Episode 6
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それから女子高校生組とすっかり仲良くなった凛は、頻繁に連絡を取り合うようになった。
その中でも、蘭と園子はポアロによく顔を出すようになっていた。
そんなある日ーーーー
「凛さんって、どこかで紅茶の淹れ方とか学んでたんですか?」
洗い場で食器を洗っていた凛は、手を止めて蘭に視線を移した。
「え?」
「その・・・凛さんが淹れてくれた紅茶はとても美味しいので・・・
私、自分でも淹れてみたんですけど、凛さんみたいに美味しく淹れる事が出来なくて。」
恥ずかしそうに笑いながら話す蘭に、蘭の隣に座っていた園子がすかさず反応する。
「あ、わかる!
私も初めて一口飲んだ時に、全然違う!ってなったのよね。
なんて言うか・・・他のお店のも美味しいんだけど、美味しくないって言うか・・・」
「でしょでしょ!
私も初めて凛ちゃんに淹れてもらった紅茶を飲んだ時、美味しすぎてビックリしたのよ!」
園子に続き、梓もカウンターから身を乗り出して大絶賛すると、凛は照れながら再び食器を洗い始めた。
「みんな褒めすぎだよ。
でも、ありがとう。
どこかで習ってたってワケじゃないの。」
「なら、独学ですか?」
蘭の問い掛けに、凛は首を左右に振った。
「ううん。
昔ね・・・他の食事には無頓着な癖に、紅茶の淹れ方だけにはうるさい人が居てね。
その人に認めて欲しくて、何度も何度も練習したのよ。」
凛が食器を洗い終えて布巾で手を拭くと、目の前には目を輝かせた蘭と園子と梓が詰め寄ってきていた。
「・・・て、三人とも近くない?
いや、美女に詰め寄られて嬉しすぎるけどさ。
なんのご褒美?
美味しい紅茶のご褒美かな?
てか本当に君たち顔面偏差値高すぎだよね。」
凛は軽く目の前で両手を上げながら言った。
すると、園子が上げられた凛の手を掴んで下ろし、さらに顔を近付けた。
「わぉ、園子ちゃん・・・すっごくいい香りがする。」
「そんな事どーでもいいのよ!
それで?」
「ん?それでって何が?」
「その人の事、もっと詳しく聞きたいんだけど。」
「え?
んー、そんな詳しく話しても何も面白くないと思うけど・・・」
「いいから話す!」
「えーと・・・私が教授補佐として働き始めた時だったんだけどね。
初めの頃の私は、紅茶を淹れるのがすっごく下手でさ。
手抜きしたり、適当に淹れたりしてて・・・よくその人に"不味い!"って怒られてたんだ。
不味いって怒る癖に、いつもちゃんと最後まで飲んでくれるの・・・本当、変な所律儀でさ。
それでね、その度にその人が何度も何度も丁寧に淹れ方を教えてくれてね。
やっとの事で、その人から"これから先、お前の淹れた紅茶しか飲めそうにないな"って合格印もらえたっていう話。」
凛は、同寮の三つ歳上の先輩でもあり、魔法薬学教授でもあったスネイプを思い出しながら、ふんわりとやわらかく微笑んだ。
その様子を見ていた三人は、すぐにピンッと来た。
「その話し方っぷりだと・・・その教えてくれた相手は男よね!?」
「凛さん!
まさかその人って・・・」
「凛ちゃんの彼氏!?」
凛の浮いた話など一切聞いた事などなかった園子、蘭、梓は、目を輝かせて彼女にずずいと詰め寄った。
しかし、彼女たちの期待とは裏腹に、凛はただキョトンとした表情をしただけだった。
「へ?
アイツが私の?」
途端に凛は、プッと吹き出した。
「えー?ないない!!
恋愛のれの字もなかったわよ!
それにあの人には、小さい頃から一途に想い続ける超絶美人な女性が居るんだってー!」
終いには腹を抱えながら、想像しても有り得ないんだけど!と笑い転げている凛を尻目に三人は・・・
「・・・私ね、ずっと思っていたんだけど・・・
凛ちゃんってすごく鈍感だと思うの。」
「私もそれは薄々思っていました・・・」
「ここまで来ると、その人が不憫すぎて同情するわね・・・」
顔も知らないスネイプの事を、心底哀れんでいたのであった。
