宝石の国
名前
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『フォス、ほんとに大丈夫?』
あの騒動からフォスの側に付いておくほうがいいと思った私は、池の前に座り込むフォスの隣に座っていた。
にしても、このウミウシずっと私に引っ付いてるな。
きゅうきゅう鳴いてるけど何言ってるかわかんないや。ごめんね。
よしよしと頭を撫でてやると、フォスがウミウシが入っている器を掴んで池にウミウシだけを投げ入れた。
『え!?ちょっとフォス何してんの!』
急いで駆け寄ろうとしたら、ゼーゼー言いながらウミウシが這い上がって来た。おお強い。
「くそっもう縮まないのか…」
「まあ…それがほんとなら同情してやらないこともないが…なんかな…」
「それよかなんで僕だけ」
『フォス〜しっかりして〜』
1人で話し続けるフォスを揺さぶるが正気には戻らない。
「ガーネット、フォスはあえて1人にした方がいいかもしれないぞ。こっちおいで」
「お前は昨日フォスの修復で寝れてないだろ?ルチルと一緒に休んどきな」
『うえ〜スフェン〜ペリドット〜!』
よしよしと2人に撫でてもらいながら医務室に連れていかれる。お兄ちゃん優しい…
ごめんフォス、今だけは寝るね。
「いやーすばらしい国だな!かわいこちゃんしかおらんではないか!特にガーネットちゃんは本当にかわいいの〜!わしの事いっぱい撫でてくれたし優しいの〜誰かさんとは違って!」
「うるさいなぁ、ガーネットに手だしたら許さないからな」
医務室に着くと、ルチルはもう1回フォスをバラして組み直すつもりみたいで、入れ違いに出ていった。
では先にお休みしときますね。すやぁ。
「ガーネット。朝ですよ」
『すみませんでした』
目が覚めたら朝でした。
やばいぞ丸1日経ってた。ルチルほんとごめん。
今日は休んで。
「気にしないでください。私もさっきまで隣で寝ていましたので。さ、パパラチアのパズルでも始めましょうか」
『うっす。あ、私やっぱり白粉作るね、手のかかる末っ子のせいで減る一方だから』
「ああ、ですね。お願いします」
身を潰して粉を出してから、すりこぎでダマになってる部分を整える。これの繰り返し。
地道だけど私こういうの好きなんだよね。
それはそれは捗りますとも。
「おはよう」
「おや、ユークレース。ほんとうお早いですね」
『おはよ、ユーク』
「忙しいとこごめーん。池に入りたいんだけど……いい?」
ああ、昨日の件で書類探しか。
うちのフォスが本当にすみません。
「ガーネットも手伝ってさしあげたらどうです?私は1人でも大丈夫ですので」
「あ、ガーネットこっち手伝ってくれるの?助かるわ!」
『え、え、じゃあ、はい』
ルチルに促されてユークの隣に座り、私も服を脱ぐ。
あ〜やっぱすっぽんぽんは楽だわ。開放感〜
「昨日今日は平和だね。光もおいしい、先生が起きてるからかな」
『ふふ、そうかも〜』
「ここんとこせわしなかったですものね。月に二度も月人がくるなんて」
『でも、前はもっと頻度が凄かったよね。』
「そうね、3日に1度が平均値だったわね。何か変わったのかな」
ユークが外に向かって手を伸ばすと、木にくっついていたカブトムシのような虫が一斉に飛びたった。
わーキモーい。
「僕ら、存外にぶいからなあ。夏が暑いとか冬が寒いとか植物ほど敏感でないし、危険にも虫のようになれない。やっぱり不死のせいかしら。」
『そこがやっぱり関係するのかな?』
「おかげで相手がちょっとやそっと変わっても怖くないですね。」
「僕はみんなより壊れやすいからちょっと怖いよ。ところで…まだ?」
流石にずっと裸でいることが恥ずかしくなったのか、ユークは体操座りをして体を隠した。
そんな美ボディなんだから隠す必要ないのに。
あ、私はさらけ出してます。
「それがですね、みつからないんですよ。昨日までここにあったのに…おかしいですね」
「『え』」
「ガーネット!ユーク!僕の新作知らない?早起きして仕上げようと思ったらないの!先生に締め切り1日延ばしてもらってるのに〜やばいよ〜」
「新作って丈夫に作った制服のこと?見ればわかる?」
『白粉もなくなって、ベリルの服もなくなるなんて…』
これ絶対ヤツの仕業やろ。
「ガーネットあなたいい加減服着なさい。いかがわしい」
『あんたにはその言葉言われたくないね』
「あ、ガーネットー!紙作るの手伝ってくれない!」
『はいよ〜ごめんみんな!私あっち行くね』
「はいはい、行ってらっしゃい」
『え、フォスいないの!』
「そうなの、どこ探してもいないから…もしかしたら海に行っちゃったのかも」
『そんな…とりあえず先生のとこ行こ!』
紙を作る手伝いが終わって部屋にいると、ダイヤがわざわざ言いに来てくれた。
みんなのアイドルをこんなに心配させるなんて…アヤツ、許さん。
先生に報告に行くと、海に集合するよう言われて手の空いてる宝石だけを集めた。
こんだけで疲れたわ。
「潮の変わり目に注意しろ」
「「「ハイ」」」
ルチルに対塩樹脂を塗ってもらって海に入る。あー鬱だ。
『ぷはっ!え、先生?』
「ガーネット、もういい。1度上がりなさい。もうお前だけだ」
もっと奥を探そうとした時、先生に持ち上げられてやっと海から顔を出した。
先生は私を横抱きするとそのまま陸に下ろした。
ああ、陸に戻った途端に疲れがどっと…
「先生!みんな!フォスが、医務室に!」
呼びに来たジェードについて行き、怒っている先生を宥める。
ああ、ダメだ。激おこだ。
みっちり叱られなさいフォス。
疲れてフラフラしながら歩いていると、ジェードに柱の後ろまで引っ張られた。
「この、大馬鹿者!!」
びっくりしたー!今怒ってる真っ最中なのか。
ジェード避難させてくれてありがとう。
「はあ、ガーネット…すみませんがお手伝いいいですか?」
『もちろん…頑張るぞルチル』
カチリカチリとはめていき、足以外ができた時にはもう朝になっていた。
すごい疲れた。
「やっとここまで戻ったところで……足どうしましょうか。ま、結論から言うとあれをつけるしかないんですけどね…」
『そうねえ…フォス、これ何だかわかる?』
フォスと一緒に流れ着いた謎の物体を持ち上げて問いかける。
ぼーっとしてんな。
やっぱフォスも疲れてるか。
「おっ……きな…貝…?」
「ああ、言われてみれば貝殻はアゲートに変化することがありますね。それなら」
「それ本当に足になるの?動くの?」
『つくと動くは別よ、動くかはあんたの微小生物がこの新しい住まいを気に入るかどうか…』
「まあ、ものは試しです。やっちゃいましょう」
どうにかアゲートを削り出し、フォスの足に合うよう調整してからくっつけた。
「ゆっくり」
足をつけたフォスをルチル、私、ジェード、ベリルが補佐しながらベッドから立たせる。
あ、やっぱ無理か。
「ぼ、棒だ!オシャレな木の棒をつけているようだ!」
「医師ですけどね、だめですか…」
『こればっかりはどうしようもない』
「まあまあ、気長にリハびろ?そのうち動くって!大丈夫大丈夫!」
「仕事の合間に手伝うから」
「焦っても仕方ないな」
諦めているルチルと私をよそに、お兄さんチームがフォスを元気づけている。
みんな優しいね。
「ありがとうレッド、ユーク……………」
「『え』」
ジェードの顔を見たフォスは不思議そうな顔をしている。まさか……
「ああ、当然ですが足と共に大量の記憶も失ってるはずです。なにせ全体の3分の1ですから。」
どんまいです。議長。
「ガーネットー!月人の資料の虫干しお願ーい!」
『はーいー!それじゃ私行くね!』
「ああ、ありがとうございましたガーネット。あまり働きすぎないようにしてくださいね」
『それはルチルも!じゃあね』
手を振ってアレキちゃんのもとへ走る。
私働きすぎな。
石じゃなかったら過労死してたわ。
『ぅ…朝か』
気づいたらアレキちゃんの研究室で寝てたらしい。
やべえ朝礼行かなきゃ。
『アレキ、朝よー起きてー』
「うーん…」
『こりゃだめだ…』
アレキの服の中から長い手袋を出し、アレキにつけさせる。
私も自分の手袋をつけてからアレキに肩を貸した。
これで引きずるのが実に楽しい。
するーっとね。すべるの。
「おはよう、みんな」
「「「おはようございます。先生」」」
「────今日、最も確率が高い白の丘にはボルツ・ダイヤ組。イエローとジルコンは周辺を巡回。ほかは予定通りだ。……それと、アメシスト、と…フォスフォフィライトは西の高原の見張りを頼む。」
ああ、そういえばアメちゃんから剣を教わりながら見張りをするって言ってたな。
昨日イエローが言いに来てくれたのにすっかり忘れてた。頑張れフォス。
「定時帰還」
「異常なし…かな?」
「かなぁ」
そうジェードに報告をしに来たアメちゃんズに、宇宙人の如く連れてこられたフォス。
いや、どうした。
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おしゃれの国
「あ、ジェード、モデルして!」
「仕方ない」
「わあいいね!ハイ!リラックス!」
「キュートなポーズで〜スマイル!」
「あれ、どうしたの?」
「フォス!いいとこに!」
「またデルモ?」
「おねがい!」
「オッケー」
「フレッシュさがない」
「なれすぎだ」
「うるせえ」
「おっ隠れナンバーワン美脚と赤黒美人きた」
「モデルですか?いやです」
「「「『どっちだよ』」」」
「むだにエロい」
「いかがわしい」
『えっちー』
「トップモデル待つからいいや」
「失礼ですよ!」
「てか、ガーネットやってよ!数回しかモデルやってくれたことないんだから!」
『はいはい』
「かわいい」
「天使」
「ハアハアハア」
「はい議長アウトー」