Shining on
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今日のバイトは金曜日にもかかわらずあまり忙しくなかった
世間では給料日前らしい
いつもより早めに上がらせてもらい、いつもの道を歩いていると少し先にトレンチコートを着ている男性が見えた
4月下旬の今、日中は暖かいが夜になるとまだ肌寒いしコートを着ていてもおかしくはないが、そこで佇む姿に違和感を感じた
そういえば米屋先輩が変質者が出るって言ってたような…
いや、まさかこんなところに出るわけないか
携帯を見ながら気にせず通り過ぎようと足を進めると急に目の前に立ちはだかるため思わず目線を上げる
「僕の…どうかな?」
目の前には高揚した顔でコートを広げた男性の姿が…
そのコートの中は布を一枚も身につけていなかった
『…え、ちっさ』
ポーク○ッツかよ
「んんん!もっと言ってくれる?!」
『はっ、ちょっと、何この人…!』
つい本音が出てしまったが相手には逆効果であり、さらに興奮していた
思わず後退りすると相手も一歩近付いて来るため身の危険を感じ、すぐさま振り返り走り出す
「待ってくれよぉ」
『待つわけないでしょぉぉ!』
全力で走るも帰宅部の体にはキツく、ペースが落ちる
やばい…疲れてきた…
後ろを見ると思ったより近くに男性が迫ってきており思わず叫んでしまう
もう追いつかれちゃう…
思わず目からは生理的な涙が溢れそうになり視界が歪む
それに加え、久しぶりの全力疾走に足が付いて行かず転んでしまった
「はぁはぁ、やっと追いついた」
「い、いや…来ないで…!」
しかも見えてる!おじさんの息子が見えてるから!
「おいおいおっさん、何してんだぁ?」
後ろの曲がり角から出てきた3人組が驚愕した顔で駆け寄ってくれ、男性は後退りする
「大丈夫か?」
「すごい場面に遭遇しちゃったねー」
1人はしゃがんで背中に手を添えてくれ、もう2人は私から男性を視界に入れないように前に立ってくれた
しかもその2人は身長が高くガタイも良いため男性は萎縮し、すごい速さで逃げていった
「おいこら!待ちやがれ!」
「当真よせ!深追いは危険だ」
追いかけようとした当真と呼ばれた彼は大きな舌打ちをしこちらを振り返る
「おじょーちゃん大丈夫かぁ?」
『あ、はい。大丈夫です』
リーゼント…?
「膝怪我してる」
「本当だ痛そう!タオルあったかな…」
「俺持ってる。とりあえず洗い流さないとな…これまだ飲んでないやつだから安心してくれ。痛いかもしれないが我慢な」
膝に水をかけられ痛みに思わず声が出る
謝れるが首を振り、されるがまま大人しくしていると膝にタオルを巻かれ処置は終わったようだ
歩けるか?と差し伸べられた手をとり立ち上がる
『すみません、タオル新しいのでお返ししますね』
「いや、気にしなくていい」
「ヒュー、さすが鋼君は男前だねぇ」
「揶揄うなよ」
「ところでおじょーちゃん、その制服ってことは後輩だな。1年か?」
『あ、はい!1年のみょうじなまえです!助けていただいてありがとうございました』
3人は同じ高校の3年生で北添先輩、村上先輩、当真先輩だと教えてくれた
この後も危ないからと家まで送ってくれその優しさに何度も頭を下げる
後から帰ってきた母にこの話をしたところ、一応心配はしてくれたがお礼をしたいから必ずお店に誘うよう圧をかけられた
もちろんそのつもりだが生憎連絡先どころかクラスもわからない…
確か先輩達もボーダー隊員って言ってたし、月曜日に学校行ったら義人君に聞いてみよう
あ、明日お詫びのタオル買いに行かなきゃ
-おまけ-
「あんなおっさんに追いかけられて災難だったな」
「怖かったでしょー。ゾエさんならトラウマになるよー」
『正直怖かったです…でも私も変に反応しちゃったのがいけなかったのかなって』
「変なって?」
『あー、つい“ちっさい“って言っちゃったんですよね…』
「…」
「…」
「…」
『なんかすいません…』