Episode 8
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凛が鼻唄交じりに、マンションへと帰っている時ーーーー
「ーーーー谷さんの所へ、今から向かいまーーーーぅわ!?」
「わ!?」
凛は目の前の角から突然現れた人物とぶつかり、勢いよく尻もちをついて転けた。
「すっすみません!
大丈夫ですか!?」
飛び出して来た人物は、長身で黒髪短髪、鋭い瞳の三白眼で眉毛が特徴的な男だった。
男は慌てながら、凛に向かって手を差し出した。
「私の方こそ、ちゃんと前を見てなくてすみません。
大丈夫ですよ。」
凛は自力で立ち上がると、チラリと男を見た。
(スーツ姿だ。
電話してるし・・・お仕事中だよね?)
「いえ、何でもありません。
・・・はい・・・はい。
了解しました。
では、これで・・・」
男は通話先の相手と一言二言話し終えると、通話を切った。
そして凛へ再び視線を移した。
「本当に申し訳ございません。
万が一の事もありますので、今から一緒に病院へ行きましょう。」
「え?
本当に大丈夫ですよ。
何ともありません。」
「しかしーーーー」
その時、男の方から グゥゥゥゥゥゥ・・・と大きな音が聞こえた。
「「・・・」」
途端に男の顔は真っ赤になった。
「でっでは、大丈夫なようでしたら、自分はこれで!」
慌ててその場から立ち去ろうとする男を、凛は腕を掴んで引き止めた。
「あっあの!待ってください!」
「なっ何か?」
「これ、良ければもらってくれませんか?
家に帰っても私1人だけなので、食べきれないんです。」
凛はたくさんの菓子が入った紙袋を、男の方へと差し出した。
紙袋から漂う甘くていい香りが男の鼻腔をくすぐり、さらに腹の音が鳴る。
「しっしかし、自分はーーーー」
「いらなければ捨ててくださってかまいません。
大丈夫ですよ、毒など入っていませんから。」
ニコリと微笑んだ凛に、男は頬を染めた。
そしておずおずと、凛の手から紙袋を受け取った。
「あ、ありがとうございます・・・」
「いいえ!
私は神崎 凛って言います。
よろしければ、貴方のお名前を伺っても?」
「・・・飛田 男六です。」
「飛田さんですね。
お昼も食べれないくらいお仕事が忙しいかと思いますが、あまり無理しないでくださいね?」
凛は微笑むと、ペコリと頭を下げてその場から立ち去った。
残された男は口の端を少し持ち上げると、自分の上司が待つ場所へと急いで向かった。