Episode 7
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「それにしても、凛さんって本当に鈍感だと思わない?」
ふと聞こえてきた園子の会話に、安室は食器を洗っていた手をピタリと止めた。
時刻は15時45分。
今日のシフトは、梓と安室だった。
安室は16時でシフトを終える為、閉店までシフトに入っている梓は今、バックヤードで休憩をしている。
「まぁ・・・
私たちも実際にその場に居たワケじゃないから、何とも言えないんだけどね。」
どうやら園子と蘭は凛の話をしているようで、安室は再び手を動かしながら何となくその会話を聞いていた。
「いーや!
紅茶好きの人が、"これから先、お前の淹れた紅茶しか飲めそうにない"って言ったのよ!?
そんなの、"お前の味噌汁が飲みたい"と一緒じゃない!」
「・・・園子、それ古すぎない?」
「とにかく!
あんなの絶対凛さんに気があるわよ!」
ガシャン!!
キッチンの方から何かが割れる音が聞こえ、蘭と園子は驚いて視線を安室へ移した。
「・・・蘭さん、園子さん、すみません。
手を滑らせてグラスを割ってしまいました。」
「びっくりした・・・」
「大丈夫ですか?
珍しいですね。
安室さんがグラス割るの・・・」
安室は困ったように微笑みながら、割れたグラスを片付け始めた。
すると、蘭と園子は再び会話し始めた。
「それでさ、その人がどんな人なのか聞いたら・・・
同じ学校の教授で、イギリス人だけど黒髪に漆黒の瞳で、身長が185cmある人って言ってたのよ。」
「だから凛さんはあの時、"155cmだから、いつも見上げてて首が痛かった"って言ってたのね。
私、丁度お手洗いに行ってたから・・・何の話なのか気になってたの。
・・・あれ?
凛さんが前に仕事していた教授補佐ってもしかして・・・」
「そ!
その人の補佐してたって言ってたわよ!」
「へぇー!
確かその教授って、在学時代の先輩って言ってたし・・・すごい運命じゃない!」
「だよね!?
私あまりにも気になったから、その人の名前聞いちゃったのよ。」
「園子ったら、いつの間にそんな事まで聞いていたのよ・・・
それで? どんな名前だったの?」
グラスを片付け終えた安室は、仕込みをする為に冷蔵庫へと向かった。
そして、冷蔵庫の中からタルトに使うリンゴを手に取った。
(イギリス人?
まさか・・・)
「安室さん、休憩頂きました。
代わりますね。」
ちょうどその時、休憩時間の終えた梓が、バックヤードから帰って来た。
「セブルス・スネイプって言うんだってー!
いやー、外国人は名前ですらカッコイイわよね!」
ぶしゃあああっ!!!!
「ひぃいいいいい!?
リンゴがぁぁぁぁぁぁっ!!」
梓の悲鳴に、何事だと慌ててカウンター内へと視線を移した蘭と園子。
そこには、右手からボタボタ・・・と粉砕されたリンゴの欠片と汁を滴らせる安室と、その前に顔面蒼白にさせている梓が居た。
安室は右手を綺麗に洗うと、何事もなかったかのように爽やかな笑顔で言った。
「・・・梓さん、あとはよろしくお願いしますね?
お疲れ様です。」
安室がそのまま店を出た後、蘭はおずおずと梓に尋ねた。
「ど、どうかしたんですか?」
「あ、安室さんが・・・片手でリンゴを握り潰した。」
「「え?????」」