ルミナスの手記
発電所の事件があった日のラタシティのホテル。騒ぎ自体は大きかったが、リーグに連絡はしたので、対応が遅れるとは言っていたが発電所にはガーディアントレーナーが入ったという。その対応でエミールはホテルにはおらず、ミケとシェリーとラキの三人は大部屋で過ごしていた。と言ってもラキは備え付けのキッチンの前でなにかしていたが。
「ほら、グソクムシャ、ケララッパ、ネマシュ、飯だぞ」
キッチンから出てきたラキが言うと呼ばれた三匹はラキに突進する勢いで走って行った。
ラキが持っていたのは、小さなふかふかのパンのようなものだった。
「お料理、できるんですね。みんな可愛いから写真撮っていいですか?」
「え、いいよ!? ……まあ、手先には自信ある、かな……バトルには役立たないけど。一応外でイダイナキバにも食わせてやらなきゃ……」
「立派な個性ですよ。イダイナキバも喜ぶと思います。ええと、アップロード……あれ?」
ミケはいつものように画像をアップしようとしているとアプリになにか通知が入っているのに気がついた。
開いてみると、『ご招待のお知らせ』というタイトルが目についた。運営からのメールのようだ。開いてみると。
『ミケランジェロ・ダンテ様
常日ごろのポケモンフォトグラフのご利用ありがとうございます。広報担当のカヅチです。
ミケランジェロ様の投稿数と評価がこちらが優良と定めている一定のラインを越えたので、トールシティで主催される「ポケモンフォトグラフ杯」の参加権を贈呈します。
詳細は以下のURLをご確認ください。
これからもポケモンフォトグラフをよろしくお願いします』
「……!」
「すげーな」
「うわっ、ラキさん!?」
いつの間にか後ろからラキがポケバーを覗いていた。
「グラファーだったのかよ。言えよ」
「グラファー」
「フォローしていい? 俺もちょっとやってんだよ」
「いいですよ。ラキさんはどんな写真撮るんですか? 後この『ポケモンフォトグラフ杯』って……」
「ああ、俺は名前だけ知ってんだけどレート戦の期間、レート戦のトールシティ自分で選んだ一枚飾っておけるんだよな。そこから写真家として見いだされた奴もいるらしい」
「マシュ!」
「あ、こらネマシュ! それはイダイナキバのパンだ!」
そこでラキの手持ちの喧嘩により、会話は中断されてしまった。ミケは添えてあったURLを開く。
『トールシティでレート戦が行なわれる一週間、トール美術館の一画を借りて、「ポケモンフォトグラフ杯」という写真のコンテストを行います。既に当アプリに投稿された写真でも、新しい写真でも奮ってご応募ください。下記のアップローダーに写真をアップすることで、参加登録とします。写真のアップはレート戦の三日前までにお願いします』
「ただいまー……」
ミケがポケバーをしげしげと眺めていると、外に行っていたエミールが戻ってきた。
「おかえりなさい。ガオガエンとは仲良くなれました?」
エミールはレオから貰ったガオガエンと特訓してきたようだ。きちんと面倒を見る辺り、律儀というか。しかしそれよりもミケは気づいたことがあった。
「そのポケモンは?」
髪の長い独特のフォルムをしたポケモンが、エミールの足元にくっついていた。
「ああ、ベロバー。進化して今はギモーだけど」
「ギモー!」
「ああ、写真は撮っていいよ」
「あ、それで思い出したんですけど……」
「ミケ、ポケモンフォトグラフ杯の招待きたらしいです」
ずっと話を聞いていたシェリーが発言する。エミールは一瞬虚を突かれた顔をした後、破顔した。
「それはいい! どうせトールシティは経由するつもりだった」
「でも、イダイナキバの群生地通るんですよね」
「それはこの人数でゴリ押しすればなんとかなるだろう。三人で突破するつもりだったがラキくんがいるしね」
「なんでいちいち俺のこと頭に入れるんだ!?」
「ていうか外でイダイナキバがひもじそうにしてたぞ」
「やっべ!」
論点のすり替えにラキはすぐに引っかかる。少し心配だ。階段を駆け下りていったラキを見てエミールは言った。
「ちゃんと強いのにね」
「そうですね……でもミケが言っていましたがなんでラキさんのグソクムシャは閉じこもるのでしょう……」
その情報は最初にミケから共有してある。
エミールはラキの駆け下りて行った階段の方を見た。
「恐らくだが、島巡り中になにかあったのではないだろうか」
「とういと?」
「直接訊いてないが、彼多分左腕が麻痺してる」
「え!?」
「まあ……」
二人が驚いていると、エミールは罰が悪そうに頭を掻いた。
「すごくうまく隠してるけど……因果関係までは訊かないとわからないからね……」
「触れにくいですよねー」
「ミケ、レアさんに聞いてみたらどうでしょうか」
ミケが眉根を寄せるとシェリーが提案した。
「レアさん? ああ、同郷なんだったね。確かにコップ遺跡に行った時みんなポケバーの連絡先交換したもんね」
「ふむ、本人に直接訊くより気持ちは軽いか……」
「じゃあメールしときますね」
ミケはそう言うと、レアのメール欄に文字を打った。
『今縁があってラキさんという方と行動しているのですが、ご存じですよね。彼の左腕とグソクムシャの引きこもりってひょっとして関係あります?』
「じゃあ、これで」
ミケは軽く確認してメールを送る。それと同時にラキが戻ってきた。イダイナキバのボールを持っている。
「めっちゃ食うぞこいつ。多めに作ってよかった」
「ふふ、おいしかったのかな」
「ところで、なんかみんな深刻そうな顔してるな?」
「なんでもないよ」
エミールはそう言うとじゃあ私は寝るから、と個室に歩いて行った。足は大分よくなっているようだ。
「私も今回はお暇します」
シェリーが二人にお辞儀をし、彼女も与えられた個室に入っていく。後に残されたラキが不意に呟いた。
「なんか、ぴしぴし聞こえね?」
「え?」
確かにピキ……と使っていないソファーの方からなにかが割れる音がする。そこに確か置いていたのは。
「あ! タマゴ!」
ポケモンファイトクラブで貰ったタマゴが孵化しようとしている。二人は懸命に出てこようとするポケモンをはらはら見守っていた。
そして出てきたのは。
「ピ……」
黄色い小さなネズミのポケモン。
「ピチューだ!」
「かわいいな……」
ミケはポケバーのシャッターを切る。フラッシュは炊かなかったので、驚いてはいないようだ。むしろ興味深そうにミケを見ている。
「僕はミケランジェロ。君のおやだよ」
ピチューは一瞬首を傾げた後、ソファを降りてミケの足にしがみつく。
「よろしくね、ピチュー」
「ピ……」
ひかえめだが、確かにピチューは返事をした。
【260415】
「ほら、グソクムシャ、ケララッパ、ネマシュ、飯だぞ」
キッチンから出てきたラキが言うと呼ばれた三匹はラキに突進する勢いで走って行った。
ラキが持っていたのは、小さなふかふかのパンのようなものだった。
「お料理、できるんですね。みんな可愛いから写真撮っていいですか?」
「え、いいよ!? ……まあ、手先には自信ある、かな……バトルには役立たないけど。一応外でイダイナキバにも食わせてやらなきゃ……」
「立派な個性ですよ。イダイナキバも喜ぶと思います。ええと、アップロード……あれ?」
ミケはいつものように画像をアップしようとしているとアプリになにか通知が入っているのに気がついた。
開いてみると、『ご招待のお知らせ』というタイトルが目についた。運営からのメールのようだ。開いてみると。
『ミケランジェロ・ダンテ様
常日ごろのポケモンフォトグラフのご利用ありがとうございます。広報担当のカヅチです。
ミケランジェロ様の投稿数と評価がこちらが優良と定めている一定のラインを越えたので、トールシティで主催される「ポケモンフォトグラフ杯」の参加権を贈呈します。
詳細は以下のURLをご確認ください。
これからもポケモンフォトグラフをよろしくお願いします』
「……!」
「すげーな」
「うわっ、ラキさん!?」
いつの間にか後ろからラキがポケバーを覗いていた。
「グラファーだったのかよ。言えよ」
「グラファー」
「フォローしていい? 俺もちょっとやってんだよ」
「いいですよ。ラキさんはどんな写真撮るんですか? 後この『ポケモンフォトグラフ杯』って……」
「ああ、俺は名前だけ知ってんだけどレート戦の期間、レート戦のトールシティ自分で選んだ一枚飾っておけるんだよな。そこから写真家として見いだされた奴もいるらしい」
「マシュ!」
「あ、こらネマシュ! それはイダイナキバのパンだ!」
そこでラキの手持ちの喧嘩により、会話は中断されてしまった。ミケは添えてあったURLを開く。
『トールシティでレート戦が行なわれる一週間、トール美術館の一画を借りて、「ポケモンフォトグラフ杯」という写真のコンテストを行います。既に当アプリに投稿された写真でも、新しい写真でも奮ってご応募ください。下記のアップローダーに写真をアップすることで、参加登録とします。写真のアップはレート戦の三日前までにお願いします』
「ただいまー……」
ミケがポケバーをしげしげと眺めていると、外に行っていたエミールが戻ってきた。
「おかえりなさい。ガオガエンとは仲良くなれました?」
エミールはレオから貰ったガオガエンと特訓してきたようだ。きちんと面倒を見る辺り、律儀というか。しかしそれよりもミケは気づいたことがあった。
「そのポケモンは?」
髪の長い独特のフォルムをしたポケモンが、エミールの足元にくっついていた。
「ああ、ベロバー。進化して今はギモーだけど」
「ギモー!」
「ああ、写真は撮っていいよ」
「あ、それで思い出したんですけど……」
「ミケ、ポケモンフォトグラフ杯の招待きたらしいです」
ずっと話を聞いていたシェリーが発言する。エミールは一瞬虚を突かれた顔をした後、破顔した。
「それはいい! どうせトールシティは経由するつもりだった」
「でも、イダイナキバの群生地通るんですよね」
「それはこの人数でゴリ押しすればなんとかなるだろう。三人で突破するつもりだったがラキくんがいるしね」
「なんでいちいち俺のこと頭に入れるんだ!?」
「ていうか外でイダイナキバがひもじそうにしてたぞ」
「やっべ!」
論点のすり替えにラキはすぐに引っかかる。少し心配だ。階段を駆け下りていったラキを見てエミールは言った。
「ちゃんと強いのにね」
「そうですね……でもミケが言っていましたがなんでラキさんのグソクムシャは閉じこもるのでしょう……」
その情報は最初にミケから共有してある。
エミールはラキの駆け下りて行った階段の方を見た。
「恐らくだが、島巡り中になにかあったのではないだろうか」
「とういと?」
「直接訊いてないが、彼多分左腕が麻痺してる」
「え!?」
「まあ……」
二人が驚いていると、エミールは罰が悪そうに頭を掻いた。
「すごくうまく隠してるけど……因果関係までは訊かないとわからないからね……」
「触れにくいですよねー」
「ミケ、レアさんに聞いてみたらどうでしょうか」
ミケが眉根を寄せるとシェリーが提案した。
「レアさん? ああ、同郷なんだったね。確かにコップ遺跡に行った時みんなポケバーの連絡先交換したもんね」
「ふむ、本人に直接訊くより気持ちは軽いか……」
「じゃあメールしときますね」
ミケはそう言うと、レアのメール欄に文字を打った。
『今縁があってラキさんという方と行動しているのですが、ご存じですよね。彼の左腕とグソクムシャの引きこもりってひょっとして関係あります?』
「じゃあ、これで」
ミケは軽く確認してメールを送る。それと同時にラキが戻ってきた。イダイナキバのボールを持っている。
「めっちゃ食うぞこいつ。多めに作ってよかった」
「ふふ、おいしかったのかな」
「ところで、なんかみんな深刻そうな顔してるな?」
「なんでもないよ」
エミールはそう言うとじゃあ私は寝るから、と個室に歩いて行った。足は大分よくなっているようだ。
「私も今回はお暇します」
シェリーが二人にお辞儀をし、彼女も与えられた個室に入っていく。後に残されたラキが不意に呟いた。
「なんか、ぴしぴし聞こえね?」
「え?」
確かにピキ……と使っていないソファーの方からなにかが割れる音がする。そこに確か置いていたのは。
「あ! タマゴ!」
ポケモンファイトクラブで貰ったタマゴが孵化しようとしている。二人は懸命に出てこようとするポケモンをはらはら見守っていた。
そして出てきたのは。
「ピ……」
黄色い小さなネズミのポケモン。
「ピチューだ!」
「かわいいな……」
ミケはポケバーのシャッターを切る。フラッシュは炊かなかったので、驚いてはいないようだ。むしろ興味深そうにミケを見ている。
「僕はミケランジェロ。君のおやだよ」
ピチューは一瞬首を傾げた後、ソファを降りてミケの足にしがみつく。
「よろしくね、ピチュー」
「ピ……」
ひかえめだが、確かにピチューは返事をした。
【260415】
