黒の時代
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太宰と沙羅は、
薄暗いポートマフィアビルの地下にある
場所へ向かって淡々と歩いていた。
特に何か話す訳でもなく
ただ向かう場所へ歩く
「説明が欲しいな」
目的の場所にたどり着くや否や
太宰は静かにそう言った
目の前には3人の死者、
床に血が広がっている。
「カジノを襲撃したミミックの兵士を、計画通り昏倒性のガスで捕らえました。1人は自殺しましたが残りの3人はここに運びました。仲間の情報を吐かせる手筈でした。奥歯に仕込んだ自決用の毒薬も取り外しました」
そう、
カジノを襲撃したミミックの兵士達を、
拷問のためにこの場に運んだのだ
だが、太宰が訊きたいのは
そういうことではなかった
「それは知ってるよ。全て私の計画通りだからね。訊きたいのはその先だ」
「想像よりも早く、兵士の一人が目覚めました。手枷を嵌める前に。我々から銃を奪い、おそらくは口封じのために仲間を射殺し、我々にも襲い掛かってきました_________」
「それを僕が処断した」
黒服の男の言葉を遮るように
1人の男がそう言った
「何か問題でも」
その男は、芥川龍之介という男
黒く長いロングコートを身につけている
「なるほどね…いや何も問題はないよ。敵兵士を倒し、仲間を守った訳だね芥川君。全くもって素晴らしい」
素晴らしい、そう言いつつも
太宰の表情は少し強張っていた
「君でなければ、そのような強敵を一撃のもとに倒すなどできなかったろう。流石は私と沙羅の部下だ。お陰で捕らえた敵は全員死亡だ。罠を張ってまで苦労して生け捕りにした兵士をねぇ。これで手がかりは無くなった。一人でも生き残っていれば、本拠地、目的、指揮官の素性、名前、異能力。貴重な情報が訊き出せたただろうに。」
「情報など…連中如き僕が纏め___________」
何事かと思えば、
太宰が突然、芥川を殴りつけた
言葉を言い終わらせる前に。
殴られた芥川は
数メートル後ろへ飛ばされる
「きっと君は、私が言い訳を求めているように見えたのだろう。誤解させて悪かったね」
太宰は芥川の方へ歩いて近づきながら
「銃貸して」
隣にいた黒服の男にそう言い
銃を受け取った
「私と沙羅の友人に、孤児を個人的に扶養している男がいてね。貧民街で君を拾ったのが織田作だったら、きっと君を見捨てず、辛抱強く導いたろう。それが正しさだ。」
淡々と言葉を吐き捨てるように
語る太宰は、表情ひとつ変えず
受け取った銃を芥川の方へ向ける
『…ちょっと待って!!それはやりすぎ』
と同時に、
先程まで黙って太宰と芥川の
会話を聞いていた沙羅が
その銃口の前へ飛び出し、
芥川を守るように立ちはだかった
「沙羅、君に銃なんて向けたくないんだけれど。…早くそこを退くんだ」
『いくらなんでも、裏切った訳でもないのに仲間に銃を向ける事ないでしょ』
銃を向けられているにも関わらず
沙羅は全く動揺を見せず
芥川の側に駆け寄る
「…………沙羅に銃撃が効かないのは知っている。退かないのならこの状態で撃つよ」
その言葉に沙羅は
無言で太宰の方を
睨むようにじっと見つめていた
「…私は、織田作のようなその正しさのほうから嫌われた男だ。そういう男はね________
使えない部下をこうするんだ」
芥川のそばに
沙羅がいるにも関わらず
太宰は容赦なく銃の引き金を引いた。
薄暗い地下のこの場に
3発の銃声が響き渡る
___________異能力、
『仮想魔法』“防御”
沙羅は太宰と会話しながらも
自身の異能で自分と芥川の体を
防御して攻撃が効かないようにしていた
が、
その防御に何かが触れた反応は無く
代わりに沙羅の目の前に、
芥川の異能
ギリギリの所で
芥川が異能で銃弾を止めたのだ。
「へぇ……やれば出来るじゃないか。何度も教えただろう」
カランと銃弾が地面に落ちると
芥川は、大きく呼吸をしながら
地面に手を付いた
「哀れな捕虜を切り裂くだけが君の力の全てじゃない。そうやって防御に使う事もできるはずだって」
「これまで一度も成功したことはなかったのに」
「でもこうして成功した。めでたいねぇ。」
皮肉のようにそう云い捨てると
先程まで表情を変えなかった
太宰の表情が変わり
「次しくじったら。……2回殴って5発打つ。」
芥川を睨みつけながらそう言った
流石幹部、
とも言わせるようなこの圧力
いくら攻撃が効かない立場だといっても
沙羅にも太宰のこの表情には
ものすごい圧で押し負けそうになる