廃校舎から脱出せよ
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「よし、開けるか」
『ちょっと待ってください!』
「ん?なんだ」
『こんな場所やし、念のため武器になるような物持っといた方がええんちゃいます?』
「え、何か出てくるの?!」
『わからへんけど!』
取り敢えずそれぞれが武器の代わりになるような物を探す
岩泉さん、青根君は素手(さすがです)、及川さんはバスケットボール、川西君はコーン
…コーン?
そして、
「なんでハンドル?」
『これ硬いし投げて当たれば多少の傷は負わせられるやん?』
手に持ったハンドルをくるくる回していると怪奇的な目で見てくる川西君から顔に似合わず狂気的だな、と褒め言葉をいただきいざ扉の前へ
−ガチャ、ガチャ
『…いや、開かへんのんかーいい!!』
「ナイスツッコミ!」
及川さんが親指を立ててくる
鍵は入るが回らず…
ここは開く流れやん!ほんならこれどこの鍵なん?!
「やっぱり壊すしかないか」
腕まくりする岩泉さんを及川さんが全力で止める
そういえばヘアピンあったよな…
ポッケからヘアピンを取り出し、鍵穴の前にしゃがむ
「え、待って。もしそれで開いちゃったらなまえちゃんのイメージ変わりそうなんだけど…」
『及川さん、安心してください。これで開けれても悪用せーへんので』
「その顔されるともう手遅れかもしれない」
ニヤリと笑ってみせると項垂れていた
暫くいじっていると、
−ガッチャン
『あ、開いた』
みなさん引きつった顔で拍手してくれる
「よし、今度こそ開けるぞ」
岩泉さんの言葉にそれぞれが頷く
ハンドルを持ち直し、外へ1歩踏み出すと正面には中庭があり、左右には校舎へとつながる通路があった
どちらに行くか話し合い、岩泉さんを先頭に前に川西君、後ろに及川さん、青根君の順番で右の校舎へ向かう
扉に鍵がかかっていたが、体育館で見つけた鍵で開けることができ中に入る
20mほどある廊下は右側に掲示板コーナーがあり、そこにはおそらく学校名が書かれているであろうプリントが貼られていたが破れており、名前まではわからなかったがここが中学校であることが判明した
突き当たりの左には2階へ上がる階段と廊下が続いており、右には美術室と書かれたプレートがぶら下がっていた
『入ります?』
「なにかしら手がかりあるかもな。よし、入るべ」
言い終わったと同時に躊躇なくドアを開ける岩泉さん
「ちょっと岩ちゃん?!何かあったらどうすんのさ?!」
焦る及川さんにこればっかりは同意するわ
岩泉さんほんま怖いもの知らずやな…
中に入りダメ元で電気のスイッチを押してみると明かりがついた
校舎は電気通っとんのか?
取り敢えず室内を探索してみることに
4人掛けの机が6つ、教卓が1つ、教卓後ろの黒板は使用感があり、全体的に少し埃をかぶっていた
『廃校ですかね』
「んーどうだろ。確かに暫く使ってない感じはするよね」
「あ、机の中から彫刻刀発見」
『川西君は武器を手に入れた』
「変なナレーション入れるのやめてくれる?」
緊張感ない奴だなーと呆れる岩泉さんの横で棚の引き出しを1つ1つ開ける青根君
すると1つだけ開かない引き出しがあり、岩泉さんに呼ばれる
「頼んだ」
『がってん承知の助』
もう岩ちゃん受け入れてるの?早くない?
及川さんの言葉はスルーして弄ること数分…
『開きましたー』
「早くなってるじゃん」
片手で頭を抱える及川さん
引き出しを開けてみると中には鍵とそれぞれ“1”“2”“11”と書かれた3枚の紙切れが入っていた
『この数字なんなんですかね』
「まだわかんねぇな。取り敢えず持っといてくれるか?」
『はーい』
「みょうじさんは大事なものを手に入れた」
『まさかの川西君がノッてきた』
川西君て真顔でこーゆーノリやってくれる人やったんだ
わかりにくいけど実はおもろい人なんやね
紙をズボンのポッケに入れる
それからは特に何も見つからず、そろそろ出るかーとドアに向かうと後ろの方で物音が聞こえた
他の人は聞こえなかったようで、勢いよく振り返るとビックリした様子の及川さんと目があった
「えっ、なまえちゃんどうしたの?」
『今…物音聞こえませんでした?』
「いや、特に聞こえなかったけど」
気のせいか?
前を向き直し、歩き出すとまた物音が聞こえ勢いよく振り返る
「ちょっとまた?!及川さん怖いんだけど!」
振り返ると何も音はせず…
ん?ちょお待って?
あの石膏像ってこんなとこあったっけ?
教室の隅に置かれていたはずの石膏像は教卓の横に移動していた
その事実に気付いてしまい、冷や汗が流れる
「みょうじ?どうした?」
声を掛けてくれた岩泉さんの腕を掴み、石膏像を指差す
『あれ…移動してません?』
「は?んなわけ…」
みんなが注目すると突然ガタガタと揺れ出した
『ぎゃー!!』
思わず持っていたハンドルを全力で投げると及川さんの顔真横を通過し、見事石膏像の顔面にヒット!
ガラガラと崩れ落ち、動かなくなった
『ハンドル持ってきて正解やったわ…』
「使い方ちげぇけどな」
「今の一体何…」
『及川さん、ハンドル回収してくれません?』
「いやだね!また動いたらどうすんの?!」
『また投げればええですやん』
「そんな真顔で言われても!」
ギャンギャン騒ぐ及川さんを横目に青根君が回収してくれてお礼を言い受け取る
「おら、静かにしやがれ。次行くぞ」
岩泉さんに引きづられる及川さんの後に続き今度こそドアに向かう
(ってゆうかなまえちゃん、次からハンドル投げる時は言って?顔当たるかと思ったよ)
(緊急事態やったし仕方ないですやん)
(そんなんいちいち言わなくていい。及川の顔にだって当たってもいいぞ。むしろ当ててやれ)
(ちょっと岩ちゃん酷くない?!)
(わかりました)
(そこはわかったらダメ!)
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