黒の時代
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−No side−
__________四年前
夜の闇が
今よりもずっと
青かった頃____________。
時計が深夜を回ろうとしていた頃
ある酒場のカウンターで
話をする者達がいた。
「…ところで、今日御三方がこの店にいたのは…何かの会合ですか?」
眼鏡をかけた坂口安吾という男が、
そう問いかける
「ここに来たら沙羅と太宰が居ただけだ」
「今夜ここに来たら、君達に会えるような気がしてねぇ」
『私はまぁ、治が行くって云うからなんとなく』
その問いに答えるのは、
皆同じ組織に所属する者達。
ただ、同じ組織と言っても
幹部、準幹部、構成員、最下級構成員と
普通なら関わりがなくてもおかしくはない
それでもこうして、
時々この場で酒を飲み
言葉を交わす。
「僕達に用事があったのですか?」
「別にないよ、ただ、そうしたらいつもの夜になるかなと思っただけさ。ただそれだけ」
そう、別に用事なんてない
それでも
なんとなく、この場に集まっていた
「何に乾杯するんです?」
「何でもいいさ。理由が欲しい訳じゃない」
「ストレイドッグに」
“ストレイドッグに”
深夜の酒場に、
カランと4つのグラスの音が響いた
「ねえ安吾。その鞄の中に、カメラあった?」
「ええ、仕事用ですが」
太宰治にそう訊かれ、
グラスを見つめたままそう答える安吾は
「写真撮ろうよ。記念にさ」
返ってきた返事に
不思議な顔で太宰の方を見た
「記念?」
「なんの記念だ?」
同じく、隣にいた織田作之助も
そう問いかける
「ここに4人が集まった記念。」
『それ、いつものことじゃん。まあでもたまには良いかもね!』
そう言って笑い合う
ポートマフィア幹部の太宰と
その凖幹部の夢月沙羅。
それを見た安吾は
カメラを取り出そうと鞄に手を伸ばした
「幹部殿の仰せのままに」
「かっこよく撮ってよー?このアングルが男前に撮れる」
『じゃー私の事もカッコよく撮ってね!』
太宰と織田作の写真を1枚撮った後
沙羅を撮ろうとカメラを向けると
笑顔で安吾の方を向く沙羅がいた。
「……可愛く、ではなく?」
『うん。カッコよく!』
「沙羅をカッコよく撮るのは難しいんじゃない〜?だって沙羅はどこから見ても可愛いからね」
『ちょっと治、それ褒めてるの?貶してるの?』
こんな会話が、ずっと続けばいい
この時間が、ずっと________
「何故急に写真なんだ?」
「今撮っておかないと、我々がこうやって集まったという事実を残すものが何もなくなるような気がしてね。織田作、カメラ」
最後に4人でカウンターに並んで
写真を撮った
ポーズを決める訳でもなく
ただ4人が並んでいる写真
ほんのささいな、一枚の写真。
今この時間を、忘れないように
この時を、残して置けるように
太宰治______
能力名『人間失格』
坂口安吾____
能力名『堕落論』
織田作之助___
能力名『天衣無縫』
夢月沙羅___
能力名『仮想魔法』
________そして、太宰の云った通りになった
その日が、
我々の間にある目に見えない何かを
写真に残すことができる最後の機会になった
四人のうち一人が、
その後まもなく死んだからだ
__________四年前
夜の闇が
今よりもずっと
青かった頃____________。
時計が深夜を回ろうとしていた頃
ある酒場のカウンターで
話をする者達がいた。
「…ところで、今日御三方がこの店にいたのは…何かの会合ですか?」
眼鏡をかけた坂口安吾という男が、
そう問いかける
「ここに来たら沙羅と太宰が居ただけだ」
「今夜ここに来たら、君達に会えるような気がしてねぇ」
『私はまぁ、治が行くって云うからなんとなく』
その問いに答えるのは、
皆同じ組織に所属する者達。
ただ、同じ組織と言っても
幹部、準幹部、構成員、最下級構成員と
普通なら関わりがなくてもおかしくはない
それでもこうして、
時々この場で酒を飲み
言葉を交わす。
「僕達に用事があったのですか?」
「別にないよ、ただ、そうしたらいつもの夜になるかなと思っただけさ。ただそれだけ」
そう、別に用事なんてない
それでも
なんとなく、この場に集まっていた
「何に乾杯するんです?」
「何でもいいさ。理由が欲しい訳じゃない」
「ストレイドッグに」
“ストレイドッグに”
深夜の酒場に、
カランと4つのグラスの音が響いた
「ねえ安吾。その鞄の中に、カメラあった?」
「ええ、仕事用ですが」
太宰治にそう訊かれ、
グラスを見つめたままそう答える安吾は
「写真撮ろうよ。記念にさ」
返ってきた返事に
不思議な顔で太宰の方を見た
「記念?」
「なんの記念だ?」
同じく、隣にいた織田作之助も
そう問いかける
「ここに4人が集まった記念。」
『それ、いつものことじゃん。まあでもたまには良いかもね!』
そう言って笑い合う
ポートマフィア幹部の太宰と
その凖幹部の夢月沙羅。
それを見た安吾は
カメラを取り出そうと鞄に手を伸ばした
「幹部殿の仰せのままに」
「かっこよく撮ってよー?このアングルが男前に撮れる」
『じゃー私の事もカッコよく撮ってね!』
太宰と織田作の写真を1枚撮った後
沙羅を撮ろうとカメラを向けると
笑顔で安吾の方を向く沙羅がいた。
「……可愛く、ではなく?」
『うん。カッコよく!』
「沙羅をカッコよく撮るのは難しいんじゃない〜?だって沙羅はどこから見ても可愛いからね」
『ちょっと治、それ褒めてるの?貶してるの?』
こんな会話が、ずっと続けばいい
この時間が、ずっと________
「何故急に写真なんだ?」
「今撮っておかないと、我々がこうやって集まったという事実を残すものが何もなくなるような気がしてね。織田作、カメラ」
最後に4人でカウンターに並んで
写真を撮った
ポーズを決める訳でもなく
ただ4人が並んでいる写真
ほんのささいな、一枚の写真。
今この時間を、忘れないように
この時を、残して置けるように
太宰治______
能力名『人間失格』
坂口安吾____
能力名『堕落論』
織田作之助___
能力名『天衣無縫』
夢月沙羅___
能力名『仮想魔法』
________そして、太宰の云った通りになった
その日が、
我々の間にある目に見えない何かを
写真に残すことができる最後の機会になった
四人のうち一人が、
その後まもなく死んだからだ