賢者の石
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十一月に入ると、とても寒くなった。霜が降りた窓から外を見ると、クィディッチ競技場で選手たちがさかんに練習していた。
ナマエはクィディッチがここまで人気がある競技だとは思っても見なかった。自分自身があまり興味がなかったこともあり、衝撃だった。
ハリーはかなり忙しくしているようで、図書館で一緒になったハーマイオニーは「ハリーに貸してあげようと思って」と、「クィディッチ今昔」という本を借りて行った。どうやら彼らの関係は良好らしい。
ハリーはデビュー戦の前日だというのに、ナマエのほうは、いまだに箒で飛べた試しがなかった。中庭で練習しようと外に出たのだが、監督生のペネロピーに「マダム・フーチの許可を得なさい」と注意された。
仕方なく職員室に向かおうとしたが、ハリーたち三人集まっているのに気づいて、ナマエは声をかけた。
「ハリー!調子はどうだ」
三人は振り返ったが、楽しい話をしていたわけではなさそうだった。
「スネイプに『クィディッチ今昔』を取り上げられたんだ、でっち上げの規則で」
ハリーが憤慨していた。
「スネイプか……職員室に取りに行ったらどうだ?他の先生が見ている前なら、返すしかないだろう」
ナマエの提案にハリーは立ち上がった。
「確かに、いい考えだ」
「俺も用があるんだ、一緒に行こう」
ハリーとナマエは連れ立って職員室のドアをノックした。答えがない。二人は顔を見合わせてもう一度ノックした。反応はなかった。
ナマエが訝しんでドアを少し開け、二人で中をうかがうと、とんでもない光景が目に飛び込んできた。
スネイプがフィルチに血まみれの片足を見せている。フィルチはスネイプに包帯を渡していた。
「いまいましい、三つの頭に同時に注意するなんてできるか?」
そう言ったスネイプの顔が、ふとドアに向いた。
「ポッター!ミョウジ!」
スネイプは怒りに顔を歪め、脚をさっと隠した。
「本を返してもらえたらと思って」
ハリーが勇敢にもそう言ったので、ナマエは感心した。
「出ていけ、失せろ!」
スネイプの剣幕に押され、二人は急いで逃げ出し、ロンとハーマイオニーの元に駆けていった。二人と合流すると、ハリーとナマエはいま見てきたことをヒソヒソ声で二人に話して聞かせた。
四人はスネイプが三頭犬の守っているものを狙っているのではないかという議論を展開した。
「──そもそも、あの犬は何を守っているんだろう」
ナマエがぽつりと呟いた。
夜が開けて、晴れ渡った寒い朝が訪れた。大広間はクィディッチの話題で持ちきりだった。
ナマエはテリー達とともに競技場へ向かった。
今日の試合はグリフィンドール対スリザリンなので、ナマエはハーマイオニー達が作った赤い旗を持参した。
ナマエの想像よりも、クィディッチの観戦はずっと楽しいものだった。目を見張るような飛び方をする生徒たちが、同じ学生だとはにわかに信じがたいことだった。
リー・ジョーダンの実況はかなりグリフィンドールに偏ったものだったが、ナマエには面白かった。
ふと、ハリーに目をやると、おかしな動きをしていることに気がついた。不本意ながら、まるでナマエが箒に乗っている時のように、不規則に上下左右に動き、コントロールを失っているようだった。
どう考えてもおかしい、これは……。そう思った時、ふと教師陣の席が目に入った。スネイプがハリーを見つめていた。決して目を離さず、唇だけを動かしている。
「ハーマイオニー、ハーマイオニー!」
ナマエはグリフィンドール生をかき分けてハーマイオニーのそばに向かった。
「ハリーがおかしいよな?スネイプを見てくれ、何をしているかわかるか?」
ハーマイオニーはハグリッドの双眼鏡をひったくり、息を呑んだ。
「わからない、わからないけれど……何かしてる。箒に呪いをかけてる」
「やっぱり!」
「なんだって?僕たちどうすりゃいいんだ?」
「私に任せて」
ロンとナマエが何か言う前に、ハーマイオニーの姿は消えていた。
ナマエはハーマイオニーが残した双眼鏡で教員席を見た。あの中の誰かが、スネイプに、気づいてくれれば……。
今やほぼ全員がハリーを凝視していた。
不自然に絶え間なく唇が動いているのはスネイプだけだ──いや、クィレルも絶えず唇を動かしている?
そう思った途端に、クィレルはなぜか前につんのめって転がり落ちた。次の瞬間にはスネイプもハリーから目を逸らして立ち上がった。
ハーマイオニーが何かしたに違いない。
ハリーは再び箒にまたがれるようになった。
「ネビル、もう大丈夫だよ!」
ロンがネビルに呼びかけた。ネビルは顔を手で覆って泣きっぱなしだった。
──ハリーは調子を取り戻すと、あっという間にスニッチを掴み、大混乱の中でグリフィンドールを勝利に導いた。
ハリーはそんな試合の後にもかかわらず、ロン、ハーマイオニー、ナマエとハグリッドの小屋で熱い紅茶を飲んでいた。
「スネイプだったんだ」とロンが説明した。
「僕たち見たんだ。ナマエが気づいて、君の箒に呪いをかけていた。ハーマイオニーがそれを止めにいったんだ」
「バカな、なんでスネイプがそんなことをする必要があるんだ?」
四人は顔を見合わせ、言うべきか迷っていたが、ハリーが話しだした。
「僕たち、スネイプについて知ってることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。何か知らないけど、あの犬が守ってるものをスネイプが盗ろうとしたんじゃないかと思うんだ」
「なんでフラッフィーを知ってるんだ?」
ハグリッドはティーポットを取り落とした。
「フラッフィー?」
「そう、あいつの名前だ──去年パブで会ったギリシャ人のやつから買った
んだ──俺がダンブルドアに貸した……」
ハグリッドは四人が身を乗り出して聞き入っていることに気がついた。
「もう、これ以上聞かんでくれ。重大秘密なんだ、これは。この話は終わりだ。スネイプはホグワーツの先生だ」
ハグリッドは譲らなかった。
「三人ともよく聞け。おまえさんたちは関係のないことに首を突っ込んどる。危険だ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの……」
「ニコラス・フラメル、」
ナマエが確認するように復唱した。
ハグリッドは「しまった」という顔をしてから、話しすぎた自分に腹が立ったようにぶすっとむくれた。
ナマエの頭の中は試合中の事件でいっぱいだった。
クィレルもまた、ハリーの箒に呪いをかけているように見えたのは……気のせいだろうか?
ナマエはクィディッチがここまで人気がある競技だとは思っても見なかった。自分自身があまり興味がなかったこともあり、衝撃だった。
ハリーはかなり忙しくしているようで、図書館で一緒になったハーマイオニーは「ハリーに貸してあげようと思って」と、「クィディッチ今昔」という本を借りて行った。どうやら彼らの関係は良好らしい。
ハリーはデビュー戦の前日だというのに、ナマエのほうは、いまだに箒で飛べた試しがなかった。中庭で練習しようと外に出たのだが、監督生のペネロピーに「マダム・フーチの許可を得なさい」と注意された。
仕方なく職員室に向かおうとしたが、ハリーたち三人集まっているのに気づいて、ナマエは声をかけた。
「ハリー!調子はどうだ」
三人は振り返ったが、楽しい話をしていたわけではなさそうだった。
「スネイプに『クィディッチ今昔』を取り上げられたんだ、でっち上げの規則で」
ハリーが憤慨していた。
「スネイプか……職員室に取りに行ったらどうだ?他の先生が見ている前なら、返すしかないだろう」
ナマエの提案にハリーは立ち上がった。
「確かに、いい考えだ」
「俺も用があるんだ、一緒に行こう」
ハリーとナマエは連れ立って職員室のドアをノックした。答えがない。二人は顔を見合わせてもう一度ノックした。反応はなかった。
ナマエが訝しんでドアを少し開け、二人で中をうかがうと、とんでもない光景が目に飛び込んできた。
スネイプがフィルチに血まみれの片足を見せている。フィルチはスネイプに包帯を渡していた。
「いまいましい、三つの頭に同時に注意するなんてできるか?」
そう言ったスネイプの顔が、ふとドアに向いた。
「ポッター!ミョウジ!」
スネイプは怒りに顔を歪め、脚をさっと隠した。
「本を返してもらえたらと思って」
ハリーが勇敢にもそう言ったので、ナマエは感心した。
「出ていけ、失せろ!」
スネイプの剣幕に押され、二人は急いで逃げ出し、ロンとハーマイオニーの元に駆けていった。二人と合流すると、ハリーとナマエはいま見てきたことをヒソヒソ声で二人に話して聞かせた。
四人はスネイプが三頭犬の守っているものを狙っているのではないかという議論を展開した。
「──そもそも、あの犬は何を守っているんだろう」
ナマエがぽつりと呟いた。
夜が開けて、晴れ渡った寒い朝が訪れた。大広間はクィディッチの話題で持ちきりだった。
ナマエはテリー達とともに競技場へ向かった。
今日の試合はグリフィンドール対スリザリンなので、ナマエはハーマイオニー達が作った赤い旗を持参した。
ナマエの想像よりも、クィディッチの観戦はずっと楽しいものだった。目を見張るような飛び方をする生徒たちが、同じ学生だとはにわかに信じがたいことだった。
リー・ジョーダンの実況はかなりグリフィンドールに偏ったものだったが、ナマエには面白かった。
ふと、ハリーに目をやると、おかしな動きをしていることに気がついた。不本意ながら、まるでナマエが箒に乗っている時のように、不規則に上下左右に動き、コントロールを失っているようだった。
どう考えてもおかしい、これは……。そう思った時、ふと教師陣の席が目に入った。スネイプがハリーを見つめていた。決して目を離さず、唇だけを動かしている。
「ハーマイオニー、ハーマイオニー!」
ナマエはグリフィンドール生をかき分けてハーマイオニーのそばに向かった。
「ハリーがおかしいよな?スネイプを見てくれ、何をしているかわかるか?」
ハーマイオニーはハグリッドの双眼鏡をひったくり、息を呑んだ。
「わからない、わからないけれど……何かしてる。箒に呪いをかけてる」
「やっぱり!」
「なんだって?僕たちどうすりゃいいんだ?」
「私に任せて」
ロンとナマエが何か言う前に、ハーマイオニーの姿は消えていた。
ナマエはハーマイオニーが残した双眼鏡で教員席を見た。あの中の誰かが、スネイプに、気づいてくれれば……。
今やほぼ全員がハリーを凝視していた。
不自然に絶え間なく唇が動いているのはスネイプだけだ──いや、クィレルも絶えず唇を動かしている?
そう思った途端に、クィレルはなぜか前につんのめって転がり落ちた。次の瞬間にはスネイプもハリーから目を逸らして立ち上がった。
ハーマイオニーが何かしたに違いない。
ハリーは再び箒にまたがれるようになった。
「ネビル、もう大丈夫だよ!」
ロンがネビルに呼びかけた。ネビルは顔を手で覆って泣きっぱなしだった。
──ハリーは調子を取り戻すと、あっという間にスニッチを掴み、大混乱の中でグリフィンドールを勝利に導いた。
ハリーはそんな試合の後にもかかわらず、ロン、ハーマイオニー、ナマエとハグリッドの小屋で熱い紅茶を飲んでいた。
「スネイプだったんだ」とロンが説明した。
「僕たち見たんだ。ナマエが気づいて、君の箒に呪いをかけていた。ハーマイオニーがそれを止めにいったんだ」
「バカな、なんでスネイプがそんなことをする必要があるんだ?」
四人は顔を見合わせ、言うべきか迷っていたが、ハリーが話しだした。
「僕たち、スネイプについて知ってることがあるんだ。あいつ、ハロウィーンの日、三頭犬の裏をかこうとして噛まれたんだよ。何か知らないけど、あの犬が守ってるものをスネイプが盗ろうとしたんじゃないかと思うんだ」
「なんでフラッフィーを知ってるんだ?」
ハグリッドはティーポットを取り落とした。
「フラッフィー?」
「そう、あいつの名前だ──去年パブで会ったギリシャ人のやつから買った
んだ──俺がダンブルドアに貸した……」
ハグリッドは四人が身を乗り出して聞き入っていることに気がついた。
「もう、これ以上聞かんでくれ。重大秘密なんだ、これは。この話は終わりだ。スネイプはホグワーツの先生だ」
ハグリッドは譲らなかった。
「三人ともよく聞け。おまえさんたちは関係のないことに首を突っ込んどる。危険だ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの……」
「ニコラス・フラメル、」
ナマエが確認するように復唱した。
ハグリッドは「しまった」という顔をしてから、話しすぎた自分に腹が立ったようにぶすっとむくれた。
ナマエの頭の中は試合中の事件でいっぱいだった。
クィレルもまた、ハリーの箒に呪いをかけているように見えたのは……気のせいだろうか?