賢者の石
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ナマエは三頭犬の話をハリーたちに話すと、同じように気がついていたらしい。グリンゴッツ銀行で何者かが盗み損なったものが、ホグワーツに隠されているという見解が一致した。
毎日の宿題と勉強に追われる中、気づけばホグワーツにきてから2ヶ月が経っていた。ハロウィーンの日、上級生が「今日はパンプキンパイを食べられるよ」と教えてくれた。みんながワクワクしているような雰囲気だった。
しかし、午後のグリフィンドールとの合同授業にハーマイオニーが現れなかった。
ナマエは密かにハーマイオニーの成績にライバル心を燃やしていたので、少しがっかりした。
ハロウィーンのごちそうを食べに大広間に向かう途中、ナマエはハーマイオニーの姿を遠くにみつけた。
「ハーマイオニー?」
ナマエは足を止めた。ハーマイオニーは目元をしきりに手で拭っていて、まるで泣いているように見えたのだ。
「テリー、先に行っててくれないか」
「ああ、うん」
ナマエは急いでハーマイオニーを追った。
ハーマイオニーは地下の女子トイレでひとり泣いているようだった。ナマエは少し躊躇ったが、他に女子がいないことを確認して、女子トイレに入った。
扉が閉まっている個室の前にくると、ナマエは静かに声をかけた。
「ハーマイオニー?」
ハーマイオニーがすん、と鼻をすすって息を潜めるのがわかった。
「俺だよ、ナマエだ」
ハーマイオニーからは答えがなかった。
「どうしたんだ、何か……誰かに何かされたのか」
しばらく返事がなく、ナマエはまだここにいるということをハーマイオニーに知らせるために声をかけ続けた。
「大丈夫だ、出ておいで」
「今日はハロウィーンだから、大広間がいつもと違う飾り付けらしい」
嗚咽が少しずつ少なくなり、ハーマイオニーが掠れた声をあげた。
「わ、わた、し、みんなに好かれない、わ……」
「そんなことない、ハーマイオニー。あんたみたいな優秀な一年生はいない。レイブンクローはみんなあんたをレイブンクローに欲しがっているし、俺だって──」
「知ったかぶりで、鼻持ちならなくて、私と、と、友達になりたい人なんていないのよ!」
ナマエは面食らった。ナマエは、ハーマイオニーがマグル生まれだということで謂れのない中傷を受けて傷ついているのだと決め込んでいたのだ。
再びハーマイオニーの泣き声が大きくなった。
ナマエは少し狼狽えたが、ハーマイオニーに聞こえるようにしっかりと声をあげた。
「……ハーマイオニー、俺は……あんたの友達になったと、思っていたけど?」
ハーマイオニーの嗚咽が落ち着いて、ナマエはほっとした。……が、今度は、地鳴りのようなドシン、ドシンという音が近づいてきていることに気づいた。
「……ハーマイオニー、聞こえるか?お願いだ、出てきてくれ」
ナマエの懇願に応えたのか、異様な地鳴りに気が付いたのか、ハーマイオニーが扉を開けた。しかし、その瞬間、ハーマイオニーは恐怖の悲鳴をあげた。
ナマエはハーマイオニーの目線を追って振り向いた。
背が4メートルほどもある大きな岩のようなトロールが、巨大な棍棒を引きずって女子トイレに入ってきた。
トロールは棍棒をぶんまわし、洗面台を次々と破壊した。
「かがめ、かがめ、ハーマイオニー!そっちに逃げろ!」
恐怖で固まっているハーマイオニーに、ナマエは無我夢中で叫んだ。
ナマエは杖を引っ張り出したが、トロールは叫び声をあげているナマエに目標を定めたようだった。
その時、ハリーとロンがどたばたと女子トイレに駆けつけ、トロールに向かって辺りの金属パイプや木片を投げつけ始めた。
「ハリー!ロン!」
ナマエは驚いて声を上げると、ハリーは無謀にもトロールに走っていき、首根っこに飛びついた。
「ハリー!?」
ハリーの杖はトロールの鼻を突き上げ、トロールは痛みに唸りながら暴れ出した。
ハーマイオニーは恐怖で床に張り付いていて、ナマエは何を唱えてもハリーに危害が及ぶ気がして杖を向けたまま固まっていた。
ロンがさっと杖を取り出して、自分でも何をしようとしているのかわからずに叫んだ。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
ロンが放った呪文はトロールの棍棒に命中した。棍棒はゆらりと宙に浮かび上がると、持ち主の頭目掛けて落下した。
ドシンと音をたててトロールがうつ伏せに伸び、衝撃で部屋がぐらぐら揺れた。
「これ……死んだの?」
ナマエに立たされたハーマイオニーが呟いた。
「気絶してるだけだよ」
ハリーがトロールの鼻くそまみれの杖を回収しながら苦々しく言った。
急に足音が聞こえ、ナマエは我に帰った。
マクゴナガル先生、スネイプ先生、クィレル先生が飛び込んできた。
「あなた方は一体全体、どういうおつもりですかっ!?」
マクゴナガル先生は怒りに震えていた。いつも厳格な表情だが、こんなに怒った表情は見たことがなかった。
ナマエは正直に話すしかないだろうと口を開いた。
「先生、実は──」
「私のせいなんです」
ハーマイオニーがナマエを小さく遮った。
「ミス・グレンジャー?」
「私がトロールを探しに来たんです。私……私一人でやっつけられると思いました――あの、本で読んだので」
ロンは杖を取り落とした。
「もし三人が探しにきてくれなかったら、私、今頃死んでいました。ナマエが私を逃がしてくれ、ハリーとロンがトロールをノックアウトしてくれました」
ハーマイオニーが嘘をついている。ハリーたち三人は動揺しつつも、マクゴナガル先生の視線を感じ、急いでその通りですという表情を作った。
マクゴナガル先生の表情が幾分か緩んだように思えた。
「……ミス・グレンジャー、グリフィンドールから五点減点です。あなたには失望しました。怪我がなければ寮にお帰りなさい」
ハーマイオニーが先に帰っていった。マクゴナガル先生は残ったナマエたちのほうに向き直った。
「先ほども言いましたが、あなたたちは運がよかった。でも大人の野生トロールと対決できる一年生はそうざらにはいません。一人五点ずつあげましょう。ダンブルドア先生にご報告しておきます。帰ってよろしい」
三人は急いでトイレから出て、何も話さず階段を上がった。
「ナマエはどうしてあそこにいたんだ?」ハリーが尋ねた。
ナマエは逡巡した。ハーマイオニーは泣いていると知られたくないからトイレにいたのではないかと思ったのだ。
「……ハーマイオニーが授業にこなくて、張り合いがなかったんでね」
ナマエはそう言って肩をすくめてみせた。
「……三人で十五点は少ないよな」
ロンがぶつくさ言った。
「ハーマイオニーが減点されたから、グリフィンドールが五点で、レイブンクローも五点だ」
ハリーが訂正した。
「彼女が嘘をついて僕たちを助けてくれたのはありがたかったけど、僕たちがあいつを助けたのも確かなんだぜ」
「僕たちが鍵をかけてトロールを女子トイレに閉じ込めなかったら、ナマエがハーマイオニーを連れ戻してくれていたかもしれないよ」
再びロンの言葉をハリーが訂正した。
ナマエは二人のやりとりに思わず吹き出した。
「……つまりあんたたちがトイレにトロールを寄越したのか」
ハリーとロンは答えずに頭を掻いた。
ナマエは、ロンとハリーの会話を聞いて合点がいった。なるほどハーマイオニーは、彼らに友人と認められなかったことがひどく悲しかったのかもしれない。そう思った。
グリフィンドールの三人に疎外感を覚えながら、ひとりレイブンクローへの螺旋階段を登った。
彼らは確かに、勇気がある。友人──もう今は友人と言えるだろう──を探しにトロールに立ち向かうなんて。
確かに、決断力がある。あの場で咄嗟に、トロールに飛びついたり、習ったばかりの呪文を唱えたり。
ナマエは大義そうに寮の謎解きに答え、談話室に入った。
談話室ではハロウィンパーティーの続きが行われていた。パドマはナマエを見てぎょっとした。
「どうしたの?すごく汚れてるわよ。どこに行ってたの?」
「トイレ…」
ナマエが言い終わらないうちに腹の虫が暴れ出した。当然、夕食を食べていなかった。
「おーいナマエ、どこ行ってたんだ。パンプキンパイは死守してるよ」
テリーが暖炉の側から呼びかけた。
ナマエは大喜びでテリーに駆け寄った。
毎日の宿題と勉強に追われる中、気づけばホグワーツにきてから2ヶ月が経っていた。ハロウィーンの日、上級生が「今日はパンプキンパイを食べられるよ」と教えてくれた。みんながワクワクしているような雰囲気だった。
しかし、午後のグリフィンドールとの合同授業にハーマイオニーが現れなかった。
ナマエは密かにハーマイオニーの成績にライバル心を燃やしていたので、少しがっかりした。
ハロウィーンのごちそうを食べに大広間に向かう途中、ナマエはハーマイオニーの姿を遠くにみつけた。
「ハーマイオニー?」
ナマエは足を止めた。ハーマイオニーは目元をしきりに手で拭っていて、まるで泣いているように見えたのだ。
「テリー、先に行っててくれないか」
「ああ、うん」
ナマエは急いでハーマイオニーを追った。
ハーマイオニーは地下の女子トイレでひとり泣いているようだった。ナマエは少し躊躇ったが、他に女子がいないことを確認して、女子トイレに入った。
扉が閉まっている個室の前にくると、ナマエは静かに声をかけた。
「ハーマイオニー?」
ハーマイオニーがすん、と鼻をすすって息を潜めるのがわかった。
「俺だよ、ナマエだ」
ハーマイオニーからは答えがなかった。
「どうしたんだ、何か……誰かに何かされたのか」
しばらく返事がなく、ナマエはまだここにいるということをハーマイオニーに知らせるために声をかけ続けた。
「大丈夫だ、出ておいで」
「今日はハロウィーンだから、大広間がいつもと違う飾り付けらしい」
嗚咽が少しずつ少なくなり、ハーマイオニーが掠れた声をあげた。
「わ、わた、し、みんなに好かれない、わ……」
「そんなことない、ハーマイオニー。あんたみたいな優秀な一年生はいない。レイブンクローはみんなあんたをレイブンクローに欲しがっているし、俺だって──」
「知ったかぶりで、鼻持ちならなくて、私と、と、友達になりたい人なんていないのよ!」
ナマエは面食らった。ナマエは、ハーマイオニーがマグル生まれだということで謂れのない中傷を受けて傷ついているのだと決め込んでいたのだ。
再びハーマイオニーの泣き声が大きくなった。
ナマエは少し狼狽えたが、ハーマイオニーに聞こえるようにしっかりと声をあげた。
「……ハーマイオニー、俺は……あんたの友達になったと、思っていたけど?」
ハーマイオニーの嗚咽が落ち着いて、ナマエはほっとした。……が、今度は、地鳴りのようなドシン、ドシンという音が近づいてきていることに気づいた。
「……ハーマイオニー、聞こえるか?お願いだ、出てきてくれ」
ナマエの懇願に応えたのか、異様な地鳴りに気が付いたのか、ハーマイオニーが扉を開けた。しかし、その瞬間、ハーマイオニーは恐怖の悲鳴をあげた。
ナマエはハーマイオニーの目線を追って振り向いた。
背が4メートルほどもある大きな岩のようなトロールが、巨大な棍棒を引きずって女子トイレに入ってきた。
トロールは棍棒をぶんまわし、洗面台を次々と破壊した。
「かがめ、かがめ、ハーマイオニー!そっちに逃げろ!」
恐怖で固まっているハーマイオニーに、ナマエは無我夢中で叫んだ。
ナマエは杖を引っ張り出したが、トロールは叫び声をあげているナマエに目標を定めたようだった。
その時、ハリーとロンがどたばたと女子トイレに駆けつけ、トロールに向かって辺りの金属パイプや木片を投げつけ始めた。
「ハリー!ロン!」
ナマエは驚いて声を上げると、ハリーは無謀にもトロールに走っていき、首根っこに飛びついた。
「ハリー!?」
ハリーの杖はトロールの鼻を突き上げ、トロールは痛みに唸りながら暴れ出した。
ハーマイオニーは恐怖で床に張り付いていて、ナマエは何を唱えてもハリーに危害が及ぶ気がして杖を向けたまま固まっていた。
ロンがさっと杖を取り出して、自分でも何をしようとしているのかわからずに叫んだ。
「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」
ロンが放った呪文はトロールの棍棒に命中した。棍棒はゆらりと宙に浮かび上がると、持ち主の頭目掛けて落下した。
ドシンと音をたててトロールがうつ伏せに伸び、衝撃で部屋がぐらぐら揺れた。
「これ……死んだの?」
ナマエに立たされたハーマイオニーが呟いた。
「気絶してるだけだよ」
ハリーがトロールの鼻くそまみれの杖を回収しながら苦々しく言った。
急に足音が聞こえ、ナマエは我に帰った。
マクゴナガル先生、スネイプ先生、クィレル先生が飛び込んできた。
「あなた方は一体全体、どういうおつもりですかっ!?」
マクゴナガル先生は怒りに震えていた。いつも厳格な表情だが、こんなに怒った表情は見たことがなかった。
ナマエは正直に話すしかないだろうと口を開いた。
「先生、実は──」
「私のせいなんです」
ハーマイオニーがナマエを小さく遮った。
「ミス・グレンジャー?」
「私がトロールを探しに来たんです。私……私一人でやっつけられると思いました――あの、本で読んだので」
ロンは杖を取り落とした。
「もし三人が探しにきてくれなかったら、私、今頃死んでいました。ナマエが私を逃がしてくれ、ハリーとロンがトロールをノックアウトしてくれました」
ハーマイオニーが嘘をついている。ハリーたち三人は動揺しつつも、マクゴナガル先生の視線を感じ、急いでその通りですという表情を作った。
マクゴナガル先生の表情が幾分か緩んだように思えた。
「……ミス・グレンジャー、グリフィンドールから五点減点です。あなたには失望しました。怪我がなければ寮にお帰りなさい」
ハーマイオニーが先に帰っていった。マクゴナガル先生は残ったナマエたちのほうに向き直った。
「先ほども言いましたが、あなたたちは運がよかった。でも大人の野生トロールと対決できる一年生はそうざらにはいません。一人五点ずつあげましょう。ダンブルドア先生にご報告しておきます。帰ってよろしい」
三人は急いでトイレから出て、何も話さず階段を上がった。
「ナマエはどうしてあそこにいたんだ?」ハリーが尋ねた。
ナマエは逡巡した。ハーマイオニーは泣いていると知られたくないからトイレにいたのではないかと思ったのだ。
「……ハーマイオニーが授業にこなくて、張り合いがなかったんでね」
ナマエはそう言って肩をすくめてみせた。
「……三人で十五点は少ないよな」
ロンがぶつくさ言った。
「ハーマイオニーが減点されたから、グリフィンドールが五点で、レイブンクローも五点だ」
ハリーが訂正した。
「彼女が嘘をついて僕たちを助けてくれたのはありがたかったけど、僕たちがあいつを助けたのも確かなんだぜ」
「僕たちが鍵をかけてトロールを女子トイレに閉じ込めなかったら、ナマエがハーマイオニーを連れ戻してくれていたかもしれないよ」
再びロンの言葉をハリーが訂正した。
ナマエは二人のやりとりに思わず吹き出した。
「……つまりあんたたちがトイレにトロールを寄越したのか」
ハリーとロンは答えずに頭を掻いた。
ナマエは、ロンとハリーの会話を聞いて合点がいった。なるほどハーマイオニーは、彼らに友人と認められなかったことがひどく悲しかったのかもしれない。そう思った。
グリフィンドールの三人に疎外感を覚えながら、ひとりレイブンクローへの螺旋階段を登った。
彼らは確かに、勇気がある。友人──もう今は友人と言えるだろう──を探しにトロールに立ち向かうなんて。
確かに、決断力がある。あの場で咄嗟に、トロールに飛びついたり、習ったばかりの呪文を唱えたり。
ナマエは大義そうに寮の謎解きに答え、談話室に入った。
談話室ではハロウィンパーティーの続きが行われていた。パドマはナマエを見てぎょっとした。
「どうしたの?すごく汚れてるわよ。どこに行ってたの?」
「トイレ…」
ナマエが言い終わらないうちに腹の虫が暴れ出した。当然、夕食を食べていなかった。
「おーいナマエ、どこ行ってたんだ。パンプキンパイは死守してるよ」
テリーが暖炉の側から呼びかけた。
ナマエは大喜びでテリーに駆け寄った。