Episode 8
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バシッ!!
降谷が走って河川敷に着いたと同時くらいに、何もない空間から独特の音が聞こえた。
そして音の出所には、凛が立っていた。
凛が降谷の存在に気が付くと、軽く微笑んで走り寄って来た。
「透さん!
待たせちゃった?」
「いや、俺も今来た所で・・・
今のは?」
「前に話した事がある姿現しだよ。
1度でも行った事がある場所なら、この通り!
いつでも何処からでもすぐに来れるんだ。」
「それはかなり便利だな。」
「あ!透さん、手の甲に傷がある!」
降谷は今日、組織の任務で少し左手の甲に傷をつくっていた。
大した傷ではなかった為、特に何もしていなかった。
「ん?あぁ・・・
組織の任務でちょっとな。
大した傷じゃない。」
『エピスキー(癒えよ)』
凛が降谷の左手を手に取って呪文を唱えると、暖かなモノに包まれてる感覚がした。
すると、左手の甲にあった傷が次第に薄れていき、完全に治癒された。
「これで完全に治ったよ。
他はどこも怪我してない?」
「大丈夫だ。
ありがとう、すごく助かったよ。」
降谷は微笑むと、自然と凛の頭に手が伸びて撫でた。
「・・・透さん、何かあった?」
「え?」
「嫌な事とか、つらかった事とか・・・」
「大丈夫だ。
何もないよ。」
「そう?
なら良かった。
透さんに何か遇ったのかと心配で、慌てて飛んで来ちゃった。」
そう言って笑う凛に、降谷は鼓動が早くなるのを感じた。
「・・・どうして、俺を呼ぶ名前が透なんだ?」
「え?だって外だし。」
「俺と2人きりの時は、本名で呼んで?」
「もし誰かに聞かれたらどうするのさ。」
「凛さんには・・・零って呼んで欲しい。
ダメか?」
頭をコテンと傾けて可愛らしく尋ねる降谷に、凛は一瞬にして顔を赤らめた。
「わっ私が可愛いもの好きなの知っててその可愛さはずるいぞっっっ!
もう!
ほら、それより早く空を見上げて!
星がとても綺麗なんだから!」
凛に急かされて見上げた夜空は、たくさんの宝石を散りばめたかのように星が瞬いていた。
「・・・本当だ。」
「でしょ?
この星たちを見て、少しでも零さんが元気になってくれればいいな。」
降谷は凛に視線を移して、柔らかく微笑んだ。
「俺はこうして凛さんに逢えた時から、すでに元気出てたけど?」
「イケメンだからって何言っても許されると思ってるでしょ!」
「ははっ、本当の事を言っただけだ。」
「何だか私、段々と零さんに絆されてる気がするんだけど。
今更だけど、こんな時間に呼び出しちゃってごめんね?」
「気にするな。
俺もこんな時間に電話をかけてしまって悪かった。」
「眠れなかったから大丈夫だよ。」
「俺もだ。」
「へへ、そっか。
もう今日だけど何か急ぎの用事とかあった?」
「んー・・・
特に急ぎっていう程ではないんだが・・・
今日は車を修理に出してから、本庁で仕事だな。」
「車の修理?」
「あぁ。
公安の方でやらかしちゃってね。」
恥ずかしそうに頬を掻きながら話す降谷の手を握った凛は、嬉しそうに目を輝かせた。
「私が直せるよ!」
「え?」
「私の魔法で直せるの!
物が残っていれば確実に元に戻せるよ!」
凛は早く車の所へ連れて行けと言わんばかりに、降谷の手をグイグイと引っ張った。