私がもっと、強かったら
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
__________________
______
『………この魔法式は、完成してる。これはまだ改善の余地あり。これは……ここをこうして…』
あの酒場から帰ると、
私は自身の執務室のソファーに座り
異能を強くする為に
大量の書類と共に研究を続けていた。
幹部、準幹部には一人一人執務室が与えられ
すぐ隣には自分の部屋として使用できる
個室まで設備されていて
ポートマフィアの者は基本自宅通いだが
ここで寝泊まりすることもできる
そして沙羅には家が無い為
いつも隣の個室で生活していて、
その分夜遅くまで
仕事や研究をする事ができるのだ。
「沙羅」
『ぅわっ!?びっくりした…!治か…もう、心臓に悪いから入る時ノックしてよ…』
書類と睨めっこしていた沙羅の
耳元で突然太宰が沙羅の名前を呼んだ
そしてまさか隣に太宰がいるだなんて
全く気づいていなかった沙羅は
驚いて書類を地面に落とす
「何回もノックしたのだけれど?…灯りは付いているのに一向に返事がないから来てみれば、こんな時間まで仕事とは…」
『仕事じゃないよ。これは…私が勝手にやってる事』
太宰は沙羅の隣に座ると
落ちた書類を拾って、一枚一枚見ていった
「異能の研究か…。うわ、相変わらず凄いねぇこれ」
拾った書類をじっと見る太宰、
だが流石の太宰でも
この文字は読むことが出来なかった
「こんな文字どうやって覚えたんだい?」
『んー…覚えたというかなんというか、生まれた時から頭に入ってたんだよね。あ、拾ってくれてありがと』
沙羅はペンを動かす手を止めると
隣に座る太宰から書類を受け取る
書類に書かれている大量の文字の正体は
沙羅が異能を使うときに
頭の中で組み立てる魔法式の羅列
平仮名でもアルファベットでも
ハングル文字でもない、
不思議な形をした文字だった
『まぁ、今私がやってる事は世間一般的にいう科学実験みたいなものだよ。この文字式を並べることで新しい力が使えるようになる』
「世間一般的では無いと思うのだけれど…。それより、“ちゃんと休みな”って言った事、忘れてないだろうね?」
太宰のその言葉に
沙羅は一瞬動きを止めた
別に沙羅は言われた事を忘れた訳ではない
だが、現時刻は深夜3時。
休む気がないのはどう見てもバレバレだ
『…ていうか治こそこんな時間にどうしたの?』
「どうせ沙羅は休んでないだろうから、様子を見に来た」
『どうせって…、わっ!?』
一向に休む気のなさそうな沙羅を見て
太宰は沙羅の腕を引っ張り
顎に手を添え自分の方に向かせた
『え、と…治、??』
「休む気が無いのなら、キスしてあげようか?」
沙羅に顔を近づけて
太宰はニヤッと笑みを浮かべる
バサッ、と沙羅の手から
書類がもう一度床に落ちた音がした
『なっ…!』
そして状況を理解した沙羅は
一瞬にして顔が赤くなる
「今更照れることないじゃないか、今まで何回もしてきたのだから」
『何回もって、あれは仕事でしょ…っ!しかもたったの3回!!』
沙羅の異能力は異性とキスをする事で
一時的な能力強化、体力・疲労
を回復をする事が出来る
太宰の言う“今まで”とは、敵と戦う時に
能力強化の為にしただけの事
そして沙羅はこういうのに抵抗がない
慣れていないのだ。
『…っそれに、今キスしたって一時的な疲労回復じゃ意味ないでしょ!』
「ふふふ…、沙羅はやっぱり可愛いね」
そんな沙羅を見て太宰は
反応を楽しむように言葉を続ける