Episode 4
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
凛がドアを開けた先の部屋は、降谷が目を見張る程に広かった。
少し薄暗い部屋の天井には、無数のロウソクが浮かんでいる。
部屋の真ん中には、ローテーブルとその前には白い大きなソファ。
部屋の隅の方には、1つの大釜と作業台があり、部屋の中を囲むようにして本棚が立ち並んでいる。
そして部屋の奥には、もう1つドアがあった。
「奥のドアの先を寝室にしようと元々あったベッドを退けていたら、安室さんに見付かっちゃいました。」
「これは一体・・・」
目の前に広がる不思議な空間に、降谷は微動だに出来なかった。
「拡張呪文を部屋にかけてあります。
その名前の通り、好きな広さに空間を広げる事が出来るんです。
同様に部屋も増やせます。
なので、ぶっちゃけ犬小屋でも豪邸並の生活は出来ますよ。」
凛は降谷の手を引いて部屋の中へ招き入れると、ローテーブルの前に置かれた白い大きなソファへと誘導した。
降谷がソファに腰掛けると、凛は杖を振って、降谷の目の前に紅茶の入ったカップと空のカップを出した。
降谷の隣に腰掛けた凛は、紅茶の入ったカップの中身をスプーンでよくかき混ぜると、空のカップに少し移して飲み干した。
「毒は入っていませんので、安心してください。」
「え?」
「?
公安の方は、他人から出された飲食物は何が入ってるかわからないから、極力摂取しないんですよね?」
「あ・・・あぁ。」
降谷は、凛に言われるまで、目の前に出された紅茶をなんら疑っていなかった事に驚いた。
「大抵の事であれば魔法や、あそこにある大鍋で調合する魔法薬でどうにか出来ます。」
「それは便利だな。」
「それに元の世界での私は、副職で魔法薬学教授補佐、本職では闇祓いに属していました。」
「闇祓い?」
「闇祓いとは、闇の魔術に関連した犯罪を捜査する組織です。
主に闇の魔法使いや魔女を逮捕、拘束していました。
言わば、魔法界における警察兼軍隊のような組織です。」
降谷は、元の世界での凛の職業を聞いて、普段のほほんとしてる凛からは想像出来ず目を見張った。
「なので、魔法薬や魔法に関してはかなり能力がある方だと思います。
あと体術もそれなりに使えます。」
(彼女には申し訳ないが、ますます想像出来ない・・・)
降谷の心境などもちろん気付かない凛は、続けて話した。
「ですが、私たち魔族には許されざる呪文が3つあります。」
「許されざる呪文?」
「えぇ、魔法界でもっとも邪悪な呪文です。」
凛は降谷に向かって3本の指を立てた。
「1つ目は、インペリオ・・・服従の呪文です。
相手を思いのままに操る事が出来ます。
2つ目は、クルーシオ・・・磔の呪文です。
相手がいっその事殺してくれと懇願する程の苦痛を与える事が出来ます。
そして3つ目が、アバダ・ケダブラ・・・死の呪文です。
問答無用で相手を死の世界へと誘えます。
私はこの死の呪文を受けて、前の世界で死にました。
この呪文を受けて生き残れたのは、世界中でただ1人・・・
母が子を強く愛する魔法で護られた、ハリーと言う少年だけです。」
降谷は、凛から許されざる呪文の説明を聞いてるだけで胸がひどく傷んだ。
そして、凛自身もその内の1つの呪文を受けて死んだと知り、言葉が出せなかった。