春なのに、あつい
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「…そういえばなんで今プールにいるんだ??その姿で泳ぐためか?」
『それはね、私冷たい水に浸かると個性というか体力というか、なんか、元気になるんだよね!だから…ちょっとした休憩みたいな?』
私が暑さに弱いことも
個性のことも知っている学校側は
プールの使用許可もすんなり出してくれたし
せっかくだから行ってみようと思ってここにいる
「そうか、そろそろ帰るのか?」
『うーん、そうだね、十分休憩したしそろそろ帰ろうかな!』
「じゃあ…廊下で待ってる。」
そう言った轟くんは立ち上がり、
身だしなみを整えると
プールサイド入り口の扉に手をかける
『…待ってるって何で?』
「帰り、送ってく。また暑さで倒れそうになったら心配だしな」
『えっわざわざ送ってもらうなんてなんか申し訳ないよ…!それに私この程度の気温で倒れたりしないし!』
わざわざ送ってもらうのは気が引ける。
そして私そこまで体弱くないから!!
というささやかな抵抗の言葉を添えておいた。
「いや、心配なのもあるけどただ俺が送りたいから送る。」
−轟side−
俺はそのまま返答を待たずに
プールサイドの扉から廊下に出た。
放課後なので廊下には誰もいない。
ふう、と一息つくと扉の向かいの壁に寄りかかる
人魚、か…。
どうりであいつは美人なわけだ
人魚って美人なイメージあるし
ただ、もっと自分に自信持てばいいのに。
それにしても、
やっぱり見覚えがあるんだよな
海凪のあの色の目。
海みたいな色って思ったのは
初めてじゃない気がする。
でも、なんでかは分からない。
海凪と会ったのは昨日が初めてのはず。
『轟くんお待たせ!ほんとに待っててくれたんだね?』
廊下で1人頭を悩ませていると
丁度そのタイミングで制服に着替え終わった
海凪がプールサイドの扉から出てきた。
「なぁ、お前昔どこかで俺と会った事ないか?」
突然すぎるこの質問。
自分でもなんでこんなこと言ったのかわからない
会ったことなんてあるはずないのに、
海凪からすれば何言ってんだ、
と思うだろう。
『え??…う〜ん、会ったのは昨日が初めてじゃないかな?』
「そう、だよな。変なこと聞いて悪い。…じゃ、帰るぞ」
海凪も昔会ったことなんて無いと言っている
なのにこの不思議な感覚はなんなんだろう。
どこかモヤモヤした感覚のまま
俺と海凪は並んで歩き出した。
学校を出てから何分くらい経っただろうか
海凪を送るために家に向かっている途中、
頬に冷たい水滴が垂れてきた。
徐々にその回数は増えていき、
上を見上げると空は雲がかかっていて
雨が降り出しているということが分かる。
「雨か…」
(まずいな…俺傘持ってねぇ)
というか朝から太陽出て
めちゃくちゃ晴れてたのに
急に雨が降るなんて思わないだろ普通。
海凪も傘は持ってないようだし
最悪俺は全然濡れてもいいが俺が傘を持っていないと海凪に傘をさしてやれない。こうしてる間にも雨はどんどん強まっていく。
『轟くん!私の家もうすぐだから走ろ!!』
「え、おい待て海凪…!」
海凪が突然走り出したもんだから
とりあえず俺も追いかける。
とりあえず追いかけたはいいが、
『風邪ひいたら困るから、とりあえず家あがって!!』
流れでそのまま海凪の家にあがってしまった。
(こいつ…一人暮らしみたいだな。一人暮らしの女子が男家にあげるとか、少しは警戒しろよ…)
家に人はいないし、
靴も海凪のものしか置いてない。
多分一人暮らしをしてるんだろう。
男を家にあげる時点で
警戒心なさすぎだと思うけど
一人暮らしで家に入れるとか
本当に警戒心がなさすぎて逆に心配になる。
『はい、これ使っていいよ』
そう言って差し出されたのは一枚の白いタオル。
「あぁ、ありがとう」
お互い雨水を制服の上から
被りに被ったもんだから
頭から足の先まで雨でびしょ濡れだ。
タオルで洋服を軽く拭いてから
一番雨を被った髪の毛を拭く。
「
なんか…お前今日の戦闘訓練の時もびしょ濡れだったよな」
『えっ?あ〜…あれは仕方ないの!それより、このままじゃ風邪ひいちゃうしよかったらお風呂入ってきていいよ』
(え…いや、それはありがたいが…普通、そんな簡単に風呂まで貸すか…?)
「あー…俺は個性の炎であったまれるから、海凪先入ってこいよ。お前に風邪ひかれたらそれこそ困る。ここ海凪の家だし」
『…そう?じゃあ、なるべく急ぐから私先入ってくるね!』
海凪はタオルを手に持ったまま
お風呂場へ向かい俺は左で小さく炎を出し、
雨に濡れた服が乾くようにそっと近づけた。