復讐
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ボーダーの本部長は、幹部の中でも軍を抜いて温厚な性格である。
――味方や、守るべき相手に対しては。
「貴様があの人を……殺したッ……!」
「…………」
数人の隊員によって床に押さえつけられてもなお、角つきの女は忍田に敵意を向け続けた。
「戦闘体ではなくなり、もう抵抗できなかった相手に……手をかけるなど! 恥を知れ!」
「そのエネドラこそ攻撃手段を持たない人間を6人も殺してるんだけど」
「黙れ! 角も持たない
呟いた隊員を、角つきの女が睨み、叫ぶ。
「余計なことは言うな。この女を刺激しても何にもならないだろう」
そう隊員を諭した忍田に、女は再度顔を向け歯軋りをする。
「貴様……貴様だけは絶対に……」
床に這い蹲る女の顔を、忍田が腰を落として見る。眉間の皺は深く、目つきも鋭い。
「殺してやる……ッ」
ここまで殺意を向けられても、その厳しい表情は一切歪まない。真っ黒な瞳には何も映っていなかった。
「ううむ……まさかトリオン体になることで角を隠し、C級隊員の隊服まで偽装して、たった一人で侵入してくるとは」
「捕虜として捕縛してありますが……ずっと恨み言を言うばかりですね。エネドラの復讐に来たと」
「アフトクラトルの連中は自分たちが手にかけたとは言わず、わしらが殺したことにしたのか。ふん」
「あの女に声をかけられたという隊員が数名いまして、全員、黒い角つきが基地に侵入したときの話を聞いてきたと証言しております」
「それで奴の相手が忍田本部長だったと知って狙いに来たのか……無謀な」
「エネドラはラッドに人格を移してありますが……どうします? 会わせることを条件に何か……」
「いや、もう角の解析は済んだ。これ以上この
「……では」
「忍田本部長をはじめ、我々ボーダーへの敵意も高い。最終的には城戸司令が判断するだろうが、処分することになるだろうな。ああ、あと」
エネドラにもこの女のことを知らせる必要はない。そう付け加えられた。
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