Episode 7
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降谷名義のマンションに来た凛は、口をポカーンと開けていた。
「そんな顔をして、どうしたんだ?」
「・・・いや、安室さんの本職を考えたら、これが普通なんだろうけどね・・・
すごく厳重なセキュリティだなぁと・・・」
「そうか?」
降谷は、顔認証、指紋認証に続き、パスワードに網膜認証と、様々なセキュリティを解除してようやく部屋へと辿り着いていた。
「凛さんも仕事柄、ちゃんとしたセキュリティのある場所に住んでたんじゃないのか?」
「仕事って闇払い?」
「あぁ。
普通の場所だと、闇の魔法使いによる奇襲とかありそうじゃないか。」
降谷は買ってきた食材たちを、キッチン台に出しながら尋ねた。
カウンターキッチンの前からその様子を眺めていた凛は、笑って懐かしそうに頷いた。
「確かに魔法薬学教授補佐に就く前は、奇襲とかザラにあったなぁ。」
「え。」
「そりゃ、魔法界にもちゃんとしたセキュリティみたいな目隠しは出来るんだよ?
でも、私は面倒くさくて。
あの人たち時間問わず来ちゃうのが難点でね。
私の安眠妨害するもんだから、ついつい必要以上に叩きのめしちゃって、よく局長に怒られてたなぁ・・・」
(だから君は頼むから危機管理能力をもっと持ってくれ!!)
降谷は微笑みながら凛の話を聞いていたが、その口元はヒクついていた。
降谷の手料理を存分に堪能した後、凛は杖を振って食器類の片付けを終わらせた。
「へぇ・・・やはり便利なものだな。」
「でしょ?
片付けならお任せあれってね。」
「ありがとう、助かったよ。」
「安室さんの美味しすぎる最高の手料理に比べたら、これくらいお易い御用だよー。」
降谷はフッと微笑みながら凛の頭をポンポンと撫でた。
「さて、勉強するか。
教材を持って来るから少し待ってて。」
降谷がリビングから出て行くと、凛は広いリビングを見回した。
白を基調とした必要最低限の家具家電のみ置かれたシンプルな部屋だ。
(・・・安室さんの本職を考えると、仕方がない事だけど・・・
なんだか寂しいな。)
凛はふと、先程のスーパーで降谷に買ってもらったアニメの菓子を思い出した。
鞄から取り出し菓子箱の蓋を開けると、中身のマスコットキーホルダーの頭の部分に付いたボールチェーンをつまみながら出した。
「・・・やっぱりどことなく安室さんに似てる気がする。」
目の前で、マスコットキーホルダーをプラプラと揺らした。
「ごめんね。
君には本来の名前があるみたいだけど、君は私の知り合いにとても似てるから・・・今日から君の名前は"あむぴ"だ。
知ってた?
"あむぴ"って、ポアロによく来る女子高校生たちが付けた安室さんのあだ名なんだよ。」
するとその時、凛の背後からガタンと音がした。
凛が振り返ると、そこには右手のひらの上に数冊の教科書を重ねて乗せ、左手で口元を覆いながら下を向いている降谷が立っていた。
その降谷の肩は、プルプルと震えている。
束の間の沈黙の後、笑われていると気付いた凛は、降谷に尋ねた。
「・・・聞いてた?」
「・・・元々あるキャラクターの名前に、被せて名付けるとか・・・
しかも、"あむぴ"って・・・フハッ」
ついには声に出して笑い始めた降谷に、凛は恥ずかしさで顔を真っ赤にさせた。
すぐさま袖口から杖を取り出し、降谷に向かって忘却呪文を唱えようとした。
しかし、降谷の俊敏な動きによって杖は奪われ、それは叶わなかった。