鬼滅の刃
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こんにちは。善逸です。
俺今すごい手足が短いの。
蜘蛛になりかけたからね。
薬をたくさん飲んでお日様の光たくさん浴びて治療中。
後遺症は残らないって。
完全に蜘蛛にされちゃった人達は人間に戻れても後遺症が残るかもしれないみたい。悲しい。
しのぶさんっていう人の音は独特なんだよな。
今まで聞いたことない感じだ。
規則性がなくてちょっと怖い。
でも蜘蛛にされた人達を治療してる時は女神のようだったな。
みんな泣きながらしのぶさんの所に行ってたからな。
そしてめちゃくちゃ可愛いんだよ。
顔だけで飯食っていけそう。
でもそれ言うなら○○もむちゃくちゃ可愛いんだよな。
顔だけで天下取れそう。まじで。
世界平和だな。
あいつが一番可愛い。男だけど。
しのぶさんに体力を元に戻すための、機能回復訓練へと連れていかれた炭治郎達がものすごくやつれて戻ってくるんだけど。
「何があったの?どうしたの?ねえ」
「………ごめん」
俺に小さな声で返事をした炭治郎はそのまま疲れて眠ってしまった。
体力オバケの伊之助でさえベッドに倒れこんでいる。
教えてくれよ!!明日から俺も少々遅れて訓練に参加するんだからさ!!
「てか何で○○は平気なんだよ!!ほんとに何してんだよ!!」
『…善逸、明日から頑張ろうね!』
べそをかいて尋ねても○○はニコニコして何も教えてくれなかった。
ちくしょう可愛いなこの!!!
次の日、善逸は○○の背中にひっついて泣きながら訓練場へと向かった。
訓練場に着くなり、○○はアオイに呼ばれアオイの隣に立った。
「善逸さんは今日から訓練に参加ですのでご説明させていただきますね。まずあちら、寝たきりで硬くなった体をあの子たちがほぐします」
アオイが指した方向には布団が敷いてあり、その周りを囲うように待機する三人の少女の姿があった。
炭治郎達はここで地獄を見たのだ。
「それから反射訓練。湯飲みの中には薬湯が入っています。お互いに薬湯をかけ合うのですが、湯飲みを持ち上げる前に相手から湯飲みを押さえられた場合は湯飲みを動かせません」
「最後は全身訓練です。端的に言えば鬼ごっこですね。私アオイとあちらのカナヲ、そして○○さんがお相手です」
アオイの言葉に炭治郎と伊之助は青ざめて黙り込み、善逸は白目を向くと深刻そうに声を上げた。
「すみませんちょっといいですか?」
「?何かわからない事でも?」
「いやちょっと」
アオイの問いに素っ気なく答えると、善逸はふらりと立ち上がった。
「来い二人とも」
「?」
「行かねーヨ」
動かない二人に善逸がキレた。
「いいから来いって言ってんだろうがアアア!!」
「『!?』」
「来いコラァ!!!クソ共が!!ゴミ共が!!」
突然怒り狂った善逸にカナヲ以外の全員が驚いた。
善逸はそれを気にせず、炭治郎と伊之助を引っ張り外へと連れて行ってしまった。
直後、善逸の下心丸出しの叫びが外から聞こえてきた。
○○は冷や汗が背中を伝ったのがわかった。
思わず口をきゅっと閉める。
善逸の欲望丸出しの叫びは全て聞こえており、カナヲ以外の女子がブチギレていたからである。
訓練場へと戻ってきた三人は、炭治郎を除いて非常に気合いが入っていた。
まったく伊之助は何に鼓舞されたのやら。
善逸は体を強く揉みほぐされる中、激痛が走っても嬉しそうに笑い続けた。
只者ではなかった。
さらに薬湯ぶっかけ反射訓練ではアオイに勝ち
「俺は女の子にお茶をぶっかけたりしないぜ」
とカッコつけてみせた。
しかし、善逸の心の言葉を知っている女子達は厳しい目で善逸を見つめた。
○○は汗を垂らし苦笑するしかなかった。
善逸は全身訓練の鬼ごっこでも勝ち星をあげたがアオイにぶたれまくりボッコボコにされた。
それでも彼は嬉しそうであった。
本当に只者ではなかったらしい。
続いて負けず嫌いの伊之助。
伊之助は反射訓練で思いっきりアオイに薬湯をぶっかけ、鬼ごっこでは彼女の足首を掴み、逆さまに持ち上げる始末であった。
○○は伊之助の頭を下げさせ共に頭を下げた。
完全に保護者である。
しかし、炭治郎は負け続け、一人だけびしょ濡れになった。
(俺だけ負け続けてびしょ濡れ。恥ずかしい…)
落ち込む炭治郎に○○はどう声をかけたらいいか分からなかった。
ただ、善逸と伊之助が順調だったのはここまで。
カナヲと○○には勝てない。
誰も二人の湯飲みを押さえる事はできないし、捕まえる事ができなかった。
三人が落ち込んで部屋に戻っていく中、○○は一人訓練場に残っていた。
まったく喋らないカナヲと少し話がしたかったのだ。
『カナヲさんお疲れ様、少しいいかな?』
「…………」
○○の言葉にカナヲはにこりと笑うだけで何も言わなかった。
○○は眉を下げ困ったように笑った。
『私、貴女と話がしてみたいんだ…駄目かな?』
「…ううん」
○○の柔らかな物腰につい返事をしてしまったカナヲは口を押さえて酷く驚いていた。
よく知らない人物に、こんなにするりと言葉が出るのが初めてだったからである。
カナヲの返事に○○はぱっと花が咲いた様な笑顔を浮かべた。
○○は静かに隣に腰を下ろす所作でさえ美しかった。
しのぶの様な雰囲気にカナヲは思わず見惚れた。
『私の周りで全集中・常中を身につけている人はカナヲさんが初めてだったから、話をしてみたかったんだ。いきなりごめんなさい』
「い、いいえ…私は師範に言われたからやってるの。あなたもしているでしょ?」
『ええ。私はお師匠様に鍛えていただいたから』
「私もそうなの」
カナヲはすらすらと言葉が出てくる事にとても驚いたが、同時にそれが嬉しくもあった。
初めて自分で決める事ができたからだ。
何故だかは分からないが、○○と話すのは不思議と安心し、自然と素の笑顔で笑うことができた。
「すごい○○さん…カナヲがあんなに話してるの初めて見た」
楽しげに話す二人をアオイは少し羨ましく思った。
どちらに対してもそう感じた。
しばらく談笑をした○○は伊之助の気配を感じて立ち上がった。
それにカナヲが悲しそうな顔をした事に○○は気づかない。
『ありがとうカナヲさん、とても楽しかった』
「わ、私もっ…!…その、カナヲでいいわ…#da=1#]っ!」
よほど緊張したのか、顔を赤くし汗が流れるカナヲの顔を○○はぱちくりと見つめ、そして柔らかく微笑んだ。
『うん。それじゃあまた明日、カナヲ。おやすみなさい』
「!おやすみなさいっ」
嬉しそうに笑った○○にカナヲも微笑んだ。
こんなにも穏やかな気持ちになったのは初めてであった。
去っていく○○の後ろ姿を、カナヲはぼうっと見つめていた。
「遅い…」
『ごめんね、迎えに来てくれたんだ。わざわざありがとう伊之助』
「っ許す!!子分の面倒を見るのも親分の役目だからな!」
わざわざ可愛らしく迎えに来た伊之助に、○○は頬を染めて微笑んだ。
ホワホワとした気持ちになって幸せだった。
あれから五日間。
炭治郎達はカナヲと○○に負け続ける日々を送ることになった。
三人はカナヲと○○の髪一本にも触れる事ができなかった。
負けず嫌いの伊之助は不貞腐れてへそを曲げ、善逸も早々に諦めた。
二人はとうとう訓練場に来なくなった。
『…炭治郎、一緒に頑張ろうね』
「○○…ああ、ありがとう!」
しょんぼりと落ち込んだ二人はお互いを鼓舞しあった。
しかし、炭治郎は負け続けた。
そして○○はカナヲと仲良くなり、訓練後は必ず迎えが来るまで話をした。
伊之助はそれにも不貞腐れたが、それでも○○を迎えに行く事だけはやめなかった。