短編
名前
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モルガナイト、ゴーシェナイト
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「もう○○、またこんな無茶して」
「いい加減に引き際も覚えろバーカ」
『はは、わるい!』
「でた、ちっとも反省してないその顔」
「ったく、お前が開くと怒られるのは俺らなんだぞ」
『わるかったって!次はもっと上手くやるから!な!』
「とか言って」
「また開くんだろうけど」
『あはっ』
「もー、笑いごとじゃないんだぞ」
「その辺にしとけゴーシェ、何度言ったってわかんねぇよコイツは」
『モルガだって人のこと言えないくせにな』
「俺はいいんだよ!」
「ふふっ、なんでだよ」
『はははっ』
「○○」
ルチルの声にぱちっと目が覚める
あれ、俺また割れたのか
「…どうかしたんですか?ぼーっとして」
『んん、なんていうか…なつかしい夢をみた』
「…モルガとゴーシェですか?」
『うん』
医務室の寝台から起き上がり動くか確認する
もう夜か。
1時間はここに世話になってしまった
『82年…か』
思わずぽつりと口に出してしまうと、ルチルが心配そうにこっちを見た
『早いなぁ、もうこんなに経つんだ』
『ずっと戦争に出て二人を探すけど奴らはあの二人を乗せて来たことは一度もないんだ』
『もしかしたら』
もう
永遠に会えないんじゃないかって
『最近、思っちゃうんだ』
強くなるって決めたのに
『なさけない』
「…疲れてるんですよ、今日はもう休みなさい」
糊を棚にしまいながらルチルが声をかけてくれる
『うん、そうする』
気がするんじゃなくて
多分もう会えないんだ
なんとなくだけど
俺の勘は当てにならないから
一応まだ希望を持ってはいるんだけど
なんだかなぁ
『今のモルガもゴーシェもとっても可愛いしいい子だけど』
だけど
俺がそばにいてほしいのは
君たちじゃなくて…
『、ごめんな』
俺は酷いやつだ
自分の部屋に入って机の前に座り込む
フォスがやっていたように
俺も器に二人の欠片を入れて花を供えてる
おかげで部屋は花の匂いで充満してしまった
なんたって82年分だ
小さな花でもそれなりに山はできる
『あの日…二人して俺のことを庇ってくれてありがとう、そんで…』
ゴーシェは体がまっぷたつになっても、僕の前から退くことはなかった
モルガは両手片足をなくしても、俺に近づかないよう月人に叫んでくれた
俺ももうボロボロで両手、顔半分がなくて
でも足は残ってて
俺が走らざるをえなかった
でも
戻ってきた時には
もう────
『ごめんなさい……っ』
二人とも
どうか
俺を
永遠に
ゆるさないでください