Episode 0
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凛はヴォルデモートの言葉を聞いてすぐさま魔力を解放し、自身の背後一面に分厚い氷壁を造り出した。
自身の後ろに居る者たちを護る為にーーーー
『『アバダ・ケダブラ(息絶えよ)!!』』
2人が杖腕を前に出して呪文を唱えたのは同時で、互いの杖先から出た緑の閃光がぶつかり合った。
ぶつかり合った呪文は相殺され、辺りに火花を散らす。
ヴォルデモートは口の端をゆっくりと持ち上げ、凛はこめかみからツゥッと一筋の汗が流れ落ちた。
そして互いに放った死の呪文が合図であったかのように、2人はひたすらに激しい攻防を続ける。
『それがお前のもう1つの姿か!
だが、例え姿変わろうとも俺様の前では無に等しい!!
お前がいくら強い魔力を持っていたとしてもな!!』
凛はヴォルデモートの圧倒的な魔力の強さに押され、奥歯を噛み締めた。
あまりにも強く噛み締めたせいか、歯茎が悲鳴を上げて血を流す。
しかし、今の彼女にそれを気にする余裕などない。
(ーーーーっ
一瞬でも気を抜けば、ヴォルデモートに魔力を喰われるっ!)
その彼女の心情を見抜いているのか、ヴォルデモートは余裕の笑みを浮かべる。
そして傍らに居た大蛇のナギニに、シューシューと蛇語で何かを指示しているのに凛は気付いた。
主からの命令を聞いたナギニは、シュルリと身体をくねらせてその場から離れ、凛が造った氷壁へと近付いて行く。
(ーーーー!?
アイツっナギニに命令して、まだセブルスを狙うつもりね!?)
ヴォルデモートはその手に持つニワトコの杖が、彼に忠誠を誓わず本領発揮しない事に改めて苛立っているのだろう。
蛇語を理解出来ない凛でも、彼がナギニに何を命令したのかは大いに想像出来た。
凛はすぐさま左手をナギニの方へ向けてかざし、氷塊を出そうとした。
しかし、ヴォルデモートの魔力とやり合う為に杖腕の右手に自身の持つ全魔力を集中させているからか、左手からは氷塊は出なかった。
頭をフル回転させて、氷壁に向かって体当たりを繰り返しているナギニをどうにかしようと考える。
しかし、ヴォルデモートとの攻防に一瞬の隙も見せられない状況に、盛大に舌打ちをする事しか出来ない。
視線をヴォルデモートとナギニに交互に向けながら必死に考えるも、今のこの状況を打破出来る解決策など微塵にも見付からず、ついに氷壁にヒビが入ってしまったのに気付いた。
目の前に立つヴォルデモートを怯ませる事も出来ず、氷壁に体当たりしているナギニを止める事も出来ない自分の力不足に杖を握る右手からも血が滴り落ちる。
再び左手をかざすも、やはり左手から氷塊は現れない。
(・・・そうだ。
ハリーはヴォルデモートに殺されなければいけないんだった。
そうする事で、ヴォルデモートは最後の分霊箱を自ら壊す事になって死を迎える。)
凛はぼんやりと記憶に残るダンブルドアの言葉を思い返した。
その為にスネイプと共に、ハリー・ポッターをここまで守り抜いてきたのだ、と。
ふと、ハリーの姿が鮮明に脳裏に現れた。
父親であるジェームズ・ポッターのような容姿に、母親であるリリー・ポッターのような美しいエメラルドグリーンの瞳を持つ2人の愛の結晶。
まるで、そこに2人が居るような錯覚さえも起こさせる程の愛の結晶。
(・・・私は本当にダンブルドア先生の命令で、彼を守り続けていたのだろうか。)
その答えは考え込むまでもなく一瞬で出た。
答えは簡単だ、"NO"だ。
きっとスネイプも少なからず、ダンブルドアの命令だけでここまで彼を守って来た訳ではないだろう。
彼もハリーの持つ瞳から、リリーを感じていたはずだ。
ハリーを護る事で、リリーをも護っていたはずだ。
ハリーならヴォルデモートを倒せる。
この魔法界で希望の光を放つ彼なら、きっとやり遂げてくれる。
そう確信した凛は、真っ直ぐにヴォルデモートを見据えた。
(ならば、私に出来る事はただ1つーーーー)
凛はヴォルデモートとの攻防を止めた。
(ーーーーなんとしてでもハリーを守り切る!)
凛はヒビ割れて穴が空いた氷壁に身体を押し込んでいるナギニに向かって、左手をかざした。
『俺様との勝負の最中によそ見をするな!!』
ヴォルデモートのその声に続き聞こえた死の呪文ーーーー
(あぁ・・・私、死んだな。
あーあ、せっかく大金注ぎ込んで手に入れた妖女シスターズのプレミアムチケット、無駄になったわ。)
死の間際にふと思った事がそんな事とは・・・
凛が自嘲気味に笑った時、緑の閃光が凛の身体を貫いた。
凛の左手から放った鋭い氷塊がナギニに刺さり、その衝撃でヒビ割れた氷壁から遠くに吹っ飛んでいく。
地面に横たわったナギニの身体が砂のようになって消滅し、ヴォルデモートの悲鳴にも似た叫び声を聞いたのを最期に、凛は静かに目を閉じた。
