ルミナスの手記
「ミケの写真だぞ。俺たち映ってるな。グソクムシャ、ケララッパ、マシェード、イダイナキバ」
場所はポケモンフォトグラフ杯会場。ミケの写真を身に来たラキは、ミケの写真を見ながら傍らの手持ちたちに語りかけた。
「ぐっそ」
「ケラー!」
「ましぇー」
イダイナキバのボールも揺れた。
「しかし……」
ラキは少し俯いた。
「俺って場違いかな……」
ことは昨日の話に遡る。
★★★
「色々なことを試したんだけど、非常に申し訳ないことに、この件はミケランジェロ・ダンテくん。君に任せることになったんだ」
「僕に任せるゥ!?」
ミケが立ち上がりかけ、ピチューが転げるので踏みとどまった。ピチューも目を白黒させている。
「うーん、手もないまま一年経っちゃってね。リーグがファミリーのボスの条件、というか、ジム巡りをさせるトレーナーを作ると決めた時にはもう随分経っちゃったのさ」
「今からトレーナーを育成して間に合うか、ラティスはレート戦の方がジムの醍醐味なのもあるのか、それまでぽつぽついた挑戦者も途中離脱。新しいトレーナーが間に合うか、だったんだ」
皆がヴィットーレを見ていると彼女は手を上げた。
「そこに丁度よくミケランジェロくんが来たって訳!」
「一応、リーグの方で実力者を十人ほど見繕って向かわせてはいますが、現在三人脱落、進んでいて三つ目のジムです」
「僕が一番……進んでる」
「そうです」
「That's right! 実はジャーニータウンの時から目を付けて色々していたからね! 正直ルカリオの時は焦ったのさ!」
アルビノは頭を下げた。
「いつかは話さなればいけないことでした。貴方の実力は間違いなく高い。我々に協力するためにも、ジムを勝ち抜いて頂けないでしょうか?」
「ミケくん、無理して受けなくていいぞ」
エミールは毅然とした態度で国際警察たちを睨みつける。
「ずるい。誠にずるい。ミケくんは自分の意志でここまで来たのに」
「非難は受けるよ。ただ奴らが具体的になにをしてくるかわからない以上不安分子は潰したい」
「『黄昏』と、『聖地』……」
シェリーが呟く。
「ミケ、大丈夫か?」
ラキが心配そうに声をかけると、一瞬ミケは俯いた後、顔を上げ──……。
★★★
「『やります』だもんなあ」
ラキは休憩スペースでポケモンたちに売店で買ったお菓子をあげながら、呟いた。もっちもっちとマカロン型のお菓子を食む三匹を見ながら、ふと呟く。
「いいな、ミケは」
グソクムシャがふと口を止めラキを見る。
「俺……なんもない。島巡りもできなかったし、この地方で何かしている訳でもない」
「ぐっそ……」
「お前の癖を責めてる訳じゃないよ」
ラキがふっと破顔した時だった。
「今あんたミケ言うた?」
声に顔を上げると、フードを被った少年の背丈の影があった。
「なに、お前」
「あんたラキやろ? ラタシティでは活躍やったんやってなあ」
「! なんでそれを……」
「まあ聞けや」
少年はラキの耳元で囁いた。
「そんな強くなりたいんなら、手っ取り早い方法があるで」
「なっ……」
「島巡りって、挫折すると周りがしんどいんやろ? それでこんなところまで逃げてきた。違う?」
「お、お前……」
「つよーいポケモン、やろうか?」
ラキは暫く体を強張らせていたが。
「なあ、聞いとる?」
「……う」
「あん?」
「弱いのを、……ポケモンのせいにするのは違う、と思う」
ラキは言い淀んではいたがはっきりと口にした。
「お前が誰なのかはわかんないけどさあ、そういうのやめた方がいいと思う」
少年の纏う雰囲気が露骨に不機嫌そうになった。
「興ざめやな。やったらそのまま弱いままでいたらええ」
「……」
隣でグソクムシャが威嚇するが、少年は意に介した様子はなく去って行ってしまった。
「はー……」
ずっと息を詰めていたラキははあーっとやっと満足な呼吸ができた。
「ましゅ?」
「ケラっ!」
気がつくと残りの二人もお菓子を食べ終わりラキの足元に来ていた。イダイナキバのボールも動いているというより暴れている。
「ありがとう」
ふ、と笑って彼らを抱きかかえた時だった。
「よく断りましたね」
後ろから聞こえた声に振り返ると、アルビノが立っていた。
「あ、アルビノさん」
「アルビノでいいですよ。年齢変わらないと思うので」
「そうなの!?」
「ラキさん、これを」
あ、お前は『さん』付けるんだ。ちょっとズレた子なのかもしれない。
そう思いながらラキが差し出されているものを見るとそれは光り輝くものが嵌められたリボンと高価そうな石だった。
「キーストーン、『メガリボン』と言ったところでしょうか。好きなところにつけてください。こちらは『グソクムシャナイト』。グソクムシャをメガシンカさせます」
「ええっ!?」
「『受け取れる訳ない』と言った顔ですね。奇遇ですね、私もさっきの貴方を見るまで渡す気は起きませんでした。ちょっとうじうじしてる雰囲気でしたし」
「言うねェ~……」
「ただ、貴方が言う『ポケモンに弱さの理由を押し付けない』は、トレーナーをやっていくのに最も必要なこと。貴方なら力に溺れない。そう信じてこれを進呈しますよ」
「ぐっそ!」
グソクムシャはラキの肩に手を置く。見ると興奮しているようだ。自分の石だとわかるのだろうか。
「でも……俺のグソクムシャ、色々問題があって……」
「ああ、ミケくんが貴方がここに来ると言った時聞きましたよ。ミケくんは言っていないことを前提としていますが、貴方、左腕が不自由でしょう。それと関係あります?」
「なんかみんなにバレるなあ……」
観念したラキはレアからのメールの話をした。
「なるほど……」
アルビノは少し考え込んだ後、言った。
「ならばここでそれを克服してしまいましょう」
「え?」
アルビノは髪を右手で払うと、ラキを指差した。
「勝負です、ラキさん」
「え、ええ~!?」
★★★
「外でバトルやるみたいだぜ!」
「え、本当!?」
「うう……人が集まってきた」
「それはレート戦中のトールシティですからね。バトル好きが集まってきますとも」
ラキはグソクムシャのボールを奮える手で握りながらフォトブラフ杯会場の外でアルビノと向き合っていた。
「戦闘形式は2VS2で。よろしくお願いします」
「はひ……」
どうやら覚悟を決めなくてはいけないようだ。グソクムシャは、できるだろうか。
「いや、俺が信じなきゃな……!」
「では」
アルビノもボールを構える。
「始めっ!!」
観客の歓声と共に二人のボールからポケモンが出てきた。
「グソクムシャ……!」
「ジャローダ!!」
場に出たのは二足歩行の鎧のようなものを纏ったポケモン、グソクムシャ。片や草の力を感じる蛇のポケモン、ジャローダ。
「先手必勝、“であいがしら”!!」
いつもの攻撃が目にも留まらぬ速さでジャローダに叩きつけられる。
「どうだ、こうかばつぐん!!」
「やりますね。でも国際警察が簡単にやられる訳にはいかないので。ジャローダ、“リーフストーム”」
ジャローダの葉っぱによる嵐がグソクムシャに当たる。草は等倍だ。しかし。
「ジャローダの特性は『あまのじゃく』。さっきの技によって本来なら下がる士気が上がり、技の火力がアップします」
「グ……」
グソクムシャが身動ぎすると、ボールに戻った。
「あ……」
ききかいひだ。
「くっ、行ってくれケララッパ!!」
二匹目を繰り出すと、アルビノは言った。
「弱点は基本ですよね、“へびにらみ”」
「くっ……」
睨まれたケララッパは動きが鈍くなる。まひだ。
「負けんな! “ドリルくちばし”!!」
なんとか持ち直したケララッパが、ジャローダに決定打を浴びせる!ジャローダがその場に崩れ落ちた。
「さすがに二回も弱点を突かれてはね」
アルビノは冷静に言うと、ジャローダを戻し、次のポケモンを繰り出した。白銀のコーティングに包まれたかのようなポケモン。それは。
「ボスゴドラ!」
「“ストーンエッジ」
またしても無駄のない指示にボスゴドラが応える。ケララッパの足元から突如出現した岩がケララッパを貫通し、そのまま頽れた。
「2VS2です。グソクムシャを出さなければ不戦敗ですよ」
ラキはグソクムシャのボールを取る。怖い、本当に怖い。理由を知った今ではずっと。でも。
『ぐっそ!』
「でも! 俺が信じなくてどうすんだ!!」
頭を振り、ラキはボスゴドラに向き直った。
「『勝ち』に行こうぜ! グソクムシャ!!」
ボールを投げたと同時にグソクムシャが飛び出してきた──……!
★★★
「いい勝負だったなー!」
「グソクムシャもボスゴドラもかっこいい!!」
「惜しかったな、兄ちゃん!!」
「はあ~負けた……」
ラキは落ち込む。しかしその手はしっかりと最後まで戦ったグソクムシャの頭を愛し気に撫でていた。
「私も少々大人げなかったです。でも」
アルビノは倒れたグソクムシャを気遣うラキにあの二つの道具を差し出した。メガリボンとグソクムシャナイト。
「受け取って、頂けますね」
「……はい!」
ラキは曇りのない笑顔でそれを受け取る。
「それと、アルビノにお願いしていいかな」
彼のその後の提案は。
★★★
「ええっ!? ラキさんがジム巡りに!?」
「はい」
ホテルで緑茶を飲むアルビノは平然と応える。
「提案は向こうからです。リーグのために何かしたいらしいです」
ヴィットーレが嬉しそうに手を上げた。
「Excellent! 彼なら多分申し分ないね! レート戦の最中だけどね! ちゃんと仲間も増やして特訓したいんだって!」
「そっかぁ……」
「挨拶くらいしてもよかったですのに……」
「いや、気持ちはわかるよ。多分会ってから行くだと決心鈍っちゃうからね。少なくとも、私はそう」
エミールの言葉通りラキの性格ならありそうだ。
「うん、いつかまた会えるよね」
「ポケバーもありますしね」
「とりあえずこれからレート戦の続きだ! 早速行こうではないか!」
「着いてくるのか?」
「そう邪見にするなよ。護衛護衛」
エミールははぁーと溜息をついたが、やがてふっと笑った。
「まあ、今日は確か四天王も出るからな」
「四天王、リーグの最難関ですよね……。ミケの勉強にはなるかも」
「ふふ、ワクワクするね!」
ヴィットーレが言う。
「そうと決まれば、早速行こう!!」
【260527】
場所はポケモンフォトグラフ杯会場。ミケの写真を身に来たラキは、ミケの写真を見ながら傍らの手持ちたちに語りかけた。
「ぐっそ」
「ケラー!」
「ましぇー」
イダイナキバのボールも揺れた。
「しかし……」
ラキは少し俯いた。
「俺って場違いかな……」
ことは昨日の話に遡る。
★★★
「色々なことを試したんだけど、非常に申し訳ないことに、この件はミケランジェロ・ダンテくん。君に任せることになったんだ」
「僕に任せるゥ!?」
ミケが立ち上がりかけ、ピチューが転げるので踏みとどまった。ピチューも目を白黒させている。
「うーん、手もないまま一年経っちゃってね。リーグがファミリーのボスの条件、というか、ジム巡りをさせるトレーナーを作ると決めた時にはもう随分経っちゃったのさ」
「今からトレーナーを育成して間に合うか、ラティスはレート戦の方がジムの醍醐味なのもあるのか、それまでぽつぽついた挑戦者も途中離脱。新しいトレーナーが間に合うか、だったんだ」
皆がヴィットーレを見ていると彼女は手を上げた。
「そこに丁度よくミケランジェロくんが来たって訳!」
「一応、リーグの方で実力者を十人ほど見繕って向かわせてはいますが、現在三人脱落、進んでいて三つ目のジムです」
「僕が一番……進んでる」
「そうです」
「That's right! 実はジャーニータウンの時から目を付けて色々していたからね! 正直ルカリオの時は焦ったのさ!」
アルビノは頭を下げた。
「いつかは話さなればいけないことでした。貴方の実力は間違いなく高い。我々に協力するためにも、ジムを勝ち抜いて頂けないでしょうか?」
「ミケくん、無理して受けなくていいぞ」
エミールは毅然とした態度で国際警察たちを睨みつける。
「ずるい。誠にずるい。ミケくんは自分の意志でここまで来たのに」
「非難は受けるよ。ただ奴らが具体的になにをしてくるかわからない以上不安分子は潰したい」
「『黄昏』と、『聖地』……」
シェリーが呟く。
「ミケ、大丈夫か?」
ラキが心配そうに声をかけると、一瞬ミケは俯いた後、顔を上げ──……。
★★★
「『やります』だもんなあ」
ラキは休憩スペースでポケモンたちに売店で買ったお菓子をあげながら、呟いた。もっちもっちとマカロン型のお菓子を食む三匹を見ながら、ふと呟く。
「いいな、ミケは」
グソクムシャがふと口を止めラキを見る。
「俺……なんもない。島巡りもできなかったし、この地方で何かしている訳でもない」
「ぐっそ……」
「お前の癖を責めてる訳じゃないよ」
ラキがふっと破顔した時だった。
「今あんたミケ言うた?」
声に顔を上げると、フードを被った少年の背丈の影があった。
「なに、お前」
「あんたラキやろ? ラタシティでは活躍やったんやってなあ」
「! なんでそれを……」
「まあ聞けや」
少年はラキの耳元で囁いた。
「そんな強くなりたいんなら、手っ取り早い方法があるで」
「なっ……」
「島巡りって、挫折すると周りがしんどいんやろ? それでこんなところまで逃げてきた。違う?」
「お、お前……」
「つよーいポケモン、やろうか?」
ラキは暫く体を強張らせていたが。
「なあ、聞いとる?」
「……う」
「あん?」
「弱いのを、……ポケモンのせいにするのは違う、と思う」
ラキは言い淀んではいたがはっきりと口にした。
「お前が誰なのかはわかんないけどさあ、そういうのやめた方がいいと思う」
少年の纏う雰囲気が露骨に不機嫌そうになった。
「興ざめやな。やったらそのまま弱いままでいたらええ」
「……」
隣でグソクムシャが威嚇するが、少年は意に介した様子はなく去って行ってしまった。
「はー……」
ずっと息を詰めていたラキははあーっとやっと満足な呼吸ができた。
「ましゅ?」
「ケラっ!」
気がつくと残りの二人もお菓子を食べ終わりラキの足元に来ていた。イダイナキバのボールも動いているというより暴れている。
「ありがとう」
ふ、と笑って彼らを抱きかかえた時だった。
「よく断りましたね」
後ろから聞こえた声に振り返ると、アルビノが立っていた。
「あ、アルビノさん」
「アルビノでいいですよ。年齢変わらないと思うので」
「そうなの!?」
「ラキさん、これを」
あ、お前は『さん』付けるんだ。ちょっとズレた子なのかもしれない。
そう思いながらラキが差し出されているものを見るとそれは光り輝くものが嵌められたリボンと高価そうな石だった。
「キーストーン、『メガリボン』と言ったところでしょうか。好きなところにつけてください。こちらは『グソクムシャナイト』。グソクムシャをメガシンカさせます」
「ええっ!?」
「『受け取れる訳ない』と言った顔ですね。奇遇ですね、私もさっきの貴方を見るまで渡す気は起きませんでした。ちょっとうじうじしてる雰囲気でしたし」
「言うねェ~……」
「ただ、貴方が言う『ポケモンに弱さの理由を押し付けない』は、トレーナーをやっていくのに最も必要なこと。貴方なら力に溺れない。そう信じてこれを進呈しますよ」
「ぐっそ!」
グソクムシャはラキの肩に手を置く。見ると興奮しているようだ。自分の石だとわかるのだろうか。
「でも……俺のグソクムシャ、色々問題があって……」
「ああ、ミケくんが貴方がここに来ると言った時聞きましたよ。ミケくんは言っていないことを前提としていますが、貴方、左腕が不自由でしょう。それと関係あります?」
「なんかみんなにバレるなあ……」
観念したラキはレアからのメールの話をした。
「なるほど……」
アルビノは少し考え込んだ後、言った。
「ならばここでそれを克服してしまいましょう」
「え?」
アルビノは髪を右手で払うと、ラキを指差した。
「勝負です、ラキさん」
「え、ええ~!?」
★★★
「外でバトルやるみたいだぜ!」
「え、本当!?」
「うう……人が集まってきた」
「それはレート戦中のトールシティですからね。バトル好きが集まってきますとも」
ラキはグソクムシャのボールを奮える手で握りながらフォトブラフ杯会場の外でアルビノと向き合っていた。
「戦闘形式は2VS2で。よろしくお願いします」
「はひ……」
どうやら覚悟を決めなくてはいけないようだ。グソクムシャは、できるだろうか。
「いや、俺が信じなきゃな……!」
「では」
アルビノもボールを構える。
「始めっ!!」
観客の歓声と共に二人のボールからポケモンが出てきた。
「グソクムシャ……!」
「ジャローダ!!」
場に出たのは二足歩行の鎧のようなものを纏ったポケモン、グソクムシャ。片や草の力を感じる蛇のポケモン、ジャローダ。
「先手必勝、“であいがしら”!!」
いつもの攻撃が目にも留まらぬ速さでジャローダに叩きつけられる。
「どうだ、こうかばつぐん!!」
「やりますね。でも国際警察が簡単にやられる訳にはいかないので。ジャローダ、“リーフストーム”」
ジャローダの葉っぱによる嵐がグソクムシャに当たる。草は等倍だ。しかし。
「ジャローダの特性は『あまのじゃく』。さっきの技によって本来なら下がる士気が上がり、技の火力がアップします」
「グ……」
グソクムシャが身動ぎすると、ボールに戻った。
「あ……」
ききかいひだ。
「くっ、行ってくれケララッパ!!」
二匹目を繰り出すと、アルビノは言った。
「弱点は基本ですよね、“へびにらみ”」
「くっ……」
睨まれたケララッパは動きが鈍くなる。まひだ。
「負けんな! “ドリルくちばし”!!」
なんとか持ち直したケララッパが、ジャローダに決定打を浴びせる!ジャローダがその場に崩れ落ちた。
「さすがに二回も弱点を突かれてはね」
アルビノは冷静に言うと、ジャローダを戻し、次のポケモンを繰り出した。白銀のコーティングに包まれたかのようなポケモン。それは。
「ボスゴドラ!」
「“ストーンエッジ」
またしても無駄のない指示にボスゴドラが応える。ケララッパの足元から突如出現した岩がケララッパを貫通し、そのまま頽れた。
「2VS2です。グソクムシャを出さなければ不戦敗ですよ」
ラキはグソクムシャのボールを取る。怖い、本当に怖い。理由を知った今ではずっと。でも。
『ぐっそ!』
「でも! 俺が信じなくてどうすんだ!!」
頭を振り、ラキはボスゴドラに向き直った。
「『勝ち』に行こうぜ! グソクムシャ!!」
ボールを投げたと同時にグソクムシャが飛び出してきた──……!
★★★
「いい勝負だったなー!」
「グソクムシャもボスゴドラもかっこいい!!」
「惜しかったな、兄ちゃん!!」
「はあ~負けた……」
ラキは落ち込む。しかしその手はしっかりと最後まで戦ったグソクムシャの頭を愛し気に撫でていた。
「私も少々大人げなかったです。でも」
アルビノは倒れたグソクムシャを気遣うラキにあの二つの道具を差し出した。メガリボンとグソクムシャナイト。
「受け取って、頂けますね」
「……はい!」
ラキは曇りのない笑顔でそれを受け取る。
「それと、アルビノにお願いしていいかな」
彼のその後の提案は。
★★★
「ええっ!? ラキさんがジム巡りに!?」
「はい」
ホテルで緑茶を飲むアルビノは平然と応える。
「提案は向こうからです。リーグのために何かしたいらしいです」
ヴィットーレが嬉しそうに手を上げた。
「Excellent! 彼なら多分申し分ないね! レート戦の最中だけどね! ちゃんと仲間も増やして特訓したいんだって!」
「そっかぁ……」
「挨拶くらいしてもよかったですのに……」
「いや、気持ちはわかるよ。多分会ってから行くだと決心鈍っちゃうからね。少なくとも、私はそう」
エミールの言葉通りラキの性格ならありそうだ。
「うん、いつかまた会えるよね」
「ポケバーもありますしね」
「とりあえずこれからレート戦の続きだ! 早速行こうではないか!」
「着いてくるのか?」
「そう邪見にするなよ。護衛護衛」
エミールははぁーと溜息をついたが、やがてふっと笑った。
「まあ、今日は確か四天王も出るからな」
「四天王、リーグの最難関ですよね……。ミケの勉強にはなるかも」
「ふふ、ワクワクするね!」
ヴィットーレが言う。
「そうと決まれば、早速行こう!!」
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