授業
名前
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お兄さんに連れてこられたのは会議室。
全然会議室には見えないが、どうやらそうらしい。
そして毎朝朝礼があるそうだ。
いや会社かよ。
ユークレースお兄さんがお天気アナウンサーで、パパラチアお兄さん達が月人?の見回り。
アレキちゃんお姉さんが月人の情報収集。
レッドベリルお兄さんが服飾担当。
お兄さんが言うには、役割はいつもと変わらないそうだ。
「では解散」
ユークレースお兄さんの声で、みんな蜘蛛の子のように散っていく。
最後に残ったのは先生とお兄さんと私。
「では、イエロー。ガーネットをこっちに連れてきてくれ」
「はい先生」
『う?』
ユークレースお兄さんのアナウンサー姿を想像していたらいつの間にか席につかされていた。
目の前には先生と黒板。
周りには誰もいない。
「じゃあガーネット、俺も見回り行ってくるからまた後でな」
『あいっ』
頭を撫でた後、お兄さんもすぐに外へと出てしまった。
「では、アルマンディンガーネット。授業を始める」
『あい』
まずは全員の名前を言えるか練習させられた。
これは楽勝だった。
そして読み書き。
これは前世と一緒だったので特に問題なかった。
そしてその後が問題だった。
この世界の歴史のことだ。
過去に「にんげん」が存在した世界。
恐らく古代生物というのは私達「にんげん」の事で間違いないだろう。
そして、地上の生物は海中で微小生物に食べられ無機物となり、長い年月を経て、その無機物から宝石の体を持つ人型の生物が生まれた。
それが私達。
ここにいる宝石達は、自身を装飾品にしようと来襲する月人との戦いを繰り返している。
何千年も前からこの戦争は起こっているらしい。
そしてこの戦争で月に連れていかれたのは、ほとんどがお兄さんとパートナーだった宝石だそうだ。
悲しい限りである。
宝石達は役目を決めて生活してきた。
陽の光が動くためのエネルギーになるため、夜は活動がしづらいこと。
欠けたり割れたとしても、微笑生物がいる限り治らないことはないこと。
ただし、欠けた分の記憶は無くなってしまうこと。
こんな生きづらい世界に来てしまったことにびっくりだ。
中でも一番びっくりしたのは、お兄さんは今年でおよそ3000歳で、ずっと前から戦争に出ていたということ。
とんだ美魔女である。
歴史はわかったが、月人の出現する形というのはさっぱりわからんかった。
「ガーネットは覚えが早いな…1日で話す事と読み書きができたのはお前だけだ。まだたどたどしいけどな」
先生は私が割れないようにゆっくりゆっくり頭を撫でてくれた。
嬉しい。
こんなに褒められたのって小さい頃でもなかった気がする。
『ふへっ、せんせえすき〜!』
自分に出来る満面の笑顔で先生に一生懸命想いを伝える。
好きです!お兄さんお姉さん達と同じくらい大好きです!
「ふっ、少し照れるな…いい子いい子。明日も今日と同じ時間に授業をするからな」
『はぁい』
ふふん!1日で喋れるようになったからにはレッドベリルお兄さんにお礼を言ってから、歩く練習をしないとな。
「ガーネット〜迎えに来たぞ〜」
「ああ、イエロー。ガーネットは覚えが早くてな…もう話すのも、読み書きも終わってしまった」
「え!本当ですか!!やったな〜ガーネット!えらいえらい!!」
よーしよしと髪の毛をわさわさされる。
やったよお兄さん〜。
「じゃあ俺の事イエローって呼んでみ!」
『いえろー!』
あ、調子に乗って呼び捨てしてしまった。
お兄さんごめんなさっ
『うぶっ』
「うあ〜!ガーネット可愛い可愛い可愛い〜!!大好き〜!」
お兄さんは私を席から立たせて持ち上げると、そのままくるくると回り始めた。
どうしよう。
こんなに楽しいって思ったの初めてかもしれない。
『ひゃはは!!いえろーいえろー!』
「なーんだよ〜!」
くるくると回りはしゃぎ始めた私達に、先生は優しく笑って、黒板と机と椅子を直しに行った。
『だーぃすき!』
お兄さん…イエローが私を見つけてくれなかったらきっと私はあのままで。
なかなか動けなくて絶望していたかもしれない。
私を見つけてくれてありがとうイエロー。
大好き。