ルミナスの手記
「はい、ブニャットよ」
翌日、アオイからの指示通りブニャットを受け取ったミケはそのポケモンを外に出してみた。ブニャットは不安そうに辺りを見回していたが、ミケの顔を見ると一気に警戒心を強めたのか威嚇を始めた。
「やっぱこうよねぇ……」
バーバラが困ったように頬に手を当てるが、気を取り直したように手をパンと叩いた。
「ブニャットの件は一旦置いといて。ミケちゃん、シェリーちゃん、あなたたち、折角だから、バトルで親交を深めない?」
「え」
「今日、丁度ダブルバトルがファイトクラブであるのよねー、二体二だから、
シェリーちゃんと回って行きなさい」
「そ、そんな! ミケの足を引っ張ります!」
「いいよ、行こうよ。僕もブニャットと早く仲良くなりたい。バチンキー引き取るのは夕方ってポケモンセンターから言われてるし」
出かけにエミールから言われたことだ。
「ミケ……」
「決まりね、登録しに行きましょう!」
バーバラは屈託のない笑顔で言った。ミケたちを元気づけたい、そんな気持ちが伝わってきて、なんだか胸が熱くなった。
★★★
二人はファイトクラブに足を運び、それぞれピジョン、カルボウを相棒に受付で登録し、次々と勝ち抜いて行った。
そして、決勝。
「なんとか来れたね~」
「ええ、カルボウが頑張ってくれました」
バトルコートでそんな話をしていると、決勝の相手が入ってきた。
「おや、貴方は……」
片方はアオイに意見していた青髪のガーディアントレーナーだった。目を丸くしていると、彼は少し硬い笑顔を見せた。
「マイルと申します。ジムリーダーアオイの共闘は見事でした。こうしてバトルできる機会に恵まれたことを嬉しく感じます」
ブニャットの件ではアオイに意見していたが、穏やかな人物のようだ。
「ね、そう思うでしょう。バーバラ氏」
「え!?」
マイルが振り返った扉から出てきたのは他でもないバーバラだった。
「バーバラ先生……」
「久しぶりね、ここ来るの」
バーバラは感慨深げに室内のコートを見ると、ミケとシェリーに目を向けた。
「勿論、ズルなんてしてないしシード枠でもないわよ。二人と戦いたくて頑張ったんだから」
「バーバラ氏、準備はいいですか」
「勿論、よろしくねマイルちゃん。ミケちゃんにシェリーちゃんも、全力でかかってらっしゃい」
「……びっくりしたけど、そういうことなら」
「よろしく、お願いします……」
四人の準備が整ったのを確認して、レフェリーが試合開始のコールをした。
「頼むよ、ピジョン!」
「お願いします、カルボウ」
「ピィー」
「ボウ!」
「お願いします、ブースター!」
「レッツビューティー! いってらっしゃい、ロコンちゃん!」
マイルが出してきたのは、もふもふとしか橙色のポケモン。対してバーバラが出してきたのは白いふわふわのポケモンだった。
「ロコン、アローラのですね! 私のカルボウなら相性はいいです!」
「じゃあそっちは任せた、ピジョン、先手必勝だ、“つばさでうつ”!」
「させないわ! “こおりのつぶて”!!」
ロコンが放った氷の塊が、ピジョンが攻撃するより速くピジョンに当たる。
「なっ!」
「先制技です! カルボウ、ロコンに“ニトロチャージ”!!」
「ブースター、ロコンを庇え!」
「なっ!?」
攻撃を庇ったブースターは何故かダメージは受けず、炎を纏い、吼える。
「ブースターの特性をご存じですか。“もらいび”。カルボウの特性のひとつなので、シェリーさんはよく知ってるかもしれませんが」
「! 炎を受けて強化したんですね……!」
「その通り! ピジョンに“ほのおのキバ”!」
「“でんこうせっか”で避けろ!」
素早く反応したピジョンがブースターの牙の攻撃を避ける。
「そのままロコンに当たれ!!」
「“ひやみず”よロコン!!」
体の攻撃とロコンの水がぶつかる。
「ピジョンの攻撃を下げたわ! どう出るかしら!!」
「っ、そのままブースターに“すなかけ”!!」
ピジョンがフィールドの砂をかけると、ブースターが怯む。
「なるほど、しっかり場を整えてきたわね!」
「シェリー、今だ! ブースターは動けない!」
「はい、カルボウ、“ニトロチャージ”!!」
カルボウがいつもの技でロコンに突っ込んできた。見事に決まり、ロコンは吹き飛ばされ転がった。
「ロコン、戦闘不能!」
「あらあら……」
バーバラは頬に手を当てた。
「まだ私がいますよ! ブースター、“ほのおのうず”でピジョンを足止めしてください!」
受けたら、ダメージの割合的にピジョンが落ちるのに時間はかからないだろう。
「ピジョン、“かぜおこし”で炎を吹き飛ばせ!」
「ぴぃーっ!」
ピジョンの風が、ほのおのうずを吹き飛ばす。
「やりますね……!」
「シェリー、カルボウにほのおタイプ以外の技は?」
「あります!」
「おっけー、同時に攻撃だ!」
「“つばさでうつ”!」
「“クリアスモッグ”!」
二匹の攻撃がブースターを捕える! そして。
「ブースター、戦闘不能! 優勝はミケ、シェリーコンビ!!」
レフェリーの声に、二人はハイタッチをする。バーバラとマイルも拍手して二人を賞賛する。
「二人とも、どこに出しても恥ずかしくないトレーナーよ!」
「おめでとうございます、子供の伸びは素晴らしいですね」
「ありがとうございます」
「ミケがいなかったら、勝てませんでした」
「ふふ、ミケちゃん。実は今日、ポイント10倍キャンペーンなのよ」
「へ?」
「その通り!」
レフェリーがそう言うと、なにか丸いものを持って二人の元へやってきた。
「ポケモンファイトクラブでは、10ポイントごとにポケモンのタマゴと交換しています!」
「わ、わ……?」
「なにが産まれるかは産まれてみてからのお楽しみ! ささ、どうぞ!」
タマゴを渡され、二人は顔を見合わせて、笑った。
「あ、そうだ、写真撮ろうよ。産まれてくる子たちに見せられるよう」
「いいわね、あたしも映るわよー!」
「はぁい、寄って寄って」
ぱしゃりとポケバーが小気味悪い音を鳴らした。
★★★
「うきゃー!」
「落ち着いてバチンキー」
退院したバチンキーはこれ以上ないくらい騒ぎ、ミケのあらゆる部分に縋りついていた。
「益々元気になってないか?」
「ちょっと離れただけでそうなるんだねぇ。可愛いねー」
「きゃきゃ!」
「バチンキー、本当に落ち着いて」
二人が帰ると、エミールたちが引き取っていたであろうバチンキーがミケにまとわりついてきた。そのまま色々なところに体をすりつけるのでミケはもみくちゃになっていた。ピジョンとカルボウがニコニコと見ている。
「あ、そういえば」
それをにこにこと見ていたバジーリオはあ、と声を上げた。
「僕は暫くここに滞在するから、みんなとはお別れだねー」
「えっ!!」
シェリーが大声を上げる。予想の範囲内ではある。
「エミーはまだ足治りきってないんだから、無理しないでね」
「子供じゃないんだから。とりあえず明日には出るぞ」
「オーライ」
「ミケランジェロくんもそれでいいね?」
「はい、次の町はラタシティですね」
「バルド砂丘で鍛錬を積むのもいいが、ジムリーダーにも気にしているようだしな」
「アオイちゃんかあ。あの子は強くて、可愛いよね」
バジーリオが笑う。
「でも強さは可愛くないから気をつけなよ」
「でしょうね! ライチュウ強そうだったし」
「頑張ってね~。後たまに私のラジオ聞いてくれると嬉しい」
「はい! はい!」
「シェリーくんはわかってるよ。エミーもだよ」
「……気が向いたらな」
そして、長い間過ごしたヘリアルを、三人は翌日後にした。
【260301】
翌日、アオイからの指示通りブニャットを受け取ったミケはそのポケモンを外に出してみた。ブニャットは不安そうに辺りを見回していたが、ミケの顔を見ると一気に警戒心を強めたのか威嚇を始めた。
「やっぱこうよねぇ……」
バーバラが困ったように頬に手を当てるが、気を取り直したように手をパンと叩いた。
「ブニャットの件は一旦置いといて。ミケちゃん、シェリーちゃん、あなたたち、折角だから、バトルで親交を深めない?」
「え」
「今日、丁度ダブルバトルがファイトクラブであるのよねー、二体二だから、
シェリーちゃんと回って行きなさい」
「そ、そんな! ミケの足を引っ張ります!」
「いいよ、行こうよ。僕もブニャットと早く仲良くなりたい。バチンキー引き取るのは夕方ってポケモンセンターから言われてるし」
出かけにエミールから言われたことだ。
「ミケ……」
「決まりね、登録しに行きましょう!」
バーバラは屈託のない笑顔で言った。ミケたちを元気づけたい、そんな気持ちが伝わってきて、なんだか胸が熱くなった。
★★★
二人はファイトクラブに足を運び、それぞれピジョン、カルボウを相棒に受付で登録し、次々と勝ち抜いて行った。
そして、決勝。
「なんとか来れたね~」
「ええ、カルボウが頑張ってくれました」
バトルコートでそんな話をしていると、決勝の相手が入ってきた。
「おや、貴方は……」
片方はアオイに意見していた青髪のガーディアントレーナーだった。目を丸くしていると、彼は少し硬い笑顔を見せた。
「マイルと申します。ジムリーダーアオイの共闘は見事でした。こうしてバトルできる機会に恵まれたことを嬉しく感じます」
ブニャットの件ではアオイに意見していたが、穏やかな人物のようだ。
「ね、そう思うでしょう。バーバラ氏」
「え!?」
マイルが振り返った扉から出てきたのは他でもないバーバラだった。
「バーバラ先生……」
「久しぶりね、ここ来るの」
バーバラは感慨深げに室内のコートを見ると、ミケとシェリーに目を向けた。
「勿論、ズルなんてしてないしシード枠でもないわよ。二人と戦いたくて頑張ったんだから」
「バーバラ氏、準備はいいですか」
「勿論、よろしくねマイルちゃん。ミケちゃんにシェリーちゃんも、全力でかかってらっしゃい」
「……びっくりしたけど、そういうことなら」
「よろしく、お願いします……」
四人の準備が整ったのを確認して、レフェリーが試合開始のコールをした。
「頼むよ、ピジョン!」
「お願いします、カルボウ」
「ピィー」
「ボウ!」
「お願いします、ブースター!」
「レッツビューティー! いってらっしゃい、ロコンちゃん!」
マイルが出してきたのは、もふもふとしか橙色のポケモン。対してバーバラが出してきたのは白いふわふわのポケモンだった。
「ロコン、アローラのですね! 私のカルボウなら相性はいいです!」
「じゃあそっちは任せた、ピジョン、先手必勝だ、“つばさでうつ”!」
「させないわ! “こおりのつぶて”!!」
ロコンが放った氷の塊が、ピジョンが攻撃するより速くピジョンに当たる。
「なっ!」
「先制技です! カルボウ、ロコンに“ニトロチャージ”!!」
「ブースター、ロコンを庇え!」
「なっ!?」
攻撃を庇ったブースターは何故かダメージは受けず、炎を纏い、吼える。
「ブースターの特性をご存じですか。“もらいび”。カルボウの特性のひとつなので、シェリーさんはよく知ってるかもしれませんが」
「! 炎を受けて強化したんですね……!」
「その通り! ピジョンに“ほのおのキバ”!」
「“でんこうせっか”で避けろ!」
素早く反応したピジョンがブースターの牙の攻撃を避ける。
「そのままロコンに当たれ!!」
「“ひやみず”よロコン!!」
体の攻撃とロコンの水がぶつかる。
「ピジョンの攻撃を下げたわ! どう出るかしら!!」
「っ、そのままブースターに“すなかけ”!!」
ピジョンがフィールドの砂をかけると、ブースターが怯む。
「なるほど、しっかり場を整えてきたわね!」
「シェリー、今だ! ブースターは動けない!」
「はい、カルボウ、“ニトロチャージ”!!」
カルボウがいつもの技でロコンに突っ込んできた。見事に決まり、ロコンは吹き飛ばされ転がった。
「ロコン、戦闘不能!」
「あらあら……」
バーバラは頬に手を当てた。
「まだ私がいますよ! ブースター、“ほのおのうず”でピジョンを足止めしてください!」
受けたら、ダメージの割合的にピジョンが落ちるのに時間はかからないだろう。
「ピジョン、“かぜおこし”で炎を吹き飛ばせ!」
「ぴぃーっ!」
ピジョンの風が、ほのおのうずを吹き飛ばす。
「やりますね……!」
「シェリー、カルボウにほのおタイプ以外の技は?」
「あります!」
「おっけー、同時に攻撃だ!」
「“つばさでうつ”!」
「“クリアスモッグ”!」
二匹の攻撃がブースターを捕える! そして。
「ブースター、戦闘不能! 優勝はミケ、シェリーコンビ!!」
レフェリーの声に、二人はハイタッチをする。バーバラとマイルも拍手して二人を賞賛する。
「二人とも、どこに出しても恥ずかしくないトレーナーよ!」
「おめでとうございます、子供の伸びは素晴らしいですね」
「ありがとうございます」
「ミケがいなかったら、勝てませんでした」
「ふふ、ミケちゃん。実は今日、ポイント10倍キャンペーンなのよ」
「へ?」
「その通り!」
レフェリーがそう言うと、なにか丸いものを持って二人の元へやってきた。
「ポケモンファイトクラブでは、10ポイントごとにポケモンのタマゴと交換しています!」
「わ、わ……?」
「なにが産まれるかは産まれてみてからのお楽しみ! ささ、どうぞ!」
タマゴを渡され、二人は顔を見合わせて、笑った。
「あ、そうだ、写真撮ろうよ。産まれてくる子たちに見せられるよう」
「いいわね、あたしも映るわよー!」
「はぁい、寄って寄って」
ぱしゃりとポケバーが小気味悪い音を鳴らした。
★★★
「うきゃー!」
「落ち着いてバチンキー」
退院したバチンキーはこれ以上ないくらい騒ぎ、ミケのあらゆる部分に縋りついていた。
「益々元気になってないか?」
「ちょっと離れただけでそうなるんだねぇ。可愛いねー」
「きゃきゃ!」
「バチンキー、本当に落ち着いて」
二人が帰ると、エミールたちが引き取っていたであろうバチンキーがミケにまとわりついてきた。そのまま色々なところに体をすりつけるのでミケはもみくちゃになっていた。ピジョンとカルボウがニコニコと見ている。
「あ、そういえば」
それをにこにこと見ていたバジーリオはあ、と声を上げた。
「僕は暫くここに滞在するから、みんなとはお別れだねー」
「えっ!!」
シェリーが大声を上げる。予想の範囲内ではある。
「エミーはまだ足治りきってないんだから、無理しないでね」
「子供じゃないんだから。とりあえず明日には出るぞ」
「オーライ」
「ミケランジェロくんもそれでいいね?」
「はい、次の町はラタシティですね」
「バルド砂丘で鍛錬を積むのもいいが、ジムリーダーにも気にしているようだしな」
「アオイちゃんかあ。あの子は強くて、可愛いよね」
バジーリオが笑う。
「でも強さは可愛くないから気をつけなよ」
「でしょうね! ライチュウ強そうだったし」
「頑張ってね~。後たまに私のラジオ聞いてくれると嬉しい」
「はい! はい!」
「シェリーくんはわかってるよ。エミーもだよ」
「……気が向いたらな」
そして、長い間過ごしたヘリアルを、三人は翌日後にした。
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