仲間
名前
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『やっほ、ルチル。パパラチアどう?』
「こんにちはガーネット、どうもこうも…起きやしませんよ」
医務室に着くと、いつも通りパパラチアのパズルをしているルチルがいたので声をかける。
少し昔の口調が出ているが、随分と柔らかい性格になったものだ。
ルチルが生まれたのはオブ子のすぐ後で、パパラチアが起きてた年だった。
1日の見回りが終わり少し欠けた部分を治しに医務室に行ったら、パパラチアをしまってる箱がガタガタ動いて「なにこれ〜」という叫び声を発していた。
普通にホラーでびびりまくった。
闇夜で動く箱と叫びは。
慌てて箱を引っ張り出して確認すると、キョトンとしたパパラチアと目が合った。
33年も寝ていた宝石はここでやっと起きたのだった。
なんで引っ張り出して陽の光当ててやってる時に起きねえんだこのやろー。
「おー!ガーネット!なんか背伸びたな!あ、寝てから何年経った?」
『はぁ…33年だよ。寝坊助さん』
体を起き上がらせたパパラチアは私の返事を聞いて、ベルトから下がっている剣を見て納得したような顔をした。
「…長いな、お前が立派になってる訳だ…剣、教えてやれなくてごめんな」
ぽんと頭に手を置いて優しく滑らせる。
起きて早々イケメンだなお兄ちゃん。
『教えてもらってなくても、私はパパラチアを見て強くなったの。結局全部お兄ちゃんのおかげよ、ありがとう』
頭を撫で返すとお兄ちゃんは驚いた顔になり、ポッと赤い顔をして照れた。
え、照れた?
初めて見た…かわいい。
「いや、ほんと立派になったなガーネット…お前に頭撫でられたの初めてだ…」
『でしょ。そうね、33年だもん。初めて撫でたわー』
嬉しそうに笑ったパパラチアの手を引き、立ち上がらせて箱をしまった。
『とりあえず今はもうみんな寝てる時間だから、パパラチアも部屋で休みなよ』
「久しぶりに話したのに冷たいなぁ。…なあ、お前と一緒に寝ていい?」
『は?別に構わないけど…』
了承の返事をすると、また嬉しそうに笑って私の手を繋いで部屋まで向かう。
…お兄ちゃん。
なんか、前にもましてデレデレになってない?
私もう末っ子じゃないんだよ??
別にいいけど。
部屋について私が服を脱ぎ出すと、パパラチアは布団に座って口笛を吹いた。
何だどうした。
「お前も魅力的になったもんだ。今度から手、出してもいい?」
『嬉しくないわ。既に手出してるやつが何言ってんの?』
制服を脱いで寝間着を羽織ったところでパパラチアが後ろから手を回してきた。
お前もラピスと同類だったのかよ。
イケメンだから許そう。
「そうだな。みんなお前の事ほっとかないんじゃないの」
『…まあ、思い当たるのはいるけど…』
パパラチアは私の服の前を合わせてリボンを結んだ。
おー後ろからやってるのに器用なもんだ。
「へ〜ぇ?お前生まれた時から人気だったもんなあ」
『そうだっけ?』
「そうだよ」
私の服を着せたパパラチアは私の手を引いて布団に寝かせた。
寝転んだ私の隣に当たり前のように入ってくるお兄ちゃんまじイケメン。
「ほら、もう寝ろ。明日に響くぞ」
『はいはい、おやすみ〜』
「おやすみ」
私がパパラチアに背を向けて寝ると、後ろから腰を抱かれた。
いや、割れるから。
「またかわいくなったな…正直びっくりしたよ」
瞼を閉じていても眩しくなっていくのがわかって目を開けた。
起き上がろうとすると、何かが腰に巻きついてるのに気づく。
え、誰?ラピス?
ぱっと振り返ると、私の腰に手を回して見慣れた寝顔で寝息をたてているパパラチアがいた。
そうだった。起きたんだっけ。
『パパラチア、起きて。朝だよ』
腰の手を解いて肩を揺らすがパパラチアは起きない。
え、また振り出し?また箱の中入れなきゃいけないの?期待させやがって。
とりあえず朝礼に遅れてはいけないので先に制服に着替える。
薄情?ははは、なんとでも言え。
『パパラチア、起きてよ〜』
「ん、んー。ふあ〜あ、おはようガーネット…」
もう1度呼びかけるとパパラチアは長いまつげに隠れた瞳を見せた。
よかったー。ほんとに焦った。
『おはよ、朝礼行こう』
「ああ、行こうか」
パパラチアは起き上がって、昨日のように私の手を引いて会議室へと向かった。
お兄ちゃん手繋ぐの好きね。
「おはよう。ユーク。と、あれっ新人か?」
『おはようユーク、ジェード』
パパラチアは会議室に入ってユークに挨拶するとジェードを見て目を丸めた。
あ。新しい子の紹介してなかった。
「あら!?パパラチアじゃない!起きたのねえ!」
「ああ、昨日の夜にな。おいガーネット、そこの新人紹介してくれ」
喜ぶユークに返事をしたパパラチアは、すぐ私に向き直ってジェードを指差した。
『えー、こちらはジェード。立派な硬度を持っているので堅牢のジェードと言われています。そして私直々に教育をし、成長した彼は議長という仕事を任されています。優秀でかっこいい私の弟です』
長々と説明するとパパラチアは顔を顰め、ジェードは顔を赤くし照れた。
お兄ちゃんなんだその反応は。
私の弟いじめたら許さんからな。
「ふーん、俺はパパラチアだ。2番目に生まれた。よろしくな」
「ジェードです。今は私が議長の仕事を任されている。よろしく。」
お互い握手をして離れると、パパラチアは私を引きずってジェードから離した。
な、なに。
「あらあら」
パパラチアは勝ち誇ったような顔をして、ジェードは少し顔を顰めた。
ユークだけは楽しそうにこっちを見ている。
え、どういう状況。
なになにユークさん、私にも教えて。
「あれー!パパラチア起きてる!」
「ホントだ〜!久しぶり〜」
みんな集まってパパラチアを囲むときゃいきゃいとはしゃぎ始めた。
みんな可愛いかよ。
イエローとかパパラチアの前陣取ってるし、お兄ちゃんかわいい。
よくわかっていないオブ子にパパラチアの説明をすると目を輝かせた。
ああ、武器作りたいのね。
「みんな、おはよう。随分と賑やかだな」
「「「『先生、おはようございます』」」」
みんなパパラチアから離れて、先生から見えるようにすると先生は目を見開いた。
「パパラチア、起きていたのか」
「はい、先生。お久しぶりです」
よしよしと頭を撫でてもらいパパラチアは微笑んだ。
露骨に喜ばないとこがクールですね。
イエローとか跳んで喜ぶのに。
最年長かわいい。
「ジェード、朝礼を」
「は、はい。みなさんおはようございます。────」
ジェードの言葉で各々の仕事に入る中、パパラチアは私とイエローと見回り組に入っていた。
「ガーネットの弟、なかなか立派じゃないか。議長の仕事がよく板に付いてる」
『ふふん、当たり前じゃん』
「なんたって俺の弟の弟なんだからな!」
「はいはい」
2人で見回りをするのと3人で見回りをするのはやっぱり違うな。
賑やかで楽しい。
年長者2人がいるだけで安心感が違う。
「最近は白粉花の実も少ないな」
「そーなんだよ。しかも白粉作る時間ないし」
『先生は最近樹脂の方ばっかりだもんね』
だから医務室勤務欲しかったんだな。
イエローお兄様の言葉に今更納得。
その後も白粉花の実を摘み続け、たまに月人を倒し、集めた実を学校の医務室に置いてから緒の浜の見回りへ出た。
「最近多いな、また宝石が生まれてる」
『兄弟増えっぱなしだねぇ』
「みたいだな」
久々ということで、パパラチアに運ぶのを任せて私達は月人が出ないか警戒した。
特に何事もなく学校に着き、先生に宝石を託した私達はまた見回りに戻る。
パパラチアは臨時教育係になり学校へ残った。
結局あの子を見れてないなぁ。
今回はかわいい系かな美人系かな。
『美人青年系だったわ』
「何言ってんの?」
夜になり、パパラチアの部屋に来た私の第一声にイエローが突っ込む。
なんだよお前だって思ってるくせに。
「パパラチア」
「ぱああちあ」
「イエロー」
「いえおー」
『ガーネット』
「がーえっと」
「「『かわいい〜』」」
私達は明日から始まる授業のために名前の練習をさせていた。
いや、私達の名前言わせたって意味無いんだけどね。
さっきパパラチアから教えてもらったこの子の名前はルチルクォーツ。
ルチルというそうだ。
響きがかわいいな。
『ルチル』
「うちう」
あ〜言えてないかわいい〜
ただ見た目がセクシーすぎてなんか申し訳なくなる。
幼児言葉ぷらすパパラチアが抱っこしてる絵がもう2人ともセクシーすぎて…
「まあ、これだけ話せたら明日の授業は大丈夫だろ」
「そーだな。ガーネットより優秀になるかも」
『失礼だな、確かにどう考えてもそんな気しかしないけど。絶対頭いいじゃん』
3人でワイワイ話していると、ルチルの目が眠そうになってきたのがわかった。
なので2人を黙らせてからルチルに手を振り、イエローを引っ張って部屋を出た。
「随分賢そうな顔してたな。美人だった」
『きっとジェードやオブシディアンと一緒で立派になるよ』
「今度こそ医務室勤務か見回りの方に欲しいよな」
『それ、切実な願いだわ〜』
それからルチルは言葉を覚えたけど、どこで覚えたんだってくらいヤンキーのような仕草に口調でジェードをビビらせていた。
お兄ちゃん陰で笑っててごめんね。
真面目生徒会長と不良にしか見えなかった。
ドラマ見てるみたいでおもしろかったよ。
ルチルはしばらくパパラチアと見回りを組んで戦闘が強くなったけど、パパラチアがまた寝てしまってからは医務室勤務に回った。
パパラチアがいなくなって寂しそうにしていたルチル。
次の日からルチルに寄り添った私はなかなかにウザがられたが、今では心を開き私を慕ってくれている。
ツンデレな弟おいしい。
『また新しい宝石が生まれてイエローが教育係になっちゃってさ〜。見回り一緒にやらない?』
「そうなんですか。いいですよ、パズルばかりで気が滅入っていたところだったので」
ストレス発散と行きましょう。と言ってバッと白衣を脱いだルチルのなんてイケメンなことか。
昔は青年系とか言ってたけど仕草とか話し方とか声とか艶やかなので、今は美人系女医だと思っている。
本人には絶対言わないけど。
割られるから。