仕事
名前
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ずっと回り続けて、いい加減目が回った私達のもとに金剛先生が帰ってきた。
「イエロー、今から他の宝石達の仕事を見学させてやりなさい」
「えっ、もう仕事見学させていいんですか!」
「ああ、ガーネットは覚えがよかったからな…もうあと二日もすれば、仕事もできるくらいには」
「お前ホント優秀なんだな〜お兄様たちは鼻が高いよ」
後は歩くだけだなと言って、イエローは私を地面に立たせて肩を支えてくれた。
『わっ!』
1歩ずつゆっくりなら進めるけど、いかんせん体が重すぎて感覚に慣れることができない。
前世と同じくらいの感覚じゃ全然ダメだ。
慎重に歩かないと、転けて割れる!
「そうそう、ゆっくり…大丈夫」
イエローが支えていた手を離したのがわかった。
こ、これあれだ。
幼少期にお父さんお母さんが自転車の練習させる時によくやる手離すやつ。
ゆっくり慎重に。
大丈夫 。
重りを付けられたような足をゆっくりと動かして前だけを見つめる。
1、2、1、2……
『……お、あれ?』
気がつけばすいすいと歩けるようになっていた。
パッと振り返ると、先生達との距離は50mは離れている。
『いえろー!せんせえ!あるけたよ!』
わーと2人に手を振ると、先生は拍手をして、イエローは走って迎えに来てくれた。
「よーくやったガーネット!!明日は走る練習しような!」
『うん!』
一通り休憩をして、落ち着いてから仕事見学に行くことになった。
先生はまた瞑想しに行ってしまった。
イエローから聞いたけれど、瞑想=昼寝と捉えていいそうだ。
みんなが仕事してる中、一人昼寝か。
可愛いじゃないか…
先生もしかしなくても愛されヒロインキャラだね??
「ここから一番近いのは…ユークかな」
『ゆーくれーす?』
「そうそう、ガーネットっていう愛称みたいに、あいつにもユークっていう愛称があるんだ!俺もイエローだろ?」
『へー、ゆーくってかこいいね』
「そうだな〜」
イエローさん流石に私にデレデレすぎません?
いやとっても嬉しいんだけどね。
私に合わせて、ゆっくりゆっくり歩いてくれるのとかすごい助かるけどね。
あんまりガン見されると穴あいちゃうから!
もしくは割れちゃうから!
比喩だけど!
「おーい、ユークー!」
「あら、イエローにガーネットじゃない…わっ!ガーネット!?もう歩けるの!?」
驚いたユークは駆け寄ってきてくれ、すごいすごいと言いながら頭を撫でてくれる。
『えへへ〜うん!』
「すごいだろ!もう話すことも読み書きもできるんだってさ」
「え〜!優秀なのね〜」
ユークの気が済むまで撫で回され、ようやく仕事を教わることになった。
「私のはみんなと違って少し特殊なんだけど…今日の朝礼みたいに天気を予測したり、月人が来る確率を普段のと合わせて平均を出してから、どこの方角からとか何回出現するのかを予測してみんなに指示を出すのよ。指令係みたいなものね?」
「あー…悪いユーク、ガーネットには向いてないみたいだ」
『よそく?かくりつ??』
「あらぁ?」
丁寧に教えてくれたユークには悪いが、全て呪文にしか聞こえなかった。
ごめんね頭悪くて…
「ガーネット!大丈夫!わからないなら今度じっくり1から教えるわ」
『あ、あいがとお…』
できれば遠慮する方向でいかせてもらいます。
ごめんねユークお兄様。
「じゃあ次はアレキちゃんとこ行くか」
「それがいいわね。難しいところは早めに終わらせた方が楽だもの」
『そおだね…』
ユークにバイバイと大きく手を振ってからアレキちゃんの部屋へと向かう。
「ガーネット、ここがアレキちゃんの部屋だ。覚えといて損はないぞ!アレキちゃーん入ってもいー?」
コンコンとノックしながらイエローが大きく声をかける。
「何よぉうるさいわね…あら、ガーネットもう歩けるの?」
『うん!あるけるよ』
「言葉まで覚えちゃってまあ…イエローの弟になるには勿体ないくらい賢いわねあんた」
「アーレキちゃんっお兄様怒っちゃうぞー」
「それは悪かったわ。とりあえずガーネット中にお入りなさい」
『う、うん』
アレキちゃんイエローいじるの大好きなんだね。
不貞腐れてるお兄さんも可愛いですね。
「散らかってて悪いけど空いてるとこ座って」
「掃除できないやつはモテないぞー」
「お生憎だけどモテたい宝石もいないし結構よ」
アレキちゃんは先生と同じ服を着て戻ってきた。
何故…可愛いけど。
「んー…あんまり話すことないのよね。月人の型とか性質とか研究してるだけだし…こうやってしっかりと絵を描き留めて、これを先生に提出したりしてるくらいよ」
『なるほど…』
「相変わらず絵が上手いな〜」
「ま、長くこの仕事やってたらね。月人についてわからない事があったら来なさい。きっと先生より詳しいわ」
そう言って髪を撫でてもらってから、アレキちゃんに手を振って部屋を出た。
「んー…次はラピスの所でも行くか」
『らぴす?』
「あーラピスは自己紹介の時いなかったもんな…調子悪くて部屋にいたんだよ。ゴーストもな」
『ごーすと』
「とりあえず自己紹介だなーガーネットは図書室初めてだろ?」
『としょしちゅ』
情報が多すぎて、オウム返ししかできない自分の馬鹿さに呆れた。
イエローに手を繋がれながらついたのは、目的の図書室。
「ラーピス!いるかー?」
「なんだいイエロー?」
ひょこっと本棚の奥から顔を出したのは、藍色の美しいストレートヘアの麗しいお姉さま系の宝石だった。
涼しい目元が素敵ですね…
「あれ、その子って昨日言ってた例の子かい?」
「そーそ、アルマンディンガーネットって言うんだ!仲良くしてやって。ゴーストも」
「もちろん…初めましてガーネット、僕はラピスラズリ。この図書室の管理をしているんだ。本のことなら何でも聞いて」
「僕はゴースト。よろしくね」
『は、じめまして…あるまんじんがーねっとです…よろしく』
ラピスが黒い手袋をした手を差し出してくれたのでこちらも握り返す。
美人すぎてドキドキする。
ゴーストからは好意的な視線は感じられない。
嫌われたかな…でも美人さんだから許しちゃう。
「驚いた…彼は昨日生まれたばかりなんだよね?もう言葉もすらすら話せるし、しっかり体も動いてる…へぇ」
「凄いのねぇガーネット!」
「だろ?しかも頭の形まん丸で可愛くてさ〜つい撫でちゃうんだよ」
あっみんなが撫でる理由ってもしかしてそういう?
確かに坊主とか見たら頭触りたくなるよね。
先生には絶対しないけど。
というかゴーストの目がさっきと全然違って優しくなっている気がするんだが。
まるで別人…
「おや本当だ。ふむ…気が変わった。何か困ったことがあったら何でも話においで…君にならなんだって教えてあげる」
「僕のこともぜひ頼って…ガーネット」
「…ありがとなラピス、それじゃまた」
『ありがとお…らぴすらずりさん、ごーすとさん』
「ラピスでいいさ。…またおいで」
「ゴーストで大丈夫よ。またね」
ラピスは私の頭をゆるゆると撫でてから奥へと戻って行った。
ゴーストも同様、私の髪を撫でてラピスを追って奥へと引っ込んでしまった。
2人ともミステリアスすぎる…これは推すしか……