日常
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
先生に休むよう言われた私はすぐに部屋に戻った。
きっと私は疲れてんだ。今までよくやった。
えらいえらい。
大丈夫。パパラチアはそのうち目を覚ますさ。
『……よし、寝るかぁ』
ぱっと寝間着に着替えて布団に潜る。
あ〜一人の空間すばらしい…
目が覚めて体を起こすと、もう外は明るくなっていた。
やば、昨日の昼から朝まで寝てたの…病気?
いそいそと布団から出て制服に着替える。
えっと、剣は〜…あった。
部屋を出て会議室に入ると、そこにはユークレースしかいなかった。
あ、あれ…早すぎた?
「あら、ガーネット!どうしたの?随分早起きねえ」
『あ〜昨日早く寝たからかな』
頭の後ろに手をやって苦笑する私を見て、ユークは不思議そうな顔をすると隣に立った。
「そういえばね、昨日早くに暇になったからジェードの授業を見に行ったのよ。僕達ってだいたい最初は自分の名前を覚えて言えるようにするのと、文字を書く練習をしてテストするの。ガーネットは例外だったらしいけど」
『えっ、そうなんだ。初めて知った』
「ふふ、そうなのよ。それを先生が教えたらジェードったら最初に、っふふ、ガーネットの名前を覚えて書きたいって聞かなくて!」
『ええ〜!なにそれぇ、めっちゃかわいいじゃんジェード〜!』
私が心底見たかったって顔をするとユークは笑って頭を撫でた。
「うふふ、気長に待ちましょう。できるようになればきっとすぐにガーネットに披露してくれるわ。」
『…うん。』
暫くユークと話していると続々と宝石が集まりだした。
みんなユークの隣の私を見ると、必ずと言っていいほど驚いた顔をするのはなんなんだ。
失礼だぞ。
ユークの隣から移動してみんなの輪に入る。
みんな朝から元気だなぁ。
「おはよう。ガーネット!なんだか話すのは久しぶりだね」
『おはよ、そうだねー。いつもイエローが遮っちゃうから』
ラピスは私を見つけると、ぴょこぴょこしながら近づいてきた。
え、なにその乙女な感じ。
ラピスのくせに可愛いじゃないか。
「そうなんだ。それでいつも伝えられなかったんだけど、今度また図書室に来てくれないかい。こうでも言わないと君は全然遊びに来てくれないじゃないか」
『うっ、ごめん…また今度暇ができたら遊びに行くよ。今はジェードのお世話もあるしね。』
「君が忙しいのは重々理解しているつもりだ、ちゃんとわかっているよ。それでも君に会いたい。だから遊びに来てね、約束だよ」
ラピスは私の手を取ると、小指を立てさせ自分のそれと絡ませた。
あ、これって…
「これが約束の時にする儀式だそうだ。古代生物が残したものの一つだよ。…約束、守ってね」
『そ、うなんだ。うん、約束ね。』
ラピスはにこっと笑うと私の手を離しゴーストの所へ戻った。
なるほど、私が疲れてるのに気を遣って夜部屋に来なくなったのか。
申し訳ない。
「みんな、おはよう。」
「「「『おはようございます。先生』」」」
先生がいつものように挨拶しながら入ってくる。
少し違うことと言えば、ジェードを腕に抱えていることくらいだろうか。
「それでは朝礼を始めます。みなさんおはようございます。今日の天気は────」
「はい、解散」
みんなが仕事に行く中、私はイエローと見回りに行くために外へ向かおうとした。
「ガーネット。少し残りなさい」
『?はい』
けれども先生に捕まったので、ごめんイエロー先行ってて。
『先生、なんでしょうか?』
「まぁ来なさい…ジェード」
先生に手招きされて少し近づくと、先生の腕の中にいたジェードは急いで下りて先生の大きな背中に隠れてしまった。
え、傷ついた。今ものすごく傷ついた。
「ジェード、恥ずかしがらず出てきなさい。ガーネットが待っているよ」
「うっ…あい」
ジェードは先生の背中から顔を覗かせて、私と目が合うと視線をさ迷わせたが、それでもしっかりと前に出てきた。
「あ、あの。えっと、」
す、すごい!
たどたどしいけど話せるようになってる!!
「こえ、もあってくえましゅか。」
『うん?』
ジェードがモジモジしながら差し出してきたのは一つの紙だった。
お、ペリドット印の白い紙じゃないか。
折りたたまれていた紙を広げると、そこには大きく丸っこい文字でガーネットと書かれていた。
下の方にはアルマンデンという文字が見て取れるが間違っているためぐちゃくちゃにペンで潰されている。
その少し横には小さくスキと書いてある。
……ダメだ。死にそう。
あ、あ〜。ない涙腺が緩む。お兄ちゃん感動…
『こ、れって…』
「あ、と…がーえっと!しゅきでしゅ!」
顔を真っ赤にしてそれだけ言うと、ジェードは先生の後ろに隠れてしまった。
『あ、ありがとぉジェード…本当にありがとうっ私もジェードの事好き!大好き!』
いつの間にか文字を書けるようになってて、いつの間にか話せるようになってて、いつの間にか歩けるようにもなってる。
ここまでの過程が見れなかったのは残念だが、彼が私に向けて好意を示してくれている。
それだけでいい。
貰った紙を綺麗に畳んで服の中に直し、先生の後ろに回ってジェードを抱き上げた。
「わっ!わわわっ!!がーえっと!なに!?」
顔を真っ赤にして慌てるジェードを無視して、抱き上げた。
そのままイエローがしてくれたように私ごとぐるぐる回ると、次第にジェードの赤みは引いて私の首にしがみついてきゃらきゃら笑いだした。
私、ちゃんとジェードのお兄ちゃんになれててよかった。
これからもよろしくね、ジェード。
私が絶対守るからね。