秘密の部屋
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──誰かの叫び声がする。
ナマエは呻き声を上げた。何が起こっているのだろう。
ゆっくりと目を開けて、身を起こした。まるで眠っていたかのようだった。
ナマエのそばに、巨大なヘビが頭と目から血を流して横たわっていた。
「ナマエ!」
驚く間もなく、ハリーがナマエに駆け寄った。
ハリーのローブは血に染まっていて、片手に眩い剣を、片手には黒い日記を持っていた。ナマエは身震いして、大きく息を呑んだ。
「ハリー、は……ハリー!ごめん。全部俺のせいだ、俺のせいなんだ。あいつは……トム・リドルはどこだ……あいつがその日記から出てきた!破壊しないと……俺には傷ひとつつけられなかった……あいつは、あの人なんだ……!」
「もう大丈夫だよ」
ハリーはナマエを宥めるように日記を持ち上げ、その真ん中の毒牙で焼かれた穴を、ナマエに見せた。
「リドルはおしまいだ。見てごらん!リドル、それにバジリスクもだ」
「ハリー……」
ナマエは安堵と驚きと、ほかにもいろんな感情が押し寄せて、ハリーの緑色の瞳を見つめた。まぶしいと、そう思った。
「ナマエ。早くここを出よう」
赤く大きな鳥が入口の上を浮かぶように飛んで、二人を待っていた。
「ダンブルドアの不死鳥だ」
ナマエは何も言わずにハリーについて歩いた。言うべき言葉が多すぎて、喉が詰まったようだった。
──ハリーが助けに来てくれた。その揺るぎない事実が、ナマエの冷えきった体をあたためた。
死んで動かなくなった大蛇のとぐろを乗り越え、薄暗がりに足音を響かせ、二人はトンネルへと歩いた。背後で石の扉が、シューッと低い音をたてて閉じるのが聞こえた。
暗いトンネルを数分歩くと、遠くのほうからゆっくりと岩がずれ動く音が聞こえてきた。
「ロン!」ハリーは足を速めながら叫んだ。
「──ロンがいるのか?」
ナマエが反芻すると、ハリーはにっこり頷いた。
「ナマエは無事だ!ここにいるよ!」
ロンが歓声をあげるのが聞こえた。二人は次の角を曲がった。崩れ落ちた岩の間にロンが作った、かなり大きな隙間の向こうから、待ちきれないようなロンの顔が覗いていた。
「ナマエ!生きてたのか!夢じゃないだろうな!いったい何があったんだ?」
「ここを出てから説明するよ」
ハリーはナマエのほうをチラッと横目で見ながら言った。
ナマエは、ハリーが自分を気遣ったのだと悟った。
「ロックハートはどこ?」
ハリーが尋ねると、ロンはニヤッとして、トンネルからパイプへと向かう道筋を顎でしゃくった。フォークスの広い真紅の翼が闇に放つ、柔らかな金色の光に導かれ、三人はパイプの出口のところまで歩いた。
ギルデロイ・ロックハートが独りでおとなしく鼻歌を歌いながらそこに座っていた。
「記憶を失くしてる。『忘却術』が逆噴射して、僕たちでなく自分にかかっちゃったんだ」
「──なんで?」ナマエはロックハートをこわごわ眺めた。
「自業自得さ」ロンが答えた。
ロックハートは人の好さそうな顔で、闇を透かすようにして三人を見上げた。
「やあ、なんだか変わったところだね。ここに住んでいるの?」
ロックハートが聞いた。
「まさか、そんなわけないだろ。ハリー、どうやってここを出る?」
ロンが言うと、不死鳥のフォークスがスイーッとハリーの後ろから飛んできて、ハリーの前に先回りして羽をパタパタいわせた。ビーズのような目が闇に明るく輝いている。長い金色の尾羽を振っている。ハリーはフォークスを見た。
「フォークスは普通の鳥じゃない」ハリーはみんなに言った。
「みんなで手をつながなきゃ。ナマエ、ロンの手につかまって。ロックハート先生はナマエに」
「君のことだよ」
ロンが強い口調でロックハートに言った。
ハリーは剣と「組分け帽子」をベルトに挟んだ。ロンは、ハリーのローブの背中のところにつかまり、ハリーは手を伸ばして、フォークスの不思議に熱い尾羽をしっかりつかんだ。ナマエもロンと手を繋ぐと、全身が異常に軽くなったような気がした。次の瞬間、ヒューッと風を切って、四人はパイプの中を上に向かって飛んでいた。下のほうにぶら下がっているロックハートが、「すごい!すごい!まるで魔法のようだ!」と驚く声が聞こえてきた。ひんやりした空気がナマエの髪を打った。
──四人は「嘆きのマートル」のトイレの湿った床に着地した。ロックハートが帽子をまっすぐにかぶり直している間に、パイプを覆い隠していた手洗い台がスルスルと元の位置に戻った。ナマエは呆然とそれを見つめた。
「──ここが、入り口だったのか……」
「生きてるの」マートルの声だった。
「そんなにがっかりした声を出さなくてもいいじゃないか」
ハリーは、メガネについた血やベトベトを拭いながら、真顔で言った。
「あぁ……わたし、ちょうど考えてたの。もしあんたが死んだら、わたしのトイレに一緒に住んでもらったらうれしいって」
マートルは頬をポッと銀色に染めた。
「ウヘー!」
トイレから出て、暗い人気のない廊下に立った時、ロンが言った。
「ナマエ、マートルはハリーに乗り換えたらしいぜ、残念だったな!」
しかし、ナマエはついに堪えきれずにボロボロと大粒の涙を流したので、ロンはぎょっとした。
次の瞬間、ナマエはハリーとロンを力一杯両腕で抱きしめた。
「ごめん、ごめん!二人とも、ありがとう、本当に、ありがとう……」
ロンはぎこちなくナマエの肩をさすった。ハリーは宥めるようにナマエの背中を叩き、指をさした。フォークスが金色の光を放って、廊下を先導していた。四人は急ぎ足でフォークスに従った。
まもなくマクゴナガル先生の部屋の前に出た。ハリーがノックして、ドアを押し開いた。
ナマエ、ハリー、ロン、ロックハートが、泥まみれのネトネトで、ハリーはその上血まみれで戸口に立つと、一瞬沈黙が流れた。
「ナマエ……」
背が高い、厳格な顔つきの男性が、ナマエの名を口にした。
「──父上」
ハリーとロンは、ナマエの言葉で合点がいったようだった。
ナマエはおずおずと父親のもとに一歩踏み出した。チチオヤは、背が高く、ナマエとは違って薄い茶髪をきっちりと短くまとめていた。チチオヤはナマエを冷たく見下ろした。ナマエは目を逸らして俯いた。
「──生きていたなら、良い」
一言だけ言うと、くるりと背を向けた。
ダンブルドア先生が、暖炉のそばにマクゴナガル先生と並んで立ち、にっこりしている。
「先生方。息子をよろしくお願いします。私は先に、失礼します。仕事があるのでね」
「そうかね?チチオヤ。まだ、ナマエと話したいじゃろう」
ナマエはぎゅっと拳を握って黙っていた。チチオヤは、ダンブルドアに微笑んだ。
「じきに夏休みですので、すぐに会えるでしょう」
そして、今度はハリーたちに歩み寄った。
「君たち、息子を連れ帰ってくれたんだね?愚息がすまなかった。また、後日礼をさせていただこう。では、急ぐので、すまないが」
チチオヤはすれ違い様にナマエに冷たい一瞥をくれて、さっさと出て行った。ナマエは憎いやら、悲しいやら、よくわからない感情になった。
父は、先生に呼ばれて来たんだろう。スリザリンの継承者に息子が拐われて、恥に思ったのだろうか、それとも心配しただろうか。いや、単に面倒に思ったかもしれない。
ハリーとロンはナマエに対するチチオヤの態度に困惑したようで、マクゴナガル先生は僅かに眉間に皺を寄せた。
「忙しいのは本当だよ、俺に面倒をかけられたくないのも本当だと思うけど」
ナマエはポツリとハリーとロンに言った。口に出してから、言わなくてもよかったな、と居心地悪く頭を掻いた。
ナマエは呻き声を上げた。何が起こっているのだろう。
ゆっくりと目を開けて、身を起こした。まるで眠っていたかのようだった。
ナマエのそばに、巨大なヘビが頭と目から血を流して横たわっていた。
「ナマエ!」
驚く間もなく、ハリーがナマエに駆け寄った。
ハリーのローブは血に染まっていて、片手に眩い剣を、片手には黒い日記を持っていた。ナマエは身震いして、大きく息を呑んだ。
「ハリー、は……ハリー!ごめん。全部俺のせいだ、俺のせいなんだ。あいつは……トム・リドルはどこだ……あいつがその日記から出てきた!破壊しないと……俺には傷ひとつつけられなかった……あいつは、あの人なんだ……!」
「もう大丈夫だよ」
ハリーはナマエを宥めるように日記を持ち上げ、その真ん中の毒牙で焼かれた穴を、ナマエに見せた。
「リドルはおしまいだ。見てごらん!リドル、それにバジリスクもだ」
「ハリー……」
ナマエは安堵と驚きと、ほかにもいろんな感情が押し寄せて、ハリーの緑色の瞳を見つめた。まぶしいと、そう思った。
「ナマエ。早くここを出よう」
赤く大きな鳥が入口の上を浮かぶように飛んで、二人を待っていた。
「ダンブルドアの不死鳥だ」
ナマエは何も言わずにハリーについて歩いた。言うべき言葉が多すぎて、喉が詰まったようだった。
──ハリーが助けに来てくれた。その揺るぎない事実が、ナマエの冷えきった体をあたためた。
死んで動かなくなった大蛇のとぐろを乗り越え、薄暗がりに足音を響かせ、二人はトンネルへと歩いた。背後で石の扉が、シューッと低い音をたてて閉じるのが聞こえた。
暗いトンネルを数分歩くと、遠くのほうからゆっくりと岩がずれ動く音が聞こえてきた。
「ロン!」ハリーは足を速めながら叫んだ。
「──ロンがいるのか?」
ナマエが反芻すると、ハリーはにっこり頷いた。
「ナマエは無事だ!ここにいるよ!」
ロンが歓声をあげるのが聞こえた。二人は次の角を曲がった。崩れ落ちた岩の間にロンが作った、かなり大きな隙間の向こうから、待ちきれないようなロンの顔が覗いていた。
「ナマエ!生きてたのか!夢じゃないだろうな!いったい何があったんだ?」
「ここを出てから説明するよ」
ハリーはナマエのほうをチラッと横目で見ながら言った。
ナマエは、ハリーが自分を気遣ったのだと悟った。
「ロックハートはどこ?」
ハリーが尋ねると、ロンはニヤッとして、トンネルからパイプへと向かう道筋を顎でしゃくった。フォークスの広い真紅の翼が闇に放つ、柔らかな金色の光に導かれ、三人はパイプの出口のところまで歩いた。
ギルデロイ・ロックハートが独りでおとなしく鼻歌を歌いながらそこに座っていた。
「記憶を失くしてる。『忘却術』が逆噴射して、僕たちでなく自分にかかっちゃったんだ」
「──なんで?」ナマエはロックハートをこわごわ眺めた。
「自業自得さ」ロンが答えた。
ロックハートは人の好さそうな顔で、闇を透かすようにして三人を見上げた。
「やあ、なんだか変わったところだね。ここに住んでいるの?」
ロックハートが聞いた。
「まさか、そんなわけないだろ。ハリー、どうやってここを出る?」
ロンが言うと、不死鳥のフォークスがスイーッとハリーの後ろから飛んできて、ハリーの前に先回りして羽をパタパタいわせた。ビーズのような目が闇に明るく輝いている。長い金色の尾羽を振っている。ハリーはフォークスを見た。
「フォークスは普通の鳥じゃない」ハリーはみんなに言った。
「みんなで手をつながなきゃ。ナマエ、ロンの手につかまって。ロックハート先生はナマエに」
「君のことだよ」
ロンが強い口調でロックハートに言った。
ハリーは剣と「組分け帽子」をベルトに挟んだ。ロンは、ハリーのローブの背中のところにつかまり、ハリーは手を伸ばして、フォークスの不思議に熱い尾羽をしっかりつかんだ。ナマエもロンと手を繋ぐと、全身が異常に軽くなったような気がした。次の瞬間、ヒューッと風を切って、四人はパイプの中を上に向かって飛んでいた。下のほうにぶら下がっているロックハートが、「すごい!すごい!まるで魔法のようだ!」と驚く声が聞こえてきた。ひんやりした空気がナマエの髪を打った。
──四人は「嘆きのマートル」のトイレの湿った床に着地した。ロックハートが帽子をまっすぐにかぶり直している間に、パイプを覆い隠していた手洗い台がスルスルと元の位置に戻った。ナマエは呆然とそれを見つめた。
「──ここが、入り口だったのか……」
「生きてるの」マートルの声だった。
「そんなにがっかりした声を出さなくてもいいじゃないか」
ハリーは、メガネについた血やベトベトを拭いながら、真顔で言った。
「あぁ……わたし、ちょうど考えてたの。もしあんたが死んだら、わたしのトイレに一緒に住んでもらったらうれしいって」
マートルは頬をポッと銀色に染めた。
「ウヘー!」
トイレから出て、暗い人気のない廊下に立った時、ロンが言った。
「ナマエ、マートルはハリーに乗り換えたらしいぜ、残念だったな!」
しかし、ナマエはついに堪えきれずにボロボロと大粒の涙を流したので、ロンはぎょっとした。
次の瞬間、ナマエはハリーとロンを力一杯両腕で抱きしめた。
「ごめん、ごめん!二人とも、ありがとう、本当に、ありがとう……」
ロンはぎこちなくナマエの肩をさすった。ハリーは宥めるようにナマエの背中を叩き、指をさした。フォークスが金色の光を放って、廊下を先導していた。四人は急ぎ足でフォークスに従った。
まもなくマクゴナガル先生の部屋の前に出た。ハリーがノックして、ドアを押し開いた。
ナマエ、ハリー、ロン、ロックハートが、泥まみれのネトネトで、ハリーはその上血まみれで戸口に立つと、一瞬沈黙が流れた。
「ナマエ……」
背が高い、厳格な顔つきの男性が、ナマエの名を口にした。
「──父上」
ハリーとロンは、ナマエの言葉で合点がいったようだった。
ナマエはおずおずと父親のもとに一歩踏み出した。チチオヤは、背が高く、ナマエとは違って薄い茶髪をきっちりと短くまとめていた。チチオヤはナマエを冷たく見下ろした。ナマエは目を逸らして俯いた。
「──生きていたなら、良い」
一言だけ言うと、くるりと背を向けた。
ダンブルドア先生が、暖炉のそばにマクゴナガル先生と並んで立ち、にっこりしている。
「先生方。息子をよろしくお願いします。私は先に、失礼します。仕事があるのでね」
「そうかね?チチオヤ。まだ、ナマエと話したいじゃろう」
ナマエはぎゅっと拳を握って黙っていた。チチオヤは、ダンブルドアに微笑んだ。
「じきに夏休みですので、すぐに会えるでしょう」
そして、今度はハリーたちに歩み寄った。
「君たち、息子を連れ帰ってくれたんだね?愚息がすまなかった。また、後日礼をさせていただこう。では、急ぐので、すまないが」
チチオヤはすれ違い様にナマエに冷たい一瞥をくれて、さっさと出て行った。ナマエは憎いやら、悲しいやら、よくわからない感情になった。
父は、先生に呼ばれて来たんだろう。スリザリンの継承者に息子が拐われて、恥に思ったのだろうか、それとも心配しただろうか。いや、単に面倒に思ったかもしれない。
ハリーとロンはナマエに対するチチオヤの態度に困惑したようで、マクゴナガル先生は僅かに眉間に皺を寄せた。
「忙しいのは本当だよ、俺に面倒をかけられたくないのも本当だと思うけど」
ナマエはポツリとハリーとロンに言った。口に出してから、言わなくてもよかったな、と居心地悪く頭を掻いた。
