仲間
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『…朝』
ぱぱっと制服に着替えて朝礼に向かう。
早く目覚めすぎて、まだ誰も来てはいなかった。
あと、飛ばしちゃって悪いけどもうクラゲの生態はそれなりに調べ尽くして各部屋、廊下などに設置して研究する事がなくなってしまった。
あと、なんで忘れてたのか知らないけど、これって友達が好きだった宝石の国の世界だ。500年目で気づくって私バカすぎない??
ダイヤ、見覚えがあると思ったわけだ。
確か主人公のフォ、フォス?なんちゃらと一緒に見たことがある。
友達の漫画パラパラ見たくらいだけど…おちゃらけたアホっぽい子だったはず。
ジェード、ルチル、オブシディアン、ダイヤ、シンシャ、アメシスト、ボルツ、アンターク、モルガ、ゴーシェ、ネプチー、ベニト、ヘミモル、メロン、ジルコン。
私が生まれた後にこれだけの弟ができた。
そろそろフォス?が生まれて物語がスタートするんじゃないだろうか。
確かジルコンはフォスの次に若かったから。
物語の結末はまだわからなかったけれど、鬱漫画寄りで悲しい物語ということはよく友達から聞いてた。
『怖いなぁ…』
今まで平和に暮らしてたのに、これからは悲劇しか待ってないのか。
このタイミングで急に思い出したという事は、フォスが生まれる予兆なのかもしれない。
「おはようガーネット。早いな」
「おはよう」
『うん、おはよう。ジェード、ユーク』
今日は何かが変わる予感がする。
「今日もラピスは帰ってこなさそうね」
『……うん、そうだね…もう待ちくたびれちゃった』
クラゲの研究をやめてから、私は図書室や医務室、アレキの部屋などを転々としてなんでも屋を始めた。
これが大変忙しいが、やりがいがあってすごく好きな仕事。
今日はゴーストの図書室の本の虫干しの手伝いだ。
結局、ラピスとの約束は果たせないまま、彼は頭だけを残して月に行ってしまった。
あの日はラピスとゴーストが見回りに出ていて、月人と戦闘をした。
月人は時が経つにつれ数が増え、攻撃パターンもいろいろ変えてきて、前以上に厄介な存在となっていた。
確かその日は、彼との約束を果たそうとしていた日。
図書室に行ったらいなくて、探し回っていたらイエローが先生を呼びに来たんだった。
ラピスは月人に何を思ったのか、真っ先に突っ込んでいったそうだ。
私は急いでラピスとゴーストのもとへ走ったけれど、その時にはもう矢で貫かれ、ラピスは宙で首と体が真っ二つになっていた。
体は月人の持っている器に入れられ、首にも手を出そうとしていた。
私は砕けるのも構わず、彼の首を抱きしめてしゃがみこんだ。
彼の首だけは意地でも渡すもんかと、ぎゅっと抱きしめて背中にたくさん矢を受けた。
気づいたら医務室のベッドに寝ていて、私の横にはラピスの頭が置かれていた。
あれがこの世界に生まれて、初めての絶望だった。
「…ごめんなさいガーネット。また変なことを言ったわ…」
『気にしないで』
ゴーストの声が震えていることに、気づかないふりをしながら本の虫干しを続けた。
「ガーネット!ゴースト!新人が来たぞ!!」
ヒュッと風が切る音がしたと思ったら、もう目の前にはイエローがいて思わず持っていた本を全部落とした。
お兄ちゃん、びっくりするでしょ。
「新しい宝石…ポコポコ来るわねぇ」
『本当にね。何色なの?』
落とした本を拾い、埃を叩いてから立ち上がる。
「月人好みの綺麗な薄荷色だ!名前は確か、フォスフォフィライト!」
ばさばさっ
「きゃっ、ガーネット!大丈夫?」
『あっ、えっ、ごめん!』
急いで本を拾い棚に戻した。
やばくないか。
ついさっき思い出して物語スタート〜とか言ってたら早速かよふざけんな。
「お前働きすぎなんだよ。今日はもうゆっくり休め!な?」
「そうよ、ありがとうガーネット。もう僕ひとりで大丈夫よ?」
『あ…ごめん、なさい。私なにしてるんだろ…』
呆然としていると、イエローに腕を引っ張られイエローの部屋に押し込められた。
ああ、今日は一緒に寝る日なのね。
「まだ昼ちょっと過ぎだけどもう休め。ガーネットが倒れて割れたりしたらお兄様泣くからな」
ばっちり釘を指してから、イエローは見回りに戻っていった。
ごめんねお兄ちゃん。頑張って。
「ガーネット。起きろー朝だぞー」
『んん………えっ』
イエローの声にガバッと起き上がれば、眩しい光が部屋を照らしていた。
え、えっ?なにしてんの私。
昨日の昼から一回も起きないで今まで寝てたってこと?は??
「おはよー、よく寝てたな〜!久々にゆっくりできたんじゃないか?」
『おはよ、ごめん寝すぎた。でも、スッキリしてる…』
よかったよかったと、頭を撫でてもらってから私も制服に着替える。
昨日寝巻きに着替えた覚えがないから、またイエローがやったのか。
イエローに手を引かれて朝礼に向かう。
手を繋ぐのは何年ぶりだろうか。
ずっとジルコンにつきっきりだったからなぁ、イエロー。
懐かしいなぁ、嬉しいなぁ
「あ、おはようイエロー、ガーネット…ふふっ、2人が手を繋いでるの、久しぶりに見たわ!」
「おはよう…相変わらず仲がいいな」
2人にそう言われてイエローを見ると、私の顔を見てにっこりと笑っていた。
あ、嬉しそう。
「おはよう、うん、久しぶりに繋いだ。すごく懐かしい」
『おはよ。ほんと久々で嬉しいよ』
えへへーと2人で笑いあっていたら、続々と宝石が集まり出した。
さあ、今日はフォスフォフィライトと初顔合わせだ。
どんな子だったっけ。
「おはよう、みんないるな」
「「「おはようございます。先生」」」
来た!!
ばっと先生の方に顔を向けると、その腕には綺麗な薄荷色の髪をもつ宝石が収まっていた。
ええええええかわいいいいいい!!!
「昨日緒の浜で生まれたフォスフォフィライトだ。この子は月人好みの薄荷色だ。狙われやすいから、攫われないようよく見ておくように」
「「「はい!」」」
朝礼が終わると、みんなが先生を囲んでフォスに構いだした。
その中でも離れた位置で見ているあの子の隣に移動する。
『よっ、ボルツ。フォスに話しかけなくていいの?』
「…僕は別に話すことなんかない。お前こそ行かないのか」
嫌そうな顔をしてそう返され少し迷った。
なんとなく関わりづらいしなぁ。
私が気まずそうにしているのに気づいたボルツは深く追求してこなかった。
「ぅ…っ久しぶりだな。こ、うやって話すのも」
あ、緊張してる。
これは構ってもらいたい時に出るボルツの可愛い癖だ。
まったく素直じゃないんだから〜
『ね〜!弟がいっぱい来るもんだから、そっちに世話焼いちゃってたからなぁ。ボルツと話すの久々でお兄ちゃん嬉しいんだけど、ボルツはどう?』
「べっ!?別に僕は嬉しくなんかっ!…なぃ訳でも…」
はいはい可愛い可愛い出たよツンデレ。
よしよしと撫でてやると目を細めるのが子猫みたいで可愛い。
流石私達の弟。かわいさでも最強。
「あっ、ガーネット。今日は白粉を作ったり、糊を作ったり忙しいので手伝ってもらえますか?」
『あ、おっけーおっけー!今行くー』
ボルツに見回り頑張ってね。と最後に頭をわしわししてやってからルチルのもとへと急いだ。
「ふっ」
『?どうした』
「何でもないですよ。行きましょう」
私の後ろを見てから鼻で笑ったルチル。
いったいなんだ。
(くそっ、ルチルめ!今日は私がガーネットに声をかけようと思っていたのに!!)
(チッ、ヤブ医者が…僕からあいつを離すために先延ばしにしてもいい仕事を口実にしたな…!)
「お前達、はやく仕事に行きなさい。この子も今日から授業がある」
「「「はい、先生!」」」