宝石の国
名前
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『は』
どうやらいつの間にかフォスとゴーストが組むことになってたみたいだ。
不安だ。なんだか────
「先生!月人が!」
今日はやけに、嫌な予感がする。
腰に剣をぶら下げて先生の後ろを走る。
ない心臓がどくどくと脈を打つ。
大丈夫。きっと。フォスなら────
昨日動くのを戸惑って迷ったフォスが、本当にゴーストを救える?
「ゴースト!!」
誰かの声に、いつの間にか下がっていた視線を上にやると、真っ黒になったあの子が雲から地上へ落ちた。
何もかもがスローモーションに見えた。
心臓なんてないのにどくどくとうるさい。
違う。あの子は、ゴーストじゃ────
「ゴーストは」
目を覚ましたフォスが、焦った様子で状況を聞いてくる。
「……………先生の所です。」
「いるんだ。無事なんだ。よかった……」
『………』
フラフラと消えてくフォスを見送る。
あのこの中の子は結構気が強いから、割られなきゃいいけど。
フォスに使った白粉と糊を直していると、先生が焦ったように走ってきた。
その手には浅瀬色の宝石。ああ、やられたか。
その後、フォスを2回殴って割ったゴースト(仮)は、医務室で私の隣にべったりひっついて座っている。
引っ付いてくるくせに、目は合わせないし喋りもしない。
き、気まずい。
おいそこのヤブ医者なに笑ってんだ。
「ああいう関係に落ち着いたんですね」
『みたい……』
「やっぱり負い目かしら」
「あまりこんなことは言いたくありませんがこの短期間にフォスと組んで2人もいなくなりましたから……」
『……さあ!仕事仕事!ほら、今日は糊つくるんでしょー』
「……そうですね」
次の日の朝。ルチルとユークと話していると、外にゴーストの鎌を持ってヘコヘコしているフォスと偉そうなゴースト(仮)が見えた。
いや舎弟か。
「ん」
『うん?』
「変な音しません?引きずるような…」
またまた外を見ると、アンタークの時のように合金でボックス状になったフォスの腕の中に、何故かいるゴースト(仮)が引きずられている音だった。
今度は何のプレイだ。
「落ち着いてなかったんですね」
「『ね……』」
月人の報告が入ってルチル、ユーク、ジェードと共に現場に行くと、フォスがトランスフォームしてた。
あ、あれは、ウニ…
バキィッ
脳内でふざけていると、宝石の割れる音がして慌てて視線をやる。
それは、ウニのように尖った先端の手がフォスの欠片を握りつぶした音だった。
…自壊か。
「合金が、フォスを握り潰しているように見えます。とにかく止めましょう。先日真っ二つになったとき合金は動きませんでした」
『っくそ……ジェード!』
「わ、私がやるのか?こういうのはボルツが適任じゃ…」
「あまり粉になると回収と修復が困難です。あと私5徹です。」
『お願いジェード!ジェードしかいないの!早く!』
「ガ、ガーネット…ううっ…フォス、すまん!」
固く目をつぶり、覚悟を決めたジェードはフォスの腹を軽く殴った。
真っ二つになるフォスを、先生は悲しそうに見つめていた。
「あなたの身体は、前例のない後から付け足した5種の複雑な構成でわからないことだらけなんです。軽率に殴られるようなことは避けてくれませんか」
「起きて即怒られた。パパラチアちょっと寄って。僕も寝る」
『やめなさいお馬鹿!』
「ジェードはあなたを殴ったショックで落ち込んでますし、情けないことですが私もガーネットも正直毎回治せるか自信がないんです」
『強くなったからにはそれなりの影響と責任が生じる。考えて行動しろ』
私とルチルに起きて早々、散々言われたフォスは落ち込んで視線を下げた。
可哀想だけどいい加減叱らないと…
「お前がいかれたところで2人は帰ってこない」
「ほんとだね」
「手足に加え正気までなくしたら今以上に何もできない」
「その通りだ」
「どうしても辛い時はアンタークでもゴーストでも俺のことは好きに呼べ」
あら、意外と優しい。
てかなんで私とは話してくれないんだゴースト(仮)よ…
『かんごーむ?』
「そ、この子の名前!」
「「「カンゴーム!」」」
「はい!いいですよみなさん!みんな覚えてくれたかな〜?」
朝礼が終わってからみんなを集めたフォス、はゴースト(仮)の新しい名前をみんなに覚えさせていた。
その後すぐにボルツとジルコンを探しに行ってしまったけれど。
にしても、カンゴーム。かっこよくて強そうな名前だ。彼によく似合う。
パチッと初めて目が合い、嬉しくて微笑んで話しかける。
『いいね、かっこよくてよく似合う名前だ。きっとラピスもゴーストもそう思うよ』
「ぇっ!?あ、ど、どーも…」
白粉をつけてないからわかりにくいけど、ほんのり桃色に頬が染まっているのがわかった。
か、かわいい、私よりお兄ちゃんなのに弟ができた気分……
「フォス楽しそうだね〜」
「久々にフォスらしいというか」
「ずっと暗くて変だったもんな」
『…前のフォスに戻ったみたい』
あの頃のあどけないフォスが戻ってきたようで嬉しかった。
成長することが悪いこととは言わないけどね。
「あ、左手はまだ塗らないでおきま…おう」
カンゴームが糊を左手に塗ろうとして、欠伸をしていたルチルは即座に注意したくせに、持っていた白粉を手を滑らせ全てカンゴームにぶちまけた。
おう………。
「すみませんすみません。この所ねむくてねむくて注意力がねむくて」
『はあい、落ち着いて〜』
ルチルの背中をぽんぽんと叩いてカンゴームの救出に向かう。
もう被りすぎて姿見えてねえよ。
「おしらせでーす。今期3度目の冬眠延期が決まりましたー」
「『ふあ』」
「安定した冬の大気になるまでもう少しかかるとみられ…」
「そうですか……」
『まあ、冬が短くなる分には、フォスとカンゴームの負担が減っていいとみられ…』
「雪が降るのはそれからとみられ…」
「俺んとこはちょっと積もってるけどな」
「「『ほんとだー』」」
あまりにも仕事がなくてぼーっとしていると、急遽スフェン、ペリドットのチームセクシーと見回りをすることを命じられ、眠い目を擦りながら2人と合流した。
「ガーネットだ〜久しぶりだな〜」
「いい子にしてたか?」
『久しぶり〜それなりかな〜……寝ないで〜』
2人は相変わらずマイペースで、話している途中に眠ってしまった。
おーい起きてー。
「…にそれ!どういう意味?怒ってんの?」
フォスの声が聞こえて、意識が浮上した私達は2人のもとへと向かって行った。
「白粉塗ったか」
「ガーネット、ペリドット、スフェン」
「いいかんじだ」
「じつに」
『すばらしい』
「そっすか、工芸のにいさん方。とガーネット」
うん……じつに…
……………………
……………………………。
「ねるな」
「いやあまた冬眠延期だってね。眠くてたまんないぜ」
『あはは、申し訳ないぜ』
「今日2人はどこの担当かな?私達は黄の森だ」
「白の丘だよ、近いね。」
わいわいと話していると、メロンちゃんとヘミモルが近づいてくるのが見えた。
「一緒にいこ〜!」
「切の湿原」
7人で途中まで一緒に行くことになり、みんなの後ろをゆっくり歩く。駄目だ眠い。
「だいじょぶかい?メロン」
「ふえ〜ねむ〜」
「こんなに雪が遅いのは千年ぶりだそうだ。5人はまだ生まれてないな。その時もかなり冬眠が延期されて仕方なく若い順に寝たんだ。今年もそうなるかもな。」
「じゃ、僕最初に寝れる」
『お前冬の担当は?』
「そうでした。」
眠くて欠伸ばっかしてて申し訳ないので、みんなからまた少し距離を置いて歩く。眠い。
「フォス、不眠症はどうなんだい?治ったかい?」
「病みかわいい僕からそこそこ健康的でかわいい僕に戻ったから今はふつうにちょっぴりかわいくねむいよ」
「そうかあ」
『ふあ〜』
「ガーネット、おいで」
欠伸をしてついに歩みを止めた私を迎えに来たスフェンは、私の肩を抱きながらみんなの輪へと入れた。
「にいさん、あいつにはもっと厳しく接してください。つけ上がったの引きずり下ろすのめんどくさいんで」
「年下はみんなかわいくてね。カンゴームもかわいいよ。もちろんガーネットもな〜!」
『ふえ〜どうも〜』
スフェンに引っ張られながら半分寝ていると、意識が浮上するワードが聞こえた。
「その前の冬眠延期のとき2人はもう組んでたの?」
「私はそのときブルーゾイサイトと」
「俺はトパーズと組んでたんだよ」
「あ………ごめんなさい」
ブルーゾ、トパーズ。
私が生まれる少し前にさらわれた宝石。
あの時は2人とも少し病んでる時期だったなあ。
「久しぶりに名前を呼んだよ。ブルーゾとトパーズは冬眠延期の次の春、同じ戦いでさらわれてしまったんだ」
懐かしい、そうだったね。
スフェンがよく部屋に来ては、私を抱きしめてその話をしてた。
今のスフェンからは考えられない病みっぷりに、話を聞くことしかできなかったっけ。
「……なんて、話してたら黄の森到着だ。ブルーゾとトパーズのこと思い出させてくれてありがとな」
「4人とも気をつけてね。さ、ガーネット行くぞ」
『…うん』
ぽんぽんと頭を2人に撫でられて顔を上げた。
メロンが手を振っているのを見て、大きく振り返す。
『頑張れよ〜!』
フォスたちと別れてすぐ、黄の森に入ると空に二重の黒点が広がったのが見えた。
「あれって…」
「とりあえずフォス達にも知らせるぞ」
『りょうかい!』
「おとなだ」
「おとなだ」
「フォスはさー誰みたく歳とりたい?」
「え!迷っちゃ〜う!……パパラチアかガーネットかな…」
「はは〜ん、そこ行くか〜」
「ヘミモルは?」
「今ペリドットになった!知的クールを目指すわ!」
邪魔な枝を足や手で折りながら、なにやら盛り上がってるフォス達のもとへと戻った。
「フォス、この前のふわもこが出てきた黒点は二重だったと聞いたが…」
「なぜかしら。その続き、聞きたくないわ」
「なら見ろ。フォス、指揮してくれ」
「えっ」
『頼むよ、経験者だからね』
戸惑ったフォスは、私とカンゴームを見ると口を開いた。
「あ、うーん。じゃあ、ヘミモルは先生呼びに行ってくれ!」
「了解!」
「メロンはボルツ捕まえてきて!今日はこの辺りを回遊してるはず!」
「りょうかい〜!」
メロンとヘミモルが行ったのを見届けてから、一斉に剣を抜く。
「ずいぶん低い位置に出たな」
「前と同じか?」
「うーん。どう、かな……」
黒点の様子を見ていると、急に黒点が開いて中が見えるようになった。
その中は、どこかの部屋のようだった。
真ん中にはテーブル、その後ろにはカーテンが付いた大きな窓がひとつ。
何、これ…
「なんだ?どうなってる?」
「わからない……見たことのない不思議な景色だ」
『あの机に乗ってるやつ、なんか動いてない?』
「ああ。で、同じか?」
「同じとこないんですけど!あっ消えた……」
黒点の部屋の部分の雲が小さくなり、部屋が見えなくなって呆然としていると、わずかな空間から何かが出てきた。
「……トパーズ?」
足下にトパーズと思わしき宝石が飛んできた。
スフェンが近づきしゃがもうとすると、その宝石にヒビが入る。
「スフェン!」
いち早く異変に気づいたペリドットが、スフェンの前に出て庇う。
トパーズもどきは急に小さく破裂して、ペリドットを割った。
かと思うと、破裂した小さな破片に目、手足ができ、割れたペリドットをてっぺんの雲の器に入れてしまった。
気持ち悪、ほんとに何あれ。
「指揮しろって」
「あーっ!ボーッと見てる場合じゃないぞ!どうしよ、えーとえーと。3人はまず落ちた破片を集めて!」
「すまない」
「カンゴームは3人を守って!ペリドットの指は僕が!」
「まて」
フォスはカンゴームが止めるのも聞かずに、足の合金を伸ばして器に向かって行った。
「フォス!?」
「合金の膜を破るかあ……!」
ピンチのフォスを見たカンゴームは、フォスに向かって行った謎の物体をギリギリで割った。
上で何かを話した2人は1度地上に戻ると、フォスがうずくまって合金を伸ばし始める。
すげえ。あんな事もできんだ。
「踏んで!」
3人で拒否をしたけれど、まとめてカンゴームに連れていかれて、仕方なくフォスの合金を踏みこみ謎の物体を追う。
「早くしてもらえますぅ?4人は重い!」
「すまないフォス!素早くてなかなか……っブルーゾ。………くそっ!うわっ」
ペリドットの声に振り向くと、彼の割れている部分に月人がむらがって次々と欠片を奪っていく様子が見えた。
きもっ!!
『ペリドット!ひゃっ』
ペリドットに視線を奪われていると、私の少し割れた太ももから月人が欠片を奪っていく。
ひえ〜ぞわぞわする!虫が登ってるみたいでやだ!!
「どうした?」
「ペリドットが!」
後ろから声がするが構ってられず、体にむらがる月人を砕く。
くそっ、すばしっこい!
「えっ、ちょっ、きもっ!うそだろ〜!」
「破断面からもぎ取る作戦か…ひっ」
『やんっ!えっち〜!』
月人は割れた部分だけでは飽き足らず、服の中にまで侵入してきた。
おい!エロ同人じゃないんだぞ!!
「みんなどうした!?」
「フォス!こりゃだめだ1度離れよ…めっちゃたかられてるよ!」
スフェンの叫びでフォスに視線をやると、頭に月人がむらがっているのが見えた。
え、あれで気づかないの?
「え?うわ!返せ!」
「あの子、不感症なのかしら」
「色々なくしてるからな……」
くだらない話をしている最中にも、月人達は私達の欠片をどんどん器に入れていく。
くそぉ、歯がゆい。
『フォス、どうする』
「アイデア募集中!あー僕の髪がうまく飾り付けられてて腹立つわー」
「今のとこ退却の気配がない。近づかなければ止まってるし刺激もせず先生を待つってのは?」
「それ採用!」
スフェンの案に賛成した瞬間、宝石もどきの月人は器を持ち上げ天へと掲げた。
そこには、いつもより少しサイズがでかい月人が姿を現していた。ふざけんな。
「ずいぶん大きな月人だ」
『アンタークの時の月人と似てる…』
「うん、同じなら高速で引き上げ…とか言ってる間に閉じ始めた〜!追おう!」
「前例がない、深入りは危険だ」
「でもみんなの破片が持ってかれちゃうよ!」
「……そうだな、おまえはなくし過ぎてるし。これ以上は……」
「月人だけならいつものこと!みんな援護してくれ!」
「『フォス!』」
私達が引き止めるのも構わず、フォスは合金を伸ばして月人に突っ込んでいく。
急いでフォスの援護にまわると、月人は手に握っていた宝石もどきを私達に放った。
みんなの足や腕、髪がなくなっていくのが分かる。
これ、バッドエンドまっしぐらでは……
連れていかれそうになっている末っ子を、カンゴームが鎌で避けさせ息をつく。
カンゴームに手を伸ばし、さらわれないように上に覆い被さる。
その私の上にスフェン、ペリドットが重なる。ああ、お兄ちゃん達ありがとう。せめて末っ子だけでもさらわれなくてよかった…
重なった私達はまとめて月人の槍に貫かれた。回収雑かよ…
『ごめんね、フォス…』
目を覚ますとボルツ、メロン、ジルコンがいることに気づく。
あれ、助かったのか。
「ガーネット…あまり無茶をするな。僕を頼れと、いつも言っているだろう」
『ボルツ…ごめん』
頭を撫でてやろうと手を伸ばすと、両腕がないことに気づいた。
アンタークの時と同じ…
「…すぐにルチルが来る。それまでおとなしくしてろ…兄ちゃん」
『あっは、兄ちゃんって久しぶりに聞いた!』
思わず噴き出すと、ボルツは照れてフォスの方へと逃げてしまった。
やー、かーわいい。
「おはようガーネット…お前めっちゃ割れてるじゃん」
「あまり無理をするな。お前がいなくなったら私達は悲しいぞ」
『おはよう。うぅ…ごめんなさい』
両隣にいたお兄ちゃん達が言葉だけでよしよししてくれる。
自分達だってボロボロのくせに…
毎回私の心配ばっかりするんだから。
「結局誰も失わず少しずつだがみんなも帰ってきた。十分な戦果だ。よくやったよフォス、いい子いい子」
『頑張ったね…フォス』
「う、うーん」
「ガーネット、ペリドット、スフェンの順で閉じましょう。医務室へ」
「ルチルが呼んでる。じゃ、また」
ジェードとユークに布に包んでもらって運ばれる。
ジェードに運んで貰うのは初めてだな。
「ガ、ガーネット!なんて無茶をしたんだバカもの!私を呼んでくれたら盾にだって何だってなるのに!!バカ!!」
「もう、さっきからずっとこうなのよ…でもガーネット、自分ばかり犠牲にしちゃだめよ」
『うん、ごめんね2人とも。でも、どうしてもみんなを優先させちゃうんだ…大好きだからね』
私の言葉を聞いたジェードとユークは目を合わせると、嬉しいような悲しいような複雑な顔をした。うん、ごめん。
『スフェン、ペリドット。おはよう!』
「「ガーネット!」」
「よかった!綺麗に閉じて!」
「お前があんなに開いたのは初めてだったから、不安だったんだよ」
朝、治った2人に挨拶に行くと、私の顔を見るなり急いで駆け寄ってきてくれた。
あ〜頭を撫でまわさないで嬉しくなっちゃうから〜
『あ、フォスとカンゴーム』
3人で大きく手を振ると、フォスは嬉しそうに抱きついてきた。平和だ。
「フォスの頭が持ってかれた」
『え』
突然カンゴームから知らされたそれは、あまりに受け入れがたいものだった。
「明日も冬眠を延期して流氷の下まで捜すことになった。…わるい、俺のせいだ」
『ち、がう。カンゴームは悪くない…またあの子が突っ走ったんでしょ…もう、どうすんの本当…』
思わず久しぶりにしていたクラゲ研究用のクラゲを落としてしまった。
水が辺りに散らばって、その上をクラゲが静かに動いている。
『ごめんっ大丈夫かクラゲ!』
「あー…ガーネット。フォスの頭にあいつをつけるって言ったら、どうする」
ガシャンッ
慌てて器に入れ直したクラゲごと、また地面に落とした。
ああ、今度こそ死んでしまったかも…
『…私がどうこう言えるものじゃないよ。だって、あいつはお前達にとって、1番…大事な…』
「…そうか。すまないガーネット…ほんとに…」
やはり死んでしまったクラゲを抱きしめて俯いていると、カンゴームが謝りながら私を抱きしめた。
ああ、どうして……あの子は…
「先生。フォスフォフィライトにラピスラズリの頭部を付ける。許可を」
カンゴームと共にラピスの頭を持って、みんなが集まる医務室に行くと、先生はやっぱり悲しそうな顔をした。
ごめんなさい、先生。