青春は待ったなし!
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『うちな、引っ越すことになってん』
「...は?」
「いきなり何言うてん」
練習終わりの日が沈みかけた頃、2人と並んで歩いている時に告げたら案の定顔をしかめる双子
『お父ちゃんの転勤でな?宮城に行く事になってん』
「...宮城ってどこや」
「知らん。左の方ちゃうか」
『あんたらアホなん?宮城は右の方や!』
地理の授業で習ったやん!
いや、習ってへん!
うそや!ツム寝とって聞いてへんだけやろ!
はぁ?!寝てへんしぃ~だいたい右ってなんやねん!
サムが左ゆーからやん
はぁ?!俺のせいにすな!
こんな風にぎゃあぎゃあ騒ぎながら通学路を歩くのが好きだった
この2人はどう思っているかはわからんけど、同じ気持ちだったら嬉しいな
家まであと数mのところでふと立ち止まる治に気づいて思わず首を傾げた
『ん?サムどうしたん?』
「...さみしくなったらいつでも電話してきてもええで。しゃーなしやけどな」
目線を横にしながら言う治の思いがけない言葉に思わず目を見開いてしまった
彼の気持ちがこしょばしいけど、どこかあたたくて胸が熱くなった
『ありがとね』
治の顔がほんのり赤く見えるのはきっと夕日のせい
----引っ越し当日
駅のホームには双子の姿があり、なんとも言えない表情で立っている
「ん、これやる。俺らからの餞別や」
ぶっきらぼうに差し出された侑の手にはバレーボールを持ったキツネのキーホルダーがあった
『なにこれ!めっちゃ可愛いやん!!』
「「せやろ!」」
探すの大変やったんやで!とドヤ顔をする双子
わざわざ自分のために探し回る双子の姿を想像して思わず笑ってしまった
きっと喧嘩しながら決めたんやろな~と手元のキーホルダーを眺めていると、発車の合図が鳴る
慌てて車両に乗り込み二人と向き合う
『ほな、またね』
「おん」
「またな」
手を振れば振り返してくれる二人
そしてドアが閉まり動き出す
指定された座席に戻りもらったキーホルダーを両親に自慢する
絶対なくさへん!と心に決め、すぐに鞄につけた
別れのさみしさもあるが、これからの生活に胸を弾ませながら静かに目を閉じた
---
(…行ってもうたな)
(…まぁ静かになっていいんちゃうか)
(嘘こけぇ、本当は寂しいくせになに強がっとん…涙出てんで!)
(はぁ?!出てへんし!お前の方こそ寂しくて泣いとんちゃうんか!)
(ちゃうし!ゴミが入っただけやし!)