お礼用④
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「平成が終わるからって何も特別なことはないよね」
「まあね、ぼくに至っては弁護士資格失ってそれどころじゃないし。ははは」
「笑い事じゃないでしょ……って言いたいけど、笑ってくれる方が安心するわ」
「シンキイッテン、だよ新しいパパ!」
2人でコーヒーを飲みながら脳天気な会話をしていると、可愛らしい声が会話に入ってくる。
みぬきちゃんだ。
ついこの間成歩堂くんが養子に迎えた愛らしい女の子は、小さな体をぴょんぴょんさせて、ピンクのマントを揺らしている。
「はは、みぬきちゃんは逞しいな」
「流石裁判所で一芝居……ううん、一マジックやっただけあるわね」
「確かに」
そして再度、可愛らしい声でとんでもないことを言ってくれる。
「新しいパパと新しいパパの彼女さんも、シンキイッテン、ケッコンしたら?」
「なっ……!?」
「ぶっ、げほげほっ」
「ちょ、ちょっと成歩堂くん、コーヒーこぼれてるっ」
「だ、だって……!」
成歩堂くんにティッシュを差し出すと、みぬきちゃんは私に向き直ってなおも驚くべき発言をする。
「彼女さんは呼び方も変えた方がいいよ、私だって成歩堂だもん」
「えっ?み、みぬきちゃん……?」
「りゅーいち、だっけ?新しいパパの名前。りゅーいちって呼べばいいのに」
「い、いやそんないきなり」
みぬきちゃんの提案にうろたえていると、口元のコーヒーを拭った成歩堂くんが彼女の提案に乗っかる。
「それには賛同かな。ぼくばっかりきみを名前で呼んでるから」
「な、成歩堂くんまで……」
「ケッコンしても成歩堂くん、じゃおかしいよ?」
「それはそう、だけど……」
うう、子どもというのはなかなかどうして恐ろしいものだ。
「新しいゲンゴウも良いけど、新しいママも欲しいな、みぬき」
「…………」
「…………」
再度結婚の話になり、私と成歩堂くんは黙りこくってしまう。
顔に身体中の熱が集まっているのがわかり、耐えきれずに両手で自分の顔を覆う。
いやいや、確かにみぬきちゃんを育てる手伝いはするつもりだったけど!
成歩堂くんと結婚するとか、ママになるとか考えてなくて、でも弁護士資格を失ったから別れるとかもなくて、今まで通り変わらないつもりでいただけだったのに……!
みぬきは彼女さんのこと何て呼んだらいいのかなあ、なんて幼い独り言が聞こえるが、答える余力がない。
「…………あのさ」
しばしの沈黙のあと、不意に声をかけられてつい顔を上げてしまう。
まだ頬の熱が冷めてないと気づいたが、同じく頬をうっすら赤くした成歩堂くんと目が合い、もう一度顔を隠そうとした手は途中で止まる。
「……きみとの結婚は考えてたよ」
「……………ほんとに……?」
「うん。……でもこれからの生活って不安定だから、今はまだって思ってただけ」
「……そうね、私も結婚が全てじゃないと思ってるよ」
私の返事に安心したかのように一度細めた目を再度開き、成歩堂くんは続ける。
「……それに、元号が変わるからとか、みぬきちゃんの母親になってほしいからとか、きみとはそういうの抜きにして結婚したいと思ってるんだ」
「……成歩堂、くん」
「えへんえへん」
小さな咳払いのする方を向くと、腕組みをしたみぬきちゃんが斜め上を見ながら唇を尖らせていた。
「2人とも、みぬきのこと忘れてない?」
「わっ、忘れてない忘れてない!」
みぬきちゃんの年相応とは思えないおませな身振りに感心しつつも慌てて否定する。
成歩堂くんも気まずそうに口元を隠して横を向いていた。
「みぬきが2人が早くケッコンできるようお手伝いしてあげる!」
「……みぬきちゃんが?」
成歩堂くんがそう聞くと、みぬきちゃんは胸を張った。
「まず、彼女さんは新しいパパのこと名前で呼ぶこと!」
「その話忘れてなかったのね……」
「もちろん!それで、新しいパパは頑張ってピアノ弾いてお金貰うこと!」
「あはは……楽譜読めないんだよなあ……」
「みぬきも一人前のマジシャンとして頑張る!」
「そこは程々でも……」
「ううん、みぬき、リッパな“アルマジキ”の一員だから!」
「みぬきちゃん……」
何度も言うけれど、みぬきちゃんは実年齢以上にしっかりしていて、思わず感動を覚える。
「新しいパパと彼女さんが2人で頑張ることは」
……大人びているからこその少し嫌な予感がする。
「おはようのちゅーと、おやすみのちゅーと、」
「ぎゃあああっ」
「み、みぬきちゃんストップストップ!」
悲鳴をあげた私と慌てて言葉を遮る成歩堂くんを、みぬきちゃんはきょとんとした目で見上げた。
「コイビトって、ちゅーするんじゃないの?」
「い、いや、その」
「2人とも、お互い好きなんだよね?」
「はい、まあ、そうなんだけど」
「ちゅーしたことないの?」
「いや、そういうわけじゃない、んだけど」
無邪気に質問を浴びせてくるみぬきちゃんと、しどろもどろに答える私と、ううう……と頭を抱える成歩堂くん。
今まで過ごしてきた日々にはなかった光景だ。
……いつかこの3人でいることが当たり前になるのだろうか、ふとそう思ったときに成歩堂くんがバッと顔を上げた。
「まあ、その、とにかくっ……!」
「レイワもよろしくね!……ってことだよね新しいパパ!」
成歩堂くんの言葉は最後まで聞かずに半ば無理矢理話をまとめたみぬきちゃんは、自慢のシルクハットに手を添えてポーズを決めたのだった。
「まあね、ぼくに至っては弁護士資格失ってそれどころじゃないし。ははは」
「笑い事じゃないでしょ……って言いたいけど、笑ってくれる方が安心するわ」
「シンキイッテン、だよ新しいパパ!」
2人でコーヒーを飲みながら脳天気な会話をしていると、可愛らしい声が会話に入ってくる。
みぬきちゃんだ。
ついこの間成歩堂くんが養子に迎えた愛らしい女の子は、小さな体をぴょんぴょんさせて、ピンクのマントを揺らしている。
「はは、みぬきちゃんは逞しいな」
「流石裁判所で一芝居……ううん、一マジックやっただけあるわね」
「確かに」
そして再度、可愛らしい声でとんでもないことを言ってくれる。
「新しいパパと新しいパパの彼女さんも、シンキイッテン、ケッコンしたら?」
「なっ……!?」
「ぶっ、げほげほっ」
「ちょ、ちょっと成歩堂くん、コーヒーこぼれてるっ」
「だ、だって……!」
成歩堂くんにティッシュを差し出すと、みぬきちゃんは私に向き直ってなおも驚くべき発言をする。
「彼女さんは呼び方も変えた方がいいよ、私だって成歩堂だもん」
「えっ?み、みぬきちゃん……?」
「りゅーいち、だっけ?新しいパパの名前。りゅーいちって呼べばいいのに」
「い、いやそんないきなり」
みぬきちゃんの提案にうろたえていると、口元のコーヒーを拭った成歩堂くんが彼女の提案に乗っかる。
「それには賛同かな。ぼくばっかりきみを名前で呼んでるから」
「な、成歩堂くんまで……」
「ケッコンしても成歩堂くん、じゃおかしいよ?」
「それはそう、だけど……」
うう、子どもというのはなかなかどうして恐ろしいものだ。
「新しいゲンゴウも良いけど、新しいママも欲しいな、みぬき」
「…………」
「…………」
再度結婚の話になり、私と成歩堂くんは黙りこくってしまう。
顔に身体中の熱が集まっているのがわかり、耐えきれずに両手で自分の顔を覆う。
いやいや、確かにみぬきちゃんを育てる手伝いはするつもりだったけど!
成歩堂くんと結婚するとか、ママになるとか考えてなくて、でも弁護士資格を失ったから別れるとかもなくて、今まで通り変わらないつもりでいただけだったのに……!
みぬきは彼女さんのこと何て呼んだらいいのかなあ、なんて幼い独り言が聞こえるが、答える余力がない。
「…………あのさ」
しばしの沈黙のあと、不意に声をかけられてつい顔を上げてしまう。
まだ頬の熱が冷めてないと気づいたが、同じく頬をうっすら赤くした成歩堂くんと目が合い、もう一度顔を隠そうとした手は途中で止まる。
「……きみとの結婚は考えてたよ」
「……………ほんとに……?」
「うん。……でもこれからの生活って不安定だから、今はまだって思ってただけ」
「……そうね、私も結婚が全てじゃないと思ってるよ」
私の返事に安心したかのように一度細めた目を再度開き、成歩堂くんは続ける。
「……それに、元号が変わるからとか、みぬきちゃんの母親になってほしいからとか、きみとはそういうの抜きにして結婚したいと思ってるんだ」
「……成歩堂、くん」
「えへんえへん」
小さな咳払いのする方を向くと、腕組みをしたみぬきちゃんが斜め上を見ながら唇を尖らせていた。
「2人とも、みぬきのこと忘れてない?」
「わっ、忘れてない忘れてない!」
みぬきちゃんの年相応とは思えないおませな身振りに感心しつつも慌てて否定する。
成歩堂くんも気まずそうに口元を隠して横を向いていた。
「みぬきが2人が早くケッコンできるようお手伝いしてあげる!」
「……みぬきちゃんが?」
成歩堂くんがそう聞くと、みぬきちゃんは胸を張った。
「まず、彼女さんは新しいパパのこと名前で呼ぶこと!」
「その話忘れてなかったのね……」
「もちろん!それで、新しいパパは頑張ってピアノ弾いてお金貰うこと!」
「あはは……楽譜読めないんだよなあ……」
「みぬきも一人前のマジシャンとして頑張る!」
「そこは程々でも……」
「ううん、みぬき、リッパな“アルマジキ”の一員だから!」
「みぬきちゃん……」
何度も言うけれど、みぬきちゃんは実年齢以上にしっかりしていて、思わず感動を覚える。
「新しいパパと彼女さんが2人で頑張ることは」
……大人びているからこその少し嫌な予感がする。
「おはようのちゅーと、おやすみのちゅーと、」
「ぎゃあああっ」
「み、みぬきちゃんストップストップ!」
悲鳴をあげた私と慌てて言葉を遮る成歩堂くんを、みぬきちゃんはきょとんとした目で見上げた。
「コイビトって、ちゅーするんじゃないの?」
「い、いや、その」
「2人とも、お互い好きなんだよね?」
「はい、まあ、そうなんだけど」
「ちゅーしたことないの?」
「いや、そういうわけじゃない、んだけど」
無邪気に質問を浴びせてくるみぬきちゃんと、しどろもどろに答える私と、ううう……と頭を抱える成歩堂くん。
今まで過ごしてきた日々にはなかった光景だ。
……いつかこの3人でいることが当たり前になるのだろうか、ふとそう思ったときに成歩堂くんがバッと顔を上げた。
「まあ、その、とにかくっ……!」
「レイワもよろしくね!……ってことだよね新しいパパ!」
成歩堂くんの言葉は最後まで聞かずに半ば無理矢理話をまとめたみぬきちゃんは、自慢のシルクハットに手を添えてポーズを決めたのだった。
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