Episode 1
夢小説設定
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「アンッ!」
「こら、ハロ!
あまり遠くへ行くな!」
まだ日が完全に昇りきらない早朝の4時過ぎーーーー
川の横の砂利道を、元気に駆け走る綿あめのような真っ白な仔犬と、ハロと名付けられたその仔犬の後を、小声で注意しながら追い掛けるカスタードクリーム色の金髪を持つ1人の男が居た。
ハロはしばらく砂利道を駆け走っていると、ふと立ち止まり鼻をヒクつかせた。
そして、近くにある背の高い草むらへ勢いよく頭を突っ込んだ。
ハロを追い掛けて来た男は、その行動を不思議に思い、ハロが頭を突っ込んでいる草むらをかき分けて覗き見た。
そこには、腕や足、顔などにいくつもの傷を負った黒髪で色白のアジア系の凛が倒れていた。
ハロはその凛の手を、頻りに舐めていたのだ。
男は(死体か!?)と思い、急いでハロを抱き抱えて凛から離した。
そして、凛の首筋にソッと触れて脈を確認した。
トクン・・・
トクン・・・
凛の脈がある事にひとまず安堵した男は、倒れてる凛の周りを見た。
(・・・良かった、脈はある。
衣服が乱れていないから暴漢ではなさそうだが・・・このいくつもの傷は一体・・・
持ち物は、小さめの鞄と・・・これはなんだ?木の枝か?
とにかく救急車を早く呼ぶか・・・)
男は手にしていた木の枝のような棒を元の位置に戻し、ポケットからスマホを取り出した。
その時ーーーー
『うっ・・・』
「!?
大丈夫ですか!?」
凛は意識が戻ったのか、呻き声をあげて小さく身じろいだ。
それに気付いた男は、すぐさま声を掛けた。
『ーーーーっまぶ、し・・・』
(英語!
日本人ではないのか!)
『大丈夫ですか!?
僕の声がわかりますか!?』
凛が話した言葉は英語だった。
その為、男は英語で再度安否の確認を凛に投げ掛けた。
『あー・・・はい、わかります。
大丈夫です・・・』
『良かったです・・・』
男は、凛が意識を取り戻した事、無事である事にとりあえずホッと胸をなで下ろした。
すると、凛はハッとして慌てて起き上がり、自身の袖口を漁り、さらに近くの草むらをかき分け始めた。
そして近くに落ちていた木の棒のような物を見付けると、すぐさま拾い、自身の胸元でギュッと握り締めた。
しかし、凛は突然勢いよく立ち上がった事で目眩がしたのだろう、身体がフラついた。
男は慌てて凛の身体を支えて、再度安否の言葉を投げ掛けた。
『大丈夫ですか!?
急に立ち上がってはいけません!』
『すみません・・・』
そこで凛はようやく周りを見回した。
『・・・ここは、どこ?』
ポツリと凛が呟いた。