Episode 9
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凛です。
何やらこの列車内で、殺人事件が遭ったようです。
何故、こうも行く先々で事件に巻き込まれるのでしょうか?
ーーーーあぁ、ここにコナンくんが居るからだな。
うん、絶対・・・否、十中八九そうでしょう。
彼は是非とも一度、お祓いに行った方が絶対にいいと思う。
いや、そんな事をすれば、きっとお祓いに行った先の場所で何かしらの事件が起きそうです。
そして事件を聞きつけた透さんはーーーー
「ここは危険ですので、蘭さんたちの居る部屋へ戻っていてください!
いいですね!?絶対部屋から出ないでください!」
ーーーーと言って、さっさといつぞやの如く走って行ってしまいました。
・・・そんな彼も大概事件を呼び寄せているような気がしますが・・・気のせいでしょうか?
この世界に事件を呼び寄せない平和な人って居るのでしょうか?
きっとそのような人は希少価値が高い程の絶滅危惧種でしょうね。
しかし、万が一にでも居るならばその人とお友達になりたいです。
私にも平和をください。
凛は大人しく安室の言いつけを守る為に、蘭たちの居る部屋へと向かっていた。
すると、その時ーーーー
「緊急連絡です!
ただいま当列車の8号車で火災が発生致しました!
7号車と6号車のお客様は念の為、前の車両に避難して頂きますようお願いします!」
緊迫した車内アナウンスが響いた。
しかもアナウンスの内容が"火災"というパワーワードを含んでいた事に、凛は遠い目をした。
(えー・・・殺人に加えて火災?
本当にこの世界はどうなってるのよ・・・)
凛がやれやれ・・・と首を左右に振っていると、ふと先程のやり取りが脳裏を過ぎった。
(あれ、"8号車で火災"?
まさかシャロンが言っていた危険ってこの事?
って事は、今の透さんはあっち側かぁ・・・)
凛は少し考えた後、蘭たちの居る部屋とは反対の方へと身体の向きを変えて歩を進めた。
そしてその途中で人の波に逆らいながら7号車の方に向かって走る灰原の姿を見付けた。
凛は何故車内アナウンスで前の車両へ避難するように指示されたにも関わらず、灰原が1人で7号車へ向かっているのか気になり、押し寄せる人を避けながら灰原の姿を見失わないように追い掛けた。
灰原が入って行った部屋を追い付いた凛が確認すると、7号車のB室だった。
凛は迷う事なく部屋のドアをそっと開けて中へ入ると、灰原は彼女を見て驚愕の表情を浮かべていた。
「あっ貴女・・・どうしてここに?
ここは危険よ!
きっともうすぐヤツらがここにっ
とにかく早く前の車両にーーーー」
(ヤツら・・・?)
険しい表情で凛をこの部屋から必死に遠ざけようとする灰原が放った言葉で、凛は何となくわかった気がした。
この小さな彼女の正体を・・・
「・・・哀ちゃん、ちょっとごめんね?」
凛は灰原の隣に無理矢理座ると、ジッと灰原の青い瞳を見つめた。
彼女の青い瞳が不安げに揺れ動いた。
次の瞬間、凛の脳内には灰原の記憶が一気に流れ込んだ。
(・・・あぁ、なるほど。)
「ーーーーっ!?」
灰原は突然の強い不快感に襲われ、眉間に皺を寄せて目をギュッと強く閉じた。
その様子に開心術をやめた凛は、灰原の小さな手を優しく握った。
ビクリと肩を揺らした灰原は、凛と目を合わせようとしない。
勘のいい彼女は、先程凛と目が合った瞬間に感じた不快感を警戒しているのだろう。
優しく握った灰原の手に力が込められていた。
「・・・哀ちゃん。
哀ちゃんがすべての責任を感じる必要はないよ。
哀ちゃんの背負ってる苦しみもつらさも哀しみも、私には計り知れないものだって事はわかってる。
でも、受け止める事は出来る。
だから少しくらいは私に分けてくれないかな?」
「・・・どういう、事なの?」
灰原が恐る恐る凛に視線を移す。
しかし再び逸らされた。
「貴女が悪いワケじゃない。
だって貴女は・・・毒をつくってるつもりなんてなかったんだもの。」
凛の言葉に灰原は一瞬で顔色を青ざめさせた。
凛から逃げようと後ずさりながら、握られた手を振り解こうとする。
しかし元々狭い部屋の座席に座っていた灰原は、すぐに壁に背中が当たった。
呼吸が乱れてハッハッと短く息をする事しか出来ない。
「どうして凛さんがその事を・・・
貴女・・・っ
さっき私に何をしたのよ・・・っ」
目の前に居る凛が何者なのかわからなくて怖い。
以前逢った可愛らしい凛とは違う雰囲気を纏う凛に、灰原はどちらが本来の凛なのかわからず怖かった。
「哀ちゃんの記憶を見たの。
貴女が本当は18歳だって事もわかったよ。」
「ーーーーっ
き、記憶を・・・見た?
何を、言っているの?
貴女・・・一体何者なのよ!」
凛は握っていた灰原の手を、さらに少し力を込めて握った。
「・・・私は魔女だよ。」
凛がそう言った瞬間、灰原は眩しい程の強い光に包まれて、咄嗟に目を強く閉じた。
そして凛は灰原に自分が魔女である事を証明出来る記憶を灰原に見せた。
強い光が次第に弱まると、凛はゆっくりと灰原の手を離した。
「ね?嘘じゃないでしょう?」
灰原は驚愕した表情のまま、ただ凛を見つめていた。
灰原のその様子に、凛は眉を下げて小さく微笑んだ。
「・・・ごめんね、気持ち悪かった?
不快を与えた事は謝る。
怖がらせた事も・・・
でもこれだけはわかっていて欲しい。
私は哀ちゃんたちの味方だよ。」
すると灰原は小さく溜息を漏らして、離された凛の手を握り取った。
「別に凛さんの正体が魔女だからって気持ち悪いだなんて思ってないわよ。
少し驚いただけ。
確かに貴女の正体がわからなくて恐怖を抱いたけど、今はもう何も感じないし。」
灰原は息をつくと、小さく微笑んだ。
「・・・ありがとう、凛さん。
貴女の言葉、嬉しかったわ。」
「哀ちゃん・・・」
「でも私の記憶を見たからにはわかったでしょう?
ここに居ては危険なのよ。
黒ずくめのヤツらが、私の事をーーーー」
その時、7号車のB室のドアを勢いよく開けられた。
瞬間的に凛は灰原を隠すように背に隠した。
