が魅せられたようにしーんとして聞き入った。姿なき声を聞いたこと、それが水道パイプの中を通るバジリスクだと、ハーマイオニーがついに気づいたこと、ロンと二人でクモを追って森に入ったこと、アラゴグが、バジリスクの最後の犠牲者がどこで死んだかを話してくれたこと、「嘆きのマートル」がその犠牲者ではないか、そして、トイレのどこかに、「秘密の部屋」の入口があるのではないかとハリーが考えたこと……。
ナマエはそれを聞きながら感心するとともに、ますます恥入った。自分が、自分のことに精一杯だったときに、ハリーたちはこんなにも、危険を犯して継承者を追っていたんだと思うと、居た堪れなかった。
「そうでしたか」
マクゴナガル先生は、ハリーがちょっと息を継いだ時に、先を促すように言った。
「でもポッター、一体全体どうやって、全員生きてその部屋を出られたというのですか?」
ハリーはさんざん話して声が嗄れていたが、話を続けた。フォークスがちょうどよい時に現れたこと、「組分け帽子」が、剣をハリーにくれたこと。しかし、ここでハリーは言葉を途切らせた。
ナマエはハリーの意図がわかった。それまではリドルの日記のこと──つまり、ナマエのことに触れないようにして話していた。
ナマエが、続きを引き取ろうと口を開けると、ダンブルドアが微笑んで遮った。
「わしが一番興味があるのは──ヴォルデモート卿が、どうやってナマエに魔法をかけたかということじゃな」
「この日記だったんです」
ハリーはナマエが口を挟む前に日記を取り上げ、ダンブルドアに見せた。
「リドルは十六歳の時に、これを書きました」
ダンブルドアはハリーの手から日記を取り、長い折れ曲がった鼻の上から日記を見下ろし、焼け焦げて、ぶよぶよになったページを熱心に眺め回した。
「見事じゃ……。ヴォルデモート卿が、かつてトム・リドルと呼ばれていたことを知る者は、ほとんどいない。わし自身、五十年前、ホグワーツでトムを教えた」
「──っ俺が……その日記に、いろんなことを書きました!」
ナマエが俯いたまま叫んだ。これ以上黙って、ハリーとダンブルドアの優しさに庇われるわけにはいかないと思った。
「俺が何か書くと、トムから返事がありました。俺は、夢中になってしまったんです。彼はとても──賢くて、謙虚で、素晴らしい生徒だと思った。最初は勉強のことを聞いていたんです。だんだん、自分のことを相談したり、その日の出来事を聞かせたり……ハ、ハリーのことを教えてしまった」
ナマエはぎゅっと拳を握りしめた。意を決して、ダンブルドアを見た。
「──俺の母は、スリザリンの子孫なんだそうです。父がいつも言っていました。俺、蛇語がわかるんです。話せたことはないけど、意味はなんとなくわかるんです」
ダンブルドアのキラキラした目が、少し揺れたような気がした。ナマエは続けた。
「俺、自分の記憶が曖昧なことがありました。それで、襲撃が起きる時はいつも、そのときに、自分が何をしていたか覚えていなかった。それで、俺は……スリザリンの血筋に操られているんだと……誤解したんです。俺は、それすらもトムに相談してしまった」
ナマエは罪悪感から、言葉が溢れて早口になっていた。
「自分がトムに操られていると気づくのが遅かった。俺が秘密の部屋を開けていたんです。俺がハリーのことを話したから、ハリーを誘き寄せるために、トムは──」
「ミスター・ミョウジはすぐに医務室に行きなさい」
ダンブルドアが、きっぱりした口調でナマエの話を中断した。
「苛酷な試練じゃったろう。処罰はなし。もっと年上の、もっと賢い魔法使いでさえ、ヴォルデモート卿にたぶらかされてきたのじゃ」
ダンブルドアはつかつかと出口まで歩いていって、ドアを開けた。
「熱い湯気の出るようなココアをマグカップ一杯飲むがよい。わしはいつもそれで元気が出る」
ダンブルドアはキラキラ輝く目で、やさしくナマエを見下ろしていた。しかし、ナマエはダンブルドアを見つめて言った。
「でも、俺は……まだ話さなければいけない」
ダンブルドアは何も言わなかった。ナマエは肯定と受け取った。
「俺は、この日記を拾いました。九月の朝、ジニーとぶつかったんです。そのとき、多分バジリスクの声が聞こえて、ジニーは俺のように操られていたと思います。ジニーは、俺とぶつかったとき、自分がなぜここにいるのか、わけがわからないって顔をしてました。それで……そのとき、ジニーが落としたんだと思います。日記が落ちていたんです」
ナマエはロンをちらりと見た。突然、妹の名前が話題に上がったことで、驚いて固まっているようだった。
「それで、ジニーがこの日記を持っていたのは、俺の考えが合っていればですが──」
「わかった、ありがとうナマエ。君の言いたいことは、よくわかったよ。さあ、行きなさい」
ダンブルドアは、またしてもナマエの言葉を遮った。ナマエはダンブルドアが本当にわかっているのか疑わしく思ったが、校長室にルシウス・マルフォイが飛び込んできたので、次の言葉を口に出せなかった。
ルシウス・マルフォイは怒りをむき出しにして、その腕の下で、包帯でぐるぐる巻きになって縮こまっている屋敷しもべ妖精がいた。
「こんばんは、ルシウス」
ダンブルドアが機嫌よく挨拶した。
ナマエは、ダンブルドアに向かって再び口を開こうとしたが、ダンブルドアは人差し指を振って制した。
「わかっておる、ナマエ。もう行きなさい」
ダンブルドアはロンに頼んだ。
「ミスター・ウィーズリー。ロックハート先生も一緒に医務室に連れて行ってくれるかの」
ナマエはロンとロックハートと共に部屋を出た。
「なんでジニーがあの日記を持ってたんだ?」ロンが聞いた。
「俺の考えだけど、あいつ。ルシウス・マルフォイだと思う」
ナマエは、ルシウス・マルフォイこそが、ジニーに日記を渡したのだとダンブルドアに訴えようとしていたのだった。フローリシュ・アンド・ブロッツ書店で、ジニーの大鍋に入れたに違いないと、ナマエは考えた。マルフォイの中途半端に知ったかぶった態度にも、合点がいく。ジニーに罪を着せようとする動機も、アーサー・ウィーズリーとの関係を考えれば十分ありうることだった。ロンもナマエの意見に同意した。
「でも、君がスリザリンの子孫なんて、おっどろき」
ロンが思い出したように言った。
「……千年も前の人間なんだ、誰が子孫でもおかしくないだろ。気付いてないだけで、ホグワーツにだって何人もいるかもしれないし」
ナマエは言い逃れるようにして医務室のドアを開けた。
医務室に到着すると、石になった生徒たちが皆、マンドレイク薬を飲んですっかり回復したところだった。
「ハーマイオニー!」
ロンが嬉しそうに声を上げて駆け寄った。
ハーマイオニーの姿を見て、ナマエはまた涙が溢れてきた。
「うあ、ああ、よかったあ、ハーマイオニー、ごめんな、ハーマイオニー……よかったあ」
ハーマイオニーは少し困惑しながらも、嬉しそうににっこり笑った。
その晩は、お祝いの宴会が開かれた。
これまで何度かホグワーツの宴会に参加したナマエにとっても、こんなのは初めてだった。みんなパジャマ姿で、お祝いは夜通し続いた。
パドマはナマエの姿を見て泣き出したので、ナマエもまたすこしもらい泣きをした。マイケルが「泣き虫め」と言いながらナマエの首を絞める真似をしたが、「マイケルもさっきまで泣いてたけどね」とアンソニーが教えてくれた。アンソニーとテリーの目元も少し赤かった。ナマエは、アンソニーたちに何があったかを話した。アンソニーたちは相槌だけを打って、他には何も言わなかったので、ナマエはありがたかった。
夏学期の残りの日々は、焼けるような太陽で、もうろうとしているうちに過ぎた。学年末試験もキャンセルになり、ナマエは正直ほっとしていた。ハーマイオニーだけが不満そうだった。ホグワーツ校は正常に戻ったが、いくつか小さな変化があった。「闇の魔術に対する防衛術」のクラスは、ロックハートが記憶をなくしたので、中止になった。これに関しても、ハーマイオニーだけが不満げだった。
ルシウス・マルフォイは理事を辞めさせられたので、ナマエは嬉しく思った。ドラコは学校を我が物顔にのし歩くのをやめ、逆に恨みがましくすねているようだった。
あまりにも速く時が過ぎ、もうホグワーツ特急に乗って家に帰る時が来た。ナマエはアンソニー、マイケル、テリーと、夏休みに入る前に、魔法を使うことを許された最後の数時間を楽しんだ。
ホグワーツ特急は速度を落とし、とうとう停車した。駅に降り立つと、ハリーが手招きをした。ナマエが駆け寄ると、羊皮紙の切れ端を取り出し、ナマエとロンとハーマイオニーのほうを向いて言った。
「これ、電話番号って言うんだ」
羊皮紙をそれぞれに渡して、ナマエとロンに説明した。
「ロン、君のパパに去年の夏休みに、電話の使い方を教えたから、パパが知ってるよ。みんな、電話をくれよ。オーケー? あと二ヵ月もダドリーしか話す相手がいないなんて、僕、耐えられない……」
「ふくろうじゃだめなのか?俺、家にその……マグルが使うそういうものは無いぜ?」
ナマエが不思議そうに言った。
「公衆電話ってやつもあるんだ。ねえ、頼むよ。どうにか調べて」
「うん……まあ、努力するよ。命の恩人の頼みなら」
ナマエはニヤッと笑った。ハリーは「やめてくれよ、それ」と言った。
汽車を降り、魔法のかかった柵まで人波に混じって歩きながら、ハーマイオニーがハリーに言った。
「でも、おじさんやおばさんも、今学期、あなたがどんなことをしたかを聞いたら、誇りに思うんじゃない?」
「誇りに?」ハリーが言った。
「正気で言ってるの?僕がせっかく死ぬ機会が何度もあったのに、死に損なったっていうのに?あの連中はカンカンだよ……」
ナマエはその言葉に曖昧に笑った。
そして四人は一緒に柵を通り抜け、キングスクロス駅へと進んで行った。
ハリーは一部始終を語りはじめた。十五分も話したろうか、聞き手は全員が魅せられたようにしーんとして聞き入った。姿なき声を聞いたこと、それが水道パイプの中を通るバジリスクだと、ハーマイオニーがついに気づいたこと、ロンと二人でクモを追って森に入ったこと、アラゴグが、バジリスクの最後の犠牲者がどこで死んだかを話してくれたこと、「嘆きのマートル」がその犠牲者ではないか、そして、トイレのどこかに、「秘密の部屋」の入口があるのではないかとハリーが考えたこと……。
ナマエはそれを聞きながら感心するとともに、ますます恥入った。自分が、自分のことに精一杯だったときに、ハリーたちはこんなにも、危険を犯して継承者を追っていたんだと思うと、居た堪れなかった。
「そうでしたか」
マクゴナガル先生は、ハリーがちょっと息を継いだ時に、先を促すように言った。
「でもポッター、一体全体どうやって、全員生きてその部屋を出られたというのですか?」
ハリーはさんざん話して声が嗄れていたが、話を続けた。フォークスがちょうどよい時に現れたこと、「組分け帽子」が、剣をハリーにくれたこと。しかし、ここでハリーは言葉を途切らせた。
ナマエはハリーの意図がわかった。それまではリドルの日記のこと──つまり、ナマエのことに触れないようにして話していた。
ナマエが、続きを引き取ろうと口を開けると、ダンブルドアが微笑んで遮った。
「わしが一番興味があるのは──ヴォルデモート卿が、どうやってナマエに魔法をかけたかということじゃな」
「この日記だったんです」
ハリーはナマエが口を挟む前に日記を取り上げ、ダンブルドアに見せた。
「リドルは十六歳の時に、これを書きました」
ダンブルドアはハリーの手から日記を取り、長い折れ曲がった鼻の上から日記を見下ろし、焼け焦げて、ぶよぶよになったページを熱心に眺め回した。
「見事じゃ……。ヴォルデモート卿が、かつてトム・リドルと呼ばれていたことを知る者は、ほとんどいない。わし自身、五十年前、ホグワーツでトムを教えた」
「──っ俺が……その日記に、いろんなことを書きました!」
ナマエが俯いたまま叫んだ。これ以上黙って、ハリーとダンブルドアの優しさに庇われるわけにはいかないと思った。
「俺が何か書くと、トムから返事がありました。俺は、夢中になってしまったんです。彼はとても──賢くて、謙虚で、素晴らしい生徒だと思った。最初は勉強のことを聞いていたんです。だんだん、自分のことを相談したり、その日の出来事を聞かせたり……ハ、ハリーのことを教えてしまった」
ナマエはぎゅっと拳を握りしめた。意を決して、ダンブルドアを見た。
「──俺の母は、スリザリンの子孫なんだそうです。父がいつも言っていました。俺、蛇語がわかるんです。話せたことはないけど、意味はなんとなくわかるんです」
ダンブルドアのキラキラした目が、少し揺れたような気がした。ナマエは続けた。
「俺、自分の記憶が曖昧なことがありました。それで、襲撃が起きる時はいつも、そのときに、自分が何をしていたか覚えていなかった。それで、俺は……スリザリンの血筋に操られているんだと……誤解したんです。俺は、それすらもトムに相談してしまった」
ナマエは罪悪感から、言葉が溢れて早口になっていた。
「自分がトムに操られていると気づくのが遅かった。俺が秘密の部屋を開けていたんです。俺がハリーのことを話したから、ハリーを誘き寄せるために、トムは──」
「ミスター・ミョウジはすぐに医務室に行きなさい」
ダンブルドアが、きっぱりした口調でナマエの話を中断した。
「苛酷な試練じゃったろう。処罰はなし。もっと年上の、もっと賢い魔法使いでさえ、ヴォルデモート卿にたぶらかされてきたのじゃ」
ダンブルドアはつかつかと出口まで歩いていって、ドアを開けた。
「熱い湯気の出るようなココアをマグカップ一杯飲むがよい。わしはいつもそれで元気が出る」
ダンブルドアはキラキラ輝く目で、やさしくナマエを見下ろしていた。しかし、ナマエはダンブルドアを見つめて言った。
「でも、俺は……まだ話さなければいけない」
ダンブルドアは何も言わなかった。ナマエは肯定と受け取った。
「俺は、この日記を拾いました。九月の朝、ジニーとぶつかったんです。そのとき、多分バジリスクの声が聞こえて、ジニーは俺のように操られていたと思います。ジニーは、俺とぶつかったとき、自分がなぜここにいるのか、わけがわからないって顔をしてました。それで……そのとき、ジニーが落としたんだと思います。日記が落ちていたんです」
ナマエはロンをちらりと見た。突然、妹の名前が話題に上がったことで、驚いて固まっているようだった。
「それで、ジニーがこの日記を持っていたのは、俺の考えが合っていればですが──」
「わかった、ありがとうナマエ。君の言いたいことは、よくわかったよ。さあ、行きなさい」
ダンブルドアは、またしてもナマエの言葉を遮った。ナマエはダンブルドアが本当にわかっているのか疑わしく思ったが、校長室にルシウス・マルフォイが飛び込んできたので、次の言葉を口に出せなかった。
ルシウス・マルフォイは怒りをむき出しにして、その腕の下で、包帯でぐるぐる巻きになって縮こまっている屋敷しもべ妖精がいた。
「こんばんは、ルシウス」
ダンブルドアが機嫌よく挨拶した。
ナマエは、ダンブルドアに向かって再び口を開こうとしたが、ダンブルドアは人差し指を振って制した。
「わかっておる、ナマエ。もう行きなさい」
ダンブルドアはロンに頼んだ。
「ミスター・ウィーズリー。ロックハート先生も一緒に医務室に連れて行ってくれるかの」
ナマエはロンとロックハートと共に部屋を出た。
「なんでジニーがあの日記を持ってたんだ?」ロンが聞いた。
「俺の考えだけど、あいつ。ルシウス・マルフォイだと思う」
ナマエは、ルシウス・マルフォイこそが、ジニーに日記を渡したのだとダンブルドアに訴えようとしていたのだった。フローリシュ・アンド・ブロッツ書店で、ジニーの大鍋に入れたに違いないと、ナマエは考えた。マルフォイの中途半端に知ったかぶった態度にも、合点がいく。ジニーに罪を着せようとする動機も、アーサー・ウィーズリーとの関係を考えれば十分ありうることだった。ロンもナマエの意見に同意した。
「でも、君がスリザリンの子孫なんて、おっどろき」
ロンが思い出したように言った。
「……千年も前の人間なんだ、誰が子孫でもおかしくないだろ。気付いてないだけで、ホグワーツにだって何人もいるかもしれないし」
ナマエは言い逃れるようにして医務室のドアを開けた。
医務室に到着すると、石になった生徒たちが皆、マンドレイク薬を飲んですっかり回復したところだった。
「ハーマイオニー!」
ロンが嬉しそうに声を上げて駆け寄った。
ハーマイオニーの姿を見て、ナマエはまた涙が溢れてきた。
「うあ、ああ、よかったあ、ハーマイオニー、ごめんな、ハーマイオニー……よかったあ」
ハーマイオニーは少し困惑しながらも、嬉しそうににっこり笑った。
その晩は、お祝いの宴会が開かれた。
これまで何度かホグワーツの宴会に参加したナマエにとっても、こんなのは初めてだった。みんなパジャマ姿で、お祝いは夜通し続いた。
パドマはナマエの姿を見て泣き出したので、ナマエもまたすこしもらい泣きをした。マイケルが「泣き虫め」と言いながらナマエの首を絞める真似をしたが、「マイケルもさっきまで泣いてたけどね」とアンソニーが教えてくれた。アンソニーとテリーの目元も少し赤かった。ナマエは、アンソニーたちに何があったかを話した。アンソニーたちは相槌だけを打って、他には何も言わなかったので、ナマエはありがたかった。
夏学期の残りの日々は、焼けるような太陽で、もうろうとしているうちに過ぎた。学年末試験もキャンセルになり、ナマエは正直ほっとしていた。ハーマイオニーだけが不満そうだった。ホグワーツ校は正常に戻ったが、いくつか小さな変化があった。「闇の魔術に対する防衛術」のクラスは、ロックハートが記憶をなくしたので、中止になった。これに関しても、ハーマイオニーだけが不満げだった。
ルシウス・マルフォイは理事を辞めさせられたので、ナマエは嬉しく思った。ドラコは学校を我が物顔にのし歩くのをやめ、逆に恨みがましくすねているようだった。
あまりにも速く時が過ぎ、もうホグワーツ特急に乗って家に帰る時が来た。ナマエはアンソニー、マイケル、テリーと、夏休みに入る前に、魔法を使うことを許された最後の数時間を楽しんだ。
ホグワーツ特急は速度を落とし、とうとう停車した。駅に降り立つと、ハリーが手招きをした。ナマエが駆け寄ると、羊皮紙の切れ端を取り出し、ナマエとロンとハーマイオニーのほうを向いて言った。
「これ、電話番号って言うんだ」
羊皮紙をそれぞれに渡して、ナマエとロンに説明した。
「ロン、君のパパに去年の夏休みに、電話の使い方を教えたから、パパが知ってるよ。みんな、電話をくれよ。オーケー? あと二ヵ月もダドリーしか話す相手がいないなんて、僕、耐えられない……」
「ふくろうじゃだめなのか?俺、家にその……マグルが使うそういうものは無いぜ?」
ナマエが不思議そうに言った。
「公衆電話ってやつもあるんだ。ねえ、頼むよ。どうにか調べて」
「うん……まあ、努力するよ。命の恩人の頼みなら」
ナマエはニヤッと笑った。ハリーは「やめてくれよ、それ」と言った。
汽車を降り、魔法のかかった柵まで人波に混じって歩きながら、ハーマイオニーがハリーに言った。
「でも、おじさんやおばさんも、今学期、あなたがどんなことをしたかを聞いたら、誇りに思うんじゃない?」
「誇りに?」ハリーが言った。
「正気で言ってるの?僕がせっかく死ぬ機会が何度もあったのに、死に損なったっていうのに?あの連中はカンカンだよ……」
ナマエはその言葉に曖昧に笑った。
そして四人は一緒に柵を通り抜け、キングスクロス駅へと進んで行った。
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