Episode 9
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そんなこんなで満員の客を乗せ、ベルツリー急行は快調に走り出した。
凛と蘭、園子、世良の4人は、一等車で仲良くお茶を飲みながら会話に花を咲かせていた。
どれ程の時間が経った頃だろうか、部屋のドアがコンコンとノックされた。
「はい?」
蘭がドアを開けて通路を見るが、そこには誰も居ない。
「イタズラ?」
園子は不思議そうに首を傾げ、世良は通路に落ちている白い封筒を見付けた。
「蘭くんの足元に何か落ちてるよ。」
「本当だ・・・何だろう。」
蘭は白い封筒を拾い上げて中身を確認した。
中からは封筒と同じ、白いカードが出てきた。
「えっと・・・
【おめでとう。
あなたは、共犯者に選ばれました!
7号車のB室で被害者役が待っている。
入れ替わり推理クイズを盛り上げてくれたまえ。】?」
蘭がカードに書かれていた内容を読み上げると、園子と凛は首を傾げたが、世良だけは反応を示した。
「なぁ・・・それって、 推理クイズの配役じゃないのか?」
「そっか!
なら、私たちが選ばれたんだね!」
園子と蘭は推理クイズの配役を任された事に盛り上がっていた。
しかし凛はというと、正直推理クイズよりもベルツリー急行の車内の方が気になって仕方がなかった。
やはり内装などは違えどSL機関車といえば、ホグワーツ特急を思い出させる。
懐かしの記憶に浸りたい気持ちが大きかった。
「みんな、ちょっと車内の散策して来てもいい?」
凛が3人に尋ねると、蘭、園子、世良はプツリと会話を止めて至極心配げな表情で彼女を見やる。
「1人で大丈夫ですか?」
「道に迷わない?」
「変なヤツに声を掛けられても、絶対着いて行っちゃダメだからな?」
「う、うん?」
一回りも歳下である3人に何故か心底心配された・・・というより何故か子ども扱いを受けた凛は、非常に納得出来ないまま部屋を出た。
しばらく凛が列車内を散策していると、気が付けば8号車まで来ていた。
そのまま8号車の車内を散策していると、通路の先からツバのある帽子を目深に被った男が歩いて来た。
凛は通行の邪魔にならないように通路の端へ寄り、その男とすれ違った瞬間ーーーー
「・・・ハァイ、凛。」
凛は聞いた事のある声に勢いよく振り返った。
しかし、そこには先程すれ違った男の後ろ姿しかない。
凛は咄嗟にその男の後ろ姿を追い掛けて腕を掴んだ。
何かの間違いかもしれない。
しかし先程の声は確かに凛が聞いた事のある声だった。
その男がゆっくりと振り向き、こちらへと視線を移す。
振り向いた男の顔には、大きな火傷の痕があった。
(ーーーーえ?
秀一・・・なワケないよね?
それにさっきの声は絶対ーーーー)
「ーーーーシャロ・・・」
凛が声の主の名前を呼ぼうとすると、目の前にいる男の長い人差し指が凛の唇に優しく添えられた。
「シー・・・ダメよ、今はお仕事中。
それに、この8号車は危険よ。
早くここより前の車両に戻りなさい?」
凛が言葉を紡ごうと口を開いた瞬間、後ろから誰かに勢いよく腕を引かれた。
