これが私のスタートライン
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「あくあ少女?」
『俊くん?!』
「懐かしい歌声だな」
突然自分の名前を呼ばれてハッと振り返ると
そこにはNO.1ヒーロー、オールマイトがいた。
彼とは色々あって幼い頃からの知り合いだ。
なんでそんな有名なプロヒーローが
こんなところにいるのか、
とか聞きたいことはあったけど、それよりも、
『オールマイト…私、今からでも、
自分の意思でヒーローを目指してもいいのかな?』
私はNO.1ヒーローオールマイトから、
この質問の答えを聞きたかった。
私が雄英に入ったら
NO.1ヒーローはどう思うだろう。
『って、変なこと言ってごめん。今の忘れて!』
答えが聞きたくて聞いたはずなのに
自分で遮ってしまった。
聞くのが、否定されるのが、怖かった。
こんなこととっくに分かっていたけど
心のどこかで私はきっと、
ヒーローに憧れている。
「あくあ少女は、
ヒーローになれるだけの個性を持っている。
もし君がヒーローになりたいと思うなら、
きっと君は強いヒーローになれるぞ」
『…でも私の個性は…』
「いつまでも過去に囚われていちゃダメだ。
少しの勇気で、君の世界は変わるかもしれないよ。」
オールマイトがそう言ってくれて、
私の心はすこし軽くなった気がした。
こんな私でも、
ヒーローを目指していいのかな___________
そこで私が口を開こうとした瞬間、
男の子の声が耳に入ってきた。
「はぁ、はぁ……オールマイトっ、
ランニング、完了しました!」
その子は全速力でここまで走ってきたようで
すごく息が切れている。
彼の言動からすると、
彼とオールマイトは知り合いなのだろう。
きっと弟子か何かだ。
「おつかれ、緑谷少年!
では早速次の特訓へ行くぞ!」
「はいっ!!」
え?ちょっと待って??
この子めちゃくちゃ息切れしてるし
すごい疲れてそうなのに休憩挟まないの?!
そうツッコミたくなった。
オールマイトに緑谷少年と呼ばれた
目の前にいる男の子は
どう見ても疲れているように見える。
「ではあくあ少女、すまないが今は少年への特訓があるからここで失礼するよ!」
そしてオールマイトは私に背を向け
男の子の方へ駆け寄っていく。
私はその背中を見送る。
わけがなかった。
私の性格上こんなぼろぼろの人を
見て放って置けるはずがない。
『ちょ、あの、ちょっと待って!?』
「どうしたんだ?」
『彼、すごく疲れてる。少しも休憩挟まないの?』
見たところ男の子に体には
至る所に擦り傷があるし、
まだ少し息が上がっている。
そして、彼の表情を見た私は
放って置けるはずがなかった。
「あ、あの!…お気遣いありがとうございます。でも、僕は大丈夫です!もっともっと、頑張らないと…!」
「少年もこう言っている。彼の体が壊れないようプランは私が考えているし、大丈夫だ」
『…そうじゃなくて!彼、体もだけど、心がすごく疲れてるように見える』
「…え?」
彼の表情、一見力強い眼差しで
やる気に満ち溢れたように見える。
けれど私には何かに
追い込まれているように見えた。
その感情は何かを目標にする上では
すごく大事なことだと思う。
けどきっと彼はそれを長いこと続けている。
長期間その感情に追い込まれ続けるとどうなるか、私はよく知っている。だからこそ放っておけなかった。
(人に個性を使うのは久しぶりだけど……多分大丈夫)
私は胸に手を当て、大きく息を吸い込み歌い出す。