賢者の石
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扉がパッと開いて、エメラルド色のローブを着た背の高い黒髪の魔女が現れた。とても厳格な顔つきをしている。
「マクゴナガル教授」
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が引き受けます」
どうやらハグリッドの役目はここまでらしい。
「ホグワーツ入学おめでとう」
マクゴナガル教授は一年生に挨拶をした。
「まもなく全校列席の前で組分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」
ハリーがそわそわと髪を撫で付けるのを見て、ナマエもバラバラと落ちた横髪を耳にかけながら言った。
「どうやって寮を決めるんだろうな」
「試験のようなものだと思う。すごく痛いってフレッドが言ってたけど、きっと冗談だ」
ロンが答え、ハリーも他の生徒も不安そうにそわそわしていた。ナマエもピリピリした緊張が湧いてくるのを感じた。
ハーマイオニー・グレンジャーだけは、どの呪文が試験に出るんだろうと、いままでに覚えた全部の呪文について早口で呟いていた。
その呟きを耳に入れまいと、ナマエはハリーとロンの肩を叩き声をかけた。
「大丈夫さ、習ってないことを試験を出すわけないって」
半分自分に言い聞かせるように言ったが、ナマエの気遣いは突然の悲鳴で打ち破られた。
後ろの壁からゴーストが二十体ほど現れたのだ。半透明の白いゴーストたちがなにやら議論しながら通り過ぎようとして、一年生たちが驚いて飛び上がっていた。
「さあ行きますよ」厳しい声がした。
「組分け儀式がまもなく始まります」
マクゴナガル先生が戻ってきたのだ。ゴーストが一人ずつ壁を抜けてフワフワ出ていった。
組み分けは魔法のボロ帽子を被って決めるようだった。試験などなく、ナマエたちはほっと安心した。
皆が順番にボロ帽子を被り、「グリフィンドール!」「スリザリン!」と帽子が叫んでいた。
「ミョウジ、ナマエ!」
ナマエの名が呼ばれ、立ち上がってボロ帽子が置いてある椅子に向かった。
ナマエはボロ帽子が機嫌を損ねては困ると思い丁重に優しく手に取り、頭にそっと乗せた。
「フーム」低い声がナマエの耳の中にこだました。
「ふむ。勇気に満ちている。頭も非常に良い。ふむ。知識に対して貪欲だ」
ナマエは帽子の評価に気を良くして鼻を鳴らした。
「でも、スリザリン以外ならどこでもいいよ」
「スリザリンは嫌か。たしかに、君の性分には向いていなさそうだ」
話がわかる帽子でよかったと、ナマエはほっと息をついた。
「しかし、その資格は十分あるぞ」
「俺はその、資格っていう選び方が気に食わないんだ」
「なるほどなるほど……では迷うまい」
「レイブンクロー!!」
ナマエは、ほっと息を撫で下ろした。しかし、ホグワーツ特急で過ごした全員がグリフィンドールの机に座っているのを見て、少しがっかりした。
ハリーと目が合い、なんとなくお互い少し口角を上げた。
ナマエはハリーたちのほうに軽く手を振り、レイブンクローの机に拍手で迎えられた。
前の席にいた何人かのレイブンクロー生と握手をし、上級生に背中を叩かれながら席を探すと、女の子たちが固まってぎゅうと場所を開けてくれたので、いそいそと席に着いた。
「よろしく、ナマエ。私はチョウ・チャン。二年生よ。」
長い黒髪のかわいらしい子だった。
「私も。マリエッタよ」
「私は一年生。パドマ・パチル」
「よろしく、チョウ、マリエッタ、パドマ」
女の子たちが次々に自己紹介したので、ナマエはにこりと笑って返事をした。しかし、ナマエの声を聞いた女の子たちはあんぐり口を開けた。
「まあ!ナマエってもしかして、男の子なの?」
マリエッタが大きな声を出し、チョウが驚きつつもマリエッタの肩を叩いた。
「ああ、ローブでズボンが見えなかったか」
ナマエは肩をすくめた。
「ごめんなさい、気を悪くしたら……私たちあなたのこと、その…とっても可愛いと思って噂してたの」
チョウが遠慮がちに言った。ナマエは大きく口を開けて笑った。
「あははは!気にしてない、褒め言葉なんだろ?」
女の子たちは少し頬を赤らめて笑顔を返した。ナマエはローブを広げてズボンが見えるようにして、わざと大股を開いて座り直した。本当に気にしてはいなかったが、男の子の友人も欲しいと思ったのだ。
しかし、その後は空きっ腹にご馳走を詰め込むのに忙しく、三人の女子以外の生徒と話すことができないまま、レイブンクローの寮まで来てしまった。
レイブンクローの談話室は西塔の一番上にあるらしく、急勾配の螺旋階段に息を切らせた一年生たちが、監督生に連れられて辿り着くと、鷲の形をしたブロンズ色のドアノッカーと上級生がなにやら話し込んでいた。
「談話室に入るには謎解きを解かなきゃならないらしい」
男の子が不安そうに誰かに話すのが聞こえた。
ナマエは問題が聞きたくてうずうずして飛び跳ねた。
「答えは、『水面』!」
問題を聞く前に、監督生のペネロピー・クリアウォーターが答えを叫んだ。まもなくぞろぞろと生徒の列が談話室に流れ始めた。
謎解きに答えたかったナマエは、肩を落としてみんなに続いた。
レイブンクローの談話室は、広い円形の部屋だった。本棚があちこちに設置され、ドーム型の天井には星が描かれていた。談話室を横切って男子寮へと続く階段を上ると、四人部屋の一つにたどり着いた。四つの天蓋付きベッドが置かれ、それぞれのベッドのそばに荷物が運び込まれていた。
みんながみんなくたくたに疲れていたので、同室の男の子たちと会話する間もなく、全員のろのろとパジャマに着替えてベッドに倒れ込んだ。
ナマエはその夜、奇妙な夢を見た。
ダイアゴン横丁に学用品を買いに行きたいと父親に言っても、お前は部屋から出るなと厳しく言われた。
すると戸が開き、ハリーとロンが入ってきた。
二人と外に出るとそこはホグワーツの大広間で、自分の座る場所を探すとマルフォイが手招きした。
「お前はスリザリンが一番いいんだよ、本当は」
組分け帽子が歌っている。
「嫌だ、俺は!親父みたいにならない!」
ナマエがそう叫ぶと父親に頬を打たれた。
はっと気づくと朝になっていた。じんわりした頬の痛みが残っていた。
「マクゴナガル教授」
「ご苦労様、ハグリッド。ここからは私が引き受けます」
どうやらハグリッドの役目はここまでらしい。
「ホグワーツ入学おめでとう」
マクゴナガル教授は一年生に挨拶をした。
「まもなく全校列席の前で組分けの儀式が始まります。待っている間、できるだけ身なりを整えておきなさい」
ハリーがそわそわと髪を撫で付けるのを見て、ナマエもバラバラと落ちた横髪を耳にかけながら言った。
「どうやって寮を決めるんだろうな」
「試験のようなものだと思う。すごく痛いってフレッドが言ってたけど、きっと冗談だ」
ロンが答え、ハリーも他の生徒も不安そうにそわそわしていた。ナマエもピリピリした緊張が湧いてくるのを感じた。
ハーマイオニー・グレンジャーだけは、どの呪文が試験に出るんだろうと、いままでに覚えた全部の呪文について早口で呟いていた。
その呟きを耳に入れまいと、ナマエはハリーとロンの肩を叩き声をかけた。
「大丈夫さ、習ってないことを試験を出すわけないって」
半分自分に言い聞かせるように言ったが、ナマエの気遣いは突然の悲鳴で打ち破られた。
後ろの壁からゴーストが二十体ほど現れたのだ。半透明の白いゴーストたちがなにやら議論しながら通り過ぎようとして、一年生たちが驚いて飛び上がっていた。
「さあ行きますよ」厳しい声がした。
「組分け儀式がまもなく始まります」
マクゴナガル先生が戻ってきたのだ。ゴーストが一人ずつ壁を抜けてフワフワ出ていった。
組み分けは魔法のボロ帽子を被って決めるようだった。試験などなく、ナマエたちはほっと安心した。
皆が順番にボロ帽子を被り、「グリフィンドール!」「スリザリン!」と帽子が叫んでいた。
「ミョウジ、ナマエ!」
ナマエの名が呼ばれ、立ち上がってボロ帽子が置いてある椅子に向かった。
ナマエはボロ帽子が機嫌を損ねては困ると思い丁重に優しく手に取り、頭にそっと乗せた。
「フーム」低い声がナマエの耳の中にこだました。
「ふむ。勇気に満ちている。頭も非常に良い。ふむ。知識に対して貪欲だ」
ナマエは帽子の評価に気を良くして鼻を鳴らした。
「でも、スリザリン以外ならどこでもいいよ」
「スリザリンは嫌か。たしかに、君の性分には向いていなさそうだ」
話がわかる帽子でよかったと、ナマエはほっと息をついた。
「しかし、その資格は十分あるぞ」
「俺はその、資格っていう選び方が気に食わないんだ」
「なるほどなるほど……では迷うまい」
「レイブンクロー!!」
ナマエは、ほっと息を撫で下ろした。しかし、ホグワーツ特急で過ごした全員がグリフィンドールの机に座っているのを見て、少しがっかりした。
ハリーと目が合い、なんとなくお互い少し口角を上げた。
ナマエはハリーたちのほうに軽く手を振り、レイブンクローの机に拍手で迎えられた。
前の席にいた何人かのレイブンクロー生と握手をし、上級生に背中を叩かれながら席を探すと、女の子たちが固まってぎゅうと場所を開けてくれたので、いそいそと席に着いた。
「よろしく、ナマエ。私はチョウ・チャン。二年生よ。」
長い黒髪のかわいらしい子だった。
「私も。マリエッタよ」
「私は一年生。パドマ・パチル」
「よろしく、チョウ、マリエッタ、パドマ」
女の子たちが次々に自己紹介したので、ナマエはにこりと笑って返事をした。しかし、ナマエの声を聞いた女の子たちはあんぐり口を開けた。
「まあ!ナマエってもしかして、男の子なの?」
マリエッタが大きな声を出し、チョウが驚きつつもマリエッタの肩を叩いた。
「ああ、ローブでズボンが見えなかったか」
ナマエは肩をすくめた。
「ごめんなさい、気を悪くしたら……私たちあなたのこと、その…とっても可愛いと思って噂してたの」
チョウが遠慮がちに言った。ナマエは大きく口を開けて笑った。
「あははは!気にしてない、褒め言葉なんだろ?」
女の子たちは少し頬を赤らめて笑顔を返した。ナマエはローブを広げてズボンが見えるようにして、わざと大股を開いて座り直した。本当に気にしてはいなかったが、男の子の友人も欲しいと思ったのだ。
しかし、その後は空きっ腹にご馳走を詰め込むのに忙しく、三人の女子以外の生徒と話すことができないまま、レイブンクローの寮まで来てしまった。
レイブンクローの談話室は西塔の一番上にあるらしく、急勾配の螺旋階段に息を切らせた一年生たちが、監督生に連れられて辿り着くと、鷲の形をしたブロンズ色のドアノッカーと上級生がなにやら話し込んでいた。
「談話室に入るには謎解きを解かなきゃならないらしい」
男の子が不安そうに誰かに話すのが聞こえた。
ナマエは問題が聞きたくてうずうずして飛び跳ねた。
「答えは、『水面』!」
問題を聞く前に、監督生のペネロピー・クリアウォーターが答えを叫んだ。まもなくぞろぞろと生徒の列が談話室に流れ始めた。
謎解きに答えたかったナマエは、肩を落としてみんなに続いた。
レイブンクローの談話室は、広い円形の部屋だった。本棚があちこちに設置され、ドーム型の天井には星が描かれていた。談話室を横切って男子寮へと続く階段を上ると、四人部屋の一つにたどり着いた。四つの天蓋付きベッドが置かれ、それぞれのベッドのそばに荷物が運び込まれていた。
みんながみんなくたくたに疲れていたので、同室の男の子たちと会話する間もなく、全員のろのろとパジャマに着替えてベッドに倒れ込んだ。
ナマエはその夜、奇妙な夢を見た。
ダイアゴン横丁に学用品を買いに行きたいと父親に言っても、お前は部屋から出るなと厳しく言われた。
すると戸が開き、ハリーとロンが入ってきた。
二人と外に出るとそこはホグワーツの大広間で、自分の座る場所を探すとマルフォイが手招きした。
「お前はスリザリンが一番いいんだよ、本当は」
組分け帽子が歌っている。
「嫌だ、俺は!親父みたいにならない!」
ナマエがそう叫ぶと父親に頬を打たれた。
はっと気づくと朝になっていた。じんわりした頬の痛みが残っていた。