日常
名前
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ピクッと体が跳ねる感覚に目を開けた。
「おっ!おはようガーネット」
『おはよぉ?』
ちらりとお腹を見ると修復の最中だった。
なんか不思議…実際だったら血が出て大騒ぎなんだろうけど…
宝石っていいかもなぁ。
欠片集めて嵌めるの大変だけど。
「まだ動くなよー後ちょっとだからな〜」
『はぁい』
寝ぼけて返事が適当になるのは許してほしい。
私を担当してくれてるのはスフェンだ。
この前と逆だなあ。
「んー、ここか」
『ひっ』
スフェンが欠片を嵌めた瞬間にお腹が跳ねる。
急に跳ねるからビックリするしなんかゾワゾワする。
全身を虫が這うようで気持ちが悪い。
「ははっ、こんなに割れたの初めてだもんな。前欠けた手の平を治した時はそんなに大きく開いてなかったし」
『うん、なんかビックリする』
「だよなぁ、俺もいまだに慣れないもん」
カチッカチッと嵌めていくたびに体は跳ねるし声は出るし、なんというか気持ち悪い。
『ぐっ』
「はい、これでおしまい!なかなか可愛かったじゃん?ガーネットォ」
『…うるさいなぁ』
最後の欠片を嵌めてニヤニヤしながら顔をのぞきこんでくるスフェン、の顔面を殴って割っても怒られないよね。
……怒られるか。
「ほら、もう起き上がっていいぞ」
『ありがとう』
治してくれたし、背中に手を入れて起き上がらせてくれたし、ウインクしてくれたし、イケメンって罪…
もう割るなんて物騒な事言わない。
「イエローはもう治療を終えて部屋に寝かせてるから、お前も部屋行きな?」
『うん…もう自分の部屋で寝てもいいかな?』
「もういいの?1人で大丈夫??」
『大丈夫!一緒に寝るとお互い割れちゃいそうで怖いの』
「あー…イエロー寝相悪いもんなぁ」
それじゃおやすみと頭をポンポンしてもらって別れた。
1度イエローの部屋に行って、寝間着持ってこなきゃ。
『…イエロー、入るね』
そっと中に入ると、寝間着に着替えさせられたイエローがぐっすり眠っていた。
疲れたんだろうなぁ。
心配かけてごめんねお兄ちゃん。
よしよしと起こさない程度に頭を撫でて、寝間着を取り部屋を出た。
さて、今日から安眠生活だ!
嬉々としてイエローから少し離れた自分の部屋に入り寝間着に着替えた。
着替えたら一気に気が緩んでしまった。
もう寝よう。
「ガーネット、ガーネット起きなさい!」
『ほあっ』
「もう朝礼始まっちゃうわよまったく!」
『えへ、ごめんレッドベリル。すぐ着替える』
あの戦いから30年。
年がすぎるのはあっという間だった。
あれから起きてきたイエローが先生やみんなに私の戦いぶりを話して、褒められたり怒られたり大変だった。
それから暫く月人が立て続けに出て、結局クラゲ研究はできてないし、その戦いに出すぎて今は上位にランクインするくらい強いと言われる戦闘力を持つ事になった。
下記に関しては嬉しい。
スフェンとペリドットは見回りは向いてないからって、片や紙製作担当、片や意匠工芸担当に転職。
そして、パパラチアはあの日から1度も目覚めていない。
体に生まれつき穴が空いてたのが原因で、元々活動時間が短かったみたいだ。
それなのに私の剣の訓練を嫌な顔せず付き合ってくれた。
力を使い切ってしまったのかもしれない。
ごめんねお兄ちゃん…
「着替えた〜??」
『うん、もうOK』
ベルトに剣をぶら下げて急いで部屋を出る。
『ごめんねベリル!行こ!』
「もういいわよ。はいはい」
寝坊なんて久々したかも。
眠い目を擦って会議室へと向かった。
『おはようございます!』
「ガーネット連れてきました〜」
「おはようガーネット。ご苦労だったなレッドベリル。」
先生はよしよしとレッドベリルを撫でて前に向き直った。
私とベリルもみんなの輪に混ざる。
「おはようございます。今日の天気は概ね晴れでしょう。────」
「はい、お疲れ様。解散!」
いつものようにユークが号令をかけ、みんなが散らばる。
ちなみに、私は今イエローとペアを組んで見回りをしている。
お兄ちゃんはほのぼのしてるから、つい気が緩んじゃうんだよなぁ。
「ガーネット〜行くぞー」
『はーい』
今日は緒の浜だったよね。
30年ぶりに新人は来てるかな。
「なんか緒の浜に来るのも久々だなぁ。俺、お前を拾ってから1回も来てないよ」
『あれ、そうなの?初耳ー』
みんなに慣れて口調が砕けた私は、前よりみんなに好かれている。
猫かぶってるより全然いいんだって。
お兄様達やさしい。
『……あれっ』
「ん、どうした?」
緒の浜の崖の近くに、緑色の大きな物体が倒れているのが見える。
まさか…
気が急いて駆け寄る足が速くなる。
間違いない。
初めて見つけられた時の私とそっくりだ。
「え!もしかして!」
『新しい…宝石…』
しかもこの色…私が前世で好きだった翡翠じゃないだろうか。
たしか、じぇ、ジェダイト?
「なんか初めてガーネット見つけた時みたいにこいつもバタバタ動いてるなぁ」
えっ、私こんなにウゴウゴしてたの。
ちょっと衝撃。
『やっぱ最初は不安なんだって。よーしよしおいでチビちゃん』
頭を撫でてやってゆっくりと宝石を抱える。
重さは感じるんだよなぁ。
でも、持てないほどじゃない、いける。
『よっ、と』
「ははっ、ついにお兄ちゃんだなぁガーネットも!」
『…そっか、私もうお兄ちゃんなんだ』
私の初めての弟と考えると、急にこの翡翠(仮)の子が愛おしく思えてきた。
「はは、よかったなぁ。しっかり面倒見るんだぞお兄ちゃん?」
『わかってますよ〜だ』
茶化されているので、冗談っぽく返しながらしっかりと腕の中にいる子を抱え直す。
地味に動いてるのかわいい…
これ多分手だよな。
すごい伸ばしてくんじゃん、割れちゃうよ〜。
これ、目合ってんのかな。合ってんな多分。
とりあえずニコニコしとこう。えへっ
「楽しみだなぁ。こいつはなんて名前なんだろう」
『うーんなんだろうね〜』
ニコニコしながら学校に入ると、先生が瞑想される部屋に行く途中だった。
「先生!30年ぶりに新人が来ました!」
『私、末っ子卒業ですよ!』
はいっと腕の中の子を差し出すと、先生は優しく笑い受け取った。
瞑想入っちゃう前でよかったぁ…
「すぐに整えて服を着せよう。レッドベリルに伝えといてくれるか」
「『了解です!』」
先生が奥に消えるのを見送って、レッドベリルの部屋へと向かう。
「ベリル!新人だ!余ってた服くれないか!」
「どえええ!?新人!?やっとね!!また僕の腕の見せ所じゃない!とりあえずこれ使って!」
相変わらずの芸人ばりのリアクションに苦笑してイエローが制服を受け取る。
『ありがとうベリル!仕事頑張ってね』
「もちろんよ!」
ベリルに手を振って先生のもとへと走る。
どうしよう。下の子ができるのが嬉しくてワクワクが止まらない。
一人っ子だったからかも。
「先生、イエローダイヤモンドと『アルマンディンガーネットです。』服をお持ちしました!」
「入りなさい」
「『失礼します!』」
ゆっくりと中に入ると、綺麗に整えてもらい白粉を塗ってもらった塩顔系の美人と目が合った。
えーかわいいーおめめキラキラー!
「あー!あぅあ〜」
「そうだ。お前を連れてきてくれた子だよ」
「あー!あ〜!」
「ガーネット、この子が呼んでいる」
先生に手招きされてベッドに近寄ると、緑色の宝石がニコニコと無邪気に笑いながら、私に手を伸ばしていた。
『えーと、はじめまして』
「はえあえへ」
な、なんて?とりあえず服を着せてあげよう。
服を持っていたイエローを手招きして、服を受け取る。
じっとするよう教えたら、すぐに理解して動かないでいてくれた。
おお、これは賢いぞ
大人しいおかげで服を着せるのは難なく終わった。
スキンシップの激しい宝石達(全員)を割らないように、いつも服の中に入れている長い手袋とニーハイがここで役に立つとは。
この子にもレッドベリルから預かった同じものを付ける。
あ〜似合う似合うかわいい〜
『もうじっとしてなくていーよ』
「?」
わかってなさそうだったので腕を広げてハグ待ちのポーズをすると、同じく腕を広げて私に飛び込んできた。
容赦なしかい。
「あー!あぃ〜」
案外頑丈なのか、私のない胸に埋まっているこの子にはヒビ一つない。
ちなみに私も割れてなかった。
「わー、ガーネットもう懐かれちゃったな!やっぱりお兄様に似て優しいからな!」
『私のほほん系か。イエローと一緒じゃん』
おそろーと片手ハイタッチをして、長居しては行けないとこの子を剥がそうとする。
ん、んん、あれ、剥がれない。
あ、あだだだだ、痛くないけど痛いぞ新人。
「もうガーネットを気に入ったんだな。ガーネット、お前がよければこの子の教育係になってあげなさい。名前はジェードだ」
『あ、はい!それはもちろん!…ジェードかぁ。かっこいい名前だね、お前』
ハテナが浮かんでそうな顔で見てくるのすごいかわいい。
よしよしと撫でて剥がそうとする。
くっ!なんで離れないんだジェードちゃん!!
「ガーネット、普通なら私と一緒の部屋で暫く見ておくんだが。今回は異常に懐いているし離れそうにない。お前の部屋で見てやりなさい」
『ああ、はい、了解ですっ』
「引っつけたままにしといてあげなさいイエロー」
私以上にイエローがムキになって剥がそうとするのが面白かったです。
お兄ちゃん新人には優しくして…
結局引っつけたまま、ゆっくりと先生の部屋を出た私達はみんなに紹介する事にした。
なんとか剥がしてお姫様抱っこに変えると、嬉しそうに首に手を回してきたので急いで頭に布をかぶりました。
うーん宝石やっぱ不便。
「ここから近いから先に図書室行くか」
『そうだね、ジェード行くよー』
イエローの後ろをゆっくりついて行き、図書室にお邪魔する。
『ラピス、ゴースト。いらっしゃいますかー?』
「はーい、なんだいガーネット」
「いるわよ〜」
最初にあった時みたいに本棚の奥から顔を見せた2人は、まず私を見て笑った。
いい意味ではなく爆笑という悪い意味で。
「ぶっ、その布、以外に似合っているよっ…」
「ふふっまん丸で僕は可愛いと思うよ」
ゴーストはすごいいい笑顔で可愛いこと言ってくれる嬉しいスキ。許す。
だが、ラピス。お前は駄目だ。
なんでお前は日に日に私への態度が粗くなるんだ。
仲良しだからフレンドリーに接してくれてるのはわかるし、嬉しいからやっぱ許しちゃおうかな。
「はは、やっぱ先に頭にまいてる布に目がいくよなぁ」
『本命はこっちね。新人!』
注目が集まるように少し持ち上げると、2人はジェードに視線をやった。
「おや、綺麗な翡翠だね、賢そうな顔だ。ガーネットと違って」
「なんてこと言うのよラピス!ガーネットは賢いわ!…随分ガーネットに懐いてるのね」
ラピスやっぱ許さんいつか割る。
ゴーストしゅき…
「なんかガーネットの事気に入っちゃったみたいでさ!全然離れないんだよ〜」
『てか可愛くて私が手放せない』
ゴーストは手袋をはめると、よしよしとジェードを撫でてくれた。ついでに私も。
え、なんでですか。
嬉しいからいいけどね?
「ガーネットに似て丸い形ね。ほんとに兄弟みたい。」
『わー、嬉しい。ゴーストありがとう!』
「…名前はなんて言うんだい?」
「ジェードって言うんだ。多分こいつの授業のための教本探しでちょくちょく来ると思うからよろしくな。話せるようになったら改めて紹介に来るよ」
「もちろんいいよ。ところでガーネット…今度僕と────」
「じゃあな!ゴースト、ラピス 」
『じゃあねゴースト〜!あ、ラピスも』
ラピスがなんか言いかけてたけど、イエローが遮ったからそんな大した用事じゃないのだろう。
きっと、また夜に私の部屋に忍び込むとかそういう宣言くらいだ。
普段は楽しいけど、ぐっすり寝てる時はほんとに迷惑。
安眠妨害はいけない。
「…ラピス、イエロー怒ってたわね。またガーネットに何かしたの?」
「ガーネットがついでのように挨拶を…どうしてだ」
「(おい、まためんどくさいモードに入ったぞ)」
「そうねぇ、からかわなければガーネットは優しく接してくれるのに…自業自得ね。暫くほっときましょう。」