Episode 6
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ふと目を覚ますと、見知らぬ天井が視界いっぱいに広がっていた。
(ここはーーー?)
自分がベッドの上に居る事に気付き、ゆっくりと身体を起こした。
周りを見回すと、そこが病院ではない事がわかる。
自分が居るベッドとベッドサイドテーブル、そして白いラグだけが置かれたシンプルな部屋に、ますます首を傾げた。
そして自分の身の違和感にも気付いた。
急いで衣服を捲りあげて見ると、驚愕した。
(え?
傷が・・・消えている!?
一体どういう事?
確かに私はあの時、銃弾を受けたはずーーーー)
すると、その時この部屋のドアが開き、その向こうから長い黒髪の女がひょっこりと現れた。
その女の手にはトレーが持たれており、その上に何やら湯気の立つ皿が乗せられている。
「あ、起きました?
体調はどうですか?」
「貴女は誰なの?」
「私は神崎 凛です。」
「そう・・・
貴女が私の治療をしたのかしら?」
「えぇ。」
まさかねと思いながらも尋ねた質問に対し、まさかの凛の返答に、ピクリと反応を示した。
「・・・どうやって?」
「私は医療従事者としての経験があったので。」
凛は、その人物が起きるまでに必死に考えた嘘をシレッと答えた。
「・・・いくら医療従事者としての経験があったとしても、傷痕一つ残さずに治療する事なんて・・・
今の医学で出来るはずがないわよね?」
(でっすよねぇえええええ!)
そればっかりはどう頭を捻っても考えつかなかった事に、凛は心の中で盛大に涙を流した。
「えーと、まぁ・・・
そこはまだ、非公開段階の皮膚移植でして・・・
ぶっちゃけちゃいますと、実験中の技術?って言いますか・・・」
あまりにも無理ある嘘に、案の定その人物から深い疑いの目を向けられる。
(ーーーーっ
こうなればヤケクソだ!
そして隙を見て忘却呪文を唱える!!)
凛はその場で素早くカーペットの上に正座し、額を勢いよく床に付けた。
所謂、土下座だ。
「この度はぁぁぁぁっっ!
命の危機を感じざるを得ない緊急事態だった故に、まだ世に非公開である皮膚移植の実験台にしてしまい、誠に申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁ!!
しかし、この移植方法は自分の身を持って安全である事は立証済みでして、拒否反応も一切見られない代物なのは確かでございますうううう!」
凛はもはや、自分でも何を言っているのかわからなくなってきていた。
今彼女にとって、相手がこの戯言を信じようが信じまいがどうでもいい。
欲しいものはただ一つ、相手の隙なのだ。
その隙をつくる為に、凛は相当頭の逝っちゃってるヤバい人間の如くツラツラと言い訳を口から吐き出す。
すると、その場に似つかわしくない無邪気な笑い声が聞こえた。
恐る恐る凛が顔を上げると、目の前には盛大に笑う人物が居た。
「貴女・・・それ、私だからいいけど、他の奴らなら通用しないわよ。」
「え?」
「シャロン。」
「え?え??」
「私の名前よ。」
シャロンは笑いすぎて涙を浮かべた目尻を指先で拭うと、凛が持って来たトレーを指差した。
「あれは何?」
「あ、チキンスープとポリッジ・・・
食べます?」
「貴女、イギリス人なの?」
「日本人ですけど、イギリスに住んでいたのが長くて・・・」
「ふぅん?
いただこうかしら。」
シャロンは自分で言いながらも内心では驚いていた。
(まさかこの私が初対面の人から食事をもらうなんてね。
しかもこんなにも怪しい子から・・・
何故かしら・・・
そうしてもいいと思える程、この子の事は信じられそうな気がする・・・)
目の前に置かれたトレーの上にあるポリッジをスプーンで掬うと、口へ運んだ。
じわりと口内に広がるオーツ麦の香ばしさとリンゴとはちみつとミルクの甘さに、シャロンは口の端を持ち上げた。
「・・・美味しい。」
その言葉を聞いた凛も、嬉しそうに微笑んだ。
