微熱にうなされている
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成歩堂龍一のどこが好きなの、と聞かれた。
男前なところかな、と答えると私の知っている成歩堂龍一とは別人のことを言っているのかしら?とおでこに手を当てられた。
熱があるみたいね、なんて。
失礼な、成歩堂龍一なんておかしな名前、そうそういないでしょ。
「ただいまー」
「おかえり。お使い頼んでごめんね、ありがとう」
「ううん、冥ちゃんとも話せたし楽しかったよ」
「冥ちゃんって……狩魔冥?」
成歩堂くんは眉間にしわを寄せて答えた。大方ムチの痛みでも思い出したのだろう。
狩魔検事と何を話すことがあるんだ、という呟きは聞こえなかったことにした。
「それよりこの書類でしょ、はい」
「ああ、うん」
頼まれた書類を渡す。すぐに目を通し始めた成歩堂くんの顔をちらりと盗み見て、お湯でも沸かそうかと申し訳程度のキッチンに向かった。
実際冥ちゃんの言うことは間違ってはいない、と思う。
成歩堂くんは一般的にきゃーきゃー言われるような二枚目ではない。御剣検事という比較対象がいるためなおさらだ。
それでも男前と答えるのは、きりりとした眉やまっすぐな瞳、男らしい体つきや身長だけを指したのではない。彼の真実を追い求める姿勢と、それに伴って現れる冷めた部分を指しているのだ。
弁護士という職業柄、また、法廷での姿から世間は彼に正義感に溢れたイメージを持っているようだが、成歩堂くんは自分の興味のないことにはとことん関わろうとしない。
めんどくさがりでズボラでスキだらけだ。
話し方も外では柔らかい敬語だが、気の知れた相手には乱暴で正直だったりすることもあるし、怒りを感じた相手には想像できないような冷たい物言いをしたりもする。
そこまで極端ではなくとも、デートに誘って「いいんじゃないかな、聞いてなかったけど」なんてテキトーな返事が返ってくることだってある。
でも私は、そういうときの成歩堂くんも大好きだ。むしろその一面が無ければ好きになっていなかったと思う。マゾヒストだと誤解されそうだが、いや、もしかしたらそうなのかもしれないが、やる気のない彼が醸し出す色気は私だけが知っていればいい。
そうじゃないと困ってしまう。
……こんな思考に至ってしまっている時点で既に困ったものなのだが。
「ねえ」
不意に後ろから呼ばれ振り向くと、件の彼が立っていた。お湯も既に沸騰していたようで、やかんからは湯気が噴き出ている。
「あ、ごめん、呼んでた?」
「いや、今来たところ」
「コーヒーでも飲む?淹れようか?」
「ううん、要らない」
せっかく沸かしてくれたけど無駄になっちゃうな、と言いながら頬をかく彼は続けた。
「今さ、真宵ちゃんも春美ちゃんもいないから、……ダメかな」
私を見つめる瞳は濡れていて断れるものではない。そもそも断る気はないけれど。
「まだ夕方だけど?」
「だって、今夜は名無しちゃんうちに泊まれないだろ」
「もう仕事はいいの?」
「必要な情報にはもう目を通したよ」
「事務所の営業は?」
「今日はもうおしまい、鍵もかけてきた」
「はは、準備万端」
思わず笑いながらからかうようにゴムは?と聞くと、顔を赤くしながらも「ちゃんとあるよ」と答えてくれた。その言葉に頷いて手を握れば、そのままソファーに連れて行かれる。
ベッドに比べれば狭くて固くてやり辛いが、それでも案外好きだったりする。切羽詰まった彼の表情も、言葉も、体もすぐ近くで感じることができるから。そしてソファから見える視界には私の愛する青い弁護士を成り立たせている物が溢れている。
私をソファーに寝かした成歩堂くんがネクタイを緩める。その動作だけで鼓動が高鳴っていく。
その手をシャツのボタンにかけられれば、たちまち自分の体温が上がっていくのがわかる。
ああ、やっぱり熱に浮かされているのかもしれない。冥ちゃん、あなたの言う通りだわ。
真宵ちゃんや春美ちゃんが帰ってくるまでゆうに2時間はある。更に鍵をかけてしまったから突然2人が帰ってきても事実隠蔽をする時間は稼げるだろう。
それならば成歩堂くんを独り占めにして幸せに浸ってしまえ。
そう思って彼の背中に手を回した。
男前なところかな、と答えると私の知っている成歩堂龍一とは別人のことを言っているのかしら?とおでこに手を当てられた。
熱があるみたいね、なんて。
失礼な、成歩堂龍一なんておかしな名前、そうそういないでしょ。
「ただいまー」
「おかえり。お使い頼んでごめんね、ありがとう」
「ううん、冥ちゃんとも話せたし楽しかったよ」
「冥ちゃんって……狩魔冥?」
成歩堂くんは眉間にしわを寄せて答えた。大方ムチの痛みでも思い出したのだろう。
狩魔検事と何を話すことがあるんだ、という呟きは聞こえなかったことにした。
「それよりこの書類でしょ、はい」
「ああ、うん」
頼まれた書類を渡す。すぐに目を通し始めた成歩堂くんの顔をちらりと盗み見て、お湯でも沸かそうかと申し訳程度のキッチンに向かった。
実際冥ちゃんの言うことは間違ってはいない、と思う。
成歩堂くんは一般的にきゃーきゃー言われるような二枚目ではない。御剣検事という比較対象がいるためなおさらだ。
それでも男前と答えるのは、きりりとした眉やまっすぐな瞳、男らしい体つきや身長だけを指したのではない。彼の真実を追い求める姿勢と、それに伴って現れる冷めた部分を指しているのだ。
弁護士という職業柄、また、法廷での姿から世間は彼に正義感に溢れたイメージを持っているようだが、成歩堂くんは自分の興味のないことにはとことん関わろうとしない。
めんどくさがりでズボラでスキだらけだ。
話し方も外では柔らかい敬語だが、気の知れた相手には乱暴で正直だったりすることもあるし、怒りを感じた相手には想像できないような冷たい物言いをしたりもする。
そこまで極端ではなくとも、デートに誘って「いいんじゃないかな、聞いてなかったけど」なんてテキトーな返事が返ってくることだってある。
でも私は、そういうときの成歩堂くんも大好きだ。むしろその一面が無ければ好きになっていなかったと思う。マゾヒストだと誤解されそうだが、いや、もしかしたらそうなのかもしれないが、やる気のない彼が醸し出す色気は私だけが知っていればいい。
そうじゃないと困ってしまう。
……こんな思考に至ってしまっている時点で既に困ったものなのだが。
「ねえ」
不意に後ろから呼ばれ振り向くと、件の彼が立っていた。お湯も既に沸騰していたようで、やかんからは湯気が噴き出ている。
「あ、ごめん、呼んでた?」
「いや、今来たところ」
「コーヒーでも飲む?淹れようか?」
「ううん、要らない」
せっかく沸かしてくれたけど無駄になっちゃうな、と言いながら頬をかく彼は続けた。
「今さ、真宵ちゃんも春美ちゃんもいないから、……ダメかな」
私を見つめる瞳は濡れていて断れるものではない。そもそも断る気はないけれど。
「まだ夕方だけど?」
「だって、今夜は名無しちゃんうちに泊まれないだろ」
「もう仕事はいいの?」
「必要な情報にはもう目を通したよ」
「事務所の営業は?」
「今日はもうおしまい、鍵もかけてきた」
「はは、準備万端」
思わず笑いながらからかうようにゴムは?と聞くと、顔を赤くしながらも「ちゃんとあるよ」と答えてくれた。その言葉に頷いて手を握れば、そのままソファーに連れて行かれる。
ベッドに比べれば狭くて固くてやり辛いが、それでも案外好きだったりする。切羽詰まった彼の表情も、言葉も、体もすぐ近くで感じることができるから。そしてソファから見える視界には私の愛する青い弁護士を成り立たせている物が溢れている。
私をソファーに寝かした成歩堂くんがネクタイを緩める。その動作だけで鼓動が高鳴っていく。
その手をシャツのボタンにかけられれば、たちまち自分の体温が上がっていくのがわかる。
ああ、やっぱり熱に浮かされているのかもしれない。冥ちゃん、あなたの言う通りだわ。
真宵ちゃんや春美ちゃんが帰ってくるまでゆうに2時間はある。更に鍵をかけてしまったから突然2人が帰ってきても事実隠蔽をする時間は稼げるだろう。
それならば成歩堂くんを独り占めにして幸せに浸ってしまえ。
そう思って彼の背中に手を回した。
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