青春は待ったなし!
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青城との練習試合が終わり、学校に戻ると体育館で軽くミーティングが行われた
片付けをしてから解散することになったが、モップを持ったまま眠る日向に力が声をかける
その様子を笑いながら写真に収めるなまえ
「清水ももう帰ったし、なまえももう帰っていいぞー。後の片付けは俺らでしとくから」
『大地さんほんまですか?ならお先に失礼させてもらいますね!」
お疲れ様でした〜と声かけて体育館を後にする
今日はいろんな意味で疲れた気がする…
こんな日は辛いものでも食べて帰ろうかな
前すがさんに教えてもらった激辛メニューがあるあの店に行こーっと
ーーー珍道中
「いらっしゃい!」
『すみません、1人ですけどいけますか…げっ」
「「あ」」
店に入るとテーブル席にはつい数時間前まで練習試合をしていた青城3年4人の姿を見つけ
『失礼しましたぁ〜』
「いや、ちょっとドア閉めないで!なまえちゃんだよね?!」
最悪やん
なんで及川さんまでいるん…
帰りたかったがお腹が空いているので諦めて店内に入り、他の3人にお辞儀しカウンターへ座る
『おっちゃん、激辛麻婆豆腐定食1つ』
「あいよ!」
後ろは気にせず料理が来るまで携帯でも見とこ
「なまえちゃんもここよく来るの?」
及川さんがニコニコしながらさりげなく隣に座ってきた
『え、なんすかいきなり。及川さんまだ食事中ですよね?』
「そうなんだけど、あ!ここで一緒に食べようかなー?」
『ほんま無理っす』
真顔で答えると後ろの3人が同時に吹き出す
「及川拒否られてんじゃん!」
「ざまぁ」
『…笑ってないで助けてくださいよ』
「クソ川がすまんな」
「ぐえっ」
この人確か1番さんよな?及川さんの首根っこ掴んではる…
『ありがとうございます。えっと…』
「岩泉だ」
『岩泉さん、ありがとうございます」
「ちょっと岩ちゃん!及川さんが羨ましいからって妬むのはやめてほしいねっ」
「…」
岩泉さん、目が怖いです…
気持ちはわかりますが落ち着いて…!!
「お待たせしました〜」
そこに注文していた料理が届いた
うわぁ!相変わらずめっちゃうまそう〜
疲れた時に甘いもんもいいけど、辛いのも捨てがたいんよな
いただきまーす。手を合わせ一口食べる
唐辛子の辛さの中にも旨みがあり、後から来る山椒の辛さもクセになる味であり、いつ食べても最高に美味しい
味わって食べているとふと視線を感じた
『なんれふか?』
「うん、飲み込んでから喋ろうね?」
しっかり飲み込んでから引き攣った笑顔の及川さんに再び問いかける
「なまえちゃんそれ辛くないの?すんごい色してるけど」
「なんか匂いだけでもう辛いんだが」
なぜか涙目になっている及川さんと花巻さん
松川さんは鼻をつまんでいるが岩泉さんは平気そう
『辛いけど最強に美味しいです』
「尊敬に値するわ」
『ありがとうございます?』
その後も4人のことは気にせず黙々と食べ続け、汗ひとつかかず無事完食
会計も済ませ失礼します〜と店を出るとなぜか4人も一緒に出てきた
「もうこんな時間だし女の子を1人で帰らすのは危ないから及川さんが送ってあげるよっ」
「ウィンクすんな」
「送り狼する気か」
「ぶっ飛ばすぞ」
「岩ちゃんだけ物騒だね?!」
『それはちょっと…全力で遠慮しますわ』
「全然ちょっとじゃなかった!」
及川さんのありがた迷惑な申し出を丁重に断るも他の3人が
まぁ確かにこの時間だしな
最近変質者出たんだろ?
他校とはいえ1人で帰らすのも危ないか
などと勝手に話が進み、とりあえず同じ方向の松川さんと花巻さんが送ってくれることになった
先輩なのに申し訳ない
ギャァギャァ文句を言う及川さんを強制的に引き摺りながら歩き出す岩泉さんが神様に見えて離れていく背中に向かって手を合わす
「さて、行きましょうか」
花巻の言葉で歩き出す3人
高身長の2人に挟まれて歩くと完全に囚われた宇宙人やん
思っていた事がうっかり口から出てしまい、両サイドが吹き出す
その後は意外にも会話が弾み、あっという間に自宅であるマンションまできた
『お疲れの所わざわざありがとうございました』
「どーいたしまして」
「あ、連絡先教えてよ」
『いいですよ〜』
2人と連絡先を交換し、もう一度お礼を言ってエントランスへ向かう
振り向くと2人がまだこちらを見ていたので手を振ってみたら振り返してくれた
エレベーターを待っていると携帯の通知音が鳴った
画面を見ると先ほど登録したばっかりの花巻の名前が表示してあり、タップして中身を確認してみると
“そういえばほっぺに赤いの付いてるよん“
え゛っ嘘やん!
なんで今言うん?!
慌てて鏡で確認すると確かにほっぺにラー油が少し付いていた
“なんでお店で言うてくれなかったんですかー!!“
すぐに返信すると可愛いうさぎがついたごめんね?のスタンプが送られてきた
いや、花巻さんとスタンプとのギャップえぐいな!
拭くものを持っていないので誰にも出会いませんようにと願いながらエレベーターに乗り込んだ
ーーー
(絶対及川からなまえちゃんちどの辺だったか連絡くるよな)
(間違いない)
ーピコン
(“2人ともずるいよー!なまえちゃんちどの辺だったか詳しく及川さんに説明しなさい?“)
(早速来た)
(さすが期待を裏切らない男)