私がもっと、強かったら
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あの一連の出来事の黒幕は
ポートマフィアのボス、森鴎外だった
安吾が異能特務課だと知っていて
ミミックに潜入させ、
政府機関とも衝突しかねないミミックを
マフィアによって壊滅させる方向へと仕掛けた
その対価に、
“異能開業許可証”を手に入れた______
___________あれから2週間。
『はぁ……もう、なんで治の仕事を私がやらなくちゃいけないの!』
沙羅は何故か太宰がやるべき
書類整理の仕事をやらされていた。
『しかも、突然居なくなるとかホントありえないっ!』
ドサッと勢いよく
太宰の残して行った大量の書類を
机の上に叩きつける。
_____________あの日、
織田作が亡くなった次の日から
太宰は突然姿を消した。
何処で何をしているのか、
それは誰にも判らない
『………何も言わずに居なくなるとか…あり得ないからっ…』
そっとソファーから立ち上がり、
執務室の大きな窓ガラスの前に立つ
外を見れば、ヨコハマの綺麗な夜景が
視界一面に広がっていた
この広い世界で、たった1人
この場所に取り残されたみたいに
《ガチャ》
後ろからドアの開く音が聞こえて
振り返ってみれば、
そこには中也の姿があった
−中也side−
「沙羅……?」
最近姿を見ないと思えば
沙羅はあの日からずっと
自身の執務室に籠りっきりだと聞いた
構成員が云うには、
執務室から出ては来ないが
問いかけへの返答はしてくれていたらしい
そして沙羅は元気そうだった、と
「……どう見ても元気そうじゃねぇだろ」
扉を開けて執務室の中に入れば
大きな窓ガラスから外を眺める
沙羅が、俺の方へ振り返った
そして、沙羅の瞳からは
一筋の涙が溢れていてた。
綺麗だと、思った
『っ!……中也、何か用事?』
俺がここに居る事を理解した沙羅は
涙を隠すように後ろを向くと
明るく俺にそう言った
「無理してんじゃねぇよ」
『無理なんて、してないよ』
嘘だ。
今まで一度だって、
沙羅が泣いている所なんて見たことがない
一度だって、涙を見せなかった
でも、沙羅は今泣いていた。
それだけで沙羅の心が
どれだけ追い詰められていたのか、
理解するの時間はかからなかった。
いや、沙羅が一度も
涙を見せなかったは、
沙羅が人前で泣かないように
していただけなのかもしれない
つまり…
今までもこうして一人で
泣いていたのか……?
そんな考えが頭に浮かんできた俺は
頭で考えるよりも早く体が動いて
沙羅を抱きしめていた
−沙羅side−
『……!』
私は突然、中也に抱きしめられた
ギュッと、力強く
『痛いよ、中也』
思わず涙が溢れそうになったのを
誤魔化す為に、
いつものように笑顔を作ろうとした
けど、今の私に
綺麗な笑顔は作れそうになかった
「俺の前で無理すんじゃねぇ。泣きたけりゃ泣けばいい。…俺が側にいる」
抱きしめられたまま頭を撫でられて
堪えていた涙が、一気に溢れ出す
『…中也にはホント…敵わないなぁ……』
中也の洋服の袖を、ギュッと掴んだ
体重を預けて、下を向けば
もう涙が止まらない
私の頭を撫でる中也の手は優しくて
少し、心が軽くなった気がした。
人前で泣くなんて、いつぶりだろう
私は中也の腕の中で声を殺して泣いた。
そして中也は、私が落ち着くまで
何も聞かずにただ私の事を抱きしめてくれた