仕事
名前
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『きょ、今日はよろしくおねがいします!』
「はい。よろしく」
あれから一日経って、通常なら授業の時間。
なんだけれど、あまりにも私が言葉をすらすら話し、世界の歴史もある程度覚えてしまった為。
たった2日で授業は終わったのだった。
そして先生は座学から実技に変更と言って、私をパパラチアに押しつけ瞑想に入られました。
さぼるな坊主。
「昨日教えてやれと言われて了承したら、まさか今日の朝っぱらからとはな」
『ご、ごめんなさい』
「なーに謝ってんだよ。俺は成長が早くて大いに結構だと思うぞ」
よしよしと頭を撫でられて嬉しくなる。
こんな人…石がお兄ちゃんだったらどんなに幸せか。
『ありがとう…パパラチアってお兄ちゃんみたい』
「ははっ、いいなお兄ちゃん!ガーネット、俺のことはお兄ちゃんと思ってくれていいんだぞ」
頭に乗ったままだった手が、またゆるゆると動き出す。
『えへへ、嬉しい…お兄ちゃんありがと』
パパラチアはにっこり笑うと、私の正面に来て鞘に入ったままの剣を握った。
「じゃ、始めようか。まず構えはこうだ」
剣道の構えとなんら変わりないそれを真似て同じ構えをする。
「お、うまいうまい!じゃあ次は…」
言いながら私の横に来てヒュンッと剣を縦に振りかざした。
「それ!思いっきり振ってみろ」
『んっ!』
パパラチアに習って剣を立てに振ると、鞘がすっぽ抜けてしまった。
『あ、あれっ』
「あー、やっぱ飛んでっちゃうかぁ」
次は鞘なしでやるかーと言いながら、パパラチアは飛んでいった鞘を拾って戻ってきた。
『ありがとっ』
「いーえ。軸はぶれてないから後は素振りの練習して…うーん、弾き返す練習と月人のもとまで飛ぶ練習…走る練習もいるか」
『た、たいへんだね』
「まっ、こんぐらいできなきゃ戦争には出れないからな。ガーネットは覚えがいいからすぐにできるようになるさ」
不安がるなとぽんぽんと肩を叩かれる。
なんかスキンシップ多めで嬉しいですお兄ちゃん。
「剣の腕も悪くないし…戦争に出れる可能性はあるな。…よし!じゃあ今日と明日は走り込みとジャンプにするか。」
『はぁい』
パパラチアは私の剣を持つと、近くにいたペリドットお兄さん、スフェンお兄さんペアに剣を戻しておくよう頼んだ。
「最初のうちは付けてたら邪魔になるからな」
『なるほど…あっ、ペリドットお兄さん!スフェンお兄さん!ありがとう!』
パパラチアの後ろからひょこっと顔を出してお礼を言うと、2人は顔を見合わせてにっこりと笑った。
「いーえ、ペリドットでいいさ」
「気にすんな!あと、スフェンでいいぞ!」
そう言って大きく手を振りながら、2人は見回りに戻っていった。
『すてき…』
「…よーし、じゃあ行くぞー」
パパラチアはさり気なく私の手を取ると、学校の裏に回った。
「ここから緒の浜まで往復するか。昼からはジャンプ練だな」
『はぁい…あれ、緒の浜って…たしか』
「ん?ああ、お前がこのあいだ生まれた場所だ。もちろん俺達もな」
私が生まれた場所、確かここの宝石達はみんな緒の浜で生まれたんだよな。
みんなあそこが生まれ故郷なのか。
「お前みたいに、あそこで生まれて放ったらかしにされてる奴がいないか見回り組が見に行くんだ」
『そうなんだ…』
「あーでもなぁ…うん、気が変わった」
パパラチアは突然繋いでいた手を離すと、走り出す。
えっ!?速っ!!
「俺を捕まえろガーネット!今日の初めの課題だ!」
『ぇ、ええーー!!?』
ここに残っても仕方ないのでいやいや追いかける。
パパラチア速すぎだって…もう100mは離れてるよ、お兄ちゃんなら妹を待つべきだよ…
「遅い遅い!そんなんじゃ月人に攫われて装飾品になるだけだぞ!」
『うぅ〜〜!!』
ついこの間走れるようにはなったけどまだ慣れてないんだって〜!
前世と足の長さ違いすぎてもつれちゃうよ!
「そんなんじゃ昼までに追いつけないぞ!頑張れー!」
『おぉっす…!』
スパルタ…でも好き。
宝石の為息切れはない…普通なら痛い脇腹だって痛くない。
なら、頑張れる。
「!」
『…あれ、なんか近くなった?』
もしかしてパパラチアが走る速度下げてくれた?
情けないなぁ。
もっと頑張って腕を振って足を上げなきゃ。
「いいぞガーネット!後ちょっと!」
『へっ?』
必死になりすぎて、下しか向いてなかった私はパパラチアの声でやっと顔を上げた。
パパラチアはもう目の前。
手を伸ばせば届く距離にいた。
えっ、もしかしてパパラチアが加減してくれたんじゃなくて…
『や、やったぁ!パパラチア!!私はやい!?』
「速い速い!ほらタッチしなきゃ」
タッチしようと手を伸ばすが、後ちょっとが届かない。
ちくしょう!女は根性!!
『…タッチ!!』
「ぅおっと!」
パパラチアの肩を割れない程度にタッチして、2人で草むらに転がる。
『うわっ!』
な、なにこれぇ!痛くないけどぶつけた振動で痺れる…気持ち悪い。
はっ!てか、パパラチア割れてない!?大丈夫!??
「ふ、ははっ、あははははっ!」
『どっ!?ご、ごめん!どこか打った!?割れちゃった!?』
急いで起き上がって隣のパパラチアを見るとら大の字でうつ伏せになり笑っていた。
そのまま笑ったら口に草入んない…?
「はははっ!す、すごいなガーネット!ふふっ俺のこと初日で捕まえたチビお前が初めてだよ!」
すごいすごいと笑いながら起き上がったパパラチア。
笑ったらかわいいとかお兄ちゃんマジなんなの。
『そ、そうなの?』
「そうだよ!俺無敗だったのに!会って3日のチビに捕まった!お前絶対強くなるよ!」
頑張ろうなと頭を撫でてくれるパパラチアり
あ、なんか今までと接し方違うかも。
もしかしたら少し遠慮してくれてたのかな。
だとしたら、今の吹っ切れた態度のが何倍だって嬉しい。
『ありがとう!ふふっ私嬉しい!お兄ちゃん』
「俺も嬉しい!一時間もしないで走れたんだ!きっとすぐに高く跳ぶことだってできる」
さあ行こうと起き上がって私を立たせてくれる。
紳士だねお兄ちゃん。
イエローも好きだけどそれ以上に好きになっちゃいそうだよお兄ちゃん。