too early to give up.
心配そうなアレイスと別れ、ミュシャはテーブルシティのレストランで連絡先を呼び出し、かけた。
数刻の呼び出し音の後、ウィットな男性の声が聞こえた。
「もしもし?」
大人びているがニュアンスは大分普段接しているクラスメートたちと同じくらいという感じがした。
「確認だけど、誰にこの番号教えてもらった」
「知らない! スター団の緑の髪の……シャワーズ持ってた」
「そう、彼か。君女の子だけど、ちゃんと強い?」
なかなかかちんとくる物言いである。今時『女』というだけで差別するなんて!
「君じゃなくてミュシャ。強いよ。舐めた男負かす程度には」
「ふーん……、じゃあここまで来て」
そう言ってマップに登録されたのはピケタウン。
ジムのない外れの街だ。
「いいよ。そっちはどんな外見? あたしはオレンジアカデミーの制服着て、マメバッタとパモット連れてるの目印にして」
「わかった。俺は紫の制服に眼帯してるよ」
「紫?」
「見ればわかるよ」
それきり電話は切れる。この調子だとかけ直しても出ないだろう。
「仕方ない、行くよ! マメバッタ、パモット!!」
「メー」
「パモッ」
そう言ってミュシャは二匹と一緒に地獄の階段を駆け下りた。
★★★
「ここがピケタウンね!」
ミュシャはそう言うと辺りを見回した。
「さすがにテーブルシティ程人いないか……そうだよね」
「……君が、『ミュシャ』?」
『あの声』で呼ばれ、振り向くと、オレンジアカデミーの模造品のような紫の制服を着た少年だった。確かに右目に眼帯をしている。
「あんたが『オウカ』?」
「気も強いけど確かにポケモン強そうだね」
「強そうじゃないよ! 強いよ!」
「なら、バトルをしないとね」
「よし来た! パモット、君で!」
「ソウ!」
二人がポケモンを向かわせる。オウカの出したポケモンはかなり珍しいポケモン、ソウブレイズだ。
「お、なんかバトルしてるぞ!」
「たのしそ~」
「勝負は一対一、最後まで立ってたものの勝ち、でいいよな?」
「わかった。シンプルに行こうね」
辛勝だった。ソウブレイズが膝をついて気絶する。パモットもあちこち毛が焼かれてボロボロだ。
「どうだ! 勝ったぞ!」
オウカはソウブレイズをボールに戻しながら、溜息を吐く。
「君に渡さなきゃいけないのかぁ……」
「あん?」
「このタマゴを」
オウカはミュシャに一個のタマゴを渡した。
「エンマが勧めるなら間違いはないんだろう……僕は嫌いだけど」
「一言多!!」
あのスター団はエンマというのか。
「とにかく、任せたよ。その子がいい感じになったら教えて」
そう言うとオウカはミュシャに背を向け歩き出した。
「あんなこと言っても気に入ってるんだぜ」
すぐ後ろから聞こえた声にびっくりして振り返ると茶髪にバンダナの少年が立っていた。着崩されたジャージだががベースはオレンジアカデミーのものとわかる。オウカは根柢的に違う。
「あんた、誰?」
「サワラ・クニハルでーす。3-Aですー」
「あっ、先輩!? えと、ミュシャです……!」
「うんうん、人の序列で態度変えるタイプなんだな」
「なっ……」
明らかな挑発。口が出そうになるが今は万全の戦いができない。拳を握ってやり過ごしているとクニハルは言った。
「ちゃんと我慢もできるんだー……生徒会長とはそこが違うね」
「で、何の用なんです?」
「いや労いにね? これあげるよ」
そう言って渡されたのはモンスターボール。
「え?」
「仲にブロロン入ってるから。あ、バトルなくていいよぉ。おれが勝つもんねー」
かちんとくる。神経を逆なでするのが得意なようだ。
「あんた、友達いないでしょ」
「お互い様だろ」
クニハルの表情が消えた。
「っ!?」
「自分が理解されたいのに、誰もかもがフィルターを通してみるから苛立ってるんだろ」
「あ、あんだ」
「本当は『友達が欲しい』だけなんだろ」
「──!!」
「メ!」
振り上げた拳に、マメバッタがしがみついたことで正気に返る。今、自分は人を殴ろうとした?
「ナイス自制。おれも殴られるのは趣味じゃないからねー。じゃあ」
クニハルはモトトカゲを出すとそのままライドして行ってしまった。
残ったのは、手持ちと、タマゴと、ブロロン。
「あーもう! なんなのよー!!」
地団太を踏んでいると、その後電話でイグサからお叱りの電話が来ることになる。
【250920】
数刻の呼び出し音の後、ウィットな男性の声が聞こえた。
「もしもし?」
大人びているがニュアンスは大分普段接しているクラスメートたちと同じくらいという感じがした。
「確認だけど、誰にこの番号教えてもらった」
「知らない! スター団の緑の髪の……シャワーズ持ってた」
「そう、彼か。君女の子だけど、ちゃんと強い?」
なかなかかちんとくる物言いである。今時『女』というだけで差別するなんて!
「君じゃなくてミュシャ。強いよ。舐めた男負かす程度には」
「ふーん……、じゃあここまで来て」
そう言ってマップに登録されたのはピケタウン。
ジムのない外れの街だ。
「いいよ。そっちはどんな外見? あたしはオレンジアカデミーの制服着て、マメバッタとパモット連れてるの目印にして」
「わかった。俺は紫の制服に眼帯してるよ」
「紫?」
「見ればわかるよ」
それきり電話は切れる。この調子だとかけ直しても出ないだろう。
「仕方ない、行くよ! マメバッタ、パモット!!」
「メー」
「パモッ」
そう言ってミュシャは二匹と一緒に地獄の階段を駆け下りた。
★★★
「ここがピケタウンね!」
ミュシャはそう言うと辺りを見回した。
「さすがにテーブルシティ程人いないか……そうだよね」
「……君が、『ミュシャ』?」
『あの声』で呼ばれ、振り向くと、オレンジアカデミーの模造品のような紫の制服を着た少年だった。確かに右目に眼帯をしている。
「あんたが『オウカ』?」
「気も強いけど確かにポケモン強そうだね」
「強そうじゃないよ! 強いよ!」
「なら、バトルをしないとね」
「よし来た! パモット、君で!」
「ソウ!」
二人がポケモンを向かわせる。オウカの出したポケモンはかなり珍しいポケモン、ソウブレイズだ。
「お、なんかバトルしてるぞ!」
「たのしそ~」
「勝負は一対一、最後まで立ってたものの勝ち、でいいよな?」
「わかった。シンプルに行こうね」
辛勝だった。ソウブレイズが膝をついて気絶する。パモットもあちこち毛が焼かれてボロボロだ。
「どうだ! 勝ったぞ!」
オウカはソウブレイズをボールに戻しながら、溜息を吐く。
「君に渡さなきゃいけないのかぁ……」
「あん?」
「このタマゴを」
オウカはミュシャに一個のタマゴを渡した。
「エンマが勧めるなら間違いはないんだろう……僕は嫌いだけど」
「一言多!!」
あのスター団はエンマというのか。
「とにかく、任せたよ。その子がいい感じになったら教えて」
そう言うとオウカはミュシャに背を向け歩き出した。
「あんなこと言っても気に入ってるんだぜ」
すぐ後ろから聞こえた声にびっくりして振り返ると茶髪にバンダナの少年が立っていた。着崩されたジャージだががベースはオレンジアカデミーのものとわかる。オウカは根柢的に違う。
「あんた、誰?」
「サワラ・クニハルでーす。3-Aですー」
「あっ、先輩!? えと、ミュシャです……!」
「うんうん、人の序列で態度変えるタイプなんだな」
「なっ……」
明らかな挑発。口が出そうになるが今は万全の戦いができない。拳を握ってやり過ごしているとクニハルは言った。
「ちゃんと我慢もできるんだー……生徒会長とはそこが違うね」
「で、何の用なんです?」
「いや労いにね? これあげるよ」
そう言って渡されたのはモンスターボール。
「え?」
「仲にブロロン入ってるから。あ、バトルなくていいよぉ。おれが勝つもんねー」
かちんとくる。神経を逆なでするのが得意なようだ。
「あんた、友達いないでしょ」
「お互い様だろ」
クニハルの表情が消えた。
「っ!?」
「自分が理解されたいのに、誰もかもがフィルターを通してみるから苛立ってるんだろ」
「あ、あんだ」
「本当は『友達が欲しい』だけなんだろ」
「──!!」
「メ!」
振り上げた拳に、マメバッタがしがみついたことで正気に返る。今、自分は人を殴ろうとした?
「ナイス自制。おれも殴られるのは趣味じゃないからねー。じゃあ」
クニハルはモトトカゲを出すとそのままライドして行ってしまった。
残ったのは、手持ちと、タマゴと、ブロロン。
「あーもう! なんなのよー!!」
地団太を踏んでいると、その後電話でイグサからお叱りの電話が来ることになる。
【250920】
