ヒーロー科と新たな出会い
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廊下を歩いていた私はある階段の前で
立ち止まってから一歩踏み出した
ギィィィィと重い音の鳴る扉を開けると
そこは雄英高校の校舎の屋上。
(広い…思ってたより3倍は広い…)
屋上にはゴミ一つ落ちていないし、
他の生徒は誰もいない。
(まぁ…普段は立ち入り出来ない屋上を貸切で使わせてもらえるように頼んだからなんだけど…)
『うんっ!ここなら人目を気にせず練習できる!』
練習…とは“歌”の事。
治癒の力を使うにはどうしても歌わなければならない。
正直今まで個性をあまり使ってこなかったから歌の練習なんて一切してないしノリでやり過ごしてきた。だから下手な歌は歌いたくないというプライドはある。
まあそれは個人的意見として、治癒の力を使っても倒れないように少しずつ個性を使うトレーニングをすることが目的だ。ここならもし倒れてしまっても私が教室に戻って来なければ先生方が探しに来てくれるから安心して練習できる。そういう理由で校長がこの場を貸してくれたのだ。
–爆豪side−
ついさっき食堂から出てきた
海凪とすれ違った。
軽い足取りで走っていって
廊下の突き当たりで止まると、
そのまま階段を上がって行くのが見える。
(ん…?階段…あんなところにあったか?)
好奇心かなんなのか、
俺は気がつくと体が勝手に彼女を追いかけていた
そのまま海凪が登って行った階段を登ると
目の前には大きな扉がある。
(何だ?ここ)
錆びた重い扉のドアノブに手をかけ
扉を開こうとしたその時、
扉の向こうから歌声が聞こえてきた。
どこかで聞いたことがあるような、
それでいて心が癒されるような、そんな歌声
この歌を誰が歌っているのか知りたい、
もっと近くで聴きたい
無意識にそう思っていた俺は扉を開けた。
扉の先は屋上だった
屋上の端の手すりにもたれかかって
歌を歌っている生徒を除いて
その場に他には誰もいない。
そしてその生徒は背を向けたまま歌っているので
俺がここにいることに気づいていない
(黄色いさらさらロングヘアー…)
やっぱりアイツか。
「おい、モブ女_______」
声をかけようと伸ばした手を、
何故か引っ込めた
いや、理由は明確
もっとこの歌声を聴いていたいと思ったから
人の歌を聴いてこんなにも
心が癒されるなんて初めてだ
(心が…癒される…?あれ、1年前にも同じようなことがあった気が…)
一年前のあの日…
ヴィランに襲われたあの日…海岸で…
『ってあれ?!な、え、爆豪くんなんでここにいるの?!?!』