無防備すぎるお前が悪い
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−あくあside−
『はぁー、まさかあんなに雨降ってくるなんて思わなかったよ。お陰で制服もびしょ濡れだし…』
私はお風呂からあがると
雨に濡れた制服をハンガーに干す。
(これ明日までに乾くかな?…いや、乾かないな絶対)
制服と睨めっこしていてもどうにもならないので
髪の毛を拭くためにタオルを手に取り
ソファーで待つ轟くんの元へ戻る。
『轟くん、お風呂どうぞ……ってどうしたの?』
リビングに戻るとソファーに座る轟くんが
自分の左手を見つめて
どこか険しい表情をしていた。
私が話しかけたことに気づいていないのか
轟くんは無言のままだ。
『轟くん?』
私はソファーの隣に座るともう一度名前を呼ぶ
「…海凪。」
『そんな険しい顔してどうしたの…?』
「海凪は…自分の個性、どう思ってる?」
『自分の個性…?』
“どう思ってる”って、どういう意味だろう。
(好きか嫌いかってこと…?)
私が脳内で考えてる間にも
轟くんは真剣に私の返答を待っている。
『えっと…好きか嫌いかってことなら…どっちかといえば、“嫌い”かな』
「そう、なのか…?!」
私の返答がよほど意外だったのだろうか、
さっきまでの険しい表情とは一転して
轟くんは驚いた表情をしている。
『私…自分の個性のせいで、周りからヒーローへの道を強要されてさ。将来を勝手に決められて、勝手に特訓させられて、昔は正直こんな個性なければよかったって思ってた。』
これがもしヒーロー志望の子なら
喜ぶべき出来事だと思う。
でも、ヒーローを志望してなかった私にとっては
将来のレールを一つに決められて、
自分の個性にうんざりしてた。
『…でもね、今は自分の意思でヒーローを目指してる。いつか、自分の個性を好きになれたらいいなって!たとえ好きになれなくても、誰かのために使えるならそれは私がヒーローを目指す理由になる。』
「海凪は、強いんだな」
『強い?…私が?』
何に対してに強いなのかは分からないけど、
私は全然強く無いと思う。
たしかに今は少しマシになったかもしれない、
けど昔の私は強いなんて言葉と正反対だった。
「自分の個性が嫌いでも、ちゃんと向き合おうとしてる。そんなお前は強ぇよ。…俺には出来ねぇことだ」
俺には…ってことは、
轟くんもなにか抱えているのだろうか。
今の彼の表情は険しいというか、
どこか切ないように見える。
『轟くんも、自分の個性あんまり好きじゃ無いの…?」
「あぁ。…俺もお前と同じで幼い頃からヒーローへの道が決められてた。個性のせいでな」
轟くん、半冷半燃なんて
最強かよって感じの個性だし
すごいなぁって思ってたけど、
やっぱり人それぞれ抱えてるものがあるんだな
『そっか…でも、その個性でよかったって思える日がいつか来るといいね。』
「…そうだな」
心の籠ってない返事。
どんな事情があるのか知らないから
あまり踏み込めないけど、
たぶん私より相当拗らせてるのは伝わってくる
『私達…抱えてるものは違っても、ちょっと似た境遇なのかもしれないね。』
「………あくあ」
『え?』
「あくあって呼んでもいいか…?」
『う、うん!いいよ?』
(びっくりした…!急に名前で呼ばれたから…)
「俺のことは焦凍って呼んでくれ」
『わかった…!』
私と焦凍くんの間にふわっとした
暖かい空気が流れる。
(なんだかちょっと仲良くなれた気がするな…!)
『はぁー、まさかあんなに雨降ってくるなんて思わなかったよ。お陰で制服もびしょ濡れだし…』
私はお風呂からあがると
雨に濡れた制服をハンガーに干す。
(これ明日までに乾くかな?…いや、乾かないな絶対)
制服と睨めっこしていてもどうにもならないので
髪の毛を拭くためにタオルを手に取り
ソファーで待つ轟くんの元へ戻る。
『轟くん、お風呂どうぞ……ってどうしたの?』
リビングに戻るとソファーに座る轟くんが
自分の左手を見つめて
どこか険しい表情をしていた。
私が話しかけたことに気づいていないのか
轟くんは無言のままだ。
『轟くん?』
私はソファーの隣に座るともう一度名前を呼ぶ
「…海凪。」
『そんな険しい顔してどうしたの…?』
「海凪は…自分の個性、どう思ってる?」
『自分の個性…?』
“どう思ってる”って、どういう意味だろう。
(好きか嫌いかってこと…?)
私が脳内で考えてる間にも
轟くんは真剣に私の返答を待っている。
『えっと…好きか嫌いかってことなら…どっちかといえば、“嫌い”かな』
「そう、なのか…?!」
私の返答がよほど意外だったのだろうか、
さっきまでの険しい表情とは一転して
轟くんは驚いた表情をしている。
『私…自分の個性のせいで、周りからヒーローへの道を強要されてさ。将来を勝手に決められて、勝手に特訓させられて、昔は正直こんな個性なければよかったって思ってた。』
これがもしヒーロー志望の子なら
喜ぶべき出来事だと思う。
でも、ヒーローを志望してなかった私にとっては
将来のレールを一つに決められて、
自分の個性にうんざりしてた。
『…でもね、今は自分の意思でヒーローを目指してる。いつか、自分の個性を好きになれたらいいなって!たとえ好きになれなくても、誰かのために使えるならそれは私がヒーローを目指す理由になる。』
「海凪は、強いんだな」
『強い?…私が?』
何に対してに強いなのかは分からないけど、
私は全然強く無いと思う。
たしかに今は少しマシになったかもしれない、
けど昔の私は強いなんて言葉と正反対だった。
「自分の個性が嫌いでも、ちゃんと向き合おうとしてる。そんなお前は強ぇよ。…俺には出来ねぇことだ」
俺には…ってことは、
轟くんもなにか抱えているのだろうか。
今の彼の表情は険しいというか、
どこか切ないように見える。
『轟くんも、自分の個性あんまり好きじゃ無いの…?」
「あぁ。…俺もお前と同じで幼い頃からヒーローへの道が決められてた。個性のせいでな」
轟くん、半冷半燃なんて
最強かよって感じの個性だし
すごいなぁって思ってたけど、
やっぱり人それぞれ抱えてるものがあるんだな
『そっか…でも、その個性でよかったって思える日がいつか来るといいね。』
「…そうだな」
心の籠ってない返事。
どんな事情があるのか知らないから
あまり踏み込めないけど、
たぶん私より相当拗らせてるのは伝わってくる
『私達…抱えてるものは違っても、ちょっと似た境遇なのかもしれないね。』
「………あくあ」
『え?』
「あくあって呼んでもいいか…?」
『う、うん!いいよ?』
(びっくりした…!急に名前で呼ばれたから…)
「俺のことは焦凍って呼んでくれ」
『わかった…!』
私と焦凍くんの間にふわっとした
暖かい空気が流れる。
(なんだかちょっと仲良くなれた気がするな…!)